国立大学法人法

目次

第一章 総則

 第一節 通則(第一条〜第八条)
 第二節 国立大学法人評価委員会(第九条)

第二章 組織及び業務

 第一節 国立大学法人
  第一款 役員及び職員(第十条〜第十九条)
  第二款 経営協議会等(第二十条・第二十一条)
  第三款 業務等(第二十二条・第二十三条)

 第二節 大学共同利用機関法人
  第一款 役員及び職員(第二十四条〜第二十六条)
  第二款 経営協議会等(第二十七条・第二十八条)
  第三款 業務等(第二十九条)

第三章 中期目標等(第三十条・第三十一条)

第四章 財務及び会計(第三十二条〜第三十四条)

第五章 雑則(第三十五条〜第三十七条)

第六章 罰則(第三十八条〜第四十一条〉

附則


第一章  総則

 第一節  通則

(目的)

第一条 この法律は、大学の教育研究に対する国民の要請にこたえるとともに、我が国の高等教育及び学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図るため、国立大学を設置して教育研究を行う国立大学法人の組織及び運営並びに大学共同利用機関を設置して大学の共同利用に供する大学共同利用機関法人の組織及び運営について定めることを目的とする。

(定義)

第二条  この法律において「国立大学法人」とは、国立大学を設置することを目的として、この法律の定めるところにより設立される法人をいう。

2 この法律において「国立大学」とは、別表第一の第二欄に掲げる大学をいう。

3 この法律において「大学共同利用機関法人」とは、大学共同利用機関を設置する事を目的として、この法律の定めるところにより設立される法人をいう。

4 この法律において「大学共同利用機関」とは、別表第二の第二欄に掲げる研究分野について、大学における学術研究の発展等に資するために設置される大学の共同利用の研究所をいう。

5 この法律において「中期目標」とは、国立大学法人及び大学共同機関法人(以下「国立大学法人等」という。)が達成すべき業務運営に関する目標であって、第三十条第一項の規定により文部科学大臣が定めるものをいう。

6 この法律において「中期計画」とは、中期目標を達成するための計画であって、第三十一条第一項の規定により国立大学法人が作成する物をいう。

7 この法律において「年度計画」とは、準用通則法(第三十五条において準用する独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)をいう。以下同じ。)第三十一条第一項の規定により中期計画に基づき国立大学法人等が定める計画をいう。

8 この法律において「学則」とは、国立大学法人の規則のうち、修業年限、教育課程、教育研究組織その他の修学上必要な事項を定めたものをいう。

(教育研究の特性への配慮)

第三条  国は、この法律の運用に当たっては、国立大学及び大学共同利用機関における教育研究の特性に常に配慮しなければならない。

(国立大学法人の名称等)

第四条  各国立大学法人の名称及びその主たる事務所の所在地は、それぞれ別表第一の第一欄及び第三欄に掲げるとおりとする。

2  別表第一の第一欄に掲げる国立大学法人は、それぞれ同表の第二欄に掲げる国立大学を設置するものとする。

(大学共同利用機関法人の名称等)

第五条 大学共同利用機関法人の名称及びその主たる事務所の所在地は、それぞれ別表第二の第一欄及び第三欄に掲げるとおりとする。

2  別表第二の第一欄に掲げる大学共同利用機関法人は、それぞれ同表の第二欄に掲げる研究分野について、文部科学省令で定めるところにより、大学共同利用機関を設置するものとする。

(法人格)

第六条  国立大学法人等は、法人とする。

(資本金)

第七条  各国立大学法人等の資本金は、附則第九条第二項の規定により政府から出資があったものとされた金額とする。

2  政府は、必要があると認めるときは、予算で定める金額の範囲内において、国立大学法人等に追加して出資することができる。

3  政府は、必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、土地、建物その他の土地の定着物及びその建物に附属する工作物(第六項において「土地等」という。)を出資の目的として、国立大学法人等に追加して出資することができる。

4 政府は、前項の規定により土地を出資の目的として出資する場合において,国立大学法人等が当該土地の全部又は一部を譲渡した時は、当該譲渡により生じた収入の範囲内で文部科学大臣が定める基準により算定した額に相当する金額を独立行政法人国立大学財務・経営センターに納付すべき旨の条件を付することができる。

5  国立大学法人等は、第二項又は第三項の規定による政府の出資があったときは、その出資額により資本金を増加するものとする.

6  政府が出資の目的とする土地等の価額は、出資の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。

7 前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。

8 国立大学法人等は、準用通則法第四十八条第一項本文に規定する重要な財産のうち、文部科学大臣が定める財産を譲渡したときは、当該譲渡した財産に係る部分として文部科学大臣が定める金額については、当該国立大学法人等に対する政府からの出資はなかったものとし、当該国立大学法人等は、その額により資本金を減少するものとする。

(名称の使用制限)

第八条  国立大学法人又は大学共同利用機関法人でない者は、その名称中に、それぞれ国立大学法人又は大学共同利用機関法人という文字を用いてはならない。

 第二節  国立大学法人評価委員会

第九条  文部科学省に、国立大学法人等に関する事務を処理させるため、国立大学法人評価委員会(以下「評価委員会」という。)を置く。

2  評価委員会は、次に掲げる事務をつかさどる。

 一 国立大学法人等の業務の実績に関する評価に関すること。

 二 その他この法律によりその権限に属させられた事項を処理すること。

3  前項に定めるもののほか、評価委員会の組織、所掌事務及び委員その他の職員その他評価委員会に関し必要な事項については、政令で定める。

第二章  組織及び業務

 第一節  国立大学法人

  第一款  役員及び職員

(役員)

第十条  各国立大学法人に、役員として、その長である学長及び監事二人を置く。

2 各国立大学法人に、役員として、それぞれ別表第一の第四欄に定める員数以内の理事を置く。

(役員の職務及び権限)

