トップへ戻る   東職HPへ戻る
独行法反対首都圏ネットワーク

☆ 国立大学法人法案の廃案に向けて 
 .2003年3月26日     独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局 
--------------------------------------------------------------



                   国立大学法人法案の廃案に向けて
    ―国会審議の現状と国大協の責務―


                                                                             2003年3月26日
                                                                           独立行政法人反対首都圏ネットワーク事務局


 2月28日、政府は、国立大学法人法案、独立行政法人国立高等専門学校機構法案、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案、独立行政法人国立大学財務・経営センター法案、独立行政法人メディア教育開発センター法案、国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、からなる関係6法案を閣議決定し、同日中に通常国会に提出した(以下、一括して国立大学法人法案等と略す)。

 国会では、はじめに与党三党が早期審議入りを企図して、文部科学委員会で主旨説明を行うことを求めたといわれる。しかし、法案等を重要法案と位置づける野党四党(民主党、自由党、共産党、社民党)の一致した要求によって、主旨説明は本会議において行われることになると考えられる。主旨説明が行われれば、国立大学法人法案等は国会での本格的審議に付されることになる。

 この法案等については、閣議決定に至る過程そのものの正当性に疑念が生じている。文部科学省は2月に各政党に対して、法案等に関するブリーフィングを行っていた。その際、文部科学省は、「国立大学協会は法人化について長い間意見が割れていたが、この度、賛成で一本化されたので法案を提出する」と強調し、法案提出の正当性を主張していた。政府は、2月28日の閣議で法案を決定する予定を早くから立て、その閣議決定に正当性を付与するために、2月24日の国大協理事会において法案「概要」の承認を取り付ける、というプログラムを設定していたのである。

 ところが、この政府・文部科学省の路線は、各大学から厳しい批判や疑問が相次いで提出されたために、事実上破綻した。第一に、1月末に出された法案「概要」に対して、24大学から法案の本質を批判する文書が正式に寄せられた。国大協執行部や法人化特別委員会は、2月24日の理事会で、これらの疑問に全く答えることができなかった。このことにはっきり示されているように、国立大学協会は決して賛成で一本化されていない。第二に、2月24日の理事会では、国大協の正式態度を総会で決定すべきという意見が相次いで出され、長尾会長は「法案が国会に提出された段階でその内容を検討し、国大協として表明すべきことがあれば内容をはっきり示して、理事会で承認を得て発表するなり、あるいは臨時総会を開催して議論することも視野に入れて対応を検討する」(理事会議事要録)と表明せざるをえなかった。

 これらを踏まえれば、国立大学内部で強い批判が存在するため、国立大学協会としては法案に対する態度を何ら決定していない、というのが現状である。政府・文部科学省は、国立大学側の同意取り付けを法案提出の根拠としていたが、その前提が崩れた以上、国立大学法人法案等の審議入りを即座にとりやめるべきである。

 また、法案全文が明らかになり、その問題性が広く知られるようになったため、国立大学法人法案を受け入れることはできない、したがって法案は通常国会において廃案にするべき、という声が急速に拡がっている。国大協執行部は、2月24日の理事会における議論を踏まえ、可及的速やかに臨時総会を開催しなければならない。臨時総会においては、先に24大学から出された批判や疑問を含め、法案にかかわる問題点を真摯にかつ徹底的に議論し、国大協として法案に反対する明確な態度を決定する必要がある。

 与党側が審議入りを強行したばあい、国会での本格的な議論は、遅くとも4月13日の統一地方選挙前半戦後には開始されよう。国大協がそれ以前の4月冒頭に臨時総会を開催し、そこで正式な見解を表明することは、国民と社会に対する責務である。