緊急アピール

国大協による国立大学の自己破壊を止めるのは国民の権利である

国立大学独法化阻止全国ネットワーク(代表 山住正己)
事務局長 豊島耕一(佐賀大学,toyo@cc.saga-u.ac.jp)

国立大学の「独立行政法人化」(独法化)をめぐって,国大協は6月12日から開かれる総会で重大な決定をしようとしています.みずから「反対」と言い続けてきた独法化を「国立大学法人」と名前を変えるだけで,みずから進んで提案しようとしているのです.反対を取り下げもせず,名称とわずかな内容の違いだけで「独法化ではない」と言い張り続けるとすれば,国大協はこれから曲学阿世の徒と呼ばれることになるでしょう.

独法化が「独立」とは正反対の,国立大学を行政当局に直接従属させるものであることは,すでに多くの人によって言い尽くされています.表現の仕方は異なれ,このことは国大協によってさえも指摘されてきました.大学がみずからの方針を決めるのに,いちいち官庁の「認可」を受けなければならないなどということが,一体これまでどれかの法律の片隅にでも書かれたためしがあったでしょうか.

この問題は,単に国立大学や大学一般の問題であるに止まらず,国民全体に関わるものであり,さらには我が国の大学の国際的な地位を左右しかねない重大問題です.

このような事態に直面して,直接の当事者である国立大学教職員には重大な責任が課せられています.国大協総会で「決着」が図られれば,マスコミは「事実上決定した」としてこれを報道することでしょう.これは今後の最重要の手続きであるはずの国会審議まで形だけのものにしかねない影響力を持っています.したがってこれを何としても阻止するという責任があるのです.傍観は「不作為の責任」を問われることになるでしょう.

憲法が認める「学問の自由」と「大学の自治」,そして教育基本法が規定する「教育への不当な支配の排除」は,我が国の教育制度に於ける基本的な価値です.このことを未だ忘れていない市民,諸団体,労働組合,メディアの皆さんに訴えます.今回の国大協の行動は「大学の自治」の範囲のものなどでは決してありません.それどころか自治を破壊するものであり,みずからの「矩」を越えた暴挙です.これを止めることは国民の当然の権利であり,十分事態を知り尽くしている人にとってはもはや義務でさえあります.

どうか市民のみなさん,諸団体の責任者のみなさん,社会的な地位にある方々,そしてメディアに携わる方々に訴えます.この事態を「国立大学の内部問題」という誤った捉え方をされることなく,是非とも国大協や大学に対して個人名でも積極的に発言をしていただくようお願いします.「独法化阻止ネット」も国大協の暴走を止めるために全力を尽くします.

2001年6月6日


要請先

国立大学協会(国大協)
113-0033 東京都文京区本郷7丁目3-1
電話 03-5841-7950,7951,3813-0647,3811-4760
FAX 03-3818-8656,メール janu@iris.dti.ne.jp

国大協会長 京都大学総長 長尾 真氏
606-8501 京都市左京区吉田本町 京都大学 電話 075-753-7531

国立大学住所録

官邸意見箱
http://www.iijnet.or.jp/cao/kantei/jp/comment.html

文部科学省 メール voice@mext.go.jp


基本資料,関連資料は次をご覧下さい.

国立大学協会,「国立大学法人化についての基本的な考え方」および「国立大学法人化の1つのありうる枠組」,平成13年5月21日
 http://www.geocities.co.jp/CollegeLife-Cafe/3141/dgh/01/521-kdk-shiryou.html

独立行政法人通則法
 http://www.kantei.go.jp/jp/cyuo-syocho/990427honbu/houjin1-h.html

上記国大協5月21日文書の私共「独法化阻止 ネット」による批判「5・21国大協文書はみずから『独法化』への道を選ぶものである」
 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/kokudaikyo521.html

「独法化阻止 ネット」呼びかけ文
 http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/plea-znet.html