From: 豊島 耕一
Date: 2005年8月23日 15:43:31:JST
To: k高等教育フォーラム k高等教育フォーラム <he-forum@ml.asahi-net.or.jp>
Subject: [he-forum 8959] 寮に住んだことを理由に停学2年半
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 佐賀大学の豊島です.

 東北大学の有朋寮の廃寮問題が大詰めを迎えています.大学側による寮の明け渡し裁判の判決が9月1日に出ます.寮委員会側は,廃寮決定の撤回と,明け渡し申し立ての取り下げを求める緊急アピールを発表し,幅広く賛同を求めています.また裁判当日の1日には集会が開かれる予定です.

 また,この寮に居住し,大学からの退去命令に従わなかったことを理由に,一学生が無期停学処分を受け,実に2年半経った今も続いています.

 関連して,大学によるでっち上げの疑いの濃い「傷害事件」もありますが,6月最高裁判決で一市民の有罪が確定してしまいました.(以前にも指摘しましたが,検事の論告を読むと逆に冤罪の疑いがより強まるというしろものです.)

 論告要旨
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/uforyo/ronkokuyoshi.html
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/UniversityIssues/uforyo/ronkokuyoshi.html

 廃寮問題は部外者には判断がつきにくいということもあるでしょうが,大学の言うことを聞かなかったというだけの理由で無期停学の処分が出され,それが2年半も続くという事態,でっち上げの疑いが極めて濃い「事件」で一市民が長期拘留され,最終的に有罪とされるという事態が国立大学で起きているわけです.後二者に対する,このメールリストも含め,大学関係者の無関心には大変憂慮を感じます.

 「傷害事件」については,1年以上前に,東北大学の組合の方に問題提起しましたが,独法化への対応その他の理由を挙げられ,本格的には取り組めないというような返事でした.あらためて,組合の方に限らず,東北大学の方には是非事情をお知らせいただきたいと思います.もちろん学生処分問題についてもです.

 山形大学の「泥ウソ国倍」,そして有朋寮問題など,学生が関係する事件に対して,組合や,左派・リベラルに属すると思われる教職員でさえ関心を持たないか,あるいは持たないふりをする最大の理由は,「セクト」の問題にあることは明らかでしょう.しかしだれもそれを公然と口にしたり,文字にしたりすることはありません.これは大変おかしなことです.うわさや陰口,あるいは思い込みが重要な要素を占めていることを意味するからです.「公然と議論できないものは正式の判断材料にしてはならない」ということに留意すべきです(もし例外があり得るとすれば人事案件の場合だけでしょう).さもなければ,公開された議論を重要な基盤とする民主主義それ自体を掘り崩すことになるのです.

 都立大問題についての雑誌「世界」5月号の初見論文に,同大での2001年の学生処分が,都立大が敗北して行くプロセスの端緒として位置づけられています.東北大学における有朋寮廃寮問題,学生処分問題,そして大学による傷害告訴事件の3つの問題もまた,国立大学が独法化に向かい,その後の大学自治に対する教職員のアパシーの進行と時期的に重なっています.これも単に偶然とは言えないでしょう.

 以下,少し日付が古いですが,続く便で処分を受けている学生の文書を投稿します.このメールと共に,大学問題のウェブサイトに転載されることを強く希望致します.

学生の文章にある「申入書」は有朋寮サイトにあります.

 被処分学生から東北大学理学部教授会への申入書(05年5月11日提出)
 http://uforyou.exblog.jp/i3

豊島耕一
http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/Default.html
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/index.html
http://blog.so-net.ne.jp/pegasus/
佐賀大学理工学部物理科学科
840-8507 佐賀市本庄町1
phone/fax: +81 952-28-8845