研究用バージ上で3時間にわたって,トライデント関連の研究およびソナー設備に,公称10万ポンドの損害を与えた,ロッホ・ゴイル活動家の共同声明(1999年6月8日)

プラウシェア2000の報道発表(英文)


アンジー・ゼルター,ウラ・ローダー,エレン・モクスレイの

共同声明

(pdf形式はここ)


オリジナルTP2000サイトDERAメイタイムの説明(DERAのサイト)関連資料支援する会(日本)

私たちアンジー・ゼルター(イングランド),ウラ・ローダー(デンマーク),エレン・モクスレイ(スコットランド)は,イギリスのトライデント核兵器システムの一部を非武器化し,それによって国内法と国際法の重大な違反の防止を試みるために,仲間を組みました.

私たちはみな,「トライデント・プラウシェア2000」(以下,「TP2000」と略)のメンバーで,核使用犯罪を防止する誓約,非暴力と安全の誓約に署名しています.

私たちはみな,この非武器化行動の計画に際してトライデント・プラウシェア2000ビデオを視聴し,「トライ・デンティング・イット ハンドブック」を読んでいます.これらの資料は,私たちが「TP2000」に関わることの背景,行動の動機,私たちの気持ち,そして行動の哲学的な下地を非常にはっきりと説明しています.

私たちは,非暴力と安全の基本原則を特に心に留め,すべての計画を立てるに当たって私たちの行動がいかなる生命にも危害を与えないことが確実であるように真剣に努力しました.私たちはまた,この行動がきちんと説明でき,隠しだてのないものであることが確かなように注意を払いました.「TP2000」は,ハンドブックやビデオ,誓約者全員の名簿を送るなどして,たくさんの機会をとらえて政府や軍,裁判所に働きかけて来ました.その中で,人道への犯罪と人道法の重大な違反の計画に責任のある人々が裁判にかけられるのか,それとも誓約者全員が裁判にかけられるのか,そのどちらでも歓迎すると伝えました.この,前もって用意した共同声明はそのプロセスの一部です.私たちはこの行動を隠したり,その結果から逃げたりはしません.この非武器化の行動のためにはどうしても必要な事前の秘密性は別として,私たちは非常にオープンで,なぜ,またどのようにしてそれを行ったかをいつでも説明します.この声明のコピーは付属資料とともに,私たちが非武器化を行う場所ごとに横断幕と一緒に残されるでしょう.もし私たちが首尾よく犯罪防止の課題を成し遂げた場合には,私たちはそれを説明するために最寄りの警察に行きます.これは,私たちが犯罪に関わったと思うからではなくて,私たちの非武器化と犯罪予防の行動は,見た目には単に器物損壊あるいは政治目的の破壊行為に過ぎないのではないかと誤解されるかも知れないので,私たちが何を何の目的で実行したのかを説明したいからです.

私たちはこの行動が特定の政治目的のためではないことをはっきりさせたいのです(もっとも私たちはこれが政治の次元の問題であることは理解しています).私たちの行動は第一義的に,イギリスのトライデント核兵器システムは無辜の市民の大量殺戮準備のシステムであり,しかもその殺戮は何世代にもわたるものであるという,法と倫理の前提に基づいた考えによるものです.私たちはトライデントシステムは倫理的に正当化できないだけでなく,国際法にも違反していると信じます.愛し,感情を持つ人間として,私たちは持てるあらゆる力を使ってトライデントシステムを作動できないようにすること,但しそのための行動が非暴力で安全で隠しだてなくかつきちんと説明できるものだという前提で,その努力をすることは私たちの義務だと感じています.

