「国立大学法人」と現行制度の比較

国立大学法人法 + 準用通則法

現行制度
中期目標 第三十条 文部科学大臣は、六年間において国立大学法人等が達成すべき業務運営に関する目標を中期目標として定め、これを当該国立大学法人等に示すとともに、公表しなければならない。 そのような制度はない.強いて言えば,教育基本法第一条の「教育の目的」.教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
中期計画 第三十一条 国立大学法人等は、前条第一項の規定により中期目標を示されたときは、当該中期目標に基づき、文部科学省令で定めるところにより、当該中期目標を達成するための計画を中期計画として作成し文部科学大臣の認可を受けなければならない。 評議会に審議権
国立学校設置法 第7条の3
5 評議会は、次に掲げる事項について審議し、並びにこの法律及び教育公務員特例法の規定によりその権限に属させられた事項を行う。
5-1.大学の教育研究上の目的を達成するための基本的な計画に関する事項
評価 (各事業年度に係る業務の実績に関する評価) (通) 第三十二条  国立大学法人等は、文部科学省令で定めるところにより、各事業年度における業務の実績について、国立大学法人評価委員会の評価を受けなければならない。
(中期目標に係る業務の実績に関する評価)(通) 第三十四条 国立大学法人等は、文部科学省令で定めるところにより、中期目標の期間における業務の実績について、国立大学法人評価委員会の評価を受けなければならない。
自己評価(設置基準2条)+「第三者」評価 国立学校設置法 第9条の4(大学評価・学位授与機構)
会計 (企業会計原則)(通) 第三十七条 国立大学法人等の会計は、文部科学省令で定めるところにより、原則として企業会計原則によるものとする。 国立学校特別会計
学長の選考 第十二条 学長の任命は、国立大学法人の申出に基づいて、文部科学大臣が行う。 (この申出は、経営協議会と教育研究評議会とから同数で構成する「学長選考会議」の選考による。経営協議会の構成員の半数以上は学外者でなければならない.) 教育公務員特例法 第四条 学長及び部局長の採用並びに教員の採用及び昇任は、選考によるものとし、その選考は、大学管理機関が行う。(選考機関,方法は大学の自由)
学長の解任 文部科学大臣に権限.第十七 条2 文部科学大臣又は学長は、それぞれその任命に係る役員が次の各号のいずれかに該当するとき、その他役員たるに適しないと認めるときは、その役員を解任することができる。 一 心 身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。 二 職 務上の義務違反があるとき。 大学管理機関にのみ権限があり,文部科学省にはない.(教育公務員特例法 第六条)
役員 2〜8名を法律で個別に規定 そのようなポストはない(学内で選出される評議員が相当)
監事 文部科学大臣の任命 そのようなポストはない
教職員の地位 非公務員 公務員.教員は「教育公務員特例法」の対象. 教育公務員特例法 第六条 学長、教員及び部局長は、大学管理機関の審査の結果によるのでなければ、その意に反して免職されることはない。教員の降任についても、また同様とする。
廃止 (中期目標の期間の終了時の検討)(通) 第三十五条 文部科学大臣は、国立大学法人等の中期目標の期間の終了時において、当該国立大学法人等の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずるものとする。 国立学校設置法の改正(国会)
大学の設置者 「国立大学法人」

作成 豊島耕一(ver.0.9,2003.05.13)

(通)の記号は準用通則法.ただし法案にある「読み替え表」によって読み替えたものを表示している.

(参考)中央省庁等改革基本法による独立行政法人の定義
第三十六条 政府は、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業であって、国が自ら主体となって直接に実施する必要はないが、民間の主体にゆだねた場合には必ずしも実施されないおそれがあるか、又は 一の主体に独占して行わせることが必要であるものについて、これを効率的かつ効果的に行わせるにふさわしい自律性、自発性及び透明性を備えた法人(以下「独立行政法人」という。)の制度を設けるものとする。