国立大学協会は、さる6月14日開催された総会において、文部省が設置を予定している「国立大学の独立行政法人化に関する調査検討会議」に参加することを決定しました。
各大学内に、独立行政法人化に対する根強い反対意見があるなか、十分な審議を尽くさないまま、文部省、自民党の圧力に屈する形で、独法化を前提とした「調査検討会議」への参加に踏み切ったことは、きわめて遺憾なことと言わねばなりません。
私たちが何よりも危惧することは、「調査検討会議」に正式に参加すれば、そこにおいて決定されることを拒否することは事実上不可能であり、結局は独立行政法人通則法を骨格とする法人化の受け入れに繋がらざるを得ないであろうということです。
蓮實国大協会長は14日開かれた総会後の記者会見において、「調査検討会議」への参加が独法化受け入れを意味するものでないことを強調し、さらに「最終的に全く理想的な形態がそこに成立しなければ、その後新たな問題が起こるだろう」とまで述べておられますが、これらは、何の担保・保障もない以上、中味のない空証文に終わる恐れが強いのではないでしょうか。
そもそも、文部省が独法化に向けて一方的に設置する「調査検討会議」への参加の是非さえ余裕をもって判断できないようで、どうして今後、国大協の主体性を期待できるのでしょうか。
国大協が、6月14日の会長発表第一項にあるように、「国立大学の設置形態に関して、これまで表明してきた態度を変更する必要があるとは認識していない」というのであれば、「調査検討会議」への正式参加を取りやめる以外にありません。
いま国大協にとって大切なことは,文部省の中の一組織に性急に加わることではなく,広く国民にこの問題の本質を理解してもらうための組織的努力を開始することではないでしょうか。
その一つは「独立行政法人」に代わる案を国民の前に提示することであると考えます。ぜひ会長発表第二項にある「設置形態検討特別委員会」において、全大学関係者の英知を集めて、真に大学の独立を確保する国大協独自の案づくりを進めてください。そして本格的な選択肢を広く国民に提示し,その判断を仰ぐべきです。私たちもそのための協力を惜しみません。
以上、要望いたします。