集会後半テープ起こし

司会:まず討論、意見発表の前に私の方から自己紹介をさせていただきます。私は宮崎大学から来ました独法化阻止全国ネットワークの世話人の1人であります、橋本修輔と申します。どうぞよろしくお願いいたします。今から後半の部なんですけれども、後半を一応3時30分まで、90分、1時間半予定されています。それでまず、その中身を大きく3つに分けまして、別に30分ずつというわけではないんですけども、3つのことを考えてみようと、1つはまず前半個人意見を出し切れなかったと思いますので、それぞれの立場から自分はこういう意見を持ってるぞということを表明していただきたい。それから、続いて今日のテーマが国立大学の独立行政法人化は真に大学独立性を高めるか、私たちは高めないという立場なんですけども、やはりあえて、いややっぱり高めるはずだ、そういうふうに思われている方もおられていいと思うんですね、そういう、極端な言い方をすれば国立大学の独法化賛成論者がこの場におられても、私はいいと思います。その人たちと、討論することによって内容を深めることによって、そういうことか、ということで最終的にある意味でそれが自分の頭の中に独法化反対運動を進めて行こうという気持ちが、それぞれの場合で、もともと反対運動をやっている人もさらに高まるし、賛成と思った人も、これは自分の独りよがりだったのか、考え違いだったのか、そういうことまでも分かるようなのが、なんか結論めいているかもしれませんけども、討論集会の意義だと思うんですね。そういう意味でこの1時間半を有意義に過ごしたいと思います。ご協力をお願いいたします。

最初に簡単に事務局長のほうから連絡がありますのでお聞きください。

事務局長: お願いを申しあげたいんですけども、非常に90分と言いながら短い、1人あたりにしたら全員しゃべって1分とか、そんな時間になってしまいますので、言い尽くせるものではありません。ですから、ぜひとも自分の言いたいことを後で電子メールで届けて頂きたい。発言される方も、わずか5分とかそんな時間で発言しきれるものではありませんので、電子メールなどで届けていただきたい。この報告集を作りたいと思いますので2週間以内にみなさんよろしくお願いしたいと思います。

司会:それでは、よろしくお願いいたします。では最初に言いましたように前半に引き続いてこの際この場でこの独法化問題に対する自分の考え、こう思ってるよというのをざっくばらんに意見を出していただければと思います。恐れ入りますけれども発言される方は、わざわざにはなりますが前に出てきていただいて、左右のマイクをお使い下さい。

愛知教育大学で教員をやっておりますFと申します。皆さん今日はご苦労様です。学問の自由という立場からまず1つ言いますと、すでに以前、文部省の時代からいろんな形で学問の自由に干渉してくるということがあるんです。例えば、うちの大学というのは昨年まではずっと入学式卒業式で日の丸は一切揚げてこなかったんです。ところがあなたの大学は、教員を養成する大学でしょう。学習指導要領の中には日の丸を掲揚するように指導するようになっているはずだ。その大学で卒業式入学式に日の丸を掲揚しないのはどういうことだ。という形で干渉してきているんです。これが文科省が中期目標を立ててくると、あからさまに日の丸を揚げるような教員を育てなさいというようなことが起こってくる危険性が大いにあるんです。先ほど学生さんが言っていましたけれども、まさに教育も含めて総力戦体制に国は入ろうとしているんだと思うんです。そういう意味でいくと、すでに先取りされているし、もしも今度の国立大学法人になるとますます学問の自由に干渉してくるようになるというのははっきりしているというふうに思うわけです。

 それからもう1つは、国民の教育権ということを考えると、こういうことが考えられるんじゃないか。つまり、トップ30に入った大学はお金がどんどん入ってくる。あるうちの地方の大きな大学の学長さんは、研究費バブルが起こるというふうにおっしゃっていたそうですけども、そういう形でお金があるところでいくと施設とかスタッフとかが充実している。予算がしっかりあるわけだから、極端にいうと学生の学費も安くてすむわけです。設備も良くてスタッフもしっかりしていて、学費も安いと。他方でうちなんか教育大学なんて設ける口は全くありませんから、予算は少ない。マスプロ授業になって設備は悪い上に、学生の学費は高くなってしまうという形で、非常に学生の間に不平等な状況が起こってくると思うんです。そういうことを考えないといけない。そういう点で愛知では名古屋大学と名古屋工業大学とうちの大学で高教組とかそういう高校の先生、それからその父母あるいは中学生の父母に対して独法化されたらどういうことになるのかということを知らせていこうと。それで圧倒的多くの県民から署名を取ろうという形で運動をしようということをやっているんです。やっぱり、国民、大学の学生と院生と教官、もち論一致団結しないといけないんですけど、そこだけでやってもやっぱり今押し返せないと思うんです。そういう意味でいくと、もっと広く国民を味方につけるいろんなあの手この手を考えてやっていかないとだめなんじゃないかというふうに今思っています。以上、学問の自由と国民の教育権という観点から発言させてもらいました。(拍手)

司会:どうもありがとうございました。まだたくさんの方から発言していただけるかと思います。

皆さんこんにちは。僕は富山大学の方から来ました学生です。富山大学といいますと、全国的に有名になってしまったんですけども、入試ミス問題がありまして、しかもそれを隠蔽していたということが発覚して、この間、富山大学の学生は入試ミス隠蔽問題に関して、やっぱりこの問題は何なのかということを考えて、こういった問題を本当に2度と起こさないように取り組んできたわけですが、やっぱり独立行政法人化で言われているような、大学がひたすら業績を競うと、国や企業に対して学問というものをどれだけ国や企業に対して役に立つものにしていくのかということを追求していく。そして、そういった大学に国家が介入して、予算配分で縛り付ける。そういったことをもってやっていくというあり方。富山大学は独立行政法人化に反対しないということを表明してきたわけですけども、そういったいわば大学の腐敗の構造といいますか、そういった中で今回の入試ミス隠蔽の問題というのが起こったんじゃないかというふうに学生は考えています。

 今、独立行政法人化の問題ですけども、その独立行政法人化どころじゃなくて、6月に出された遠山プランとか9月つい最近出された、先ほども出ましたけれど、中間報告で言われているように本当にトップ30大学に重点的に予算を配分するというふうに言われています。これは独立行政法人化のレベルを遥かに超えるようなことだと思います。それは、小泉首相がいま構造改革と言っていますけれど、国が危ない国家が危機だということをさかんに言っています。大学がそれに対して、どういうふうに国家に対して役に立つのかと言う観点で遠山プランとか中間報告というのは出されているというふうに思います。トップ30大学というのは、本当に新たな帝国大学としての位置づけがあるんじゃないかというふうに僕なんかは考えています。その中で学生自治つぶしとか、大学自治をつぶしていくということがすでに起こっていますし、それはいま山形大学とか東京大学の駒場寮の廃寮とか、そういった学生自治をつぶしていくという攻撃の中でやっぱり本格的に激化しているというふうに考えています。9月11日にアメリカで同時多発テロということが起きましたけれど、今日、米軍に対する支援法案を閣議決定したということがありますけども、日本もそういう意味では先ほど東北大の学生が言っていたように、本当に戦争に向けた動きに、日本も完全に入っているというふうに思います。

(テープの切れ目)

人たちだけで、処分を決定したり、調査をする。情報をまったく下ろさないというふうにして、なしくずし的に解決をして、それで統合再編を行うということを学長がいま言っています。完全にこれは、トップ30大学に入るために、富山大学がとことん国家に尽くす、そういう大学になるんだということだと思います。すでに露骨にそういうふうに言っている教官もいます。「もっと富大の学生、勉強してトップ30に入れるようにしてくれ」というふうに露骨に言った教官もいました。本当に、今の日本が戦争に向かっているということの問題と一体の問題として考えたときに、学生の立場としては本当にかつての学徒動員というふうなことが行われるし、戦争のための学問というふうに変えられていく、そういう問題として独立行政法人化があると思います。

 ちょっと話が長くなりましたけれども、私たち富山大の学生はこの入試ミス隠蔽問題ということで突き出された大学の腐敗の問題、そして独立行政法人化という形でなされている新たな帝国大学造りいうふうなこういった動きに対して、全国の仲間の皆さんと一緒に最終報告を出させない、粉砕するというふうに全力でがんばっていきたいと思いますので、皆さんも一緒にがんばっていきましょう。(拍手)

