C.G. ウイーラマントリ著,「核兵器と科学者の責任」353〜345頁から転載


ニュールンベルグ原則

ニュールンペルグ原則は、国連第一回総会そのものにおいて満場一致で採択された。この諸原則は、一九五二年、国際法委員会によって改正された。次の文章は権威ある国際法委員会の原典によるものである。国際法委員会は国際法の専門家から成る国連の組織であって、その役割は政治的、イデオロギー的な紛議から遠ざかって国際法例の定式化やそれを発展させることを任務とし、技術的な間題に専念する。

*この原則と関連して一九七三年二一月三日の国違総会決議〔3074(XXV III)〕、「戦争犯罪と人道に対する犯罪につき罪責を負う者の探知、逮捕、犯人の引渡、処罰についての国際協力に関する諸原則」、「ジェノサイド条約」〔一九四八・一二・九(国連第三回総会)〕などを参照されたい。核兵器の使用が人道に対する罪を構成するものとする国連総会決議のうち主なものは、一九六一・一一・二四決議〔1653(X VI)〕、一九七八・一二・一四決議〔33/71B〕、一九七九・一二・一一決議〔34/83G〕、一九八〇・一二・一二決議〔35/52D〕、一九八一・一二・九決議〔36/92I〕、一九八二・一二・一三決議〔37/100C〕など。

第一原則

なに人といえども、国際法によって犯罪を構成する行為をおこなう者は、その行為に対する責めを負い、刑罰に処せられる。

第二原則

国内法が刑罰を課さない行為であっても、国際法により犯罪を構成する行為である場合、当該行為をおこなった者は、国際法上の責任を免れない。

第三原則

国家の元首または責任ある公務員にして、国際法により犯罪を構成する行為をおこなった者は、国際法上の責任を免れない。

第四原則

政府または上司の命令にしたがって行為した者は、道徳的選択が現実に可能であったとき、国際法上の責任を免れない。

第五原則

国際法上の犯罪で訴えられた者はなに人であれ、事実と法にもとづく公正な裁判をうける権利を有する。

第六原則

左に掲げる犯罪は、国際法による犯罪として罰することができる。

a 平和に対する罪

(i) 国際条約、協定または保証に違反する侵略戦争または戦争の計画、準備、開始、遂行

(ii) (i)に定めるいかなる行為といえども、これらの行為を遂行するための共同計画または共謀への参加

b 戦争犯罪

戦争法規または慣例の違反には、占領地域の内たると外たるとを問わず、強制労働またはその他いかなる目的であれ、一般住民の殺害、虐待または移送、捕虜または航海中の者の殺害もしくは虐待、人質の殺害、公的または私的財産の略奪、都市村落の理由なき破壊または軍事的必要性によって正当化されない惨害を含むが、これらに限るものではない。

c 人道に対する罪

政治的、人種的、宗教的な理由から、一般住民に対しておこなわれる殺害、絶滅、奴隷化、移送およびその他の迫害が、平和に対する罪または戦争犯罪の遂行中もしくはこれらと関連しておこなわれる場合

第七原則

第六原則に掲げた平和に対する罪、戦争犯罪または人道に対する罪の遂行にかかる共犯は、国際法による犯罪である。



関連ページ:英語版国際軍事裁判所規約