第十一条  学長は、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第五十八条第三項に規定する職務を行うとともに、国立大学法人を代表し、その業務を総理する。

2  学長は、次の事項について決定をしようとするときは、学長及び理事で構成する会議(第五号において「役員会」という。)の議を経なければならない。

 一  中期目標についての意見(国立大学法人等が第三十条第三項の規定により文部科学大臣に対し述べる意見をいう。以下同じ。)及び年度計画に関する事項

 二  この法律により文部科学大臣の認可又は承認を受けなければならない事項

 三  予算の作成及び執行並びに決算に関する事項

 四  当該国立大学、学部,学科その他の重要な組織の設置又は廃止に関する事項

 五  その他役員会が定める重要事項

3  理事は、学長の定めるところにより、学長を補佐して国立大学法人の業務を掌理し、学長に事故があるときはその職務を代理し、学長が欠員のときはその職務を行う。

4  監事は、国立大学法人の業務を監査する。

5  監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、学長又は文部科学大臣に意見を提出することができる。

(役員の任命)

第十二条  学長の任命は、国立大学法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行う。

2  前項の申出は、第一号に掲げる委員及び第二号に掲げる委員各同数をもって構成する会議(以下「学長選考会議」という。)の選考により行うものとする。

 一 第二十条第二項第三号に掲げる者の中から同条第一項に規定する経営協議会において選出された者

 二  第二十一条第二項第三号又は第四号に掲げる者の中から同条第一項に規定する教育研究評議会において選出された者

3 前項各号に掲げる者のほか、学長選考会議の定めるところにより、学長又は理事を学長選考会議の委員に加えることができる。ただし,その数は、学長選考会議の委員の総数の三分の一を超えてはならない。

4  学長選考会議に議長を置き、委員の互選によってこれを定める。

5  議長は、学長選考会議を主宰する。

6  この条に定めるもののほか、学長選考会議の議事の手続その他学長選考会議に関し必要な事項は、議長が学長選考会議に諮って定める。

7  第二項に規定する学長の選考は、人格が高潔で、学識が優れ、かつ、大学における教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる能力を有する者のうちから行わなければならない。

8  監事は、文部科学大臣が任命する。

第十三条  理事は、前条第七項に規定する者のうちから、学長が任命する。

2  学長は、前項の規定により理事を任命したときは、遅滞なく、文部科学大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならない。

第十四条  学長又は文部科学大臣は、それぞれ理事又は監事を任命するに当たっては、その任命の際現に当該国立大学法人の役員又は職員でない者が含まれるようにしなければならない。

(役員の任期)

第十五条  学長の任期は、二年以上六年を超えない範囲内において、学長選考会議の議を経て、各国立大学法人の規則で定める。

2  理事の任期は、六年を超えない範囲内で、学長が定める。ただし、理事の任期の末日は、当該理事を任命する学長の任期の末日以前でなければならない。

3  監事の任期は、二年とする。ただし、補欠の監事の任期は、前任者の残任期間とする。

4  役員は、再任されることができる。この場合において、当該役員がその最初の任命の際限に当該国立大学法人の役員又は職員でなかったときの前条の規定の適用については,その再任の際限に当該国立大学法人の役員又は職員でない者とみなす。

(役員の欠格条項)

第十六条  政府又は地方公共団体の職員(非常動の者を除く。)は、役員となることができない。

2  前項の規定にかかわらず、教育公務員で政令で定める者は、非常勤の理事又は監事となることができる。

(役員の解任)

第十七条  文部科学大臣又は学長は、それぞれその任命に係る役員が前条の規定により役員になることができない者に該当するに至ったときは、その役員を解任しなければならない。

2  文部科学大臣又は学長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。

 一  心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。

 二  職務上の義務違反があるとき。

3  前項に規定するもののほか、文部科学大臣又は学長は、それぞれその任命に係る役員(監事を除く。)の職務の執行が適当でないため当該国立大学法人の業務の実績が悪化した場合であって、その役員に引き続き当該職務を行わせることが適当でないと認めるときは、その役員を解任することができる。

4  前二項の規定により文部科学大臣が行う学長の解任は、当該国立大学法人の学長選考会議の申出により行うものとする。

5  学長は、第一項から第三項までの規定により理事を解任したときは、遅滞なく、文部科学大臣に届け出るとともに、これを公表しなければならない。

(役員及び職員の秘密保持義務)

第十八条  国立大学法人の役員及び職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

(役員及び職員の地位)

第十九条  国立大学法人の役員及び職員は、刑法(明治四十年法律第四十五号)その他の罰則の適用については、法令により公務に従事する職員とみなす。

 第二款  経営協議会等

(経営協議会)

第二十条  国立大学法人に、国立大学法人の経営に関する重要事項を審議する機関として、経営協議会を置く。

2 経営協議会は、次に掲げる委員で組織する。

 一  学長

 二  学長が指名する理事及び職員

 三  当該国立大学法人の役員又は職員以外の者で大学に関し広くかつ高い識見を有するもののうちから、次条第一項に規定する教育研究評議会の意見を聴いて学長が任命するもの

3  前項第三号の委員の数は、経営協議会の委員の総数の二分の一以上でなければならない。

4  経営協議会は、次に掲げる事項を審議する。

 一  中期目標についての意見に関する事項のうち、国立大学法人の経営に関するもの

 二  中期計画及び年度計画に関する事項のうち国立大学法人の経営に関するもの

 三  学則(国立大学法人の経営に関する部分に限る。)、会計規程、役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準、職員の給与及び退職手当の支給の基準その他の経営に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項