司会:ありがとうございました。

私は、東京大学の「国立大学独立行政法人化に反対するぞうの会」の学生です。ご存知のように東京大学教養学部では、22日に強制執行というでたらめな形で、駒場寮の廃寮が強行されました。当日は数百人のガードマンと機動隊を大量に配置させて、学生、寮生を暴力的にたたき出したのです.学生は200名以上も集まって、これを断固阻止するということで奮闘したんですけれども、東大当局はあくまでも学生を暴力的に排除して、駒場寮の廃寮を強行していったのです.こういう非常に痛苦な事態がありまして、私たちもこれに対して全力で反対してきたわけですけども、同時に駒場寮廃寮の問題というのは、今の国立大学の独立行政法人化に見られるような大学再編の動きのなかで捉え返していくならば、廃寮攻撃というのが単に学生の自治寮をつぶすというだけにとどまらず、大学全体を極めて反動的な形で再編していく攻撃の一環であります.この間でいえば、そういった駒場寮廃寮あるいは学生自治活動に対する規制、統制が強化されていますが、それは独立行政法人化を行っていく際に、そういうものが大学再編に対する桎梏というふうに東大当局あるいは政府、文部科学省がみなしている、そういう学生自治や寮自治というのを目の敵にして、弾圧を強化してきているという事態だと思います。私たちは、そうした独法化に反対するたたかいを今こそ強く推し進めなければいけない。とりわけ国大教などが、ある程度自主性や独立性が保証されればいいのではないか、というかたちで安易に文部省に屈服して国立大学の法人化を容認してしまうと、こういう枠中ではたして実際には「独立性」や「自主性」なるものが保証されるのか、そういった対応の問題についても討論を巻き起こしていく必要があるんじゃないかと思います。とりわけ独法化の中で予算のカットであるとか、あるいは学費の大幅値上げといった形で一切の犠牲を学生や教職員に転嫁していく、そういうものとしてやられようとしていると思いますけれど、そうした中で大学当局が例えば仮に人事権であるとかあるいは学内の予算配分などに関して自主性を得ることができるんだと仮に言ったとしても、それは今の大学再編の攻撃が新たな自由主義的なイデオロギーに基づいて、とりわけ教育研究内容を極めて反動的な形で国家の政策にあるいは産業界の要請に見合った形で再編していこうという大枠の方向を定めた上での「自主性」なるものでしかない,ということを今一度考えていく必要があるように思います。

 最後に、反対のたたかいはこれから大きくしていく必要があると思いますけれども、反対運動の中でも、かなり独法化に向けた動きが進んでしまっているということで、例えば全大教の方々などは、法人化に向けた対案というものを出していると思います。そういった対応の問題については今後の討論の中で、どういった内容の対案を出されているのかということもできれば具体的に出してもらいながら議論を深めていければと思います。(拍手)

司会:ありがとうございました。

蔵原:どうも、こんにちは。私は、私立大学の教員の立場から発言させていただきたいと思います。所属は工学院大学におりまして、蔵原と申します。東京私大教連という組合で作っております東京高等教育研究所の事務局長をしております。今日の発言は個人的な立場で申し上げたいんですけども、3点ほど申し上げたいと思います。

 1つは私立大学も含めて、公立も含めて全体の力をどう作るかというところをぜひ考えていただきたいというのがまず1つです。というのは、私の見るところでいえば独法化というのは直接には国立大学に対する攻撃ですけども、日本の大学教育全体に対する攻撃だと思うんです。それは、今も政府等の大学政策が21世紀に入ると同時に大きく変わってきていると思うんです。今までもそういう兆候はありましたけれども、どういう意味で変わっているかといいますと、日本の国際経済競争のために大学を総動員するシステムなんですね。先ほどから戦争のことの危惧がいろいろ学生さんから言われてまして、確かに大事な観点だと思います。もっといま直接に考えているのは経済競争に対して、大学の持っている資産をいかに活用するか、搾り出すかです。私立大学の方は、私は私立大学の教員として残念ながら、すでにそれはもうかなり全面的に協力してきているわけです。大学審の審議会の会長が何代かにわたって私立大学から出ているとか、そういうことはその典型だと思います。なぜ国立に集中するかというと、それは大学自治の強固な伝統に対して、それをいかに崩すかという話しですね。それを崩したらもう一回私立を再編成する。公立ももちろんそうですけども、そういう流れになっていく、その1つのステップに過ぎないというと語弊があるかもしれませんけども、そういうものだということを考えておかなければいけない。ですから、いま大学の教員の評価、研究評価、そういうことをしきりに言います。学生さんたちにも、長い時間のアルバイト長距離通学ということを棚に上げておいて、そうさせているのを棚に上げておいて、勉強していない、厳密なる成績評価と言っていることは、結局、将を射んとすればまさに馬を射よですよ。学生をたたくことによって、そういう学生を誰が指導している、教員なんですよね。教員は楽だ、給料が高い、そういう世間のイメージがありますよね。そういうことに乗じて次は全面的な大学教員に対する攻撃が出てくるだろうと思うんです。独法化すればそれは、明らかです。私立はかなりいろんなとこでやっていますけれども、ですから大きな意味での日本の大学教育というものがどうなろうとしているのか、さきほど豊島先生の方からも、ユネスコの宣言等がお話しがありましたけれど、世界は市民を作るために高等教育を広げると言っているんです。企業の営利活動ではできないことがいくらでもある。今まで人類が直面しなかった課題がたくさんある、環境問題もそうです。平和の問題もそうです。そういうものは競争的原理の中で資金を出してくれるところはない。それはすでにどなたかご指摘がありましたけれども、そういうことの解決のために、今世界はどの国でも進学率を高める努力をしている。日本は押さえる努力をしています。2009年で100%入れるといっていますけれども、まったくのごまかしがある。それは何かというと、進学率は70%で頭打ちということが大学審の答申に書かれているのに、ほとんどそのことにはふれられずに、いろんなところで引用されています。運動の中でも残念ながら引用する人がいます。とんでもないことです。進学率70%で、いま世界の問題が解決できるかどうか。そこをぜひ考えて下さい。つまり、大学教育を受けることは少しでも力を増やすことですよね。増やしたことを世界のために国民のために活かす人材を育てていく。ですから、ユネスコの立場も民主主義社会の強力な担い手を育てるのが高等教育だと言っているんですよ。そこのところを日本の文部省は、あえて公開しないでやってきてますね。高等教育宣言、あるいは教職員の地位に関する宣言、そういうものを翻訳刊行する努力をまったく怠っています。私どもの研究所と日本科学者会議と、さっきちょっとご紹介がありましたけれど、そういう宣言の翻訳、普及を全国にやっておりますけども、大学がそういう方向でなくて動員されようとしているというのが1つのことです。

 ふたつめは、法人化の問題ですけども、実は法人化という言葉のマジックということをもっとはっきりさせる必要があると思うんです。あたかも、主体性が増やされるようなイメージですね。でも、いま出ている独法化というのは、簡単に言えば国の業務委託会社にするということです。会社だって法人格を持っていますよ。下請け会社は、しかし元受けのほうに文句を言えないですよね。人格があったって文句は言えないわけです。だから、われわれは大学をどういう大学にするかという話しです。もっと大事なことは、いま日本の高等教育、高等教育に限りませんけれど、学校は設置者と設置される学校の区別を明確に法制的に定めている。つまり、設置者のほうは文部省設置法とか地方自治法とか私立学校法とかで定めている。学校のほうは学校教育法一本なんです。国立も私立も区別がありません。それはどういうことかというと、設置者はお金の心配をする。設置された学校は教育と研究のことに専念する。両者の矛盾があったら、そこで話し合うということです。ところが今回の独法化は、その区別をなくして、設置者=設置される学校ようにしていく。戦前は、日本はそういう制度でしたけども、戦後の改革の中で、それをやめたんですよ。やめたのを戦前に戻すというのが、今の国立大学の独法化の問題で、これは申し訳ありませんけれど、国立の方々はほとんど指摘されていません。私立大学は設置者と大学が一体だろうと言いますけれど、そんなことはありません。そういうところもありますけれどもね。そういうふうにやっているところもありますけれど、制度的には違います。ここのところを意味をよく理解しないと、戦後の教育改革をすべて後戻りすることになるというふうに思います。この結果はどうなるかといいますと、もうすでに私立の大学団体は動いています。国立が独法化になれば私立の学校法人の見直しをしなければいかん。私立学校会計の見直しをしなきゃいけない。つまり、そういうものが全部変えられるということです。今の私立もかなり悪いところがありますけれども、そうなるんだったら、僕なんかは、ちょっと冗談言っちゃあいけない場かもしれませんけども、国立の方々私立になったらどうですかと呼びかけたいぐらいなんですけども、それはともかくも、そういうことです。

