コメント(豊島)

 文部科学省の態度は,「最終報告が出ていないので分からない」という形式的な理由での回答回避に始終しており,残念ながら中味の乏しいものでした.しかし最終報告案はすでに公知のものとなっており,しかも翌日には最終報告そのものが提出されるという段階にあるにもかかわらず,項目1のような,検討されている案の基本的性格についてさえ回答がないのは全く不可解としか言いようがありません.この質問は,「独立行政法人制度の下で,大学の特性に配慮しつつ,国立大学を独立行政法人化する方向で,法令面での措置や運用面での対応など制度の内容についての具体的な検討に」着手するとした,2000年5月26日の「調査検討会議」発足に当たっての文部大臣の発言の効力を質しているのであり,この問題を議論する上での初歩の初歩に属する問題です.

 「独立行政法人」制度の枠内か否か,ということは,この制度を定義する「中央省庁等改革基本法」に縛られるのか否かという,制度設計の自由度の根本に関わる問題であり,これが未だに「分からない」と言うのでは,文部科学省が使う「アカウンタビリティー」という言葉は一般に使われる意味とは全く異なるのではないか,と推測せざるを得ません.

 しかし,「わからない」ということは「独立行政法人」制度もあり得るということでもあり,また今回「独立行政法人に近い形」と表現したことからも,実質上は独法化そのものである,と見るべきしょう.したがって今は隠されている項目3もいずれ法案作成の段階で露見してくるでしょう.しばしば「法人化」という表現が見られますが,これは実態を隠す手助けをするもので,使うべきではないと思われます.