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文部科学省からの法的根拠のない指令

佐賀大学の豊島です.2点について問題提起したいと思います.

1.文部科学省が国立大学に法に基づかない指令を出した問題

 国立大法人評価委が,大学が提出した中期目標案の修正を求めた問題が放置されているように思います(1).国会の付帯決議*だけでなく,法人法30条3項は,大学の案に文部科学省が「配慮」することを求めているのであって,逆に大学が案を作るときに文部科学省の意向に「配慮」しなければならないという定めはどこにもありません.つまり大学の案自体に文部科学省(評価委)が事前に介入する根拠はないのです.もしそんなことをやれば「配慮」しなければならないはずの「原案」を文部科学省がどうにでも操作出来るわけで,法人法と付帯決議のあからさまな否定です.それとも,こんなことを可能にするような,つまり法律や付帯決議に反する政令が作られてしまったのでしょうか?

 国立大学と文部科学省との関係は,教育機関と行政との関係ですから,憲法や教育基本法(特にその10条)に則って行われなければならず,特に行政から大学への作用には厳格な法的根拠が必要です.このことに大学人も,また評価委の野依氏もあまりにも無自覚であるように思われます.すでに先月「各大学に通知」されたと思われる,この法に基づかない文部科学省の指令を取り消させることが重要だと思います.

2.運営交付金定率削減を国大協は認めたのか?

 運営交付金の毎年定率の減額案について,「学長指名拒否も辞せず」と言っていた国大協は,振り上げた拳を一体どこに隠したのでしょうか.2%が1%になったことで容認したのでしょうか.これについての全大教の談話も,「粘り強い取り組みを進める」というような締めくくりかたで(2),これを撤回させることを目標にした具体的な行動提案はないようです.この問題は組合よりむしろ各大学の教授会や評議会が声を上げるべきではないでしょうか.

* 参議院の付帯決議5
 http://www003.upp.so-net.ne.jp/znet/znet/docs/03-7-8futaiketugi.htm

(1) 中期目標の修正を、国立大法人評価委が意見,日経新聞1月27日
 http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/20040100.htm#1/28_1

(2) 運営費交付金算定ルールの基本確定に際して(談話)(2/16)
 http://ha4.seikyou.ne.jp/home/kinkyo/index.htm#2/16_4