第12号 平成15年5月14日(水曜日)

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平成十五年五月十四日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 古屋 圭司君
   理事 奥山 茂彦君 理事 鈴木 恒夫君
   理事 馳   浩君 理事 森田 健作君
   理事 鎌田さゆり君 理事 山元  勉君
   理事 斉藤 鉄夫君 理事 佐藤 公治君
      青山  丘君    荒巻 隆三君
      伊藤信太郎君    大野 松茂君
      岡下 信子君    岸田 文雄君
      佐藤 静雄君    谷田 武彦君
      中谷  元君    林田  彪君
      松野 博一君    森岡 正宏君
      柳澤 伯夫君    大石 尚子君
      鳩山由紀夫君    肥田美代子君
      平野 博文君    藤村  修君
      牧野 聖修君    松原  仁君
      山口  壯君    池坊 保子君
      東  順治君    黄川田 徹君
      石井 郁子君    児玉 健次君
      中西 績介君    山内 惠子君
      山谷えり子君
    …………………………………
   文部科学大臣       遠山 敦子君
   文部科学副大臣      河村 建夫君
   文部科学大臣政務官    池坊 保子君
   文部科学大臣政務官    大野 松茂君
   政府参考人
   (内閣官房内閣審議官)  柴田 雅人君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   大熊 健司君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房総括
   審議官)         玉井日出夫君
   政府参考人
   (文部科学省大臣官房文教
   施設部長)        萩原 久和君
   政府参考人
   (文部科学省初等中等教育
   局長)          矢野 重典君
   政府参考人
   (文部科学省高等教育局長
   )            遠藤純一郎君
   政府参考人
   (厚生労働省労働基準局安
   全衛生部長)       大石  明君
   文部科学委員会専門員   柴田 寛治君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十四日
 辞任         補欠選任
  小渕 優子君     荒巻 隆三君
  松浪健四郎君     山谷えり子君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     小渕 優子君
  山谷えり子君     松浪健四郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国立大学法人法案(内閣提出第五六号)
 独立行政法人国立高等専門学校機構法案(内閣提出第五七号)
 独立行政法人大学評価・学位授与機構法案(内閣提出第五八号)
 独立行政法人国立大学財務・経営センター法案(内閣提出第五九号)
 独立行政法人メディア教育開発センター法案(内閣提出第六〇号)
 国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第六一号)


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     ――――◇―――――
古屋委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、国立大学法人法案、独立行政法人国立高等専門学校機構法案、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案、独立行政法人国立大学財務・経営センター法案、独立行政法人メディア教育開発センター法案及び国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の各案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 各案審査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官柴田雅人君、内閣府政策統括官大熊健司君、文部科学省大臣官房総括審議官玉井日出夫君、大臣官房文教施設部長萩原久和君、初等中等教育局長矢野重典君、高等教育局長遠藤純一郎君及び厚生労働省労働基準局安全衛生部長大石明君の出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
古屋委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
古屋委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。斉藤鉄夫君。
斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫です。
 まず、今回の法人法について、科学技術立国との論点から内閣府に質問をさせていただきたいと思います。
 科学技術立国の基本法は、科学技術基本法でございます。この科学技術基本法に基づいて科学技術基本計画が制定されておりますが、今、第二期、平成十三年度から第二期に入っております。その第二期の科学技術基本計画の一つの大きな柱は、知の殿堂である大学の改革、この大学の改革なくして科学技術立国はないという観点だったと記憶しております。
 そこで、私も、その科学技術基本計画、ちょっと引っ張り出しまして読んでみました。大学の現状について、「我が国の大学の現状に関しては、教育機能の弱さ、専門分野の教育の幅の狭さ、組織運営の閉鎖性や硬直性等の課題が指摘されてきている。」このような現状認識でございます。そして、そのためにどうしなければならないか。「組織編制の弾力化等により、各大学が、経済や社会の情勢の変化をも見通しそれに自律的・機動的に対応しつつ教育研究機能を一層高めることが必要であり、このような制度の弾力性は、特に現状において国家行政組織として制度的な制約のある国立大学にあっては、重要な課題となる。」こういう認識のもとに、科学技術基本計画、第二期の計画がつくられております。
 私は、その大きな方針の中における今回の国立大学法人法ではないか、このように認識しておりますけれども、いわゆる総合科学技術会議、科学技術立国を統括するところの総合科学技術会議においては、我が国の科学技術を振興する立場から、今回の国立大学の法人化についてどのように受けとめているか、まず、これをお聞きしたいと思います。
大熊政府参考人 御説明いたします。
 今日の我が国は、みずから独創的な科学技術をつくり出して世界をリードしていくことこそが本当に経済再生を実現していく方策につながること、こういうふうに考えているわけでございますが、このためには、大学等の頭脳が積極的に活用され、基礎研究の成果をもとに新しい技術や製品、サービス等が生み出されていくこと、これが必要でございます。
 このような認識のもとに、総合科学技術会議におきましては、先ほど先生がおっしゃいました科学技術基本計画におきますところの大学改革に関する方針をもとに議論いたしまして、さらに、昨年六月に、産学官連携の基本的考え方と推進方策をまとめたわけでございます。その中で、産学官連携の基盤として大学改革の推進を重視し、具体的方策、これも示されたわけでございます。
 この中で、国立大学につきましては、非公務員型法人への移行、これを提言するとともに、その具体的制度設計に当たって、以下のような事項を重視するように求めたわけでございます。
 その一つは、民間との研究協力や兼業が円滑に進むよう、能力等に見合った処遇等が行える人事制度とすること。組織編成や予算執行が自主的に行えるようにするなど、自律的な経営管理を確立すること。競争的資金等の外部資金の獲得努力の誘因が働くような大学財政システムとすること。
 こうした点でございますが、総合科学技術会議としましては、今回の法案におきましてはこれらの点が満たされているものと評価しておりまして、その実現により、我が国の大学がこの制度改革を生かして、すぐれた人材の育成、新しい研究成果の創出などに積極的に寄与されていくことを期待しているわけでございます。
 以上でございます。
斉藤(鉄)委員 総合科学技術会議としても、今回、科学技術創造立国を推進する立場、その中心になる国立大学、その改革の方途として今回の法人法は評価する、こういう御答弁だったかと思います。
 大熊政策統括官はお役人ですからそういう答弁になろうかと思いますけれども、いわゆる総合科学技術会議の議員、この中にはたくさんの大学人、著名な大学人、第一線の研究者、民間の研究者の方も含まれております。そういう方々の生の御意見というのはどうなんでしょうか。
大熊政府参考人 御説明いたします。
 先生今御指摘がございましたように、先ほど申し上げました産学官の連携に関する取り組みに関する方策をまとめる際には、さまざまな方々の御議論をいただきました。
 また、総合科学技術会議の中には、先生御案内のように、八人の有識者議員がございますけれども、その中には、三人の大学の元総長がおられまして、東大、京大、東北大学の元総長がおられますが、これらの先生方も含めて、その総意が先ほど申し上げたような点でございまして、私、その点を一応御説明させていただいたつもりでございます。
斉藤(鉄)委員 科学技術立国を進めていく上で、今回の国立大学法人法はぜひ必要な法律であるという認識を総合科学技術会議としても持っている、このように認識をいたしました。
 次に、文部科学省の方にお聞きしたいと思います。
 これまでの質疑、それから参考人質疑を通じて、問題点が浮かび上がってきたように思います。私自身は、大きく分けて二つの点が明確になってきた。
 一つは、やはり中期目標の策定、それから中期計画の認可という点で、文部科学大臣の権限が非常に強化をされて、ある意味では、かえって現状よりも文部科学省の権限強化、大学への介入がふえるのではないか。それであってはいけない、大学の自主性、自律性を促すのが今回の法人法の趣旨ではなかったのか。これが第一点かと思います。
 そういう意味で、この問題に対して、現状はこうで、そして改革後はこうなります、したがってその懸念というのは違うんですということをわかりやすく御説明いただきたいと思います。
