国立大学協会理事各位
国立大学学長各位
国立大学独法化阻止全国ネットワーク
代表 山住 正己 *
事務局長 豊島 耕一 **
事務局
840-8507 佐賀市本庄町1
佐賀大学理工学部物理科学科(豊島研究室)
電話/ファクス 0952-28-8845
toyo@cc.saga-u.ac.jp
早い桜前線とともに大学は新しい年度を迎えましたが,皆さまの教育と大学自治のためのご努力に敬意を表し,感謝申し上げます.
さて,独法化問題での文部科学省調査検討会議の最終報告を文部科学大臣が受け取り,この問題が新たな段階に入ろうとしています.来る19日の総会では,これを是とするか非とするかの態度決定が国立大学協会に求められると思います.
この重要な決定にあたり,皆さまにお願いしたいことがあります.
まず,国立大学内外から出されている国大協に対する様々な疑問に対して,総会に先立って明確な説明をいただきたいと思います.一昨年6月の国大協総会以来の貴協会の態度に対する,私たち全国ネットほか諸団体の批判への国大協としての誠意ある説明は見られません.また,上記「最終報告」がまとまりつつある頃,筆者の一人,豊島耕一が代表して,国大協会則28条に基づき国立大学教職員有志82名の2月18日付け質問書(同封しています)を会長宛にお送りしましたが,未だに何の回答もありません.いずれの批判・疑問も決して些細なものではなく,独法化問題の根本に関わるものです.これらを無視することは,国大協の国民に対する説明責任を放棄するものです.
次に,総会でどのような決定を下すにせよ,国大協総会のメンバー各位のそれぞれの個人の責任が明確になるような決定のしかたを取っていただきたいと思います.すなわち,重要な決定に対しては最終的に必ず採決によって多数の意思であることを確認し,また誰が賛成し誰が反対したかを明確にしていただきたいのです.かりにも「最終報告」を認めるというような,これまでの国大協の原則的な主張,立場と180度異なる決定をしようとすれば,そこに「全会一致」はあり得ないと信じています.必ず表決が必要となるはずです.また,何らの明示的な意思決定もせずにこれを黙認することになれば,それは最も無責任です.
最後に,最終報告はきっぱりと拒否すべきであります.この内容は,上にも述べましたように,これまでの国大協の立場とは何重にも異なるものであり,これを明確に否定することが国民の負託と信頼に応える唯一の道であると信じます.「中期目標」の中央官庁による下付・点検などという,教育・研究機関を行政機関に変えるに等しい提案を認めれば,将来のすべての世代から,そして世界の大学コミュニティーからの厳しい批判(例)にさらされるであろうことを,十分に考慮していただきたいのです.行政機関化などということは「改革」以前の問題であり,あらゆる可能な真の改革への障害以外の何ものでもありません.
最終報告の拒否は,あるいは一部の人々からの批判を受けるかも知れません.しかしそれを恐れるべきでしょうか.それはむしろ,国民にこの問題での議論が起こり,その本質を理解してもらう好機ととらえるべきです.恐れるべきは,真理に背くこと,学問に志す次の世代の人々を裏切ることではないでしょうか.
なお,国立大学教職員の総会への傍聴を認めないというこれまでのやり方は全く不当であり,根拠がありません.是非とも今回は傍聴を認めていただきたいと思います.敬具
2002年4月9日
追伸 今度の国大協臨時総会には,「全国ネット」で集めた約4,600筆の独法化反対署名を提出する予定です.
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* 元東京都立大学総長
** 02年2月18日付け「国大協会長への共同質問書」代表,佐賀大学理工学部教授
国立大学独法化阻止全国ネットワーク ホームページ
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