 四  予算の作成及び執行並びに決算に関する事項

 五  組織及び運営の状況について自ら行う点検及び評価に関する事項

 六  その他国立大学法人の経営に関する重要事項

5  経営協議会に議長を置き、学長をもって充てる。

6  議長は、経営協議会を主宰する。

(教育研究評議会)

第二十一条  国立大学法人に、国立大学の教育研究に関する重要事項を審議する機関として、教育研究評議会を置く。

2  教育研究評議会は、次に掲げる評議員で組織する。

 一 学長

 二 学長が指名する理事

 三 学部、研究科、大学附置の研究所その他の教育研究上の重要な組織の長のうち、教育研究評議会が定める者

 四 その他教育研究評議会が定めるところにより学長が指名する職員

3 教育研究評議会は、次に掲げる事項について審議する。

 一 中期目標についての意見に関する事項(前条第四項第一号に掲げる事項を除く。)

 二 中期計画及び年度計画に関する事項(前条第四項第二号に掲げる事項を除く。)

 三 学則(国立大学法人の経営に関する部分を除く。)その他の教育研究に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項

 四 教員人事に関する事項

 五 教育課程の編成に関する方針に係る事項

 六 学生の円滑な修学等を支援するために必要な助言、指導その他の援助に関する事項

 七 学生の入学、卒業又は課程の修了その他学生の在籍に関する方針及び学位の授与に関する方針に係る事項

 八 教育及び研究の状況について自ら行う点検及び評価に関する事項

 九 その他国立大学の教育研究に関する重要事項

4 教育研究評議会に議長を置き、学長をもって充てる。

5 議長は、教育研究評議会を主宰する。

  第三款 業務等

(業務の範囲等)

第二十二条  国立大学法人は、次の業務を行う。

 一 国立大学を設置し、これを運営すること。

 二 学生に対し、修学、進路選択及び心身の健康等に関する相談その他の援助を行うこと。

 三 当該国立大学法人以外の者から委託を受け、又はこれと共同して行う研究の実施その他の当該国立大学法人以外の者と連携して教育研究活動を行うこと。

 四 公開講座の開設その他の学生以外の者に対する学習の機会を提供すること。

 五 当該国立大学における研究の成果を普及し、及びその活用を促進すること。

 六 当該国立大学における技術に関する研究の成果の活用を促進する事業であって政令で定めるものを実施する者に出資すること。

七 前各号の業務に附帯する業務を行うこと。

2 国立大学法人は、前項第六号に掲げる業務を行おうとするときは、文部科学大臣の認可を受けなければならない。

3 文部科学大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

4 国立大学及び次条の規定により国立大学に附属して設置される学校の授業料その他の費用に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。

 (大学附属の学校)

第二十三条 国立大学に、文部科学省令で定めるところにより、小学校、中学校、高等学校、中等教育学校、盲学校、聾学校、養護学校、幼稚園又は専修学校を附属させて設置することができる。

第二節 大学共同利用機関法人

  第一款 役員及び職員

(役員)

第二十四条  各大学共同利用機関法人に、役員として、その長である機構長及び監事二人を置く。

2  各大学共同利用機関法人に、役員として、それぞれ別表第二の第四欄に定める員数以内の理事を置く。

(役員の職務及び権限)

第二十五条  機構長は、大学共同利用機関法人を代表し、その業務を総理する。

2  機構長は、次の事項について決定をしようとするときは、機構長及び理事で構成する会議(第五号において「役員会」という。)の議を経なければならない。

 一  中期目標についての意見及び年度計画に関する事項

 二 この法律により文部科学大臣の認可又は承認を受けなければならない事項

 三 予算の作成及び執行並びに決算に関する事項

 四 当該大学共同利用機関その他の重要な組織の設置又は廃止に関する事項

 五 その他役員会が定める重要事項

3  理事は、機構長の定めるところにより、機構長を捕佐して大学共同利用機関法人の業務を掌理し、機構長に事故があるときはその職務を代理し、機構長が欠員のときはその職務を行う。

4  監事は、大学共同利用機関法人の業務を監査する。

5  監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、機構長又は文部科学大臣に意見を提出することができる。

(国立大学法人の役員及び職員に関する規定の準用)

第二十六条  第十二条から第十九条までの規定は、大学共同利用機関法人の役員及び職員について準用する。この場合において、これらの規定中「学長」とあるのは「機構長」と、「国立大学法人」とあるのは「大学共同利用機関法人」と、「学長選考会議」とあるのは「機構長選考会議」と読み替えるほか、第十二条第二項第一号中「第二十条第二項第三号」とあるのは「第二十七条第二項第三号」と、同項第二号中「第二十一条第二項第三号又は第四号」とあるのは「第二十八条第二項第三号から第五号まで」と、同条第七項中「大学」とあるのは「大学共同利用機関」と読み替えるものとする。

  第二款 経営協議会等

(経営協議会)

第二十七条  大学共同利用機関法人に、大学共同利用機関法人の経営に関する重要事項を審議する機関として、経営協議会を置く。

2  経営協議会は、次に掲げる委員で組織する。

 一  機構長

 二  機構長が指名する理事及び職員

 三  当該大学共同利用機関法人の役員又は職員以外の者で大学共同利用機関に関し広くかつ高い識見を有するもののうちから、次条第一項に規定する教育研究評議会の意見を聴いて機構長が任命するもの

3 前項第三号の委員の数は、経営協議会の委員の総数の二分の一以上でなければならない。

4  経営協議会は、次に掲げる事項を審議する。

 一  中期目標についての意見に関する事項のうち、大学共同利用機関法人の経営に関するもの

 二  中期計画及び年度計画に関する事項のうち、大学共同利用機関法人の経営に関するもの

 三  会計規程、役員に対する報酬及び退職手当の支給の基準、職員の給与及び退職手当の支給の基準その他の経営に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項