遠藤政府参考人 現在の国立大学でございますけれども、教育研究の府であるという大学としての特性を踏まえてさまざまな制度上の特例措置を講じてはいますものの、基本的には行政組織の一部、言葉をかえて申しますと、文部科学省の内部組織として位置づけられているということでございますから、国の予算制度、国家公務員の法制のもとにあるということで、その制度の適用を受けまして、そういう意味での制約を受けてきたということでございます。
 また、日常的に文部科学大臣の広範な指揮監督のもとに置かれるという関係にあるわけでございまして、特に予算や組織につきましては、形式上、細目にわたるまで国が決定する、こういうような仕組みになっておるわけでございます。
 法人化につきましては、このような国と国立大学との関係を大きく見直そうとするものでございまして、その基本的な考え方といたしましては、国立大学を独立した法人とすることによりまして、国の枠組みから外しまして、各大学の運営上の裁量を大幅に拡大するというものでございます。特に予算や組織につきましては、渡し切りの交付金ということで、使途は各大学で決めるということができるものでございます。
 こういったように、法人化は国立大学の自律性を高めるものでございますが、法人化後も国が責任を持って財政措置を行う、そういう以上、大学の教育研究の特性や自主性に配慮しつつも、中期目標の策定など必要最小限の基本的事項については国の関与は不可欠ではないか、こう考えておる次第でございます。具体的に申しますと、中期目標、中期計画といった六年間の入り口の部分、言いかえますと、国立大学運営の基本的事項に関する大臣の関与と、事後的な行政評価などの出口の部分、言いかえますと、事後チェックに関する国立大学法人評価委員会による関与とに制度上限定をするというものでございます。
 このように、法人化後の文部科学大臣の関与につきましては、法人化前のような広範かつ一般的な指揮監督権限は認めないということでございまして、中期目標、中期計画といった国立大学運営に関する基本的事項に限定をするということになろうかと思います。
 したがいまして、一見、中期目標、中期計画という新しいフレームができたために権限が強化されたように見えるということがありますけれども、実際には、法人化によりまして国の権限が拡大するという指摘は逆でございまして、大学の裁量が大幅に拡大するというふうにとらえているものでございます。
斉藤(鉄)委員 今の説明、わかるんですが、マスコミも含めて、今まさにこの一点がこの法案についての大きな論点になっておりますので、もう少し質問させていただきたいと思います。
 第三条に、教育研究の特性への配慮を文部科学大臣は行わなければならないとあります。それから第三十条の第三項に、中期目標について国立大学法人の意見への配慮義務というのが、これも文部科学大臣に課せられているわけですけれども、これは形だけのものなのではないか、実質的には文部科学省が細かく指示するのではないか、こういう懸念がどうしても残っているわけでございます。
 私は、先ほど遠藤局長が答弁されたように、基本的には各大学が自律的に運営をする、しかし、ほとんどの費用が税金で出ているわけですから、それについて納税者の立場を考慮して国がある程度のチェックを行う、しかし、そのチェックの項目についてはある意味では大学みずからつくった中期目標に基づいて行う、こういうふうに理解しておりますけれども、大臣、この配慮義務について大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
遠山国務大臣 まさに斉藤委員が今おっしゃいましたとおりでございまして、今回の国立大学の法人化というものは、国立大学を活性化するために、国の行政組織の一部から外して、むしろそれぞれの大学がしっかりとみずからの自律性を持って教育研究に携わっていただくという大目的でございます。そのために、独立行政法人への改革ということの桎梏の中で、しかし、国立大学のといいますか、あるいは大学の特性ということを配慮して、国立大学法人という形で、他の独立行政法人とは違うさまざまな配慮を行っているわけでございます。
 したがいまして、通常の独立行政法人でございますと、中期目標を大臣が定めて、そして指示するということになっているわけでございますが、その際に、国立大学法人につきましてはさまざまな配慮義務が課されているわけでございます。中期目標は主務大臣が定めるという独立行政法人制度の基本を踏まえながらも、文部科学大臣に対しては法律上明確に、大学の教育研究の特性への配慮義務を課しておりますし、また、国立大学法人の意見の事前の聴取義務も明記されておりますし、国立大学法人の意見への配慮義務というものも課されているわけでございます。
 ということは、いわば、中期目標の実際上の作成主体というのは国立大学法人とも解せられるわけでございます。他方、高等教育全体のあり方あるいは財政上の観点などから大臣も関与して、ともに中期目標を形成していくということでございます。
 我が省といたしましては、これまで以上に各国立大学との連携を密接にしながら、それぞれの理念あるいは使命といいますものをよく聞きながら、中期目標を軸に各大学の個性、特色を一層伸ばしていくことができるようにしっかりと取り組んでいきたい、そういう考えでございます。
斉藤(鉄)委員 わかりました。
 もう一点の課題、浮かび上がってきた課題が評価でございます。
 国立大学法人評価委員会、これは第三者機関として国立大学法人の業績全体の評価を行うわけですけれども、そうはいっても文部科学省の中に置かれる組織でございます。したがって、その評価は、教育評価、研究評価、客観的に行われなくてはならない、そのためにピアレビュー等があるわけですけれども、そうはいっても組織的に文部科学省の中に置かれているということで、結局、文部科学省の意向に沿った評価が行われるのではないかということも、非常に浮かび上がってきた問題点の一つでございます。
 この点について、透明性を高めるということが本当に必要になってくるかと思います。政令で定めることになっておりますけれども、どのような透明性を高めるための措置がされているのか、この点をお伺いしたいと思います。
遠藤政府参考人 国立大学の評価委員会でございますが、御指摘のように、評価に当たりましては透明性ということが大事になってくる、こう考えております。
 そういう意味で、透明性ということに関しましては、一つには、評価基準や評価結果を広く社会に公表するということがございますし、それから、原則として評価委員会の会議を公開する。これは始まってから評価委員会自体で決まる話だと思いますが、会議を公開する。それから、議事録を公開するといったような措置を講じたいというふうに考えておりまして、できるだけ社会によくわかってもらうというようなことにしっかりと取り組んでいきたい、こう思っております。
斉藤(鉄)委員 評価に関してもう一点。
 大学はだれのものか、特に国立大学はだれのものか。やはりそれは学生のものであり、また国民のものであるということが言えるかと思います。そういう意味で、学生の評価ということも私は重要な視点ではないかと思います。欧米の大学では、授業等、また教育実績に対しての学生の評価を取り入れるシステムがあるというふうにも聞いておりますが、この学生の視点を入れた評価ということについてはどのようにお考えでしょうか。
遠藤政府参考人 国立大学法人評価を的確に行う上で、学生の声を評価結果に反映させるということは極めて重要なことである、こう考えております。
 教育研究の状況につきまして、国立大学法人評価委員会から大学評価・学位授与機構に評価の実施を要請して、その結果を尊重するということにしておりますが、現に今、大学評価・学位授与機構におきましては、分野別の教育評価といったようなものを試行的にやっておるわけでございます。その中では、ほとんどの国立大学では学生による授業評価の結果も踏まえた自己点検・評価というものを行っておりまして、機構は、それをもとに評価結果に反映をするということが一つございます。
 それから、各大学に実地調査時に、評価委員が学生に面接を行い、大学の教育活動についてすぐれた点や改善を要する点等を学生から直接聞くといったようなこととしておりまして、このことを評価の実施手引書に明記をしているし、公表しているということなどもやっておるということでございます。
 したがいまして、国立大学法人評価については、どう行っていくかというのは今後の検討課題ということになりますが、教育の実施状況を評価する際には、学生による授業評価が重要な資料になると考えておりますし、また、実地調査等を実施しまして、面接をして学生から直接いろいろなことを聞くというようなこともあるものと考えておる次第でございます。
斉藤(鉄)委員 今回の法人法が目指しているのは、大学の自主性、自律性の強化、向上、そしてそれを裏打ちするための評価、そして文部科学省の関与のあり方、その点が今回の法案の骨子だと思います。
 この法律で目指しているもの、これについては、先日の参考人質疑でも、大体の評価、ある程度の理解が進んでいるのではないかと思いますが、参考人の皆さんもおっしゃっておりましたのは、運用次第でいかようにもなる、そういう中身であるので、今後とも、常に大学改革という視点を忘れずに、国会としても常にチェックをしながらいかなければいけないという参考人の御意見もございました。
 きょうは総合科学技術会議の意見も聞かせてもらいましたけれども、大学改革の方向に向かって大きく歩み出す、前進の法案ではないか、このように我々は考えております。
 以上、終わります。
古屋委員長 山谷えり子君。
山谷委員 保守新党、山谷えり子でございます。
 法人化によりまして、大学の自由度が高まること、効率的運営がなされること、また創造性あふれる教育研究が進められることを期待しております。しかしながら、百年に一度の大改革ということが百年に一度の大失敗にならないように、危惧の念、懸念を持っている方もいらっしゃるわけで、私もまだ持っているわけでございますけれども、何点か質問させていただきたいと思います。
 まず、中期目標、六年間の中期目標を文科大臣が決める。先ほど遠山大臣は、さまざまな配慮義務の中で自主性は大切にするのは当然というような形のお答えをなさいましたけれども、作成主体は、基本的には国立大学法人の方が作成するということでよろしいんでしょうか。これは、やはり運用次第で官僚支配になる。文教行政は、最も統制色が強い、戦前型の統制的な仕組みが残っているというようなことも言われておるわけでございますので、その辺を再度確認させていただきたいと思います。
 自由に、事前に意見の聴取、やりとりをするということをおっしゃいましたけれども、去年の十二月に国大協とやりとりでいろいろな項目を示して、その後、国立大学の教授等々に聞きますと、何か何度も書き直しをさせられたとか、それは文科省が要求したのか、大学の中でか、その辺はよくわかりませんけれども、そのようなこともございます。