 もう1つ最後の点、3つめのことですけども、国民に対してといま学生さんの方からお話がありましたけれども、その点をどういうふうに汲み上げていったら、国民に対して支持を得られるような訴えになるかということを考えてほしい。というのは、その前に、私立大学の教職員にどれだけの呼びかけがあったか、参加して下さいという話はもちろん聞いておりますけれども、僕はまだ国立の方々のメッセージはまだ弱いんじゃないかと。なぜかといえば、国立が残ればいいと言っているように聞こえるような話しになっている。そうでない表現をもっと積極的にしてほしいと思います。というのは、先ほども言いましたように、高等教育機関というのは、日本の国民の財産ですよね。国立大学が果たしている役割と同じように、私立大学もいろんなところで役割を果たしている。地域で国立大学がなくなったら困るという話がありましたけれども、国立大学の穴を埋めているのが私立です。地方の特に短大が、さまざまな特に小さい短大はいま経営が大変苦しくなっています。でも、地元の自治体から見れば、大変有力なサポーターなんです。いろんなことを頼みにきます。ですから、国立大学、私立がやっているということではなくて、両方が今やっているという事実を見てください。そして、学生数で言えば7割が私立大学です。学校数だともっと多くなりますけども、つまりその学費はもっと高いんです。簡単に言うと国立の人は学費が安くていいなという話が出ます。それから、国立の教員は学生数が少なくていいなという話が出ます。給料は私立のほうが高いかもしれません。高いところもありますけども。そうやっていると私立と国立がなかなか団結できないということになります。ですから、ここのところを見てほしい。特に大学に行きたいのに行けない人も、たくさんいますよ。我々の年齢で大学進学率、僕の年で20%でしたから、今国民全体で大学に行ったことのある人は3割もいるかどうかという気がします。そうしてみますと、7割の人たちが国立大学はやっぱり大事だ。独法化じゃなくて守ろうという話しになるというのは、国民のためになるということをはっきり示すことですよ。いま大変難しい局面にあるとは思うんだけども、今までの中で国民がどれだけ気楽に大学に相談に行ったり、大学出た人が力になるか、そこら辺のところが実のところはあるわけです。それは、私立大学に対しても同じですけども。つまり、先ほど出ていた受益者負担主義というのは、一般の国民から見ればおまえたち金儲けのために大学に行くんだろう。出世するじゃないか。という話なんです。だったら自分で学費出して苦労しなさい。そこを打ち破らないことには、国がお金を出すということは支持されないわけです。そこが今すごく大事なとこだと思います。ただし、世界で見ると日本のような高学費を取る国はほとんどないわけです。韓国や台湾など一部の国で、基本的には生活費を含めた奨学金が出ます。学生は返す必要はもちろんありません。就職の義務ももちろんありません。それが普通なんです。今のような、大変な大学入学試験というのはないんです。もちろんその前で別なセレクトしてるといえばしていますけど。ですから、そういう意味で見ると大学とか高等教育機関というのは日本でどうこれから作っていくか、その話の中でこの独法化を押し返す力を生み出さないことには、僕はちょっと進まないんじゃないかと。そのことをぜひここでも考えていただきたいと思っています。すいません。長くなりました。(拍手)

司会:ありがとうございました。なかなか、教育行政についてあまりくわしくない私にとっては非常に勉強になりました。

こんにちは。僕は横浜国立大学の経済学部の自治会のものです。今日は大学にいるみんなを代表してここにやって来ました。先日出された独法化に向けた中間報告を絶対許してはいけないというふうに僕は今思っています。いろいろな方のお話しをお伺いして、この独法化の問題が大学の自主性を奪ったりとか独立性を奪ったりとか、学生に対してはもちろん授業料の値上げとかという形で、多大な影響を与える。教職員の皆さんに対しても、競争、競争で研究活動もままならないというような現実をもたらす独立行政法人化というのは絶対許せない。反対しないといけないなというふうに改めて思いました。

 その上で僕の意見ということなんですけども、独立行政法人化が結果的に自主性を奪ったり独立性を奪ったりということをもたらすというのは全くそうだし、それは許せない。その場合ただこれを独立行政法人化をどのように許さないか、阻止するかということを考えた場合に独立行政法人化というのは、いったい何を狙った攻撃なのかということを改めて考えていく必要があるんじゃないかなというふうに思いました。目的は一体何なのかということを僕は考えたいなというように思っているんですけども、その場合に、思っていることをいろいろ言うだけなんですが、この独立行政法人化をやる政府の貫かれている考え方というのは一体何なのかということを見る必要があるかなと思います。それは僕が思うにはですけれども、ジェームズ・ブキャナンという人が唱えているような公共選択学派といわれているような理論を援用しているんじゃないかなと。要するに国家の安全保障とかあるいは国の財政上の一番重要な点については真の公共財というふうにして、他方で教育や福祉とか介護こういった分野に関しては準公共財というふうに言いながら、真の公共財に対して国家の予算を投入すると。ただ準公共財については受益者負担原則で受益者が金を払ってくれという形で国家の予算はおろさないというような新自由主義的な考え方に則りながらいま大学の構造改革がやられている。ここをもうちょっと見る必要があるんじゃないかというふうに僕は今考えています。従って問題は、確かに戦争国家というのを作ろうとしていると思うんですけれども、同時に国がいま日本全体をどのように変えようとしているのかということを見る必要があるんじゃないかなと。経済的にも先ほど言われていて僕もそうだなと思ったんですけども、経済競争をやっていく担い手、経済競争の総力戦をやる,その担い手を作るんだということが、先ほどの方言われていて、なるほどなと思ったんですけど、僕なんか経済学部にいるもんでそういうことを非常に実感していまして、もう新自由主義一色なんです。経済学部というのは。マルクス経済学なんていうのはないんですよ。うちもマルクス経済学の教授は1人だけで、その人も資本論をやらないんです。全然やらないんです。ちょっと僕もびっくりしたんですけども。そういうふうにして、企業の担い手といいますか、横国が大学としては「国際性」ということをうたっているので、とりわけ東南アジアとかに行って搾取する担い手を作ろうとしているんだと思うんです。僕なんかはこういうのは許せないなと思っているんですが、ただなかなか僕なんかの力ではそういうのをどういうふうに批判すればいいのかなと、そういうふうにとにかく俺が一生懸命企業戦士になってと思っているかどうか知りませんけど、アジアに行って頑張るんだと思っている人をどうやってそういう人と話していけばいいのかなと。そういう人に限って独法化はいいと思っているんですよ。競争はちゃんとやるべきだと思っているんです。この辺をどうやって批判するかちょっと難しい問題だなと思って、ぜひ後でお知恵を拝借したいなと思っています。同時にこういう経済競争の担い手を作ると同時に真の公共財と見なした国家の安全保障に関わるような、要するに軍事力の強化というものを一体のものとしてやっているここを僕は見ていく必要があるかなというふうに思いました。やっぱり戦争をやれる国に造り変える、そのために軍事力を強化すると同時に政治的にも経済的にも一流の大国にしていくんだと、こういう国の今の思惑に則って大学の構造改革がやられているんじゃないかなというふうに思いました。この辺をもうちょっと何のためにやっているのかということをみていく必要があるかなと思います。そういうことにふまえて代案を出すのはいいと思うんですけども、代案ということも何を狙っているかということとの関係で代案を出していく必要があるかなというふうに思いました。僕の意見です。以上です。ありがとうございました。(拍手)

司会:ありがとうございました。

東北大学の学生なんですけども、この間東北大学でも独法化導入に向けて、すごい学生への圧力が厳しくなっているんです。例をあげれば、まず新入寮生に対する、寮が自治をとなえて闘っている寮が2つあるんですけども、その2つの寮に対してすごい誹謗中傷みたいな入寮妨害をしてきているんです。それと同時に自治会費、学生自治会の自治会費を徴収を妨害する文書を出したりとか、サークル活動の内規をかってに改正しましたと、集会もビラを撒くのも全部当局の許可を取らなければできませんということをすでにもう改正したと言ってきていて、まだ適用がどうだとかそういう話しにはなっていなくて、よくわからない状態なんですけども、すでに学生の主体的なところに踏み込んできている状況です。今回夏休みの間に、水色のビラを置いておいたんですけども、ここに詳しく書いてあるんですけども、僕が住んでいる有朋寮という寮を廃寮すると、もう募集をさせないということを一方的に通達してきたといった状況なんです。この廃寮に関しては、代替施設もつくらないと、そして本質的な今いる有朋寮生の保障もまるでしないと、誰が学校に来れなくなっても関係ないという、結局はそういう決定になっているという状況なんです。それに対して今僕たちは断固白紙撤回に向けて闘っているわけなんです。これが独法化の本質だと思うんです。

