スコットランドCND,10月4日の記事(豊島訳,最終改訂10月8日)
30年以上も前,核兵器国は核不拡散条約(NPT)においてすべての核兵器を廃棄することを約束した.1996年には,国際司法裁判所(ICJ)がこの約束は法的拘束力を伴う義務であることを再確認した.2000年5月20日,イギリスも含めすべてのNPT加盟国はさらに,「核兵器を完全に廃棄する明確な約束」を実行する核軍縮のプログラムに同意した.
1996年7月の国際司法裁判所の意見は,他の兵器と同様核兵器も国際人道法の制約を受けることも確認した.これらは軍事目標と民間人を区別できない兵器の使用を禁止している.核実験のデータや他の事実に照らせば,ファスレーンから展開する英国のトライデント・システムも含めて,いかなる核兵器もこの制約に当てはまるということはほとんど想像できない.イギリス政府はトライデントが合法的に威嚇や使用が可能であるといういかなる合理的な説明もしなかった.
1999年10月グリーノック治安判事裁判所において,アンジー・ゼルター,ウラ・ローダー,エレン・モクスレイは器物損壊で訴追されていた.1999年6月8日に彼女らはゴイル湖に係留されていた浮体実験室メイタイムに乗り込み,数十万ポンドに相当する装置を湖に投げ込んだ.実験室は,トライデント原潜が作戦中に海中で決して見つからないための研究をし,性能をテストし維持するためになくてはならないものである.裁判の当初から3人の女性たちは意図的に装置を破壊したことを公然と認めていた.弁護の論旨は,彼女らは大量破壊兵器である違法な兵器を非武器化することで,犯罪を防止したのである,ということにあった.これに反駁する証人を検察側は用意しなかった.3人を無罪とするに際し,ギンブレット判事はトライデント・プラウシェアズの考えを筋の通ったもので法廷での議論に耐えるものと認めた.彼女はまた,3人は,より大きな犯罪つまり国際人道法に反する共同謀議の継続という犯罪を防止するための行動であるという誠実な信念に基づいているので,彼女らの行動に犯罪の意図はなかったと認定した.
スコットランド法務総裁はエジンバラの高裁に対して,グリーノック判決の法律点の明確化を求めた.高裁が行う決定は3人への無罪判決には何ら影響しないが,将来の裁判のための正式な指針を定めるものである.4つの質問は,スコットランド法に関するもの,そしてそれと特定の核兵器システムとしてのトライデントに関するものであるが,しかし原理的なことがらはいかなる文明国に対しても当てはまる.国際司法裁判所の勧告的意見によって明確にされたことであるが,国際人道法を核兵器に対して適用するということが史上初めて核兵器国において検討されようとしているのである.したがってこの審理の持つ潜在的な,グローバルな意味は計り知れない.
どなたも10月13日金曜日午後7時30分にエジンバラ市ハイストリートの市庁舎でのプロヴォスト卿と市議会によるレセプションに参加できます.そこで法律家や政治家,学者たちが高裁での1週間の議事についての論評を行うでしょう.あなたがこれに参加されるかどうか,アラン・ウィルキーまでご一報いただければ大変ありがたく存じます.電話は0131 449 3695,電子メールはwilkie@callnetuk.comです.