私たち3人は,この巨大な悪を正すために,社会に備わっている通常の多くの方法を試みることに何年もの年月を費やしてきました.この問題について自ら学びそして考え,またいろいろな見方について知り,そして核兵器は大量殺戮というテロリズムの兵器であり,倫理的にも法的にも使用が許されない兵器であることを知りました.そこで,私たちは反対デモをやり,文章を発表したり教材を作ったり,集会を開いたり,市民や軍関係者へのビラまきをしたり,請願書に署名したり,終夜の見張りをしたり,議会に働きかけたり選挙区の議員に話をしたりしました.議員が私たちの代表として行動してくれるようにする試みが失敗したとき,私たちは裁判所へ,警察へ,あるいは他の公共機関にも行き,イギリスが核兵器の使用を準備することは違法であるという私たちの主張を聴いてもらうために政府を法廷に引き出すのを助けてくれるように頼みました.国際的には,核兵器の違法性について勧告を出すよう国際司法裁判所に依頼し成功したNGOのキャンペーンも含めて,同様のイニシャティブを支えて来ました.この世界法廷の「勧告的意見」をイギリスの核兵器システムに適用すれば,イギリスの100キロトン核弾頭のただ1個の使用ですら違法なことは明らかです.私たちは,私たち自身と他の人々の生命,そして環境へのこの恐ろしい脅威を取り除くためにあらゆる手段を試みましたが,それは失敗に終わりました.それぞれの機関で私たちに応対した人は皆,一般的に核兵器は恐ろしいもので,もしそれがなくなればずっとよいし,安全になるということでは私たちと意見は一致したものの,その責任は別のところにあるとして,自分個人の責任を認めようとはしませんでした.私たちはそのような考えには同意できません.私たちのひとり一人が責任を負うべきであり,他のだれかにそれを転嫁することだけではすまないはずです.ですから私たちは自分たちで直接の非武器化の行動を実行するほかには選択肢を見つけることができないのです.私たちはそこで,めいめいがそれぞれの道筋を通って,トライデント原潜を基本とする核兵器システムの配備に不可欠な施設の非武器化を実施すべきだという結論に達したのです.

私たちの国々(デンマーク,イングランド,スコットランドはみなNATO加盟)がバルカンで戦争をしており,これまでの長い歴史の中でも核戦争の危険が恐らく高いであろう今こそ私たちはこれを実行するのです.セルビアに核を使うべきだとか,核を持っているのはこの時のためだ,というような恐ろしい事が言われています.これに対してはすでにロシアも核で応えると言っているのです.いかなる紛争であれ核兵器を使うことは間違いです.私たちは戦争が起きている今まさに,核兵器使用の可能性をなくすために,地球市民の義務としてこの非武器化の行動を実行するのです.

私たちは,ゴイル湖の浮体実験室を非武器化し,それによって大量破壊兵器トライデントの有効な配備を不可能にすることを試みます.私たちはつぎの事を実行します.

トライデント原潜は核ミサイルという恐ろしい荷物を隠して海洋で隠密行動するために,自分が出す「ノイズ」をチェックし,それを極力小さくしなければなりません.「ノイズ」は磁気,音響,熱,レーダー,そして映像のシグナルが含まれます.ゴイル湖のトライデントをサポートする実験施設は防衛評価研究機関(DERA)によって運営されており,トライデントのノイズの「指紋」についての研究,その試験,測定,そしてノイズ抑制のための決定的な役割を受け持っています.DERAはイギリス国防省の主たる技術アドバイス機関であり,ゴイル湖の施設で潜水艦の試験が定期的に行われており,トライデント原潜もしばしばそこに姿を見せています.

地磁気の微細な変化を衛星でとらえて,トライデントを追跡する技術の詳細を中国が手に入れたということが最近暴露されましたが,これはもはやトライデントが「見えない」ものではないことを意味します.このことは,磁気ノイズを隠すより優れた技術を開発するためにDERAの研究所の重要性が一層増したことを示します.中国のこの一件は,私たちの見るところでは,このDERA研究所がトライデントの脅威にとって決定的な役割を持っていること,その配備のためには不可欠の存在であることを証明しています.したがってこの施設に対するどのような非武器化の行動も核犯罪の防止にとって最高度に重要なのです.