 エリート教育だとかアメリカに匹敵するようなエリートを育成していくとか、そういうことをどんどん言っていますけれども、裏を返してみれば学校に誰が来れなくなっても知らんと、エリート教育に誰がついて来れなくなっても知らんと、そういう攻撃として1つにはこの問題をとらえたいと、それが独法化なんじゃないかというふうに思っているんです。教育の機会均等とかそういうことをとなえていた大学ではなくなってしまうと、誰がついて来れなくても知らんと、学費が誰が払えなくなっても知らんと、いうふうに本当にエリート教育と表裏一体のものとして、そういうふうに今やってきているといった状況です。

 さっき富山大学の話が出たんですけども、この間教官まわりといって教官に話を聞いたりしているんですけども、富山大は今回の1件で学長裁量のお金が0円になったという話しを聞いています。それに対して全ての大学が今震え上がっているという状況なんですよ。うちの大学も寮闘争をいつまでも、うだうだ寮とやってたら、どんどん予算が削られていくという、こういう恐怖感から凶暴化しているということがあって、文部科学省が結局はそういうふうにどんどんどんどん、そういうものをつぶそうと、そういうところから物質的に圧力をかけてきているということなんです。それは結構、最近びっくりしたんですけども、本当に独法化でもって今大学がサークルであるとか寮であるとか自治会であるとか例えば教授会であるとか、本当に団結形態を独法化というものによって捨て去るということの先に何があるのかと、大学自治をかなぐり捨てて、教育の機会均等をかなぐり捨てた先に何があるのか。国に追従した先に何があるのかということを本当に危機感をもって僕は今この問題をとらえている状況です。東北大学ではだいたいそういう状況だということです。本当に有朋寮廃寮ということを、衝撃的というか、山形で廃寮、東大で廃寮、さらに次に今回今年で3件目、すごいハイスピードで寮がつぶされていっている現状で、本当にこれを跳ね返していく闘いとして独法化に反対するたたかいに断固取り組んでいきたいというふうに僕らは思っている状況なんで、ぜひ有朋寮これからどんどんどんどん闘いがすすんでいくにつれて激烈化していくと思うんですけども皆さんぜひこの問題注目して、独法化と表裏一体のものとしてとらえてぜひ協力してほしいと思います。(拍手)

こんにちは。東京都立大学のA類自治会の委員長をしている丹といいます。先ほど院生の浜田さんからもふれていただいたり、今日さきほど休み時間に資料を配らせていただいたので分かると思いますけれど、国立大の改革に先駆けて東京都立大でも改革が行われています。それを国立大学と比較すると非常に似ています。再編統合とか、独法化、第3者評価、外部資金の導入とか、なかでも独法化はいろいろ案が出ているようで、その中には知事が任命した経営側の理事長、学内から選出された学問の側の代表、それによって代表を形成する。予算については経営側が握り、その予算の中で何をやるかは学長が決めるといった非常にひどい案もあると聞いています。そもそも、国立大も都立大も改革が役所主導というのはおかしいと思います。役所の、利益を求める、効率化を求める、採算性を求める、そういったもので測れないものが大学にあると思っています。

 野田先生もおっしゃっていましたけれども、学生無視というのも本当にひどくて、都の決定事項が一方的に通知されそれに反論しても、もう決まったことだからと、情報公開で資料を請求しても混乱を招くといった理由で、大学改革案が公開されない、手足が出ない状態になっています。そういった状況の中で学生自治会が中心となって学生有志が学生ネットワークという、こちらのネットワークと同じようなものの小規模版のようなものをつくって、同じように賛同人を募って活動しています。配布した資料の中に賛同人用紙が入っていますのでぜひご協力をお願いします。

 もう1点都立大学改革の中で一番大きなものと学生が認識している中に夜間部、B類の廃止があります。都立大には夜間部があって、昼間の半額の学費で昼も夜もある程度授業を受けられると、非常にすばらしい制度だと思っているんですが、その制度を需要がない、予算がないということで廃止という方針を東京都が出してきました。それに対して学生側でまだ需要はなくなっていない、自分で働いて学費を稼ぎながら、アルバイトなどをして学費を稼いでいる学生はたくさんいるということで夜間部存続を求める署名を集めています。現在9600筆以上集め東京都に請願として提出しました。今後追加提出して1万筆そしてそれ以上集め、都議会に、都民に、そして全国のみなさんに都立大学B類、夜間部の意義を訴えていきたいと思います。配布した中に署名が入っていますので、ぜひこちらのほうもご協力をよろしくお願いします。(拍手)

豊島です。午前中にやりました文部科学省交渉の話をちょっといたしまして、それから議論の中で問題提起のようなことをしたいと思います。午前中、杉野剛という大学改革推進室長と約1時間お話をしてきたんですけども、前もって14項目の質問項目を出しておりまして、これは配っておりませんがwebに公開しておりますのでご覧になってください。その場で口頭で返事をしてもらうということで、だいぶ前に質問状を出してきたんですけども、残念ながら文書はもらえませんでした。その中でいくつか特徴的なことを申しあげますと、なぜ撤回したか、かつての反対をなぜ撤回したかということについては、これは先ほど野田さんが言われたように、強弁としか言いようがないんですけども、「本質的に変わってない」ということを言い張られるだけで、これはもう議論になりませんでした。

 それから政府による目標の指示、実行計画の認可というような独立行政的手法をとっている例が欧米にあるかという質問をしたんですけれども、これはないということを認めております。 それから中期目標、中期計画という内容が非常に限定されておりません。何でも入るわけです。ですからその内容について限定がされるのかと、教育研究に関わるようなことは明確に除外されるのかというような質問をしました。中間報告の中にもカリキュラムに触れるようなことがありますので、それに対しては明確に否定はないわけで、つまりカリキュラムについてくちばしをはさむということは十分ありうるという答弁だったように思います。 それから評価機関ですけども、これは第3者評価機関と称してますけども、文部省に置く評価機関がどうして第3者評価機関なのかということに対しては、答えがありません。当事者そのものなんですけども。

 政府機関が直接大学を評価し、予算配分を直結させる例がやはり外国にあるかと、欧米にあるかという質問をしたんですけども、これはややあいまいなこれはあるんじゃないかというような説明だったんですけども、一方資料で配布しております国立学校財務センターの資料によれば、無いとはっきり断言してありますので、同じ文部省系の機関が違った見解を出しているということで、これは今後の追及の材料にはなるのではないかな、あるいはもっと我々自身も研究する必要があるかもしれません。

 また,役員人事の問題で質問しました。独法化しますと中期計画が許認可事項になってしまうわけです。ですから、許認可をする役所と許認可を受ける事業所という関係になりますので、天下り禁止に引っ掛かるのではないかということを言ったんですけども、これに対しては、有能な人材であればどこからでもいいんではないかという返事でしたので、この辺がどういう規定があるのか、私は良く知りませんけども、そういう返事でした。

 それから例の遠山プランを説明する際に、国立大学学長会議で脅しであるとか見捨てるであるとか言葉を使ったのはこれは事実上の命令ではないかという質問をしたんですけども、これに対しては命令ではないという言い方にとどまっております。

 ユネスコの宣言について質問をしたんですけども、とくにそのユネスコの宣言が学生を高等教育の核心における主たるパートナー、当事者と見なさなければならず、また大学運営にも学生が関与すべきであると書いてあるんですけども、これについてはまったく中間報告に無いんじゃないですかという質問をしたんですけども、これに対しては、どうも杉野さんはこのユネスコの文書を読んでいないようです。ですから、文部省自身は訳は作っているんですけども、その訳を教授会で配っていいかと聞いたら、配っちゃいけないというのです。教授会で配っちゃいけないんです。文部省が作った訳を。驚きました。ですから全く学生の観点は無いということがはっきりしたと思います。これは相手の許可を得てテープを取っていますので、もう少し詳しい報告ができるかと思います。