 また、高等教育局の大学課、三十代の方を中心に、二、三十人が恐らくサポートしていくんだろうと思うんですが、そのような方たちにそのような能力があるのか。
 ですので、いろいろな意見聴取のやりとり等々、メモも含めてやはり公開して、常に常に検討していく姿勢が必要だというふうに思いますが、その辺、いかがでございましょうか。
遠山国務大臣 今回の法人化に当たりまして、文部科学省あるいは文部科学大臣という名目のもとに権限強化を図るとか、そういうことは全く考えていないわけでございまして、いかにして日本の知の殿堂である大学というものを活性化していくかという観点からつくっているわけでございます。
 ただ、国費を投入するということから、各大学が巨大な計画のもとに何かやり始めても、これは国として責任を持てないわけでございますから、中期目標を立てるときにはきちんと、国費について責任を負う国として、リーズナブルな内容であるかどうかという角度で見るわけでございまして、基本的に、何をやりたいということは大学側が決めるわけでございます。したがって、実質的には国立大学法人自体が中期目標を形成していくということになろうかと思います。そういうものを十分配慮した上で、決定の責任を持ち、また、その責任を決定という形で負う以上は、国費の投入についてもきちっとやっていくというかかわりになるわけでございます。
 これまで、中期目標とかそういうものは、各大学つくっていないわけです、国公私立を通じて。だけれども、今回の大学の活性化ということから、法人化する際には、広く日本の国のこれからの組織のあり方として独立行政法人方式でいくという定めの中で、しかし、大学という特性に応じて、いかに国立大学法人ということで大学本来のあり方を維持できるか、あるいはさらにそれを発展させるかという角度から今まで議論してまいった、その成果が今回の法案という形で出ているわけでございます。
 その絡みでいきまして、委員の御質問の中で、さまざまなことについて透明性を図るというのは当然でございます。したがいまして、運営等に関しての情報公開を徹底するということは極めて重要だと考えておりまして、法律上も、第三十条の中に「情報の提供」ということも明記されているわけでございます。
 国立大学の役割というものは、これまでと変わらないわけでございまして、それよりさらに国民のいろいろなニーズにも合い、日本の未来にも合うというためには、広く国民の理解も得る必要がありまして、その説明責任の重さから考えて、十分に情報公開していくということは大事なことだというふうに考えておりますし、そのような制度にしようとしているところでございます。
山谷委員 本当に、透明性を高めることが何より大事だというふうに思っております。
 役員会の構成なども、数名の理事、それから、文科大臣が任命して、学長も罷免できないという監事二名、これはどういう方たちが任命されるのかというようなことも非常に懸念を持っている人が多いわけでございます。
 実際に法人化した国立の研究機関では、天下りの理事とか監事が多い。これは、文科省が天下り先を確保して、天下り倍増計画成功作戦ではないかというようなことも言われているわけでございますので、情報公開の中に、例えば学長選考会議の委員の名簿、プロフィールの公開、役員会の委員の名簿、プロフィール公表、教育研究評議会の評議員の名簿、プロフィール公表、経営協議会の委員の名簿、プロフィール公表、このようなことは、実際もういろいろな大学で執行委員なんかの名簿公表をやっておりますので、当然なさるだろうというふうに思いますけれども、こうした委員たちの名簿、プロフィールの公表に関してはどのようにお考えでいらっしゃいますか。
遠藤政府参考人 これは、御指摘のように、当然大学の責務として行うだろうというふうに考えております。
山谷委員 しっかりと見ていきたいというふうに思います。
 評価の方なんですけれども、大学評価・学位授与機構、それからこの十月に国立大学法人評価委員会、これは実際には十名ぐらいの有識者で構成される、この方たちが八十九の学校をどういうふうに評価していくのかということに対しては非常な心配を持っております。恐らく専門委員会とかいろいろな形がつくられていくんだろうというふうには思いますけれども、先ほど、会議の公開や議事録の公表、評価結果の公表というようなこともおっしゃいましたけれども、ぜひこの部分、評価委員会のあり方、それから中身の公表、そして意見を聴取して不十分であれば組織を補強していくというようなことについて、どういうふうにお考えか、お聞かせください。
遠藤政府参考人 国立大学の法人評価委員会をどう組織するかというのはこれから政令で定めるということになっておりますが、先行の独立行政法人評価委員会等でそういう政令が定まっております。その内容としては、委員の人数、任期、分科会の構成、所掌事務、そのほか委員会の運営に関する事項といったようなことについて詳細な定めをされておりまして、恐らくこの国立大学法人評価委員会につきましても、そういったような形で現にあります独立行政法人評価委員会の例を参考にしながら、関係省庁とも協議して、さらにはまた、社会にも広く意見を求めた上で決めていくということにしよう、こう考えておりますし、また御指摘のように、でき上がった後の運営等につきましては最大限の透明性ということに意を用いていきたい、こう思っております。
山谷委員 中期計画の実施状況なども毎年度公表していただきたいというふうに思うんですけれども、評価によって標準運営費交付金と特定運営費交付金が変わってくる。恐らく特定運営費交付金の方で変えていくんだろうというふうに思いますけれども、これは、いい評価を受けたのとバツの評価を受けたところと何%ぐらい上下させようというふうに今イメージとしてはお考えですか。
遠藤政府参考人 評価結果を運営費交付金の算定にどう反映させるかということにつきましては、今後、国立大学法人評価委員会における検討結果を踏まえまして決めていくということになろうかと思います。
 御指摘のように、運営費交付金は、国立大学として教育研究等を実施する上で最低限必要な経費として算出します標準運営費交付金と、客観的な指標によることが困難で各大学ごとに個別に算定いたします特定運営費交付金の二種類から成るということで、今検討しております。
 そして、特定運営費交付金につきましては、交付金の中で、中期目標、中期計画に即した多面的な評価の結果をもとに、例えば地域貢献活動や国際交流の推進、あるいは教養教育の充実といったような当該大学の教育研究活動を奨励する経費として一定額を付与したいということもある、こう考えられるわけでございますが、それが何%程度かというのは、結果の問題でございまして、ここではちょっと申し上げにくいということがございます。
山谷委員 本当に大学の自由度を高めて、国際競争力を増し、そしてまた若者たち、それからこれから生涯学習の社会でございますので、さまざまな分野でブラッシュアップできるような、サポートができる大学をつくっていかなければいけないというふうに考えております。自己収入の道の拡大とか、それから大学教育予算が日本はGDP比〇・五%と、フランス、ドイツ、アメリカなどの半分でもございますし、やはりもっと予算をかけて、そしてこの独立行政法人化が大学の自由度を非常に高め、創造性あふれる教育研究体制につながるように期待しております。
 時間が参りました。以上でございます。
古屋委員長 平野博文君。
平野委員 民主党の平野博文です。
 久々の質問の機会を得ましたので、この関連法案とそれにかかわる、総論的にはかなり御議論をされておりますが、少し具体論を含めまして御質問をしたいと思っています。
 その前に、国会法の第八章に質問という項目があって、国会議員は議長に対して質問主意書という格好で質問ができ得る、そのことを受けて議長が内閣の方にその質問の趣旨を転送し、しっかりした答えとして閣議決定をして議員に回答するという、いわゆる国会議員に与えられました質問主意書というのがあるわけであります。その件にかかわって、我が党の同僚議員が、昨年でございましたが、大学改革に伴います関連で質問主意書を実は投げかけたわけでございますが、まず冒頭、その件について質問をしたいと思っています。
 具体的なところは事実関係ですから避けますが、国立大学医学部附属病院長会議常置委員会・組織の在り方問題小委員会作業部会Aなる会議のまとめた国立大学法人化に向けての附属病院のマネジメント改革の提言、こういうものがあるわけであります。この提言の中身についての議事録を要求、開示をお願いした、こういうことでありますが、特に、この中身については、予算要求において文科省はこの趣旨に沿う取り組みをする大学に重点を置く、そういう文科省からの通達がされておりまして、事実上、文科省としてはこの提言を非常に重視している、こういうふうに我々は受け取ったわけであります。同僚議員の三井議員も、しからばこの中身はどういう中身なのかということで質問主意書を出したというのが経過だと私は推測をいたしておるところであります。
 ところが、その質問主意書の答えとしては、要求は会議の出席者とその発言内容を明らかにするように、こういう要求でございましたが、政府は、会議の出席者名と議事録については、記録が存在をしないという答弁書を質問主意書の答えとして出したのであります。このことについて、まず事実確認、私が申し上げたことは事実でございますか。
遠藤政府参考人 御指摘のとおりでございます。
平野委員 ところが、もう一つは、時間軸では前後いたしますが、ある大学の教授が情報公開法の請求によって請求されても、そのときにも存在はしない、こういうふうにお答えをされていますが、これも事実でございますか。
遠藤政府参考人 事実でございます。
平野委員 ところが、週刊誌等々を含めて各方面から、そんなことはないだろうといういろいろな御議論がありまして、先日でしたか、これはいつかは私は記憶しておりませんが、三井議員のもとに議事録の要旨が御本人に届けられた、こういうことでございまして、その議事録のメモを少し私持っておりますが、会議に出席した文科省の役人の方々の名前、さらには、記録はしっかりと存在をしている。私は、結果的には政府は虚偽の答弁をしているのではないか。中身の問題は別の問題として、いわゆる国会議員に与えられている、議長の権限まで侵す、立法府に対するきちっとした答弁を虚偽という形で答えておる、このことに対して私は非常に憤りを感じているところでございます。
 このことが発覚してから、内閣府、さらには、きょうは内閣官房にも来ていただいていますが、文科省を含めて、どういう対応を今日までされておられるのか、この点についてお聞きをしたいと思います。
 まず、内閣官房の方からお願いします。