私たちが非武器化しようとするゴイル湖の水上実験施設の中心部分は,浮体実験室「メイタイム」で,これは運転中の原潜や小型模型の出す音響ノイズのデータを収集するのに使われます.実寸の潜水艦のエコーの強さの測定は,「メイタイム」と可動浮体「NEWT」とが連携して行われます.この測定は,静止ノイズ試験域に固定した潜水艦の回りを「NEWT」が一周して行われます.潜水艦のソナーを作動させてのビームパターンの測定も行われます.大規模の音響アレイが設置されており,長基線による実験はこれらと「NEWT」とを組み合わせて実施されます.

私たちは次のような設備を非武器化します.

これらの技術的試験のために時間とエネルギーを費やした人の,また,私たちの行動が自分個人の仕事への攻撃だと受け取る人の気持ちを考えると,私たちは悲しくも,残念でもありますが,それでもあえてこの非武器化を実行します.この行動の必要性がなぜ正当化されるかと言えば,これらの試験装置は,イギリスが人類全部にかかわる恐ろしい大量破壊を引き起こす複雑な核兵器システムの,そのまさに一部に他ならないからです.DERAや国防省の技術者がいかに善意であろうとも,彼らの仕事は私たちの生命をそのような危険にさらしているという点で絶対に許しがたいことなのです.トライデントの核弾頭のどんな炸裂(事故であると防衛のためとを問わず)による放射性降下物の長期にわたる,国境を越えた,さらに未だ生まれていない世代にも及ぶ影響はあまりにも巨大なので,私たちの,熟慮の末の,冷静な,かつ道理あるこの非武器化の行動は,まさに責任ある補正(remedial)の行動です.DERAで働く技術者,科学者の方々は,トライデントに関係する仕事をやめ,地球社会全体の利益になるような平和的なプロジェクトのために,その研究や研究支援の仕事を転換して下さるようお願いします.

私たちの非武器化行動は愛と思いやりの精神で行うものです.私たちはこの行動が当局によって好意的に受け取られないだろうということはわかっていますが,これが核廃絶の一助となることを期待しているのです.(豊島訳,1999年6月16日,改訂2000年4月18日)


Trident Ploughshares 2000

Press Release 8th June 1999

PEACE ACTIVISTS DISARM UK TRIDENT TEST STATION
Vital "Silent Running" Equipment Put Out of Action by International Group

Today, Tuesday 8th June 1999, at 7.30.p.m. three Trident Ploughshares 2000 activists disarmed a vital part of Britain's Trident nuclear weapons system when they disabled "Maytime", a floating laboratory in Loch Goil, Scotland, which is used to check on the ability of individual submarines to avoid sonar detection.

Ellen Moxley (63), a peace campaigner from Dollar, Scotland, Ulla Roder (44) a shop assistant from Denmark and Angie Zelter (49), a potter and peace campaigner from Norfolk, England, made their way from the shore to the Maytime's anchorage by inflatable boat. Once aboard they cut their way into the lab with cold chisels and wrecking bars and disarmed the testing equipment with hammers, as well as throwing quantities of paperwork into the water. They draped banners over the lab, reading "Stop Nuclear Death Research" and "TP2000 opposes Research for Genocide."

The women are members of the "Pheasants' Union" group, part of the Trident Ploughshares 2000 campaign which aims to rid the UK of its illegal weapons of mass destruction by non-violent and accountable direct action.

In their collective statement the women said: "Our actions are based on the legal and ethical premise that the UK's Trident nuclear weapons system is a system preparing for the mass murder of innocent civilians over untold generations. As loving, feeling human beings we feel responsible for trying to do everything in our power to prevent the system from being able to operate, providing that our actions are safe, non-violent, open and accountable."

The Floating Laboratory Complex is run by the Defence Evaluation and Reseach Agency (DERA), a prime supplier of technical advice to the UK Ministry of Defence and submarine trials are conducted regularly at their facilities in Loch Goil.

TP 2000 Contacts: David Mackenzie on 01324 880744 or mob. 07775711054
Jane Tallents on 01346 679194
For more information on TP2000 see also Website:
http://www.gn.apc.org/tp2000
Stills available from Big Issue (0141 559 5555) or TP 2000 HI-8 footage available from TP 2000