 次に、今からの議論の材料になればと思いましていくつか問題点を提起したいと思うんですけれども。やはり、これは問題点ではなくコメントですが、社会全体への危険であるということです。私もレジメの裏にオックスフォード大学のゴンブリッチ教授のメッセージを書いておりますけれども、これは私どもの彼へのメッセージなんですけども、下のほうに学問の自由を危険にさらすことは災いを招くということですとはっきり書いてあります。ですから学生の皆さんがたくさん主張された戦争につながるようなそういう災いにつながっていくという危険、ただ東北大の学生の方が言われた戦争の時代に入ったと言ってしまうのもまずいんじゃないかと、そうすると戦争反対の運動の意味がなくなっちゃいますから、そう言ってしまうとまずいんじゃないかと思うんですけども。

 それから、我々が非常に重要な論点になるのはアカウンタビリティーと自治の問題だと思うんです。文部省の方との議論の中でも、いろんな国民の意見を代弁して我々が大学に要求をぶつけるんだという言い方をするわけですから、国民、国税を使っている以上は国民の意見を反映するのは当然じゃないかと、我々はそれを代わってやっているんだという論理で来るわけです。ですから国民の意見が何らかの形で反映されなければいけないというのは明らかなんですけども、それをどういうふうに大学の自治と折り合いをつけるかということは非常に大きな問題であります。それに関して、富山大学の先生の意見を、私の作った資料の4枚目に入れておりますけども、このへんについてどう折り合いをつけるか。国民の意見を入れるというアカウンタビリティーの問題と自治の問題というのを、完全な自治はありえないわけです。そういう意味では。どう折り合いをつけるかというのは、やはり我々が答えを出さないと、なかなか強力な反論を図ることができないという問題があるかと思います。

 法人格の問題というのがあると思うんですけども、法人格ということを言われている以上は、これにどう対応するのか。つまり、いますでに法律どおりやれば法人格的なものは持っているんだと、大学の自治という形で持っているんだという言い方もありましょうし、あるいは、私は思うんですけども、国立学校設置法に一条「大学は法人格を持つ」という一条を入れたらそれでいいんじゃないのかと思うんです。実際いろんな協定を結んだりして、法人的ない一つの人格としての、外国の大学と協定を結んだりするときは一つの人格として行動しているわけで、部分的には法人格を持っているわけです。全面的ではないかもしれませんけど。その辺の議論をどう対応していくかということは、考えておく必要があるんじゃないかと考えています。特にアカウンタビリティーと自治の問題です。この辺は考えをお持ちの方はぜひ聞かしていただければと思います。

司会:飛び入りで午前中あった文部科学省との交渉の説明を入れさせていただきました。

広島大学の学生です。僕たちの大学では全国に先駆けて学生自治というものがつぶされてきたんですけども、いま僕たちが大学でいろいろ訴えている中で、学生みんな一人一人が今の大学のあり方とか社会のあり方に疑問を持っているし、そしてみんな苦しんで考えている。こういうところに、考えているんだけれども今大学改革とか、小泉首相の言うような構造改革とか、そういったところにしか展望を見出すことができないという中で、僕たちはそうじゃなくて、広大なんかは大学改革をずっとやってきたわけなんです。そして、他の大学にまで行って、学生を製品だとか商品だとか言って、大学というのはそういう製品、商品を送り出す場所なんだということを言ってきているんです。

 これに対して僕たち学生の立場から、そもそも今やられようとしている改革という中身が知らされていない。学生に対して一言も知らされていないということに対する怒りなんかも、討論の中で明らかになったというか、当然出てきてすごいそういうものを持っていて、僕たちがそれをどうやって解き放っていくのかということを考えたときに、やっぱり今独法化によって利潤の追求だとか、そういったことを言われて学生同士がバラバラに分断されていこうとしていると。やっぱり、学生の側から団結やつながりを取り戻そうじゃないかということをやっていこうということで、僕たちは今年の6月に自治会というものを結成して、学生の団結によって、そこに展望があるんだということを示せたと思うんです。独法化によって国策遂行の機関になろうとしている大学で、そういう時代だからこそ逆に展望があるというか、本当に学生一人一人の中に苦しみや怒りというものがあるんです。

 それで、僕たちは3つの理念というものを掲げてつくったんですけども、学生一人一人が主人公の大学にしようと、そして学生の自由、権利、生活を守り発展させようということと、あらゆる差別をなくしお互いを仲間として認め合える団結つながりを築こうということと、被爆地広島の大学として再び戦争という過ちをくり返さないという3つを掲げて結成しました。

 その中で、いま国の危機といわれている中で広島大学の中でも排外主義や差別を煽る落書きなんかが続発していて、そういうことを絶対に許さないという中で、学生が本当に主体的に生き生きとできるというか、8・6ヒロシマなんかもこれまで以上の、今までないような数の学生が参加するというようなことも起きていて、そういう一つの展望というか阻止していく力というのが学生の中にあると実感しました。ともに絶対に独法化を阻止するために頑張っていきましょう。(拍手)

東北大学で助手をしておりますKと申します。学生さんばっかり言ってて歯がゆい思いをしてたので、ちょっとだけお話させてください。日和見主義的なことを申しあげるかもしれませんが、学生の皆さん、私の研究室に来て袋叩きにするようなことはしないようにお願いします。

 大学の自治は、もうかなり落ち込んでて長い時間がたってまして、研究者の立場で申しますと、もう何をいまさら言ってんだという意見が支配的ですし、もう空気もそんな感じになっています。我々研究者として思うのは、東北大学はたぶんトップ30に入るだろうと思っている先生方が多いものですから、黙ってればお金が来るよ。ここで反対するのは、どうもあんまりよくないなあという、そういう雰囲気だと思います。第1常置の委員長がうちの総長でもありますし、そういうのもあってか学内の議論は全然盛り上がってないというのが正直なところであります。ここで逆に反対という声を大きく言おうにも、最初のほうで話があったと思うんですが、保守派というか守旧派というか既得権益死守派というか、既得権益なんて全然ないんですけども、そういうふうに見られるのもいやだなというので黙ってるような状況です。大学の中はそんなことで、意見はないというか、非常に静かというのが実情です。

 ここで私一つ申しあげておきたいのは、競争についてであります。さっき東大の先生からも競争はあんまりよくないという話があったんですが、競争もいろいろレベルがあって、3つあると思います。1つは大学間の競争、トップ30に残れるかどうかと、もう1つは私のところは弱小部局なもので重大なんですが、大学内の競争が起きます。部局間の競争が起きてきます。研究科内、あるいは学科間、そういう競争が起きてきます。なぜかというと、大学で重点分野を決めてそこにお金をどんどんつぎ込んでいい。逆にいうとちょっとおよびでないような学問からは引き上げていい。そういうようなことが明確に謳われているからです。もう1つは、お金を取ってきて自分のとこがいい思いをしたかなと思っても、また違う意味の競争が出てきます。さっきのお話しにもありましたように、学問の競争です。それはそれでいいんですが、どういった形で研究者を確保するかというと、おそらく定員化をやってくれないですから、ポスドクとかTAとかRAを安上がりにやると思う。そういうことになると思います。そうするとどういうことが起きるか。そういう中での争奪戦が起きると思います。ですから自分のところの優秀な学生をポスドクとして雇ったとしましょう。しばらく安穏だと思っても、他の大学に引き抜かれていく可能性が大なわけです。他の大学はどこでもそういうことをやっているわけですから。こういうことが続いていくと、どんどんどんどん学問が閉鎖的になっていくと思います。ポスドクの学生は絶対に外にはやらないですとか、または自分の研究のアイデアを絶対に外に売らないとか、そういったことが危惧されてこういった競争はやらないほうがいい。競争よりは協調的なのが大学の学問にふさわしい。そういうふうに思います。

 じゃあ、我々どういうふうにすればいいかというのが、私、職員組合に入っているんですが、いろいろ考えているんです。これは、妙案はありません。この場で皆さんの積極的なご意見があれば、私どもそれを参考にしてやっていきたいと思うんですが、先ほどからちょっと言われているのが市民とどういうふうに協調してやっていくかということだと思うんですが、市民の皆さんに協調するという前に、大学がなんでここまで叩かれてきたかということを考える必要があるんだろうと思います。我々研究室に閉じこもって、社会にあまり還元してこなかった。そういうところが1つあると思います。それはそれで反省すべきところは大いに反省する必要があるんだろう。一方的に当局からの攻撃粉砕だとか、そんな威勢のいいことを言ったって始まらないんじゃないかというのが私の考えです。どうもありがとうございました。(拍手)