柴田政府参考人 お答え申し上げます。
 質問主意書に対する答弁書でございますけれども、今先生御指摘のとおり、内閣として、閣議を経て国会に提出するものでございますから、誤りがあってはならないものだというふうに認識しております。
 そして、従来から、答弁書の内容につきましては、作成段階から十分に吟味をし、精査した上で提出しているところでございますが、今後も、もし間違いというようなことがあれば、これは、そのようなことがないようにきちっとしていかなければいけないというふうに思っております。
平野委員 そういうことを言っておるんじゃないんですよ。こういう問題が起こったときに、このシステムの、主管的にいったら内閣官房、内閣ですよ。それは担当の文科から出てきたものだから文科の問題であるというふうに内閣は思っていませんか。議長と内閣との間にやりとりされるシステムなんですよ。そこをどう考えているんですか。
柴田政府参考人 お答え申し上げます。
 ただいま申し上げましたように、答弁書は閣議決定を経て出されるものでございますから、当然内閣と立法府の関係だということは私どもも承知しております。
 ですから、一般論でございますが、間違いがあればこれは訂正するという考え方でございます。
平野委員 今、だから事実確認したでしょう、現実のものがありましたと。もともとは、そういうのは存在をしないと。具体的には、現実にありましたということの事実を受けて、内閣官房としては、内閣としてはどうされたのですか。第一義的には、システム上は内閣の責任である、こう思うんですが、それに対して、今後こういうふうにしますとか云々じゃなくて、この事実に対して、どう反省をし、どう行動したのか、ここが私は一番問いたいところであります。時間がたてば忘れられるから、次から気をつけよう、こんな安易なものなのかということを聞きたいのであります。
柴田政府参考人 繰り返しになって恐縮でございますけれども、間違いということが仮にあるのであれば、これは訂正をするということでございます。内閣としても訂正するということでございます。
 そういうことで、その取り扱いについては、きちっとそういうことでやっていきたいというふうに考えております。
平野委員 間違いがあればということですが、今、文科省の局長がそういう事実については認めたわけでありますし、今回、今私が言ったことが初めての認識ですか。
柴田政府参考人 役所の内輪の話にはなりますけれども、私どもが承知したのは、実は、先生の御質問があるということで、昨日、夜でございますが、そういう事実を、正直なところを言いますと、承知しました。
 そういうことでございますから、これを踏まえまして、どうするかということを早急に考えたいというふうに思っております。
平野委員 私、実はきのう、これは大変な、審議官のレベルの問題ではなくて、官房長官を含めて、内閣のゆゆしき問題だ、こういう認識のもとに、官房長官に来てもらいたい、こういう要求をいたしたところであります。
 しかし、私、これを荒立ててどうとかこうとかということじゃなくて、やはり事実を認めたならば、こういう問題が起こったときには、では今後どう対処するんですか、システム的には。
柴田政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、誤りが明らかになった場合には、これは訂正するということが一つ。それから、一般論としても、先ほど申し上げましたように、閣議決定を経て答弁書を提出するわけでございますから、間違いがあってはいけないわけでございまして、これを機会に、改めまして各省庁に、もちろんこれは我々も含めてでございますけれども、答弁書を作成するときは間違いがないように徹底をしたいというふうに考えております。
平野委員 訂正をするということはわかりました。
 また閣議で訂正をするんですか。
柴田政府参考人 お答え申し上げます。
 今、事実と異なる点があったということにつきましては、この委員会の場で、議事録に残る形で明らかになったわけでございますけれども、答弁書の訂正のやり方については、今申し上げましたように、私どももきのうの夜聞いたばかりでございますので、できるだけ早く物事を整理したいというふうに考えております。
平野委員 少なくとも閣議決定されて決めたことですから、その決定が間違っていたということであれば、正しい決定という意味では、これは閣議決定だけじゃないですよ、担当大臣も、事務次官会議にもかかって、それで閣議決定されて、議長に対して返していくわけですよね、立法府に対して。これはやはり、議長に対してもとるべき手段があるでしょうし、その前に、閣議決定を覆すわけですから、再決定をし直さなきゃならないんじゃないでしょうかと思っています。
 初めてきのう、夜、僕、眠いのに宿舎にお電話を何回もちょうだいして恐縮ですけれども、それほど私は、国会議員への答弁というのは、あるいは質問主意書というのは重いものであるということで、今後の対応については、筆頭理事、そのお答えを含めてぜひお願いをしておきたいと思います。
 いま一つは、これはシステム上の問題でありましたが、今度は中身の問題について、私は、これは当然文科省の問題だと思いますから、文科省に聞きたいと思いますが、急いでいたために、十分に、議事録があったということが、存在が確認できなかったのかどうか、その状況はどうですか。
遠藤政府参考人 質問主意書が出まして、それについてお答えするべく調査をしたわけでございますけれども、国立大学附属病院のマネジメント改革を提言した会議への文部科学省からの出席者名、回数、具体的な発言内容ということでの御質問でございましたので、当時の関係者に聞いたところ、文部科学省内には記録は存在せず、当時、議事録はないというようなことであったわけでございます。そういうことで、議事録のたぐいは存在しないと判断をしまして、質問事項に対しまして、御指摘のように、「記録が存在しないため、お答えできない。」という答弁書を作成し、提出をしたわけでございます。
 ところが、平成十五年の四月十七日の週刊新潮に議事録が存在する旨の記事が掲載されたということがございまして、会議の事務局を担当していた九州大学に再照会を行いましたところ、同大学から、会議における正式な議事録はないけれども、会議の内容をテープに録音し、それを起こして作成した発言の記録であれば存在するという回答があったわけでございます。
 この会議では議事録を作成するという取り決めはなく、テープを起こしただけの発言の記録はいわゆる正式な議事録ではないということととらえていたため、議事録はない旨の回答を行ったということでございまして、こういった会議の記録についての認識の不足、あるいは関係者間の意思疎通のまずさによりまして、結果として、質問主意書に対する答弁書の中で誤った答弁を行ってしまったということでございまして、まことに遺憾なことだったということで認識をしておる次第でございます。
平野委員 私、言いたいことは、そんな言いわけみたいなことは聞きたくないので、要は、議事録らしくないメモみたいなもの、テープにとっておりましたということよりも、先ほど言いましたように、予算要求においてこの趣旨に沿う取り組みをする大学に重点を置くという、こんな通達まで文科省が出しているんですよ。出しているということは、その前提になる何かがないと出せないんですよ。
 もっと言えば、こういうことは内々おさめておいて、あくまでもそういう根底にあるのはやはり文科省の隠ぺい体質ですよ。官僚の隠ぺい体質ですよ。これが端的に出たんですよ。それを三井議員が、その提言の中身を知りたい、これからの大学の改革にどんな影響が出るかもわからないから教えてもらいたい、こういう議員としての、議員行動として起こした行動に対して、記録はないと。それで、後で聞いたら、テープは起こしていたので、それをそしゃくして出しますわと。
 そうじゃなくて、その会議で論じられたことを重点的にやるということを文科省が通達を出しているんですよ。いわゆる文科省の肝いりの提言なんですよ。それなのに、記録がない、だれが言ったかもわからない、そんなことは絶対にあり得ないですよ。それを、ないと。忘れていました。忘れていましたとは言いませんわ。僕は、やはり隠ぺいをしている、明らかにそういう体質が文科省にあるのではないか。
 加えて、次の質問。
 では、三井議員がそういうことをされたことに対して、三井議員本人、私は当事者ではありませんが、同じ、同僚の議員ですから、文科にいる委員ですから、かわって言っているんですが、当事者である、国会議員であります三井議員に対して、内閣府なり、内閣府はきのう初めて知ったということですから、まあよろしいわ。文科省はわかったわけですよ。週刊誌で書かれたから、初めて、これはあるでと。国会軽視というふうに、私、映ってならないんですよ。週刊誌に載らなかったら、これはあくまでもまた、ないと言い続けるのか。
 ここの問題を私は強く指摘したいわけでありまして、文科省としては、三井議員御本人に、そういう問題があったということに対してどういうふうに対処しましたか。
遠藤政府参考人 先ほども申し上げましたような経過が判明した時点で、三井先生におわびを申し上げ、そして、三百ページぐらいのものでございますけれども、それをお渡しして、今後どういうお取り扱いをしたらいいかということで、御相談をさせていただいたということでございます。
平野委員 相談をしておると言うけれども、もう五月ですよ。私がこのことを言わなかったら、これまたずっとそのままになっていたんじゃないでしょうか。だれが三井議員にどう対応しましたか。大臣まで判をついて、閣議決定までした話ですよ。だれが三井議員に行かれましたか。
遠藤政府参考人 担当の審議官が二回お伺いさせていただいております。
平野委員 これは、担当の審議官のレベルで処理して、決裁を起こした中身ですか、大臣の責任はないんですか。この点はどうですか。
遠藤政府参考人 事務をお支えする私どもの責任だと思っております。
平野委員 これは事務の問題ではないんだ。国会議員が政治生命をかけてやっている質問主意書なんですよ。それを、事務の問題で、事務の責任で取り扱うんですか。事務の責任もあるでしょう。だけれども、結果責任というものは大臣にないですか。
 私は、その御担当の方は、うっかりして間違ったかもしれません。虚偽ということであれば、これは、調べました、国家公務員法八十二条の懲戒に該当しますよ。そこまで私は言いませんが、事務で起こしましたから事務でやって、大臣に傷をつけないように、そういう体質を文科省は持っておられるんじゃないですか。それはだめですよ。だめなものはだめ、これは大臣として責任をとる、こういう体質でなければ、やはり、政治家が政治責任をとるというのと同じごとく、しっかりと結果に対して責任をとらなければ、人事異動しちゃったから、もう担当者がいませんからわかりません、しかし大臣は厳然として文科省の看板を背負って頑張っておられるわけですから、その大臣がそれなりの責任をとるべきだと僕は思いますが、どういう御責任をとっていただけますか。
