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10日 B2,B3合同分科会(B2分科会にレポートがないため合併)

 豊島:全大教が学校教育法改正問題でほとんど動かなかったことは重大だ.今回の規則改正で,たとえば「代議員会」を学科長など役職者の連名で代用するという動きが見られるが,これは県知事で国会を構成するようなものだ.このような種類の間違いはそもそも学校教育法改正の中に見られる.例を挙げると,教授会議長に学部長を法定したが,これは,内閣総理大臣を国会議長にするに等しい.執行機関と審議機関の分離という考えが全くない.

 このようないい加減さの背景にあるイデオロギーを「可視化」しなければならない.これは社会学者などが得意なはずだ.物理屋がこんなことを言ってもだれも聞いてくれないかもしれないが,そのひとつは「儒教イデオロギー」だ.たとえば論語にある「直躬説話」**を考えてもらってもよい.名前の付いていないイデオロギーは,人がそれと気付かないため最も大きなな力を持つ.「ネオリベラリズム」や「グローバリズム」には名前が付けられた.しかし儒教イデオロギーはアジアに特異的であり,まだはっきりと「同定」され意識化されていない.天皇制イデオロギーがせいぜい100年余の歴史であるのに対し,これはその数倍の年月をかけてわれわれの意識下にしみ込んでいる.しかもそれは体制・反体制,右翼・左翼を問わず普遍的である.(当日の発言に少し言葉を付け足しました.)


**直躬説話について

子路一八 (「孔子」,金谷治著,講談社学術文庫,259ページ)

 葉公,孔子に語りて曰はく,吾が党に直躬(ちょくきゅう)なる者あり.其の父,羊を攘(ぬす)みて,子之を証す.孔子曰はく,吾が党の直き者は是に異なり.父は子の為に隠し,子は父の為に隠す.直きこと其の中(うち)に在り.

 字義どおり本当の家族の間でかばい合うのは当然かも知れないが,会社などの組織が家族に模擬され,その上でこの「直躬説話」の価値観が適用されている様相があるのではないかと疑われる.この論語の一節それ自体が日本人に良く知られているかどうかわからないが,少なくとも「染み込んで」いるのではないかと思う.そして儒教が今なお生きたイデオロギーであることも確かである.三菱自動車で「リコール隠し」が30年間も内部告発がなされなかったことと関係がないだろうか.