司会:あとどのくらいありますか、この際、言っとこうという方は。その後、討論も、ちょっとだけあります。

フロアから)僕も豊島さんの話を受けてあります。

司会:討論みたいなことになりますね。討論じゃなくて個人意見。じゃあまず個人意見というか、討論じゃなくて自分の意見表明という方、手を上げて下さい。4人。1人3分程度でお願いします。4人ですね。その後、これまでの発言に対して自分はこう思うという主張をしていただきたいと思いますので、まず個人意見として4人の方、恐れ入ります、時間制約がありますけども、お並びください。次から次へと。

東京工業大学の学生の立場から発言したいと思います。東京工業大学で僕たち学生は特に、サークル活動で学内にあるサークル部室をこれまで学生自主管理で24時間運営してきました。その立場から、この夏に東京大学の駒場寮に対して、大学当局が一方的に廃寮の強制執行をしたわけですけども、それに強く、やはり同じ学生の自主管理、自治をやっている身として抗議したいと思います。

 僕たち学生にとってこの独立行政法人化と、これまで進められてきた大学院重点化というのは一貫したものとしてとらえていかなければならないと思っています。東工大は大学院重点化になりました。大学院重点化になって、大学院ができてどんどん建物が建ちました。けれども学生にとってはどうだったか。学生会館が80年代末に建てられる計画がありましたけども、いまだに予算もつきません。もしくはサークル棟が次々に大学院の建設予定地にされてしまう。そういったことが学生に一切事前に計画なしに、決まってから学生に明らかにするんだと、決まって予算がついてから、計画変更が不可能になってから、交渉というか大学当局は説明会と称して、計画を明らかにする。そういうようなことが大学で行われて来たわけです。しかもサークルに限らず全般的にいえば、東工大自体いま学生数は、大学院生をどんどん増やされて、いま学部生数よりも大学院生、修士の方が入学定員が多くなっています。だけれども全然学生関連の学生会館もしくは学生寮といったものは拡充されてきませんでした。やっぱり今こういう矛盾がある中で、独立行政法人化というものを考えていかなくちゃいけない。やっぱり独立行政法人化で大学自治が破壊される。学生自治というのはこれまでもすごい圧力を受けてきましたし、これからさらに強く最終的な弾圧がかかってくるということを覚悟しなくちゃいけないと思っています。そういった中で、大学自治に対してはそれを進める文部科学省に対して抗議の声を上げていかなくてはならないと思うし、僕たち学生の立場としてはまずそれぞれの大学で、僕たちならば東京工業大学でまず大学に民主的な運営を求めていく、そういった計画を一方的に決定するだとか、そういったことをせずに明らかにさせていく、話し合いで決着させていく、ということを下から追求していかなくてはいけないと思っています。

 また、今度の独立行政法人化で、これまでも話に出ていましたけれども、学費が各大学の責任によって決めるようになる。そうなったら、本当に東工大というのは理系の大学です。そしたら学部別授業料導入によって、学費は大幅に値上げされていく。そういった意味では僕たちが、理系の学生が直撃を受けるわけです。こういったものに対して、まだ今は文部科学省が方針を計画しているわけで、本当に学部別授業料、学費値上げ絶対に阻止しなければいけないと思っています。現場での大学の運動をつくっていくと共に、独立行政法人化を進める文部科学省への抗議、本当にいろんなところからあがっていくように運動をつくっていきましょう。これからも頑張っていきたいと思います。(拍手)

筑波大学附属盲学校に勤務しております。筑波大学教組の書記をやっております、間々田と申します。私どもの勤務しております大学というのは、独立行政をトップランナーできっておるところでありますし、いわゆるトップ30も旧帝国大学の位置づけとして出されているということで、まったく波風の立たない大学です。そういいながらも私ども教職員組合が協賛いたしました独立行政法人に関するシンポジウム、去る9月29日に開催いたしましたけれども、これに対して教職員が60名余、それから学生が20名、その他つくば地区の先に独立法人化になった研究施設から30名ほど、計110名を超える人数が集まるシンポジウムを開催することができました。もちろんこれは明確に独立行政法人化に反対するというところまではいきませんでしたけれども、この国策の一端を担っている、(皮肉でございますけれども)、そういった大学の中においてもこの独立行政法人化に対して、まさに知りたい、どういう行動をとったらいいかわからない、何かあったら行ってみたい、こういうものがこれだけの数も集まったことを皆さんにご報告したいと思います。かつ、あれだけ管理の厳しい大学であるにもかかわらず、今回大学内の講堂を使い、参加者には署名していただきましたが、署名を拒否される方は1名もございませんでした。そういう面では真に独立行政法人化を考える人がいるんだと、この実感を得ました。ですから、私がそのときに思ったのは、我々の各パートパートでまず、本当に悲しいことではあるけれども、できる力で、できる範囲で、隣の人に声をかけるところから始めたっていいじゃないかと思うんです。そんなに大げさなシンポジウムをやらなくたってかまわない。一人一人増やしていく、この努力が、じれったい感じはありますけれども、重要だということをみなさんにご報告したいと思います。ありがとうございました。(拍手)

司会:続いて、あとお二人の方。

皆さんこんにちは。東京大学駒場寮自治会、やぐら担当をしております山内と申します。学生の皆さんインフレ気味なので手短に終われるようにしたいんですけども、ご承知の通り8月22日強制執行があってから、寮から私たちたたきだされてしまったわけなんですが、それで駒場寮のたたかいというのは終わったわけじゃなくて、今やぐらを作るということも次の作業としてあるんですけども、テント村をつくってそこに、今までで40日以上たっていますけども、住み続けて、テントだけじゃなくていま鉄パイプでもうちょっと住み心地のいいところもつくりつつやってます。というのは、建物からは追い出されてしまいましたが、私たちの学生自治団体としての組織的関係というのを、そこまでの破壊というのは絶対に許さないというので、やり続けていまして、またそういった基盤を保存して強化していくという中から、こういった独立行政法人化に学生の立場から反対していくということを自力で築いていこうということで、今やり続けています。

 それで、この間、強制執行を前後する、約1ヶ月ぐらいですけども、さっきも話しに何度か出てきていました山形大学の学寮からも10名単位で支援に来てもらっていて、本当に彼らも強制執行から半年以上たっていながらも、彼らの組織的関係というのを自力で守りながら、私たちの方に連帯をしてくれていて非常に貴重な成果といいますか、つくられて来ていると思います。 そういったものを基盤に大学再編に反対していきたいなというのが、まず1点目で、あと2点簡単に私のこの中間報告などを読みながらの感想を述べさせていただきたいんですけども、1点目として国際競争というものを遂行するために国立大学を法人化する、完全に資本が

テープ切れ目

(広島大学続き)……言葉というのは、要するに大学がどれだけ社会に貢献できているかというようなことの批判があるということを気にしているというふうにとらえているんですけど、受けとめてるんですが、僕が思うのは、学生や教職員が大学の中で生き生きしてなくて、果たして人間の社会の役に立つような学問や研究を生み出すことができるのか。広大の現状を先ほども言ってましたけど、広大の今の当局というのは、もう広大では大学改革は完了している、だから独法化に向けての準備は先行的にやってきたんだといって、ふんぞり返っているような感じなんです。それぐらい先行していたわけです。その中身はどうなのかといったら、教員や職員というのは、競争やリストラや労働強化の中でへとへとに疲れきっている。先生に会いに行っても、ちょっと忙しいんだと、忙しくて話す時間なんかないんだという先生がいっぱいいるわけです。それから、自分の学問や研究に対してすごい展望を持ってやっていけるのかといったら、先ほども競争競争ということで議論もできないというようなことを言われていましたけれども、そういう状況があって自分の研究というのはいったいなんなのかということについても、展望が持てない。