 四  予算の作成及び執行並びに決算に関する事項

 五  組織及び運営の状況について自ら行う点検及び評価に関する事項

 六  その他大学共同利用機関法人の経営に関する重要事項

5  経営協議会に議長を置き、機構長をもって充てる。

6  議長は、経営協議会を主宰する。

(教育研究評議会)

第二十八条  大学共同利用機関法人に、大学共同利用機関の教育研究に関する重要事項を審議する機関として、教育研究評議会を置く。

2  教育研究評議会は、次に掲げる評議員で組織する。

 一  機構長

 二  機構長が指名する理事

 三  大学共同利用機関の長

 四  その他教育研究評議会が定めるところにより機構長が指名する職員

 五  当該大学共同利用機関法人の役員及び職員以外の者で当該大学共同利用機関の行う研究と同一の研究に従事するもの(前条第二項第三号に掲げる者を除く。)のうちから教育研究評議会が定めるところにより機構長が任命するもの

3  教育研究評議会は、次に掲げる事項について審議する。

 一 中期目標についての意見に関する事項(前条第四項第一号に掲げる事項を除く。)

 二 中期計画及び年度計画に関する事項(前条第四項第二号に掲げる事項を除く。)

 三 教育研究に係る重要な規則の制定又は改廃に関する事項

 四 職員のうち、専ら研究又は教育に従事する者の人事に関する事項

 五 共同研究計画の募集及び選定に関する方針並びに共同研究の実施に関する方針に係る事項

 六 大学院における教育その他大学における教育への協力に関する事項

 七 教育及び研究の状況について自ら行う点検及び評価に関する事項

 八 その他大学共同利用機関の教育研究に関する重要事項

4 教育研究評議会に議長を置き、機構長をもって充てる。

5 議長は、教育研究評議会を主宰する。

  第三款   業務等

(業務の範囲等)

第二十九条  大学共同利用機関法人は、次の業務を行う。

 一  大学共同利用機関を設置し、これを運営すること。

 二  大学共同利用機関の施設及び設備等を大学の教員その他の者で当該大学共同利用機関の行う研究と同一の研究に従事するものの利用に供すること。

 三  大学の要請に応じ、大学院における教育その他その大学における教育に協力すること。 

 四  当該大学共同利用機関における研究の成果(第二号の規定による大学共同利用機関の施設及び設備等の利用に係る研究の成果を含む。次号において同じ。)を普及し、及びその活用を促進すること。

 五  当該大学共同利用機関における技術に関する研究の成果の活用を促進する事業であって政令で定めるものを実施する者に出資すること。

 六  前各号の業務に附帯する業務を行うこと。

2  大学共同利用機関法人は、前項第五号に掲げる業務を行おうとするときは、文部科学大臣の認可を受けなければならない。

3  文部科学大臣は、前項の認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

第三章  中期目標等

(中期目標)

第三十条  文部科学大臣は、六年間において各国立大字法人等が達成すべき業務運営に関する目標を中期目標として定め、これを当該国立大学法人等に示すとともに、公表しなければならない。これを変更したときも、同様とする。

2  中期目標においては、次に掲げる事項について定めるものとする。

 一  教育研究の質の向上に関する事項

 二  業務運営の改善及び効率化に関する事項

 三  財務内容の改善に関する事項

 四  教育及び研究並びに組織及び運営の状況について自ら行う点検及び評価並びに当該状況に係る情報の提供に関する事項

 五  その他業務運営に関する重要事項

3  文部科学大臣は、中期目標を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、国立大学法人等の意見を聴き、当該意見に配慮するとともに、評価委員会の意見を聴かなければならない。

(中期計画)

第三十一条 国立大学法人等は、前条第一項の規定により中期目標を示されたときは、当該中期目標に基づき、文部科学省令で定めるところにより、当該中期目標を達成するための計画を中期計画として作成し、文部科学大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。

2  中期計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

 一  教育研究の質の向上に関する目標を達成するためとるべき措置

 二  業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するためとるべき措置

 三 予算(人件費の見積りを含む。)、収支計画及び資金計画

 四  短期借入金の限度額

 五  重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、その計画

 六  剰余金の使途

 七  その他文部科学省令で定める業務運営に関する事項

3  文部科学大臣は、第一項の認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

4  文部科学大臣は、第一項の認可をした中期計画が前条第二項各号に掲げる事項の適正かつ確実な実施上不適当となったと認めるときは、その中期計画を変更すべきことを命ずることができる。

5  国立大学法人等は、第一項の認可を受けたときは、遅滞なく、その中期計画を公表しなければならない。

第四章 財務及び会計

(積立金の処分)

第三十二条  国立大学法人等は、中期目標の期間の最後の事業年度に係る準用通則法第四十四条第一項又は第二項の規定による整理を行った後、同条第一項の規定による積立金があるときは、その額に相当する金額のうち文部科学大臣の承認を受けた金額を、当該中期目標の期間の次の中期目標の期間に係る前条第一項の認可を受けた中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)の定めるところにより、当該次の中期目標の期間における第二十二条第一項又は第二十九条第一項に規定する業務の財源に充てることができる。

2  文部科学大臣は、前項の規定による承認をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

3  国立大学法人等は、第一項に規定する積立金の額に相当する金額から同項の規定による承認を受けた金額を控除してなお残余があるときは、その残余の額を国庫に納付しなければならない。

4  前三項に定めるもののほか、納付金の納付の手続その他積立金の処分に関し必要な事項は、政令で定める。

(長期借入金及び債券)

第三十三条 国立大学法人等は、政令で定める土地の取得、施設の設置若しくは整備又は設備の設置に必要な費用に充てるため、文部科学大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は当該国立大学法人等の名称を冠する債券(以下「債券」という。)を発行することができる。