遠山国務大臣 私は、質問主意書に対する答弁書といいますものは、閣議決定を行いました上で、内閣から国会に提出されているものでございまして、内閣の公式見解として極めて重要なものだと考えておりまして、これは誤りがあってはならないものと認識をいたしております。したがいまして、常に、閣議にかける前には、その質問主意書に対する答弁の内容をしっかり聞いております。この件につきましても聞きまして、そして内閣において、閣議に提出され、そして閣議で私も決裁をいたしました。したがいまして、この問題について、私は責任がございます。
 この件について、少し調べてもらいました。私も夕べ聞いたところでございますけれども、三井辨雄議員の質問主意書に対する答弁書を作成する際に、調査が不十分であった、それからまた議事録というものについての認識の錯誤があったということはございますけれども、結果的に答弁書に間違った内容を記載したということはまことに遺憾でございまして、三井議員を初めといたしまして、国会、内閣等、関係の方々に、私からおわびを申し上げます。
 今後、このようなことがないよう、職員に対して指導を徹底してまいりたいと考えます。
平野委員 私は当事者でありませんからこれ以上言及しませんが、ぜひ大臣の方から、三井議員に対しまして、しっかりとこの事のてんまつはつけてもらいたいというふうに思いますし、内閣官房、内閣においても、質問主意書という、セレモニーになっているんじゃないか、したがって権威あるものとして、ここまですさんできたかと思うと、私はがっかりしているんですよ。これを……(発言する者あり)内閣不信任案かどうかは別にして。
 私は、そういう意味で、私も過去は何回かありました、こういう問題。私の場合は、もう過去をほじくり返すつもりはないですが、ミスプリです、誤記ですというやり方で変えられた。何だと。これは私はもう怒りましたよ。そんなものか、印刷ミスで、間違いましたという訂正をするのかと。
 間違いもあるでしょう。あるんだったらあるで、しっかりした間違いの訂正のシステムをきちっとつくってもらいたい。今ないんですよ、間違わないという前提に立っているから。間違ったときはどうするかというシステムをしっかり起こしておいてもらわなければ、同じように、今遠山大臣が謝罪されましたように、済みませんでした、以後気をつけます、こんなてんまつじゃ、本来の中身の、本質論まで解決になったことにならないと私は思いますから、ぜひよろしくお願いをしておきたいと思います。
 さて、こればかりやるわけにいきません。本来のところに入りたいと思いますが、今までかなりの方々が、総論的な御質問を含めて、基本論から入っておられますが、私もどうしても理解できないところがあります。
 今回、行政改革の一連の中で、独立行政法人化、こういう流れで来ています。文科省の管轄でいくと、大学については独立行政法人化ではなくて法人化である、こういう流れで来ておるように思うのですが、二十一世紀の日本において、本当に国策大学、いわゆる国立大学というのは必要ないのでしょうか。
 明治以来、国立大学校、国立大学を起こして、今日までの日本の教育あるいは将来的な基礎研究を含めて大学が担ってきたということは、ある意味で私は大きな成果だったと思うんです。ただし、弊害もあると思います。弊害をなくして、より活力を持たせていくということの考え方には、私は賛同いたしますが、百近くある国立大学を全部横並びで全面的に独法化だと。そうすると、国立大学、いわゆる国策大学の役割というのは一体何だったのかということが素直に疑問に思えてなりません。改めてこの点だけ聞かせてもらいたいと思います。
 国策大学は本当に要らないのか。全部要るとは思いません。一つでも二つでも、国策大学、こういう目的のために税金を使い、国が関与してやるんだという大学は必要ないんですか。何で全部横並びにするんですか。護送船団方式ですよ、これは。小泉内閣が行政改革だ、こういうことで、遠山大臣も抵抗しておったけれども、負けたんじゃないでしょうか。なぜ国策大学として必要ないのかということに対して御質問いたしますから、お答えください。
遠山国務大臣 国策大学という御趣旨がどういう意味であるのか、これは相当議論した上でないと可否について正確には答えられないと思いますけれども、一国の知の未来を担う大学というものが、私は、それぞれの大学が特色を持ちながら、個性を発揮し、そして最大限その持てる潜在力を発揮してもらう、そのためにいろいろな形で整備をしていくというのは国の役割だと思っております。
 これまでの国立大学の役割は、では一体何であったかといえば、三つほどあると思います。一つは、国にとって一番大事な基礎である基礎研究ないし学術研究の進展を図り、そしてよき研究者を養成するというのが第一点でございます。それが二十一世紀に必要とされる知を実質化し、そして高度のものにしていく一番の基礎であるわけでございますが、同時に必要なものは、国にとってあるいは社会にとって必要な人材を養成していくということでございまして、だから教育の機能は非常に大事であるわけでございます。その意味で、国立大学におきましては、理工系の学部の充実等を通じまして、本当に社会のニーズが出てきたときに、ある意味では国策という角度から充実をしてまいったと思います。
 同時に、地域のいろいろなニーズにもこたえていく必要があるということで、地域に貢献するという角度から、それぞれの地域にバランスよく配置して、そして学生たちに教育の機会を与える、あるいは地域の企業と地域社会全体に対して貢献をしていく、そういう役割があると思いますし、私は、この点では、これから法人化をしても国立大学の役割というものは厳然とあるというふうに考えております。
 そうした角度から考えますと、私は、一つ、二つだけ選んで国策大学というふうに考えていくよりは、これまでそれぞれの歴史を持ち、そしてそれぞれの発展形態を持って今日まで至っている、そこにはさまざまな集積があると思います。それらを大事にしながら、本当にもっと活性化していくためにどうしたらいいかという角度で考えていくのがこれからの大学政策ではないかと思っておりまして、その意味におきまして、この法人化というのは意義があるというふうに考えております。
平野委員 やはり私、物事を起こしていく、あるいは変えていくときには理念がないといけないと思うんですね。今回の流れを見ていますと、みんな横並びで、理念があるように私は思わないんです。来年四月からだから早く、それに間に合わすために何か後追いで法整備をしているというふうに思えてならない。もっとしっかりした国立大学、でないと、今日までの国立大学というのは一体何だったんだろうかということが、参考人の御意見にもありましたけれども、私はやはりしっかりした理念を持つべきだと。百近くあって全部独法化だ。東京大学だとは言いませんが、少なくとも一つぐらい、これはやはり直接国立大学として残してやってみる。
 あるいは、独法化に対する、法人化に対する不安がいっぱい御質問の中にあります。では、一つか二つ独立行政法人化のようなシステムでの大学、学校法人をつくろうじゃないか。特区ということをよく言うじゃないですか、小泉内閣は。特区的立場でまず独法化してみて、よかったら多くへ広げていこう、こういう発想に今あるのに、これだけは全部横並びでいく、これは何かやり方が違っていませんかと。
 まして、私は、一つや二つ国立大学があって、将来の国を担っていく、そんな仕組みの中に、大学機能があって、高等教育機関があっていい、そういう持論者ですからそう願うところでありますが、焦って、準備万端できないのに決められたから後追いでやっているというのが、現場の声を含めて実態であろうというふうに私は思えてなりません。
 そこで、具体的なところを質問したいと思います。
 特に法人化になっていきますと、理工科系を中心に大学の研究室とか研究施設、実験施設等々を含めて、いろいろな薬品、危険なもの、あるいは人体に有害なもの、いろいろなものが施設の中にあるわけでありますが、労働安全衛生法の問題から見ても、これに対する取り扱い、あるいは職員に対する危害、あるいは部屋の構造とか消火施設とかいろいろな意味で労働安全対策上の問題として対処をしておかなければならないわけであります。
 私立大学はそういう意味での対処は法に照らしてしているところでありますが、国の施設でやる国立大学においては、法律が適用除外であるように私は聞いています。しかし、これが法人化になっていったときに適用除外のままでいいはずがありませんから、当然それに対する施設改善並びにそれに対する対処をした上で初めて施設が学校法人としての施設になっていくわけでありますが、文部科学省は、そういう安全衛生という視点で見たときに、各大学十分に今の状態でいけるのか、いけなければこういう処置をする、こういうところについての現状認識はどこまで把握されておるのでしょうか。
萩原政府参考人 労働安全衛生法対応についてお答えいたします。
 今現在は、委員がおっしゃったように、国立大学におきましては人事院規則に基づいて安全衛生管理を行っております。今度、国立大学等が法人化されますと、同規則にかわりまして労働安全衛生法が適用されることになりまして、当該法令に適用していく必要があるということで、十分認識しております。
 文部科学省におきましては、労働安全衛生法適用への移行が円滑に進められますように、昨年十二月に通知を出しました。「実験施設等の安全管理の徹底について」ということでございます。これまでも人事院規則に基づいて安全管理がなされていたわけでございますが、より一層の徹底を図っていただきたいという通知でございます。
 その中身でありますが、大きく三つありまして……(平野委員「中身はいいです」と呼ぶ)よろしいですか。
 それから、そういった徹底を図るとともに、その対応をしていかなければいけないわけでございます。それに対する経費といたしまして、予算的な措置でございますが、各種、大学等が持っておりますその経費を含めまして、また、文部科学省としましては、今施設において国立大学等施設整備緊急五カ年計画というのを進めておりまして、今年度三年目でございますが、その中にも既存施設の老朽改善対策費というのがございます。その一環として推進していくということで、平成十四年度補正及び十五年度当初予算で合計二千六百億、これはほかの整備費も入れた総額ですが、二千六百億円の予算を確保しているところでございます。
平野委員 要は、来年の四月一日までに十分にそういう改善ができ得ると認識をしておられるというふうに思いますが、そういう認識でよろしいですか。一言でいいですよ。
萩原政府参考人 そのつもりで対応していくことにしております。