 そういう中で大学の腐敗ということが恐るべき規模で起こっている。先ほど富山の学生からも言われていましたけれども、最近広島大学でいわゆるアカハラといわれていますけれども、アカデミックハラスメントといわれることについての実態調査があったんです。そうしたら院生の4人に1人が被害者だというんです。28%にあたる女子生徒が女子院生がセクハラの被害にあっている。そういう実態が去年の10月に調査が行われて明らかになったんです。その矢先に今回広島大学の教官が、いわゆるセクハラ事件ということで逮捕されるということがありました。ニュースで見た方もおられると思います。この事件が大学の中で、もちきりなんですけども、ホームページに大学がどういう見解を載せているかというと、学生の皆さんには関係ないから学生は冷静に学問に励んでくださいということを書いているんです。ふざけるな。学生が被害にあっているのに、落ち着いて勉強なんかしていられるのかと。こういう状況があって、やっぱりみんな先ほど言ってましたけども、学生も教職員もおかしいと、この大学の向かっている方向はおかしいということをものすごく感じていると思うんです。だから、本当に国民みんなからどう思われているかとか、そういうことがまずあるんじゃなくて、大学の中で自分たちが主人公を取り戻していくということを、まずやったときに本当に圧倒的多数の人々から、すばらしい大学だと言われるような大学を取り戻すことができると思うんです。

 それから、先ほども国際競争の問題と大学の問題について言われていたと思うんですが、これも同じことで国際競争ということと戦争ということは全く同じ構造の中から起こっていることで、アメリカは石油の争奪戦のために戦争をやろうとしているわけだから、その戦争に参戦するということは、国際競争に協力する大学というのは戦争に協力する大学と全く同じことだと思います。じゃあ、そういう大学になっていいのか。そういう一握りの資本のために学問を捧げるのか、それとも人類の未来のために学問をやっていくのかということが、学生にとっても教職員にとっても問われていると思うんです。行き着くところまで今大学は行き着いていると思うんです。だから本当に根本的に転換していくようなチャンスだとも思うんです。

 広島大学は去年から討論をはじめて今年の6月に自治会をつくるということになりました。やっぱりこの力を基礎にして、学生の怒りと学生の力を信じて絶対、独立行政法人化を粉砕して自分たちの手に大学を取り戻していくということを頑張っていきたいと思います。皆さんいっしょに頑張りましょう。(拍手)

東京工業大学の学生です。さっき文部科学省との交渉の報告の話が出ていたので、補足というわけでもありませんが、僕たちの簡単な報告を付け加えられたらと思います。東京工業大学と東大駒場寮と一緒に、国立大学の独法化に反対する首都圏学生実行委員会ということで、半年以上文部科学省との申し入れを続けてきたんですが、植田むねのり参議院議員と福島瑞穂議員にお願いして、2回ほど交渉を持つ機会がありました。

 それでさっきの工藤教育局長の脅し発言について、担当官の方に尋ねたんですが、そのときに本当にそんな発言があったのかどうかはわかりません、報道されたということですが、あなたたちに説明する義務はありませんみたいな、そんな対応だったんです。その場にいた議員が対応をしてくれて、後で回答をもらうということになったんですが、結局やっぱり発言していましたと、それは脅すという意味ではなくてあくまでも責任を果たしてやってもらうという意味で、アドバイスみたいなものです。だいたいそんな感じです。

 それだけじゃなく、毎月申し入れ書を持って文部科学省にいっていたんですが、省舎内にいれてくれないんです。省舎のそとでやりましょうとか、学生の場合は2名までしか中に入れませんみたいなやりとりを延々と続けていて、だんだんその結果関係が悪くなるというか向こうとしてもこちらの方を中に入れたがらないようになってきたんですけど、実際他の省庁とかでも身分証明書を見せれば10人でも5人でも普通に入っていくことができますし、なんで学生というだけでこんな中にも入れてもらえないし、申し入れ書を渡すことすら制限されるような、実際最悪のときだと申し入れ書を直接手で受け取るということはもうしません、郵送で送ってくれたら見はしますみたいなことがくり返されていました。

 さっきも豊島さんのほうからありましたが、やっぱり文部科学省から文書による回答を手に入れると言うことは、学生、教官かぎらず、この独法化反対の運動をやっていく1つのポイントになるだろうし、文書による回答という形式をとらないにしろ、こちらから交渉をもつというように要求すればいつでも交渉をやっていけるような、そういう運動を全国でつくっていければと思いますので、今後ともよろしくお願いします。(拍手)

司会:どうもありがとうございました。最後の発言です。

蔵原)重ねての発言で申し訳ありません。豊島さんが言われた3つのうちの後の2つのことでちょっと申しあげたいんです。

 アカウンタビリティーと自治の関係ということをさっき言われました。私はこの2つは、もちろん豊島さんもそう考えだと思うんですが、矛盾してるものではないと思うんです。どういう意味かというのがいくつかあります。アカウンタビリティーを我々はどうとらえるか。我々にとっても必要なんです。国民主権、民主主義であるとすればこれは全てにわたってアカウンタビリティーは要求されているんです。これは政府が言おうが言うまいがそうなんです。彼らが言っているアカウンタビリティーとはちょっと違います。財界だけに顔を向けています。政府の役人だけがやっています。審議会の委員もさっき国大協と一緒だという話がありましたけれども、だいたい今政府の審議会の委員も1人の委員がいろんな委員を兼ねているんです。役人をやった人を国立大学に行かせて、また文部省の役人にするという形で中抜けをして、マネーロンダリングみたいな話です。いかにも、学識経験者代表という形で入れるということもあります。

 だから、どういうアカウンタビリティーかというのが問題です。国民の支持が無い大学は僕はつぶれると思います。ですからその点は国立大学といっても例外ではない、これは僕ははっきり言わなければいけないと思います。ただ先ほど東北大学の先生がおっしゃったように、遠慮なさらないでほしいと思うんです。謙遜も含めてかもしれませんし、いろんな気分のこともわかるんですけども、我々は引っ込んじゃだめなんです。美徳ではないんです。自信を持って言わなければ誰も信用しませんよ。やってないと言ったら本当かとみんな言いますよ。それを浅はかな一般国民がと言うかもしれないけども、そうじゃないんです。それが主権者なんです。主権者に分かるように説明するというのがアカウンタビリティーであって、そうでなければなぜ東北大学が90年も続いたかです。国がお金を出しているわけじゃないです。学生さんたちがなぜ入ったのか。期待しなかったら入らないんです。期待されてるんです。それは私立は学費が高いから、国立に行きたいと言いますよみなさん。でもそれだけじゃないと思うんです。だからそれは東大だけじゃなくて日本の全ての大学が、日本の社会の中で世界の学会の中で地域の中で責任を果たしている、果たしてきた役割がある。そのことを自信を持ってどれだけ言うかというのが、僕ら現局面の大きな勝負だと思います。

 何年か前自己評価という問題が出て、大学の中でもかなりいろいろ分かれました、意見が。私は自分の大学で自己評価の委員を9年ほどやりました。今年の4月に代わってもらいましたけれども。1番困ったのは何かというと自分の大学のいいとことはどこかという話しです。シーンとしちゃうんです。これじゃあ受験生は来ないです。僕はそれをくり返し言っているんです。だから勉強したということだけで意義があるんです。勉強しないよりか大学に入った方が一歩前進するんです。学生に言っています、居眠りしても授業に来ればいいんだよと。来ないよりか遥かにいいんです。入学しなかった人より遥かに自信もっていますよ、彼らは。居眠りばっかりしてても。年度変わってから、なんで僕の単位付かないんですかと言いに来ますから、でも耳を開けて聞いていればもっといいんです。点数取ればもっといいんです。だから我々は勉強したことをどう活かすかということをもっと希望をもって語らなければいけないと思います。

 だから学生さんたちが非常に元気で教職員がちょっと落差が激しかったけど、僕は学生さんたちにお願いしたいのは大学のひどいとこを追及するのもちろん大事ですけども、先生方にぜひ未来を語って呼びかけてほしい。僕らの仕事を手伝ってほしいというふうに、先生たちに訴えることです。これはどんなに厳しい管理状況の中でも、学問を授けることについて妨害する人はいません。できません。世界のための、平和のための、あるいは人類のための勉強をするために先生知っていることを教えてくださいと言うんですよ。ですからそこんとこを、ぜひお願いしたいと思います。