2  前項に規定するもののほか、国立大学法人等は、長期借入金又は債券で政令で定めるものの償還に充てるため、文部科学大臣の認可を受けて、長期借入金をし、又は債券を発行することができる。ただし、その償還期間が政令で定める期間のものに限る。

3  文部科学大臣は、前二項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

4  第一項又は第二項の規定による債券の債権者は、当該債券を発行した国立大学法人等の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。

5  前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。

6  国立大学法人等は、文部科学大臣の認可を受けて、債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。

7  商法(明治三十二年法律第四十八号)第三百九条、第三百十条及び第三百十一条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。

8  前各項に定めるもののほか、第一項又は第二項の規定による長期借入金又は債券に関し必要な事項は、政令で定める。

(償還計画)

第三十四条 前条第一項又は第二項の規定により、長期借入金をし、又は債券を発行する国立大学法人等は、毎事業年度、長期借入金及び債券の償遺計画を立てて、文部科学大臣の認可を受けなければならない。

2  文部科学大臣は、前項の規定による認可をしようとするときは、あらかじめ、評価委員会の意見を聴かなければならない。

第五章 雑則

(独立行政法人通則法の規定の準用)

第三十五条 独立行政法人通則法第三条、第七条第二項、第八条第一項、第九条、第十一条、第十四条から第十七条まで、第二十四条から第二十六条まで、第二十八条、第三十一条から第五十条まで、第五十二条、第五十三条、第六十一条及び第六十三条から第六十六条までの規定は、国立大学法人等について準用する。この場合において、これらの規定中「主務大臣」とあるのは「文部科学大臣」と、「主務省令」とあるのは「文部科学省令」と、「評価委員会」とあり、及び「当該評価委員会」とあるのは「国立大学法人評価委員会」と読み替えるほか、次の表の上(左)欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下(右)欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

(読み替え表)

(財務大臣との協議)

第三十六条 文部科学大臣は、次の場合には、財務大臣に協議しなければならない。

 一 第七条第四項の規定により基準を定めようとするとき、又は同条第八項の規定により金額を定めようとするとき。

 二 第二十二条第二項、第二十九条第二項、第三十一条第一項、第三十三条第一項、第二項若しくは第六項若しくは第三十四条第一項又は準用通則法第四十五条第一項ただし書若しくは第二項ただし書若しくは準用通則法第四十八条第一項の規定による認可をしようとするとき。

 三 第三十条第一項の規定により中期目標を定め、又は変更しようとするとき。

 四 第三十二条第一項又は準用通則法第四十四条第三項の規定による承認をしようとするとき。

 五 準用通則法第四十七条第一号又は第二号の規定による指定をしようとするとき。

(他の法令の準用)

第三十七条 教育基本法(昭和二十二年法律第二十五号)その他政令で定める法令については、政令で定めるところにより、国立大学法人等を国とみなして、これらの法令を準用する。

2  博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)その他政令で定める法令については、政令で定めるところにより、国立大学法人等を独立行政法人通則法第二条第一項に規定する独立行政法人とみなして、これらの法令を準用する。

第六章  罰則

第三十八条  第十八条(第二十六条において準用する揚合を含む。)の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

第三十九条 準用通則法第六十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした国立大学法人等の役員若しくは職員又は大学共同利用機関法人の役員若しくは職員は、二十万円以下の罰金に処する。

第四十条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした国立大学法人の役員又は大学共同利用機関法人の役員は、二十万円以下の過料に処する。

 一 この法律又は準用通則法の規定により文部科学大臣の認可又は承認を受けなければならない場合において、その認可又は承認を受けなかったとき。

 二 この法律又は準用通則法の規定により文部科学大臣に届出をしなければならない場合において、その届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

 三 この法律又は準用通則法の規定により公表をしなければならない場合において、その公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。

 四 第二十二条第一項に規定する業務以外の業務を行ったとき。

 五 第二十九条第一項に規定する業務以外の業務を行ったとき。

 六 第三十一条第四項の規定による文部科学大臣の命令に違反したとき。

 七 準用通則法第九条第一項の規定による政令に違反して登記することを怠ったとき。

 八 準用通則法第三十三条の規定による事業報告書の提出をせず、又は事業報告書に記載すべき事項を記載せず、若しくは虚偽の記載をして事業報告書を提出したとき。

 九 準用通則法第三十八条第四項の規定に違反して財務諸表、事業報告書、決算報告書若しくは監事及び会計監査人の意見を記載した書面を備え置かず、又は閲覧に供しなかったとき。

 十 準用通則法第四十七条の規定に違反して業務上の余裕金を運用したとき。

 十一 準用通則法第六十五条第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

第四十一条 第八条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。


(施行期日)

第一条 この法律は、平成十五年十月一日から施行する。

(学長となるべき者の指名等に関する特例)

第二条  文部科学大臣は、この法律の施行の日において、この法律の施行の際現に附則別表第一の上(左)欄に掲げる大学の学長である者を、それぞれ同表の下(右)欄に掲げる国立大学法人の学長となるべき者として指名するものとする。ただし、当該指名の後に、指名された者以外の者が新たに当該大学の学長となったときは、当該指名された者に代えて、当該学長を国立大学法人の学長となるべき者として指名するものとする。

2  前項に規定する国立大学法人の学長となるべき者の指名については、準用通則法第十四条第三項の規定は、適用しない。

3  文部科学大臣は、附則別表第一の表の上(左)欄に掲げる大学の学長である者の任期の末日が平成十六年三月三十一日であるときは、準用通則法第十四条第二項の規定にかかわらず、当該大学に設けられた選考会議(学長、副学長及び学部、研究科、大学附置の研究所その他の教育研究上の重要な組織の長(旧設置法(国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十五年法律第 号。以下「整備法」という。)第二条の規定による廃止前の国立学校設置法(昭和二十四年法律第百五十号)をいう。以下同じ。)第七条の三第一項に規定する評議会の評議員その他これに準ずる者を含む。)並びに旧設置法第七条の二第一項に規定する運営諮問会議の委員のうち当該大学が定める者で構成する会議をいう。)において第十二条第七項に規定する者のうちから選考された者を、当該大学の学長の申出に基づき、国立大学法人の成立の日において、同表の下(右)欄に掲げる国立大学法人の学長として任命するものとする。