平野委員 そのつもりという言い方は、つもらなかったら先に越すということになるが、その今のお答えはちょっといかがなものかなと思います。
 ただ、私気になりましたのは、そういう決意でぜひやらなければならない、違法になるわけですからね。ところが、五月の七日に、各学校代表者に、国立大学法人化特別委員会委員長、石学長さんですが、学長さんの名のもとにどういう通達をしているか。法人への移行過程における事項で、労働基準法に基づく届け出義務に関する運用上の配慮、労働安全衛生法の適用に関する運用上の配慮、法人化に伴う各関係省庁への附属病院の開設承認再申請等の運用上の配慮。これは、来年の四月に十分間に合わない事項があるというふうに考えるから、どういう費目は運用上配慮してもらいたいかということのアンケートをとっておるじゃないですか。Eメールにより五月十五日午後五時必着で国大協事務局に回答してくださいと。
 このことを見ますと、今の御答弁にあるように、来年の四月までに間に合うつもり、つもりの中のつもりはこういうことで、どうしても間に合わないから配慮してくれと来たときには配慮をしようという仕組みをもって、対処でき得るデータを今整備しているんじゃないでしょうか。この点が私は非常に疑義に思います。この点はどうです。
萩原政府参考人 お答えします。
 委員御指摘のそのアンケートですが、申しわけありませんが、私、今の時点ではそのアンケートについて把握しておりません。
 ただ、先ほどの十二月の通知に基づいて大学が着々と調査、準備をしているというふうに聞いておりますし、文部科学省といたしましては、緊急に対応すべきものは今年度中に対応するよう、実施するよう指導するとともに、関係省庁とも緊密な連絡をとりまして、法人への移行がスムーズに行われるように国立大学等を支援していきたい、このように考えております。
平野委員 そこで、きょう厚生労働省に、石さんじゃなくて大石さんに来ていただいています。この法を所管する厚生労働省にお伺いしたいんですが、人命にかかわるこの安全衛生等々、この法律は、適用を免除されるような法律なのですか。まず、その根幹だけ聞かせてください。
大石政府参考人 労働安全衛生法が適用になれば、免除ということは、何らかの法定事項がない限りはそういうことはないということでございます。
平野委員 罰則規定、これは懲役六カ月以下というのがあるんですね。仮に、仮のことを言ったら答えられませんという答えをよく官僚の方はされますが、仮に、これは全国的に、国立大学の理工学部とかそういう施設のあるところで大量の違法状態が発生した場合、厚生労働省としてはどう対処するんですか。
大石政府参考人 労働安全衛生法の趣旨というものが、やはりそこに働く労働者の安全、健康を守る、こういう趣旨でございますので、そういう趣旨に一番沿う形で適切に対処してまいりたい、こんなふうに思っております。
平野委員 私の予測で恐縮ですが、絶対に一〇〇%いけるはずがないと僕は思います。必ず違法状態がどこかで起こっていくと思うんですね。これは、我々としても、そこに働いておられる方々の問題を含めて注視をしなきゃならないとまず警鐘を鳴らしておきたいと思います。厚生労働省も、そういうことが起こり得るシチュエーションに今あると私は言っておきますから、よく見ておってくださいね。一緒にしたら共同正犯ですよ。
 それで、それに絡んで、労働基準法八十九条によれば、使用者は就業規則を行政官庁に届け出をしないといけない。また、就業規則の作成については、働いている人の代表者、これは労働組合と言ってもいいと思うんですが、意見を聞かなければならないということですから、これは、法人化した後の大学は当然そういう状態になるのですが、今、法人化していったときに、だれとその協議をするのでしょうか。
玉井政府参考人 お答えを申し上げます。
 国立大学法人化後は、御指摘のとおり労働基準法等が適用されるわけでございまして、したがって、勤務時間や給与等に関する事項を規定した就業規則を作成し、これを所轄の労働基準監督署に届け出ます。したがって、法人化に向けた準備というものが大変重要になってくる、こういうふうに考えております。
 これからさらに具体的になってくるわけでございますけれども、具体的な手順としては、各国立大学があらかじめ就業規則をどういうものにするかと考えていく必要があるわけでございます。その規則を考えて案をつくっていく際には、まだ法人化されておりませんので、したがって、職員の過半数で組織する職員団体がある場合にはその職員団体の意見を聞く、あるいは、過半数で組織する職員団体がない場合には、職員の過半数を代表する者の意見を聞くなどの移行準備を行う必要があると考えておりまして、法人移行時に就業規則を作成し、職員等からの意見を記した書面を添付して所轄労働基準監督署に届け出るということになります。
 それから、今のは就業規則だけですけれども、そのほか、労基法三十六条に基づきます時間外給付金などのいわゆる書面協定、こういうものも同様の準備が必要でございます。
 さらには、法人化になりますと、給与や労働条件につきましては、法人化移行後は労働組合法に基づきます、労働者側の求めによって労使交渉に及ぶということも当然あり得るわけでございます。そういたしますと、法人化移行前にあらかじめ職員団体に、ありましたら、その内容等を説明し理解を得るということもやはり一つの準備作業かというふうに考えておりまして、各大学、今、民間なり私学の就業規則をそれぞれ見ながらいろいろな準備をしているところでございます。
 なお、先ほど若干労働安全衛生法の御指摘がございました。先ほど施設の面でのお話でございましたけれども、人事管理も含めて労働安全衛生ということはきちんと適用していかねばなりませんので、その指導を行っておりますし、準備を進めているわけでございます。その間において、細かい運用面についての若干の調整もそれぞれ必要になってまいりますので、そういったところも、厚生労働省の方にもいろいろ御意見を伺いながら、また私どもとしてきちんとした対応をしていきたい、かように考えているわけでございます。
平野委員 過半数を組織化している労働組合というのは、今、調べていきますと、ほとんどない。そうすると、就業規則とかいろいろなことを、意見を聞く、協議をする、こういう団体というのは存在しないんだけれども、設立する当初だから、それは聞かなくても、届け出を労基へ届けたらいいんですか。
玉井政府参考人 お答え申し上げます。
 先ほど私の説明、若干聞き取りにくかったのかもしれませんけれども、過半数を占める職員団体がない場合には、過半数でない場合には、職員の過半数を代表する者の意見を聞いていただく、そしてそういう準備をしておくということになろうかと思っております。そういう意味での内部でのきちんとした準備を今進めているところというふうに御理解いただきたいと思います。
平野委員 いずれにしましても、急速に、来年四月と後ろを切られている、そのことだけを前提にいろいろな処理をしていっていますから、いろいろな現場の問題というのが十分に反映されてやられるということが非常に難しいんじゃないかなと思うんです。特に労働安全衛生という視点は非常に大事な視点であります。
 このことを考えますと、これに対する費用も相当かかります。先ほど、国立大学施設五カ年計画というお話がありましたが、これは、来年四月になったらこの問題というのはなくなるんでしょう、国立大学というのはなくなるんだから。そんな、五カ年計画のその予算は、それだけはまた五カ年計画はあるんですわなんということはあり得ないわけですよ。したがって、ことしの予算書を見ましても、そういう視点での予算組みはない、こういうふうに思えますし、ただ単に何億とかいうレベルでなくて、何百億というレベルの問題だと私は思うんですね。こんなことを、今やっておらずして、本当に来年の四月までにでき上がるものなのか。
 きっと担当の皆様方は、移行期間だから猶予してもらったらいいだろうという、官庁の横並びの共同作業で、いや、まあまあいいよと、こんなことでやろうとはよもやしていないでしょうね。絶対にこれは許されるべきことではないと思いますから、その点もう一度だけ、そんなことは絶対ありませんと、つもりじゃなくて、ありませんと言ってくれますか。
萩原政府参考人 安全については重要だと考えておりまして、今年度中に緊急に対応すべきものは対処するようにしていきたい、このように考えております。
平野委員 それは、すべきものはという、猶予されるものはいいということにも聞こえますが、猶予しちゃだめですよ、いいですね。答えは要りません。
 それと、もう時間が来ましたが、最後に、事務職員の問題であります。
 事務職員さん、大体二千名ぐらいおられるというふうに聞いていますし、課長級の方で平成十五年四月一日で六百四十一名おられる、こうあるわけですが、この事務職員さんの人事権、任命権、採用権、ローテーション、この問題については、大学の学長に、その大学にすべて権限が移譲されているというふうに私は思うのですが、間違いございませんか。
河村副大臣 委員御指摘のとおり、学長に移行される、こういうことであります。
平野委員 ということは、他の大学へのローテーションということはあり得ないのですね。
河村副大臣 この点については、各大学側もいろいろ研究をされておるようでございまして、本人の希望も聞きながら、適切な異動が図られるように、文部科学省としても、当初、スタートのときでございますから、関係者とも十分相談をしながらこの問題については対応してまいりたい。もちろん、第一義的には学長の人事権というのが前提になることは当然のことでございます。
平野委員 これはもっと深く聞きたいんですが、ちょっと時間がありません。
 最後に、あと一点だけ。
 国立大学の資産という視点と、財務・経営センターというまた変な組織ができ上がりますが、資産を移転するということに当然なりますね、別法人になるんですから。これは国有財産を移していくということになるんですが、すべての、今持っておられるものを全部自動的にその法人に移していかれるのか。ある意味では、今までは国の財産ということでありますが、一たん国の財産に戻して、それを無償で使わすとか、視点は、今あるものを全部この時点で、四月一日で法人に移すのか、こういう視点。
 もう一つは、産業特会から出ておる、社会資本整備勘定から、平成十三年度でございましたか、補正予算で、NTTの株の売却益から繰り入れをしておるんですが、これについては、そういう繰り入れだからということで、移行時に大学の債務として残る。
 たまたま十三年度はNTTの株を売った、そこから来ているから債務になって、今までは全然それはないんですよね、財投から来ておる部分については。たまたま十三年度のお金がないからNTT株を売ったからということで、これは債務として移行するのか。何か場当たり的な処理をしているような気がしてならないんですが、最後に、財政について、資産についてはどんなお考えかをお聞きして、質問を終えたいと思います。