 もう一つ自治の問題ですけど、自治というのは専門家だから、専門のことは専門家しか判断できないから自治なんです。だから今の独法化の根本的な矛盾は何かというと、そういう専門的なところに専門家でない財界人や役人を入れようという、これは決定的なパラドックスです。僕は絶対に失敗すると思います。もし独法化がやられても、5年10年経つかのうちに失敗します。そのときどうするかはもう1つあります。ですから独法化になるかならないかが決定的な境目ではない。ということは僕ももっと展望を持ってやるべきだと思います。ですから専門家としての判断ということとアカウンタビリティーとは全く別の話しです。今の政府がやろうとしていることは、行政的に統制しようとしている。行政的に統制させないで、真理によって明らかにするということが自治の一番の根本精神。専門家のトレーニングを受けた人がその判断をするということです。財界人やお役人が大学の先生になってもいいですよ。しっかりとトレーニングして大学のことを理解している人が入ってくるのはむしろ歓迎すべきじゃないでしょうか。今までの学問、アカデミックな学問としては狭い知識だけで、今の知識は成り立っているんじゃないんです。実際の経済活動、その他社会的な活動、いろんなことをやっている人たちの知識が今トータルの知識になって、大学は残念ながら僕に言わせれば大変立ち遅れてます。アカデミックな課題にすることを失敗しています。先ほどちょっと意見が出ましたけども、人に話して盗られるような研究はたいしたことはありません。僕は全然心配しない。どこでもしゃべります。僕は本当に考えていることは、一回聞いたってわかりっこないと思ってますから。自分の点数稼ぎの論文にしかならないんです。他の人は見ないです、そんな論文は。教育学のほうでも、そういう盗作したとかで問題になってますけど、どうでもいいんです。もっと根本的なことをやろうじゃないですか。だから今の局面は、日本の大学人が自分の専門家としての役割を、忘れているというとちょっと言いすぎだと思いますが、やっぱりもっと誇りを持って取り組もうという呼びかけをお互いにして励ましあうことです。学生にも呼びかける必要がある。学生からも励まされる必要があると思います。ですから当然僕が授業をやっていて、学生のわからない話は一般人には分からないと思って、言い方を工夫します。1年目でうまくいかなくても、何年かやると少しずつ分かってきます。すごく学生さんたちは貢献してくれてます、僕の研究に。もちろんそれぞれの分野で違うと思います。ですから今の局面一番大事なことは、どういう大学をつくっていく、どういう学問をつくっていく、そこで勉強した人、研究した人がどういう役割を果たしていくのかということについて、やっぱり希望を語らないと。明日独法化されたらどうしよう。俺のクビどうしよう、だけじゃあだめです。クビにされたら自主大学でもつくればいいかもしれない。いろんなやり方があると思う。私立大学はまだつぶれませんから、来てください。それはちょっと冗談ですけど。ちょっときつ過ぎるかな。

 もう一つ法人格の問題。今の争点は法人格を持つことかどうかということをもう1度僕は考えてほしいと思う。1年前に僕はそのことを講演して、新潟大学の森田先生なんてリフォームのネットで流したことがありますが、見たい人はそこで取れると思いますが、今の局面つまり、国立大学の困難は法人格がないことじゃないと僕は思います。法人格があったら、あったでいいです。でも先ほど豊島先生の言ったように、国立学校設置法に書くということは、公立私立は法人格いらないというお話しですから、これは決定的な差別意識です。僕はそのことはもう一度申しあげておきます。そうじゃなくて、もし法人格を持たせるなら学校教育法に書くというふうに言って下さい。3つの設置形態が平等だということ。同じ学校だということをここで守らないと、日本国民が戦後、教育権を私立学校を自由に設立できるという教育権を獲得している、歴史的意味を後退させるんです。ここのことは決定的に反動的な主張になることがあると思います。法人格の問題は、もっと広い意味で日本の行政組織全体が法人格というものをどう考えるのか、出先機関は人格を持っているのかいないのか。特殊法人というものをどう考えるのか。法人、人格を持っています。自由にできてますか。全然できないです。だから、法人格を持てば解決するかといったら、解決しないです。今の政治体制が続くかぎり、今のような天下りや審議会の委員を選ぶやり方が続くかぎり、見かけ上の法人格を持っても実質的には何ら変わりない。もっと悪くなる。そこのところを見ないといけない。僕は、国立大学の先生方にお願いしたいのは法人格を持つか持たないかが争点ではない。はっきりさせてほしいと思います。つまり、独法化、法人化という言葉に惑わされないで下さい。出先機関化です。先ほど何人かの方もおっしゃったように。ですから法人格を持つ、他の国では確かに大学の法人格があります。先ほどおっしゃったように、国際交流などでは大学の学長が署名しますから現実的な人格は持っているんです。法律による人格かどうかは別です。ですから、そこんとこは研究しなければいけないんじゃないか。ぜひ法律学の先生方に、ぜひ研究をして発言をしてほしいなと思います。すいません2回目で長くなりました。(拍手)

司会:どうもありがとうございました。学生さん。短い?約束を守ってください。

すいません、国大協の会長がいる、長尾総長がいる京都大学の学生です。なぜ私が京都大学で独法化を反対しているかということを、一言だけ言いたいと思います。

 それはかつての侵略戦争で、京都大学は戦争に反対し切れなかったどころか、率先して全国の人たちを侵略戦争に引きずり込んだからです。戦争に反対しきれずに、研究したい研究意欲までも731部隊に見られるように、アジア人民の虐殺の手段に落としこめられました。それは絶対にぬぐいきれない過ちです。だから私たちはあの侵略戦争をくり返さないためには、自治を自分たちの手に取り戻して議論しながら絶対戦争反対のたたかいをやっています。

 今9月11日の反米ゲリラに対して、すでにアメリカやイギリスや日本の自衛隊も出兵してアフガニスタンを包囲して、すでに戦争が始まっていると言っても過言ではないと思います。そういう中での独立行政法人化の問題です。それはつまり、国家統制であり、戦争大学への転換です。私たち京大生は、京大生の信念にかけて闘い抜きたいと思います。独法化の核心は究極的には、国家権力とのたたかいだと思っています。今こそ京大生はエリート学生のみの特権を守るというのではなくて、教職員の皆さん、全国の皆さんと団結して労働者の利害を体現した大学としてたたかい抜いていきたいと思います。皆さん共に闘いましょう。(拍手)

司会:ありがとうございました。時間になりましたので、これで今日の討論集会は終わらせていただきます。最後に事務局長豊島さんから。

豊島:お礼を申しあげます。多数お集まりいただきまして、長時間、議論いただきましてありがとうございました。ぜひこの会には全ての政党の議員に呼びかけて、残念ながら3つの政党ということになったんですが、自民党の高市早苗議員からは電子メールで御盛会をお祈りしますというメッセージをいただきました。(笑い)これは社交辞令ですね。皆さんも、他の党に民主党、自民党にぜひ呼びかけていただきたいと。これは話せば分かってもらえる話だと思います。それから、ぜひ私が1つ強力なネーミングとして教育基本法を守らなければならない、教育基本法原理主義という言葉を提案したいと思います。原理主義者というとなんとなくすごそうでしょう。そういうことを提案したいと思います。ぜひともご批判の提案を2週間以内に送っていただきたいと最後にお願いして終わりにしたいと思います。ありがとうございました。(拍手)

すいません。終わった後に発言します。1分で終わりますので、一橋大学の岩佐です。今日、当然、この集会注目されておりますので、この集会の名前において何らかの表明がなされるものだと期待していたんです。最後にその方向性の提起がされませんでしたので、文書も用意されていないと思いますので、できましたら司会、議長団、そこでまとめていただいて集会の名前においてやはり何らかの声明、アピールを出すべきだと提案したいと思います。その前に先ほどから議論がありますけれども、そもそも高等教育とは何かという問題、その点について突っ込んで書いていただきたい。つまり、産業構造の変革とか、産業競争力の強化という方向に、産学官、その連携の方向に大学を動員しようとしているわけです。ですからそういうことに対して、そもそも高等教育とはどうなんだ、もう一度現時点でとらえなおして見ることが非常に重要だと思いますので、先ほどからそういう意見がいくつか出されていると思います。その点も踏まえて、ぜひアピールを出していただきたいと思います。

豊島:可能かどうか判断し切れませんが、可能性があるとすればウエブ上で公開して何日までに賛否を問いますと、いう形で。議長さんに委任する、それを議長団でまとめていま出された話の範囲内で合意できると思われる点でもう一度つくって発表し、3日程度寝かせて、特に強烈な異議が無ければそれを声明とするということでよろしゅうございますか。

司会:議長団としては、おそらく議長団で案を作ってそれを独法化阻止全国ネットワーク世話人のメンバーでまた文章をちょっと練って、そして皆さん方の意見をお聞きしてということになります。議長個人としてはこのタイトルの国立大学の独立行政法人化は真に大学の独立性を高めないというのが、一番わかりやすい結論だと思うんです。例えばそういうような意味のものを、作ろうと思っています。

司会:どうもありがとうございました。