4  第一項の規定により指名され、準用通則法第十四条第二項の規定により国立大学法人等の成立の時に学長に任命されたものとされる学長の任期は、第十五条第一項の規定にかかわらず、附則別表第一の上(左)欄に掲げる大学の学長としての任期の残任期間と同一の期間とする。

(国立大学法人等の成立)

第三条  別表第一に規定する国立大学法人及び別表第二に規定する大学共同利用機関法人は、準用通則法第十七条の規定にかかわらず、整備法第二条の規定の施行の時に成立する。

2  前項の規定により成立した国立大学法人等は、準用通則法第十六条の規定にかかわらず、国立大学法人等の成立後遅滞なく、政令で定めるところにより、その設立の登記をしなければならない。

(職員の引継ぎ等)

第四条 国立大学法人等の成立の際現に附則別表第一の上(左)欄に掲げる機関の職員である者(独立行政法人日本学生支援機構法(平成十五年法律第 号)附則第二条又は独立行政法人海洋研究開発機構法(平成十五年法律第 号)附則第二条の規定により、独立行政法人日本学生支援機構又は独立行政法人海洋研究開発機構の職員となるものとされた者を除く。)は、別に辞令を発せられない限り、国立大学法人等の成立の日において、それぞれ同表の下(右)欄に掲げる国立大学法人等の職員となるものとする。

第五条 前条の規定により各国立大学法人等の職員となった者に対する国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第八十二条第二項の規定の適用については、各国立大学法人等の職員を同項に規定する特別職国家公務員等と、前条の規定により国家公務員としての身分を失ったことを任命権者の要請に応じ同項に規定する特別職国家公務員等となるため退職したこととみなす。

第六条  附則第四条の規定により附則別表第一の上(左)欄に掲げる機関(以下「旧機関」という。)の職員が同表の下(右)欄に掲げる国立大学法人等の職員となる場合には、その者に対しては、国家公務員退職手当法(昭和二十八年法律第百八十二号)に基づく退職手当は、支給しない。

2  各国立大学法人等は、前項の規定の適用を受けた当該国立大学法人等の職員の退職に際し、退職手当を支給しようとするときは、その者の国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員(同条第二項の規定により職員とみなされる者を含む。)としての引き続いた在職期間を当該国立大学法人等の職員としての在職期間とみなして取り扱うべきものとする。

3  国立大学法人等の成立の日の前日に旧機関の職員として在職する者が、附則第四条の規定により引き続いて当該国立大学法人等の職員となり、かつ、引き続き国立大学法人等の職員として在職した後引き続いて国家公務員退職手当法第二条第一項に規定する職員となった場合におけるその者の同法に基づいて支給する退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算については、その者の国立大学法人等の職員としての在職期間を同項に規定する職員としての引き続いた在職期間とみなす。ただし、その者が国立大学法人等を退職したことにより退職手当(これに相当する給付を含む。)の支給を受けているときは、この限りでない。

4  各国立大学法人等は、国立大学法人等の成立の日の前日に旧機関の職員として在職し、附則第四条の規定により引き続いて附則別表第一の下(右)欄に掲げる国立大学法人等の職員となった者のうち国立大学法人等の成立の日から雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)による失業等給付の受給資格を取得するまでの間に当該国立大学法人等を退職したものであって、その退職した日まで旧機関の職員として在職したものとしたならば国家公務員退職手当法第十条の規定による退職手当の支給を受けることができるものに対しては、同条の規定の例により算定した退職手当の額に相当する額を退職手当として支給するものとする。

第七条  附則第四条の規定により国立大学法人等の職員となった者であって、国立大学法人等の成立の日の前日において文部科学大臣又はその委任を受けた者から児童手当法(昭和四十六年法律第七十三号)第七条第一項(同法附則第六条第二項、第七条第四項又は第八条第四項において準用する場合を含む。以下この条において同じ。)の規定による認定を受けているものが、国立大学法人等の成立の日において児童手当又は同法附則第六条第一項、第七条第一項若しくは第八条第一項の給付(以下この条において「特例給付等」という。)の支給要件に該当するときは、その者に対する児童手当又は特例給付等の支給に関しては、国立大学法人等の成立の日において同法第七条第一項の規定による市町村長(特別区の区長を含む。)の認定があったものとみなす。この場合において、その認定があったものとみなされた児童手当又は特例給付等の支給は、同法第八条第二項(同法附則第六条第二項、第七条第四項又は第八条第四項において準用する場合を含む。)の規定にかかわらず、国立大学法人等の成立の日の前日の属する月の翌月から始める。

(各国立大学法人等の職員となる者の職員団体についての経過措置)

第八条  国立大学法人等の成立の際現に存する国家公務員法第百八条の二第一項に規定する職員団体であって、その構成員の過半数が附則第四条の規定により国立大学法人等に引き継がれる者であるものは、国立大学法人等の成立の際労働組合法(昭和二十四年法律第百七十四号)の適用を受ける労働組合となるものとする。この場合において、当該職員団体が法人であるときは、法人である労働組合となるものとする。

2  前項の規定により法人である労働組合となったものは、国立大学法人等の成立の日から起算して六十日を経過する日までに、労働組合法第二条及び第五条第二項の規定に適合する旨の労働委員会の証明を受け、かつ、その主たる事務所の所在地において登記しなければ、その日の経過により解散するものとする。