玉井政府参考人 お答えを申し上げます。
 国立大学法人への移行に当たりまして、各国立大学、現在の国有財産は大変膨大な国有財産があるわけでございます。これらの資産のうちに、現に各大学が利用に供しているものなどを、各国立大学法人の業務の実施に必要なものを承継する。
 ですから、例えば、全く未利用である、利用計画も全くないというものは、これは国有財産として残るわけでございますけれども、現に大学として使用している、こういうものについては、ほとんどになりますけれども、それぞれの国立大学法人に承継するということでございます。ただ、具体的な資産、これからさらに細部を詰めねばなりませんので、今後関係省庁と具体に協議をしていくという形になるわけでございます。
 それから、先ほどの御指摘の中で、十三年度の二次補正予算財源となった産業投資特別会計社会資本整備勘定の繰り入れのものでございますが、これは約三千四百億円ございます。これらにつきましては、今回、関係の国立大学法人に承継することとしております。
 そもそも、施設の整備につきましては、病院の整備、あるいは老朽、狭隘化で特に整備せねばならないもの、こういったものについて、従来から、今の国立学校特会の中では、財投資金を活用しながら、確実な償還があるという前提で、それを施設費として使ってきているわけでございます。
 そういういわば施設の整備で、しかも目的がはっきりしているというものについて、これはやはり、今まで特会全体でやっておりましたけれども、もともとをただせば各国立大学の施設の整備でございます。したがって、その債務については、やはり基本的に、今申し上げた産業特会については各国立大学、それから病院整備にかかわる債務については、財務・経営センターに一括して承継させますけれども、それは関係の国立大学法人、すなわち病院を持って、病院収入で返していくということがあるわけでございますので、同センターに対し一定の債務を負担するということでございます。
 あと、若干残っている特別施設整備については、これは財務センター自身が承継をする、こういう仕組みをとろうというふうにしているわけであります。
平野委員 もう終えますが、今言われたけれども、確実に償還できるという表現を病院の施設で使いましたが、病院、全部真っ赤ですよ、赤字ですよ。償還なんかできないんですよ。できないのにもかかわらずそういう言い方をしているというところに大きな課題があると思います。要は、いずれにしても、拙速で動かしますと大きな目標を見失うことになりますから、慎重に課題を整理してやっていただきたい、このことだけ申し上げて、終わります。
 ありがとうございました。
古屋委員長 藤村修君。
藤村委員 民主党の藤村修でございます。
 国立大学法人法案外五法につきまして、私自身は二度目のこの国会での質問をさせていただきます。
 前回は、主にお金の面、財政の面というところから質問したわけですが、きょうは、法人法案については、特に人あるいは組織、そういう切り口で質問したいと思います。
 その前に、冒頭、私ども民主党の方では、きょうまでの議論も通して、方向としては、今までの文部科学省の中の機関から外へ出し、そして法人化をする、独立をさせる、つまりそのコンセプトはよしということで考えておりましたが、詰めていく中で、やはり非常に基本的なところで修正が必要ではないかということで、修正案を、少し手おくれになっているかもしれませんが、きょうの午後にでも本委員会に提出させていただきたいと考えております。ですから、まだ正式に提出されたものではございませんが、事前に修正案要綱ということで、一応お目通しをいただいているかと存じます。
 その中で、特にこの点だけ冒頭お伺いしたいんです。
 私ども、幾つかの修正項目を出しておりますが、何より重要なポイントというのは、きょうまでの審議の中で、遠山文科大臣も何度もいろいろな形でお答えいただいたと思うんです。つまり、一般の独立行政法人にするのではなくて、だから国立大学法人なんだ、そういう基本的なお考えを何度かおっしゃっていると思います。
 一般の独立行政法人というのは行政改革の一環の中で行われてきた、特に、それは今までの政府、国が政策立案の部分とかあるいはそれを実施する部分とかごちゃまぜで持っていた、そこを切り離して、政策の企画立案機能それから実施機能の分離ということが主な課題であったわけですね。だからこそ、今回の国立大学法人はそういう観点ではないんですと、文科省から何度かいただいたペーパーでも、わざわざ国立大学法人とはという説明の中に、括弧書きで、独立行政法人通則法に規定する独立行政法人ではない、こう書かれて説明がされている。
 ですから、私は、そのとおりやっていただければよかったんですが、一番重要な、きょうの最初の方の委員会でのやりとりもございましたが、目標を立てるのはだれかというんですね。これがまさに政策の企画立案になるわけです。企画立案は、この法律を見る限り文部科学大臣である、策定すると書いてあります。となると、それを示し、つまりその目標を示し、示された大学法人はそれに基づいて仕事をするわけで、まさに、独立行政法人の企画立案機能と実施機能の分離という基本的な考え方に沿っているじゃないですか。これでは、これは一番中心のところですが、国立大学法人は独立行政法人ではないんだと言いながら、一番大事な中心部分は法律的にそのとおりになっている。
 説明を伺いますと、あるいは法律の中にも配慮やら何やらいろいろあります。実態は、そんなの、八十九の国立大学のそれぞれの中期目標などを文科省の、さっきの山谷質問では、高等教育局の二十人か三十人の方々でできるわけがないので、それはもう全部法人がそれぞれ大半を作成されて、調整をして、形式上、文科大臣が策定すると法律にはなっています。
 先ほどの遠山大臣の答弁は、文科大臣がそれぞれの法人のまさに企画立案を全部しようなどとは考えてもいないとおっしゃいました。今、お考えはそのとおりだと思います。しかし、法律に書くわけです。法律に書いたら、それは将来に残ります。大臣はかわっていきます。法律に書かれていることが残っていくわけであって、我々は、そこを変えるべきだ、つまり中期目標の作成主体、これが文部科学大臣となっているのを国立大学法人にすべきだ、こういう修正を提案したいと思っております。
 この点、修正に乗りますか。
遠山国務大臣 るる御説明してまいりましたように、今回の国立大学法人化のねらいは大学の活性化ということであり、それを達成するために、一般の独立行政法人に課しているさまざまな桎梏を大学の特性にかんがみてできるだけ取り除きながら、しかし最終的に国立大学を維持していくのに必要な財政措置、これは国費をもって充てるわけでございまして、中期目標を定め、それに基づいて計画を立て、そしてそのことを達成させていくということが国の役割であるわけでございます。
 そのことを考えますと、お気持ちは大変よくわかるわけでございますけれども、私どもといたしましては、その修正案の考え方では、高等教育の全体のあり方あるいは財政上の観点などを踏まえました文部科学大臣の関与の場を失わせるものでございます。
 ただ、これは関与といいますよりは、むしろ責任であるわけでございます。中期目標をみずからの責任において認めるといいますか定めるということは、それに乗っかってその大学がしっかり六年間やってくれるということについて国は責任を負うわけでございます。そういうかかわりというものを失わせるものでございまして、国立大学に対する国の責任ある対応という観点からは疑問であるというふうに私は考えるわけでございます。
 そして、それを担保するためにさまざまな配慮義務ということを明記いたしておりますし、意見を聞くことはもちろんのこと、国立大学の教育研究上の特性を十分考えるということは法律上明記されているわけでございます。また、立法当初における私どもの考え方というものは、今後の運用においてしっかりと保持されるべきものと考えております。
藤村委員 お気持ちはわかると言っていただいたんですが、つまり、本当に実態を踏まえて、過去の経緯を踏まえれば、目指しているところは一緒なんですよね。法律にどう書くか、そこのほんのちょっとした違いです。
 実態的には、中期目標を文部科学大臣が、八十九のそれぞれの法人についてまず作成できるわけないですよね。みんな、それぞれがつくってくる、それを文科省、お役所とよく打ち合わせながら、若干の修正もしていく。さっきの話では、むしろ、ああせいこうせいと言われている方が多いということもありましたが、それは構わないと私は思うんですよ、その作業は。ただ、法律でどっちがつくるかというときに、これは大きな違い。しきりに、独立行政法人とは違うんですとおっしゃっている中心はそこではないかと私は思うんですよ。
 つまり、独立行政法人というのは、企画立案部門は国でやるんです。それを実施する機関を分離、独立法人にするということが独立行政法人であった。ところが、中期目標をつくるというのはまさに企画立案で、これは、ここで文科大臣が抱えると、やはり単なる独立行政法人じゃないですか。違うんです、違うんですと言っているけれども、一番の根幹は独立行政法人だ。
 文科省は当初、独立行政法人なら国立大学を法人化しないという考え方。まさにこれは、多分、財務当局とかその他の役所とのせめぎ合いの中で妥協をされて、そのかわり、配慮規定などを法に盛り込んだと私は思わざるを得ないのです、ほとんど変わらないんですが、本当に書き方のそこが。
 やはり、この自由主義世界の中で、一つの法人の目標を、つまりそこの企画立案能力をすべて役所が持って、監督官庁が持って、それを実施しなさい、計画は自分でつくりなさいというのは、これはいわゆるきょうまでの独立行政法人じゃないですか。一番の根幹のところで国立大学法人は独立行政法人でないかという私の主張に対して、反論していただければ結構だと思います。
遠山国務大臣 ここは非常に大事なポイントだと私は思います。
 国立大学が、法人化しても国立大学であり続け、そして国の財政措置を受けるという体系であるならば、これは、中期目標を仮に大学が定めるというふうに法文がなったとしたら、国による財源措置の根拠は薄弱になるわけでございまして、制度全体の前提が崩れることになるというふうに私は思います。
 大事なことは、国立大学が本当に活性化をして、国民の期待する教育研究、社会貢献というものをしっかりやっていただく。そういうねらいのもとに、それぞれの大学が特色を出して、中期目標の原案をつくるわけですね。それらを勘案して、もちろんそれを十分に尊重し、配慮して定めていくという現在の御提案しております法律案といいますものは、そうしたそれぞれの大学の取り組みというものを国としても責任を持ってしっかりと支えるということでございまして、仮に、それぞれの大学が、夢を描いたまま、膨大なものを中期目標とした場合に、これを国として、国民の税金を使いながら支えるということができるかということになってまいると思います。
