独法化阻止全国ネット会員・賛同者各位

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          事務局長 豊島耕一

          世話人一同

近藤義臣(群馬大),白井浩子(岡山大),辻下徹(北大),
野田隆三郎(元岡山大),橋本修輔(宮崎大)

  ホームページ(ミラーサイトは末尾)
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet.html

       事務局
840-8507 佐賀市本庄町1 佐賀大学理工学部物理
電話/fax: (0952) 28-8845    2002年10月3日

 長い独法化阻止運動も,いよいよ最終盤に近づいて参りました.法案は来年の通常国会に提出されると見られます.やはりその時が最大の国民的関心を集めることになります.もし国会できちんと審議がなされ,それが正確に報道されれば,教育機関を行政機関に変えてしまうような暴論が国民の審判に耐えうるとは到底考えられません.その時に独法化の正体が白日のもとにさらされるように,あらゆる面での準備を整えようではありませんか.

 会員,賛同者の皆さまにおかれましては,あらゆる想像力を駆使して,独法化とは何かを国民に,とりわけ各会派の政治家に理解してもらうための活動をお願いします.会員・賛同者の中には著名な方も数多くおられますので,是非ともその影響力を最大限生かして,メディア,国会議員,大学首脳部などに働きかけていただくようお願いします.

 独法化とは何かについて私たちはさんざん議論してまいりましたが,やはりその本質を端的に暴くためには最重要なポイントを強調して訴えることが重要ではないかと思います.たしかにこれは数多くの問題を含みますが,それらを平板に並べたのではかえって本質が見えなくなります.

 この問題が起こった初期には,競争万能主義,経済効率優先主義に基づくものである,といった論点からの批判が多く行われ,本来単純な問題を難しいものに変えてしまい,反対運動への多くの人の参入を妨げたのではないかと思われます.これらの論点はもちろん当然なのですが,万人がすぐに納得するというものではありません.しかし,独立「行政」法人という名前が示すように,国立大学という教育機関を行政機関に変えてしまうなどという前代未聞・空前絶後の愚行・暴政は,だれにとっても議論の余地のないものです.たとえ競争万能論者や「新保守主義者」でも,およそ普通に思考できる人間であればこれがナンセンスであることは理解できるはずです.

 「行政機関に変える」と書きましたが,これはその名前からだけではありません.国の行政機関であれば中央政府の命令・統制の下に置かれるのは当然のことですが,独立行政法人は,政府から「中期目標・中期計画」という命令を受けることに示されるように,まさしく行政機関のように扱われるのです.そして「競争」や「経済効率」は「官」がそのレフェリーとなって大学支配を強力に進めるための手段なのです.

 司法に属する裁判所を行政権である警察の支配・命令下に置くなどと言えば,誰もバカなことだと思うでしょうが,それと本質的には同じです.

 もしこのような制度が国会を通過したとすれば,賛成した国会議員はもちろん,これを批判しなかった知識人も,上のような初歩的な判断力もなく「知識人」であり得たのかと,未来の人々に対して大変な恥をかくことになるでしょう.

 このように「独法化は大学改革である」という命題はその重要な土台が虚構で成り立っているので,いつ崩壊しても不思議はありません.そしてその最も「危険な」時期は国会審議の時に訪れるでしょう.

 いま,個人情報保護法案阻止に向けて,多くの著名な作家,ジャーナリストが立ち上がっています.国立大学独法化についても,来春までにはこれと同じ情況を生み出せるよう努力しなければなりません.

最近の大学や組合の情況について

 大学では,この制度のもとで文科省への提出が求められる「中期目標」「中期計画」案の作成作業がさかんに行われています.これは国会に提出もされていない法律の先行実施とも言うべきもので,いかなる正当性も持たないでしょう.「反対」を口にしていた人までこの作業に巻き込むことで,「独法化はもはや現実」との強い暗示を与え,反対運動を心理的に潰していくのが最大の目的と思われます.「独法化をできるだけ悪いものにしないためには,今から始めておかないと間に合わない」と言われますが,これは本当でしょうか.今やっておかなければいちばん間に合わないのが阻止・反対運動であることは明かです.