3  第一項の規定により労働組合となったものについては、国立大学法人等の成立の日から起算して六十日を経過する日までは、労働組合法第二条ただし書(第一号に係る部分に限る。)の規定は、適用しない。

(権利義務の承継等)

第九条 国立大学法人等の成立の際現に国が有する権利及び義務(整備法第二条の規定による廃止前の国立学校特別会計法(昭和三十九年法律第五十五号。以下この項及び次条において「旧特別会計法」という。)附則第二十一項の規定により旧特別会計法に基づく国立学校特別会計(附則第十一条第一項において「旧特別会計」という。)から産業投資特別会計社会資本整備勘定に繰り入れるものとされた繰入金に係る義務を含む。)のうち、各国立大学法人等が行う第二十二条第一項又は第二十九条第一項に規定する業務に関するものは、政令で定めるところにより、政令で定めるものを除き、当該国立大学法人等が承継する。

2  前項の規定により各国立大学法人等が国の有する権利及び義務を承継したときは、当該国立大学法人等に承継される権利に係る財産で政令で定めるものの価額の合計額から、承継される義務に係る負債で政令で定めるものの価額(国立大学法人にあっては、当該価額に附則第十二条第一項の規定により当該国立大学法人が独立行政法人国立大学財務・経営センター(以下「センター」という。)に対して負担する債務の額を加えた額)を差し引いた額に相当する金額は、政令で定めるところにより、政府から当該国立大学法人等に対し出資されたものとする。

3  前項に規定する財産のうち、土地については、国立大学法人等が当該土地の全部又は一部を譲渡したときは、当該譲渡により生じた収入の範囲内で文部科学大臣が定める基準により算定した額に相当する金額をセンターに納付すべき旨の条件を付して出資されたものとする。

4  文部科学大臣は、前項の規定により基準を定めようとするときは、、財務大臣に協議しなければならない。

5  第二項の財産の価額は、国立大学法人等の成立の日現在における時価を基準として評価委員が評価した価額とする。

6  前項の評価委員その他評価に関し必要な事項は、政令で定める。

第十条 国立大学法人等の成立の際、旧特別会計法第十七条の規定に基づき文部科学大臣から旧機関の長に交付され、その経理を委任された金額に残余があるときは、その残余に相当する額は、国立大学法人等の成立の日において各国立大学法人等に奨学を目的として寄附されたものとする。この場合において、当該寄附金の経理に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。

第十一条 整備法第二条の規定の施行前に日本電信電話株式会社の株式の売払収入の活用による社会資本の整備の促進に関する特別措置法(昭和六十二年法律第八十六号。附則第十四条第一項において「社会資本整備特別措置法」という。)第七条第六項の規定により産業投資特別会計社会資本整備勘定から旧特別会計に繰り入れられた金額(附則第九条第一項の規定により各国立大学法人等に承継されたものに限る。)は、附則第十四条第一項の規定により国から当該国立大学法人等に対し無利子で貸し付けられたものとみなして、同条第四項及び第五項の規定を適用する。

2  前項に定めるもののほか、同項の規定による貸付金の償還期間、償還方法、償還期限の繰上げその他償還に関し必要な事項は、政令で定める。

(センターの債務の負担等)

第十二条  文部科学大臣が定める国立大学法人は、センターに対し、独立行政法人国立大学財務・経営センター法(平成十五年法律第 号)附則第八条第一項第二号の規定によりセンターが承継した借入金債務のうち、当該国立大学法人の施設及び設備の整備に要した部分として文部科学大臣が定める債務に相当する額の債務を負担する。

2  文部科学大臣は、前項の規定により債務を定めようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。

3 第一項の規定により債務を負担することとされた国立大学法人は、文部科学大臣が定めるところにより、センターが承継した借入金債務を保証するものとする。

4 第一項の規定により負担する債務の償還、当該債務に係る利子の支払その他の同項の規定による債務の負担及び前項の規定により行う債務の保証に関し必要な事項は、政令で定める。

5  前項の債務の償還及び当該債務に係る利子の支払については、第三十三条第二項に規定する長期借入金又は債券の発行による収入をもって充ててはならない。

(国有財産の無償使用)

第十三条 国は、国立大学法人等の成立の際現に各旧機関に使用されている国有財産であって政令で定めるものを、政令で定めるところにより、各国立大学法人等の用に供するため、当該国立大学法人等に無償で使用させることができる。

2 国は、国立大学法人等の成立の際現に各旧機関の職員の住居の用に供されている国有財産であって政令で定めるものを、政令で定めるところにより、各国立大学法人等の用に供するため、当該国立大学法人等に無償で使用させることができる。

(国の無利子貸付け等)

第十四条 国は、当分の間、国立大学法人等に対し、その施設の整備で社会資本整備特別措置法第二条第一項第二号に該当するものに要する費用に充てる資金の全部又は一部を、予算の範囲内において、無利子で貸し付けることができる。この場合における第三十五条の規定の適用については、同条の表第四十五条第五項の項中「第三十三条第一項又は第二項」とあるのは「第三十三条第一項若しくは第二項又は附則第十四条第一項」とする。

2  前項の国の貸付金の償還期間は、五年(二年以内の据置期間を含む。)以内で政令で定める期間とする。

3  前項に定めるもののほか、第一項の規定による貸付金の償還方法、償還期限の繰上げその他償還に関し必要な事項は、政令で定める。

4  国は、第一項の規定により国立大学法人等に対し貸付けを行った場合には、当該貸付けの対象である施設の整備について、当該貸付金に相当する金額の補助を行うものとし、当該補助については、当該貸付金の償還時において、当該貸付金の償還金に相当する金額を交付することにより行うものとする。

