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全大教近畿北大辻下氏


「調査検討会議」への参加は組織の外交ルール違反

佐賀大学 豊島耕一

 国大協は6月14日の総会で,文部省に設置される予定の「国立大学の独立行政法人化に関する調査検討会議」に参加することを決めましたが,これは二重の意味で誤りだと思われます.

 まず,国大協と文部省とは独立した組織であり,互いに交渉することはあっても一方が他に従属したり,配下として位置づけられたりしてはならないからです.しかるに,「国立大学協会として」文部省の一委員会に加わると言っているのですから,あきらかに国大協が文部省の配下として働くことを意味します.「代表」としてメンバーを送る以上,そこでまとまった結論には,国大協全体が拘束されてしまうことになります.

 このことは逆を考えてみれば明らかでしょう.国大協の何かの委員会に,文部省から,省を代表して正式のメンバーを加える,ということが一体あるでしょうか?そうすればその委員会の結論に文部省は従わなければならなくなります.ですから文部省はこのようなことは決してしないはずです.かりに国大協の委員会に出席するとしてもあくまでも代表ではなく,参考人あるいはオブザーバー的な立場を守るのではないでしょうか.なぜ国大協総会のメンバーにはこのことが思い浮かばないのでしょうか?「外交」の基本ルールを知らないとしか思えません.

 さらに,今回の問題に関しては,行政法人化を前提とした,そのまさに準備のための作業に「積極的に参加」するということは,行政法人化を容認することに等しいのです.マスコミの報道はまさに正確です.このような大転換をそれぞれの学内での議論もないままやってしまったことの罪は大きいと言うべきです.「調査検討会議」が通則法を前提にしていることは(もちろん「調整」や「特例」のベースとして),5月26日の文部省の説明であきらかです.

 このような行政法人化の事実上の容認は,国大協の発表の第1項の,「国立大学の設置形態に関して,これまで表明してきた態度を変更する必要があるとは認識していない。」という言葉とも完全に矛盾しているのです.むしろこの第1項は「ごまかし」となってしまいました.

 文部省は文部省で通則法を前提に案づくりを進めるでしょう.それを止めることはまずできません.国大協は,第2項で述べている「設置形態検討特別委員会」で,全大学関係者を巻き込んでまともに議論し,対案をぶつけ,文部省とそれを材料に交渉すればいいのです.(そこに文部省の代表を招く??)あるいは議員立法の道もあるでしょう.そして「最後の審判」,すなわち来るべき国会審議に具えるべきです.

 第3項の撤回を国大協と各大学の学長に求めましょう.

(2000年6月17日)