2001年8月1日
本会の趣旨
現在、都立大学および東京都において都立大学改革の計画がたてられています。しかしこの改革は、以下に述べる通り大学を本当により良くするという観点に立っているとは思えません。
本会は、この都立大学改革に対して、その進め方・内容に関する問題点を指摘し、改革の現状を教職員・学生・ОB・都民など学内外の様々な人々に知らせることを目的とし、その意見を反映させて改革を進めていくことを求めていきます。そして、都立大学を都民に貢献できる大学、世界に誇ることのできる大学にしていくために、具体的目標を掲げて活動していきます。
改革の現状と問題点
今回の都立大学改革は東京都による財政負担を軽減し、大学の効率化、スリム化を行い、大学を経済上採算性のあるものとすることが基本方針としてあげられています。
その方針は、東京都が作成した都立大学改革に関する文書において、
・東京都独自の大学の独立行政法人化
・短期大学・夜間部廃止、それに伴う相当分の教員定数の削減
・学生定数のできる限りの上乗せ
・負担の適正化の観点からの授業料の見直し
・不採算研究部門の切り捨てと企業ニーズに対応する実学研究重点化
などの具体的な指針に示されています。
しかし、大学はそもそも営利団体ではなく、大学それ自体の存在意義は、経済上の採算性といった単純な基準で計ることはできません。現在の都立大学は財政の多くを税金に支えられていることを真摯に受け止めなくてはならないことは言うまでもありません。しかし真摯に受け止めるということは、現在大学当局が行おうとしているように、予算の削減を含めた東京都からの提案をそのまま受け容れることなのでしょうか。
このような改革がこのまま進んでしまえば、10年後、50年後の都立大学を考えたときに東京の学問の府としての役割を果たせなくなるという可能性があります。そのようなことになれば、大学を支えてくださっている都民のみなさんへの背信行為となると私たちは考えています。
私たちは、東京都の総合大学の責務を
・より高水準の教育の場をより広く提供し、社会に優れた人材を輩出すること
・生涯教育の実現、学び直しなど都民の教育ニーズに的確に応えること
・首都の学問の府として様々な研究の成果を都民・国民に還元すること
だと考えます。この責務を果たすために、都立大学は昼夜開講制度や昼夜同等教育制度を導入し、少人数教育を創立以来高く掲げてきたのです。
私たちはこの改革で、特に問題だと考える項目を5つにしぼり、一体何が問題で、その解決を図るためにはどうすればよいか提案したいと思います。
私たちは提案します
(1) B類制度存続
社会的需要が少なくなってきたと言われ、B類(夜間部)廃止が前提とされた改革がすすめられようとしていますが、自分で学費を払っている学生や低学費で学べる大学を選択する学生が現在も多くいます。夜間学べることで、社会人やもう一度学びたい人も学ぶことができます。
都立大学のB類は、夜間部も昼間部と同等の教育を得ることができる「昼夜同等教育」を行っています。これは、憲法や教育基本法にある「教育権」「生涯教育権」の理念を実現している、日本全国でも大変貴重かつ優れた制度です。
私たちはこのような優れた制度を残すべきだと考えます。
(2) 独立行政法人化反対
東京都の大学改革案では都立大学の法人化があげられていますが、これは東京都など大学外部の意向に沿った分野が予算的に優先されるものです。このことにより儲かる分野や最先端の分野のみが優遇され、結果が見えにくい分野・すぐに応用するのが困難な分野など、都立大が重要視してきた基礎的な研究に多大な悪影響がでることが予想されます。
また、赤字が出れば大学が全て補填しなければならなくなるため、都立大学で行われてきた少人数教育などが不可能になり、教育水準が低下しかねません。学生にとっては学費が値上げされるおそれがあることも大きな問題です。
大学で行われる研究はすぐに成果が得られ、応用できるものばかりではありません。採算性を重視する設置形態の変更は大学の性質になじまないはずです。
以上のことから独立行政法人化には反対します。
(3) 教育・研究環境の維持、発展
現在都立大学で行われている少人数教育や多様な履修形態は学生のより深く広く学びたいという願いに応える制度です。このような優れた教育・研究の制度により、都立大学はこれまで人材を社会に送り、様々な研究成果をあげてきました。しかし現在進められようとしている「儲かる」大学を目指す改革では、これまで都立大学が大切にしてきた基礎研究・教育が顧みられなくなります。
大学改革は、東京都の学問をになう都立大学の教育・研究環境を更に発展させるものでなければなりません。
(4) 都立大学構成員の意見を反映した大学改革を
大学のあり方を見直し、より良いものにしていく「大学改革」のためには、学生、教員、職員など大学の構成員全員が現在の大学内の問題を考え、大学としての改革案をつくり、改革を進めていかなければならないはずです。ところがこれまで都立大学では、学生に対しては改革に関する情報公開がほとんど行われず、学生が議論しようにも前提知識のない状態でした。また教授間でも意見が紛糾し、「都立大学改革案」が本当に都立大学を代表した意見であるとはとても言えない状況です。
今後具体的部分を決定していくにあたり、学内の合意形成を民主的、実質的なものにしていくために、まずは情報を公開し、そして学生・教職員による定期的な協議会・懇談会を設置したいと考えています。
(5) 都民の意見を反映した大学改革を
「都民に開かれた大学改革を」というスローガンのもと進められようとしている大学改革ですが、果たして都民のみなさんはどれだけこの「都立大学改革」について知らされ、意見を言う機会を保証されているでしょうか。一部の意見で進み、情報も公開されないこの改革で本当に「都民に開かれた大学」がつくれるのでしょうか。
真に都民のための大学をつくるために、都民の意見を反映させるためにも、大学改革に関する情報を広く公開するべきです。
今後この会では、これらの意見を都議会に訴え、現在の大学改革の状況を多くの人に知らせる情報公開や広報活動に取り組みます。また、B類制度を存続させるための署名を集めます。
多くの人の力が必要です。ぜひこの会に参加して下さい。このアピールの賛同人も募っています。また、この「会」や大学改革について身近な人に広げて下さい。
都立大を守ろう! より良い大学改革を求める学生ネットワーク
(連絡先)東京都立大学 A類学生自治会
TEL 0426_77_1111(内線2327)
E-Mail aji2327@mac.com
HP http://homepage.mac.com/aji2327/
東京都立大学 夜間受講生(B類)自治会
TEL 0426_77_1111(内線2326)
E-Mail bji@mac.com
HP http://homepage.mac.com/bji/