5  国立大学法人等が、第一項の規定による貸付けを受けた無利子貸付金について、第二項及び第三項の規定に基づき定められる償還期限を繰り上げて償還を行った場合(政令で定める場合を除く。)における前項の規定の適用については、当該償還は、当該償還期限の到来時に行われたものとみなす。

(旧設置法に規定する大学等に関する経過措置)

第十五条  附則別表第一の上(左)欄に掲げる大学は、国立大学法人の成立の時において、それぞれ同表の下(右)欄に掲げる国立大学法人が第四条第二項の規定により設置する別表第一の第二欄に掲げる国立大学となるものとする。

2 旧設置法第九条に規定する国立久里浜養護学校は、国立大学法人筑波大学の成立の時において、国立大学法人筑波大学が第四条第二項の規定により設置する筑波大学に附属して設置される養護学校となるものとする。

第十六条 国立大学法人の成立の際現に附則別表第二の上(左)欄に掲げる国立短期大学に在学する学生が存する場合には、同表の中欄に掲げる国立大学法人は、当該学生が当該国立短期大学を卒業するため必要であった教育課程の履修を行うことができるようにするため、同表の下(右)欄に掲げる短期大学(以下「新国立短期大学」という。)を設置する。

2 新国立短期大学は、前項に規定する学生が当該新国立短期大学に在学しなくなる日において、廃止するものとする。

3 第一項の規定により新国立短期大学を設置する国立大学法人に対する第二十二条第一項第一号の規定の適用については、同号中「国立大学」とあるのは、「国立大学(附則別表第二の下(右)欄に掲げる新国立短期大学を含む。以下この条において同じ。)」とする。

4 附則別表第二の上(左)欄に掲げる国立短期大学は、国立大学法人の成立の時において、それぞれ同表の下(右)欄に掲げる新国立短期大学となるものとする。

第十七条 国立大学法人の成立の際現に国立学校設置法の一部を改正する法律(平成十四年法律第二十三号)附則第二項の規定により平成十四年九月三十日に当該大学に在学する者が在学しなくなる日までの間存続するものとされた図書館情報大学、山梨大学及び山梨医科大学並びに国立学校設置法の一部を改正する法律(平成十五年法律第 号)附則第二項の規定により平成十五年九月三十日に当該大学に在学する者が在学しなくなる日までの間存続するものとされた東京商船大学、東京水産大学、福井大学、福井医科大学、神戸商船大学、島根大学、島根医科大学、香川大学、香川医科大学、高知大学、高知医科大学、九州芸術工科大学、佐賀大学、佐賀医科大学、大分大学、大分医科大学、宮崎大学及び宮崎医科大学に在学する者は、当該大学を卒業するため又は当該大学の大学院の課程を修了するため必要であった教育課程の履修を、附則別表第三の上(左)欄に掲げる者ごとにそれぞれ同表の下(右)欄に掲げる国立大学において行うものとし、当該国立大学は、そのため必要な教育を行なうものとする。この場合における教育家庭の履修その他当該学生の教育に関し必要な事項は、当該国立大学の定めるところによる。

(不動産に関する登記)

第十八条 各国立大学法人等が附則第九条第一項の規定により不動産に関する権利を承継した場合において、その権利につきなすべき登記の手続については、政令で特例を設けることができる。

(国の利害に関係のある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律に関する経過措置)

第十九条 国立大学法人等の成立の際現に係属している国立大学法人等が行なう第二十二条第一項又は第二十九条第一項に規定する業務に関する訴訟事件又は非訟事件であって各国立大学法人等が受け継ぐものについては、政令で定めるところにより、当該国立大学法人等を国の利害に関係ある訴訟についての法務大臣の権限等に関する法律(昭和二十二年法律第百九十四号)に規定する国又は行政庁とみなし、同法の規定を適用する。

(最初の教育研究評議会の評議員)

第二十条 国立大学法人等の成立後の最初の第二十一条第一項及び第二十八条第一項に規定する教育研究評議会は、次ぎの各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める評議員で組織するものとする。

 一 国立大学法人の教育研究評議会 第二十一条第二項第一号及び第二号に掲げる者

 二 大学共同利用機関法人の教育研究評議会 第二十八条第二項第一号から第三号までに掲げる者

(名称の使用制限に関する経過措置)

第二十一条 この法律の施行の際現にその名称中に国立大学法人又は大学共同利用機関法という文字を用いている者については、第八条の規定は、この法律の施行後六月間は、適用しない。

(政令への委任)

第二十二条 附則第二条及び第四条から前条までに定めるもののほか、国立大学法人等の設立に伴い必要な経過措置その他この法律の施行に関し必要な経過措置は、政令で定める。

附則別表第一(附則第二条、附則第四条、附則第六条、附則第十五条関係)

附則別表第一(第二条、第四条、附則第三条、附則第十五条関係)

備考 

1 総合研究大学院大学、政策研究大学院大学、北陸先端科学技術大学院大学及び奈良先端科学技術大学院大学は、学校教育法六十八条に規定する大学とする。

2 総合研究大学院大学は、大学共同利用機関並びに独立行政法人宇宙航空研究開発機構及び独立行政法人メディア教育開発センターとの緊密な連係及び協力の下に教育研究を行なうものとする。

3 筑波技術短期大学及び高岡短期大学は、学校教育法第六十九条の二第二項に規定する短期大学とする。

4 この表の各項の第四欄に掲げる理事の員数が二人である当該各項の第1欄に掲げる国立大学法人が一人以上の非常勤の理事を置く場合における当該国立大学法人に対するこの表の適用については、それぞれ当該各項の第四欄中「二」とあるのは、「三」とする。

別表第二(第二条、第五条、第二十四条、附則第三条関係)


理由

大学改革の一環として、国立大学法人及び大学共同利用機関法人を設立するため、国立大学法人及び大学共同利用機関法人の組織及び運営に関し必要な事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。