From: TOYOSHIMA Kouichi
Date: 2005年7月10日 22:13:12:JST
To: he-forum@ml.asahi-net.or.jp
Subject: [he-forum 8793] またとない平和教育の機会

 佐賀大学の豊島です.

 「ストーンウオーク」という運動をご存じでしょうか.大学問題とは直接関係ありませんが,平和教育という面で,また大学関係者にとってのいわゆる「社会貢献」として,大きな意味を持っていると思いますのでご紹介します.

 7月2日に長崎を出発したこの行進は,ピース・アビー(平和のための修道の家)とピースフル・トウモローズ(平和な明日をめざす9・11遺族の会)という,いずれもアメリカの2つの団体が中心となり,長崎から広島まで約600キロを,「戦争の犠牲となった無名の市民」と刻まれた700キロの碑石(ストーン)を人力で運ぶというものです.経路の各県の実行委員会がこれをサポートします.

 これだけだと単なる風流な催しということでしょうが,しかし,碑石の「戦争の犠牲者」としては,今回は60年前の原爆で殺された人がとりわけ意識されており,このような行進を原爆に責任を負う国の市民が主体となって行うことには大きな,いや歴史的な意味があると思います.実際,出発式でアメリカ側の代表の一人,ピース・アビーのドット・ウオルシュさんは,原爆投下に対する「謝罪」を述べましたし,間もなく日本語訳が発表されると思われる文書「ピースフル・トゥモロウズとピース・アビーからの被爆者へのお詫びの言葉」にも,そのタイトルから分かるように,原爆投下に責任のある国の市民としての謝罪が表明されています.

 このようにこのウオークは,原爆投下国の市民による贖罪の行進という意味も持つのです.これは,われわれ日本の市民が,南京虐殺の謝罪の行進を中国で行うのに相当するでしょう.

 「石」に刻まれた犠牲者には日本の侵略によって被害を受けたアジア・太平洋諸国の人々も「無名の市民」に含まれることは言うまでもありません.

 私は依頼されて佐賀の実行委員長をやることになり,行進が佐賀に入った5日からは,様々な準備に忙しく動き回ったり,実際に「石」を曳いてゆっくり歩くなどして過ごしました.前出のドットさんと,9・11事件で夫を亡くしたピースフル・トゥモロウズのアンドレア・ルブランさんも全行程600キロを歩いており,隣り合って曳きながら,また送迎の車の中などでいろいろ話をしました.そしてこのお二人のひとがらとその思いに強く共感するようになりました.

 佐賀大学の学生の参加はわずか数名に止まり,また教職員の参加は私以外全くありませんでした.文字どおりの草の根運動で,一般にほとんど知られておらず,私自身,ここまでやってきてようやくその意味が飲み込めてきたという次第ですから,無理もないことと思います.しかし,9日夜に開いた佐賀の交流会には佐賀大学の学長からメッセージ(末尾に添付)をもらえましたし,県庁表敬訪問や記者会見も実現しました.

 さながらガンジーの「塩の行進」のように,ウオークのスピードの遅さゆえに,このイベントについての情報の拡散が行進を追い越し,広島に到着するころには盛大なものになっていることを期待しています.行進のルートに位置する大学の方は,できれば一緒に歩き,また学生に勧めていただきたいと思います.必ず得るものがあると思います.

 詳しくは次のサイトをご覧下さい.

Stonewalk (アメリカ)
 http://www.stonewalk.org/

ストーンウオーク・ジャパン2005 公式サイト
 http://homepage2.nifty.com/tomokonet/stonewalk/

ストーンウオーク福岡
 http://members2.jcom.home.ne.jp/stonewalk_japan/fukuoka/

ストーンウオーク佐賀
 http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/stonewalksaga.html

「ラッセル・アインシュタイン宣言」50周年記念
ストーンウオーク佐賀交流会への佐賀大学長のメッセージ