大学の独法化問題

みなさん、こんにちは。無所属の衆議院議員の川田悦子です。

私は厚生労働委員会に所属していますので、直接この法案の審議に関われません。しかし、この法案は非常に重要な問題を孕んでいると思っています。さきほど石井さんからもご説明がありましたように本日、本会議で趣旨説明がありました。本会議、そして委員会で趣旨説明がありますと、本当にすごいスピードで法案は通ってしまいます。ですからどのような方法で阻止していくかということがこれからの最大の課題になると思います。

私は先の国会で「医薬品医療機器総合機構法案」に反対しました。実はこの法案は、衆議院では厚生労働委員会に掛からずに、特別委員会で審議されたのです。そのとき46本の法案がだされ、一括審議という方法でおこなわれたのです。それで私は、この「医薬品医療機器総合機構法案」を特別委員会が始まる前の厚生労働委員会の冒頭で、一般質疑で質問をしました。私だけでなく多くの人がこの法案を提案直前に知らされました。そこで急ぎ医薬品の審査センターや研究所などの関連機関を訪問し、お話を聞いてきて問題点を絞っていき、質問に立ちました。質問時間は私の場合は一国会で1回から2回しかできず、それも15分しかありません。そこで問題点をずばり聞きだし、整理したプリントを野党の国会議員やマスコミにも配布し、薬害被害者の団体にも届けました。さらに新聞にも投稿しまして、それが掲載されました。私はこの法案は非常に危険な法案であると訴え、なんとしても阻止したいと動きました。

衆議院では特別委員会でひきつづき野党の議員さんたちもこの法案をとりあげてくれました。マスコミも取り上げるようになっていきました。しかし、残念ながら衆議院では他の45本の法案と一括で通ってしまいました。でも参議院では厚生労働委員会で質疑がおこなわれ、そのときは薬害被害者の方々も連日、国会に傍聴にこられたり、ロビー活動をしたりして抵抗しました。結局、参議院でも法案は通ってしまったのですが、「委員会決議」がだされました。

この「医薬品医療機器総合機構法案」で問題にしたことは、今回の大学法人化でも問題になってくる「産学協同」の問題です。

実は薬害エイズの闘いで和解が成立した後に、厚生省は薬務局の解体をおこないました。製薬企業の育成と、薬の審査・承認、安全対策が一緒の機構では危険であるということからその部門を分離したのであります。

ところが今回の独法化ではそれらをまたも一つにまとめてしまったのです。薬害エイズの教訓はいとも簡単にすてられたのです。私はこの危険性を指摘したのです。今回の新しい独法化の中に製薬企業の育成部門がありますが、これは「委員会決議」で分離の方向になりました。しかし、問題はあります。産学協同です。

本日の本会議で民主党の議員が質問をし、そこで産学協同のことに触れていました。民主党の議員は、アメリカでは産学協同があったから経済がよくなったというふうに言われているが、必ずしも産学協同がアメリカの経済を好転させたのではないと、指摘していました。

ところが今、日本政府は、技術立国の旗を掲げ、そのためには産学協同が必要であるとさかんに言っています。そのためには大学が弾力的になるべきであり、大学の活性化には独法化が必要だと文部科学省は言っています。これは経済産業省の要求と一致し、文部科学省は経済産業省と一体になって進めているのです。そしてバイオ産業の育成を提唱している厚生労働省も一体になっているのです。これが「医薬品医療機器総合機構法案」なのでした。

私は今回の国立大学法人法案のような問題のある法案がすんなり通っていいわけがないと思います。

この法律は単に大学関係者だけの問題ではありません。教育や研究に関わる人たちだけの問題ではありません。日本に住んでいる人たち全体にかかわってくる問題です。ですからこの問題点を是非多くの人たちに知らせていき、今国会で絶対に通さないようにしなくてはならないと思います。廃案に追い込んでいくことがとても重要です。

決して自分たちだけの問題としてとらえるのでなく、全体の問題としていかなくてはならないと思います。一緒になって廃案に追い込んでいきたいと思います。

一緒にがんばりたいと思います。