 また,全大教など組合も本気で阻止運動に取り組もうとしているのか疑わしく感じられます.東大職組などがんばっている単組も沢山ありますが,先日岡山大学で開かれた全大教教研集会での基調報告に反対運動の具体的方針が全くなかった事に見られるように,大勢は阻止よりむしろ「対応」にシフトしているように思われます.なんとかこの姿勢を変えてもらうことが重要です.

これまでの全国ネットの活動と,今後の予定についてお知らせします.

1.学長アンケート結果をウェブで公表しました.(同封しています.)

「独法化容認」決定をした4月19日の国大協総会について,それぞれの学長がどのような態度を取ったかについてアンケートを実施しました.19大学から回答,ただし「賛否」の実質回答は13大学にとどまりましたが,記述回答からは学長らの考えも読みとられ,興味深い内容になっていると思います.

2.対メディア (括弧内は末尾のurl)

 本会賛同者,野田正彰氏(京都女子大学教授)のコラム,「今日の視角 国立大法人化という詐術」が信濃毎日6月14日付けに掲載されました.[1] / 世話人・野田の「いま国立大学が危ない」と題する文章が雑誌「飛礫(つぶて)02年秋号」に掲載されました / 朝日新聞佐賀版6月17日に豊島のインタビュー記事が掲載されました.[2] / 『毎日新聞』7月8日付「新教育の森」に豊島のコメントが掲載されました.[3] / 「週刊金曜日」4月19日掲載の豊島の拙文を英訳し,海外メディアにメールで宣伝しました.[4](他にありましたら是非お知らせ下さい.ウェブで紹介します.)

3.数人の方に世話人会の協力者(ノード会員と呼称)を承諾していただきました.世話人も含めて「拡大世話人会」としてメール上で議論をして運動を進めています.末尾に名簿を添付します.

今後の活動について

4.ユネスコへのアピール文が完成しつつあります.メディアで取り上げられるようにできるだけ効果的に「発送」したいと思います.

5.東大職員組合主催の「法人化粉砕!10.18東大大集会」が,そのタイトルのように10月18日(金)12:15より,本郷キャンパス安田講堂前で開かれます[5].全国ネットでもこれに全面的に協力・呼応した運動を展開したいと思います.

 再度の国会内集会を検討したいと思います.昨年10月の議員会館での集会では,8名の政治家の参加がありました.実施するとすれば,より多くの議員,会派の参加が得られるよう努力したいと思います.旅費その他資金が必要ですので,同封の振り込み用紙でカンパをお願いできれば幸いです.(現在の残金は約10万円)

 この他に次のような活動が重要と思われます.メディア対策,諸団体のオルグ/ 政党,国会議員,著名人のオルグ/ 各大学の学長,評議会,教授会メンバーが責任ある態度を取るよう求める/ 諸分野の社会運動との連携(例:教育基本法改悪反対の団体に,独法化が10条改悪の先行実施であることを理解してもらう)/ 教育行政や憲法の専門家に,独法化の問題点を国民に説明してもらう/ 多分野の才能の動員.特に美術分野.すぐれた風刺画は強力な力を持つ.すぐれたコピーも同様/ 署名活動

 その他,多様な活動を行いたいと思います.皆様からのアイデアをお待ちします.

世話人会はわずか7名の個人の集まりです.何か組織がバックにあるわけではありません.
皆様お一人お一人の活動が事態を切り開きます.

[1] http://www.shinmai.co.jp/news/2002/06/14/013.htm
[2] http://mytown.asahi.com/saga/news01.asp?c=5&kiji=279
[3] http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/nethe4262
[4] http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/znet/kinyoubi020419e.html
[5] http://www.ne.jp/asahi/tousyoku/hp/hpstop2.htm

全国ネット ミラーサイト http://www03.u-page.so-net.ne.jp/ta2/toyosima/daigaku/znet.html

拡大世話人会,氏名公表可の方(世話人は冒頭に表記)
(ウェブ版では省略)