 そういうさまざまなことを考えまして検討した上で、今回の法案になっているわけでございまして、これは非常に大事なところでございます。ぜひとも十分に、それこそ御勘案、御配慮をいただきたいと存じます。
藤村委員 ですから、そこが閣法と私たちの考え方の違いの基本で、これを修正案としてきょうの午後にでも提出をさせていただいて、十分御勘案いただきたいと思います。
 つまり、独立行政法人ではないんだと言っていて、今もおっしゃる中心の、あるいは一番大事な部分を、他の独立行政法人もそうですね、企画立案は国に残して、実施機関としての法人をつくらせて、これが独立行政法人。今回も、実態はそうはいっていないと思いますし、私は実態はそれなりに認めますけれども、法文上はやはり文科大臣が目標を策定する。そこの根拠が、今何度かおっしゃっているように、私も、それは前回言いましたが、国がそれだけのお金を出すからには国の関与は必要だ、そう考えております。
 その関与の仕方の問題で、中期目標は法人が作成しても、まさに、金を出すための許可をする、認可をするのは国だ、そういうとらえ方ができると思います。法人が百の目標を掲げて、そのうちの八十は国が認める、その八十の部分に金を出すというやり方は十分考えられると思うんですね。
 つまり、法人というのは、法的に人格を持った一人一人の人であります。その人の将来、六年間、どうしたい、ああしたいということを、他人の国が決めて、そのとおりやる計画をつくれというこの仕組み自体に、非常に大きな、中心的な欠陥があるので、ここの部分を私ども民主党は修正案を提出させていただく、こういうことで、これは十分に御勘案いただければ結構だと思います。
 そこで、もうちょっと具体的に、きょうは、人と組織という面で質問をしたいと思います。
 今回組織がなかなか複雑なようで、簡単に言ってしまうと、きょうまで何回か説明されているのを聞く範囲で、役員会というのは、この法人の意思決定の最高機関というとらえ方であろうと思います。
 それから、その役員会に対していろいろ審議をするのが、一つは経営協議会で、これは経営に関することを審議する。でも、これは決議機関ではないから、ここで審議したものを、最終は役員会の議を経るということになっています。
 それから、いわゆる教学、教育研究面においては、教育研究評議会というものが構成されて、しかしこれも、ここが審議をする、これが最終的には役員会の議を経て決定になる。こういう仕組みであろうと思います。つまり、経営面も教育研究面も、それぞれの機関があって審議はする。しかし、決定は役員会でやる。
 ここで、私、教授会はどこにどうなるのかなということを考えるときに、きょうまでいろいろな資料をいただいたり、いろいろな説明をしていただく中で、教授会の位置づけが、今回非常に漠としてわからないんですね。少なくとも教授会がなくなるとは考えられませんし、国立大学法人における今後の教授会の役割について、少し整理して答弁をいただきたいと思います。
河村副大臣 今回の国立大学法人の制度設計でございますけれども、大学の長である学長と、同時に法人の長も一体的に位置づけるということで、大学と法人をいわば一体的なものに位置づけているということ、こういう整理をいたしておるわけでございます。私立大学では、法人と大学というのは完全に別のものでありますが、これを一体で考えている。
 教授会のあり方でございますが、教授会はあくまでも学部等の教育研究の重要事項について審議を行うための機関であるのに対して、役員会は、大学運営上の重要事項に関して学長の意思決定に先立って議決を行うための機関、こう位置づけておるわけでございます。最終的に意思決定を行う学長と教授会の関係というのは今の大学と変わりないわけでございまして、教授会と役員会というのは、その性格、機能が明確に異なっているというふうに考えていただきたいと思うわけでございます。
 そういう意味で、藤村委員、恐らく懸念をされておると思うのでありますが、いわゆる教授会と役員会が対立をするようなケース等々については、こういう形で比較される心配はないのではないかと私は思っております。いわゆる各学部の重要事項を教授会において協議をする。さらに、経営協議会というものが全体に対応して設置をされているということでありますから、教授会の位置づけというものは、先ほど申し上げましたように、あくまでも学部等の教育研究の重要事項について審議を行うという形で教授会の位置づけがなされておる、このように考えておるわけであります。
藤村委員 今のお答えは、今までとそれほど変わりない、学部における教育研究の重要な事項の審議はやはり教授会でやるというと、では、今回の教育研究評議会というのがその上にある、図式でいうとそうなるんでしょうか。
    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕
遠山国務大臣 基本的な考え方は副大臣からお答えしたとおりでございますが、少し教授会というものについて御説明いたします。
 学校教育法上で教授会について書いてあるわけでございますね。これは、法人化後の国立大学についても当然適用されるわけでございます。他方で、法人化後の大学運営につきましては、経営に関する事項についての社会との間の意思疎通、それから教育研究に関する事項についての学内の合意形成とのバランスを確保するという観点から、経営協議会と教育研究評議会の二つの審議機関を置いて、これらの審議事項を踏まえて、事柄によっては役員会の議決を経て学長が最終的な意思決定を行う。
 それでは、学校教育法上の役割を持っている教授会というのはどういうことになるのかということでございますが、その点につきましては、各学部等の教育研究に関する重要事項を審議する機関であるということについては変わりはないわけでございますが、全学的なことについては評議会がやってくれるわけでございます。
 したがいまして、審議事項を真に学部などの教育研究に関する重要事項に精選するということが大事だと思っております。それによって、教育研究活動以外の教員の負担、これは非常に大きいわけですね、長い教授会をやったりとさまざまな負担があるわけでございますが、教授会をむしろ教育研究に関する重要事項に絞ってそれぞれの学部の範囲内におけるものをやっていただいて、そしてそういう教員の負担をできるだけ軽くして本来の仕事に専念していただく、そういう関係になるというふうに考えます。
藤村委員 ですから、もう一つは経営協議会というのもあるので、今までは、教授会が学部の教育研究面だけでなしにさまざまな庶務を、細かいことまでやっていた、そういうものはもう全部楽にしてあげる、あるいは教育研究面でも精選して、できるだけ教授たちにもっと教育や研究に専念してもらうために少し軽くなりますよと。しかし、基本的に位置づけというか、今までの教授会は、学教法五十九条で定められている必置会ですから、ちゃんと役割はございます、こういう答弁だというふうに伺ったんですが、それでよろしいんですね。
 いま一つ、大臣の答弁の中に、教育研究評議会も経営協議会も役員会も、学長の審議会という言葉を使われました、諮問したり。ところが、この法案の中では、経営協議会も議長は学長ですよね。それから教育研究評議会も議長は学長であります。文部科学大臣が諮問して、答申する中央教育審議会の会長を文部科学大臣がやっているようなものですよね。これは審議会とは言わなくて、三つの会はいずれも学長の傘下ですよ。ですから、まさに学長のリーダーシップが強い。これは相当部分評価しますが、ちょっとこれでは審議会にならないんじゃないか、今審議会という言葉をお使いになったからそういうふうに聞くんですけれども。
遠山国務大臣 ちょっと日本語の発音が悪くて済みませんでした。
 審議会ではなくて審議機関でございます。
藤村委員 機関としての長が学長で、役員会の長は学長ですね。法律には役員会の記述がちょっとないんですけれどもね。役員は規定されているんですが、役員会は学長ほか理事です、監事も入りますか。役員会の長は学長という理解でいいんですよね、これは。となると、役員会の長も学長、それから経営協議会の議長も学長、教育研究評議会の議長も学長、一人の人が全部やっているわけで、これはチェック・アンド・バランスがないじゃないですか。
遠藤政府参考人 大学におきましては、学長が、経営面あるいは教育研究面の双方につきまして最終的な責任を有しておるということでございますので、その責任を十分果たすような組織にするということで、経営協議会、教育研究評議会、その点につきまして、トータルとしては国立大学法人の組織でございますから、国立大学法人が一個の組織体として円滑に展開し得るようにするということで、学長が双方の議長としてその議事の整理を行うことがいいであろうという考えで、そういうような組織にさせていただいているということでございます。
藤村委員 ですから、さっき河村副大臣に先に答えていただいた、教授会と理事会の対立がしばしば私学で起こる、そういうものになりはしないか。私の問いは、実は役員会と教授会じゃないんです。役員会、経営協議会、教育研究評議会、この三つを一体にしたものと教授会との対立がきっと起こる。教授会というのは学教法で定められた会ですね。今度は、こっちは大学法人法で定められた三つの会で、いずれも長は学長ですから、そういう意味では、教授会とまさに執行部全体といいますか、この対立構造が起こるのではないか。しかし、そういうのは心配してもしようがない、やってみよう、こういうことなんでしょうけれども。
 私は、もう一つの危惧としては、経営面と教育研究面を分けてそれぞれやるというのは、これはこれでそれなりに納得性はあるんですが、ただ、教育研究面というのは、やはり経営面、特に予算の問題に非常に絡むんですね。ところが、教育研究評議会はほとんど予算は審議させない。経営協議会ですか、こっちが予算オンリーでやる。
 これは、元大阪大学事務局長を務めた文部官僚の方で糟谷さんという方が、先般の朝日新聞の「私の視点」で書かれています。具体的にこれは、「ノーベル賞で有名になった素粒子ニュートリノ検出装置「カミオカンデ」の建設のような場合、」、大きなお金のかかるような場合、まさにこれは教育研究分野で非常に必要だと。一方で、予算はこっちの経営協議会だとなると、この調整が時間がかかってなかなか迅速な措置ができない、「機動性に欠けることは明らかだ。」と元文部官僚がおっしゃっているんですが、こういう心配はないでしょうか。
河村副大臣 今の国立大学においては評議会があるわけでございまして、ここが、各学部から皆それぞれ代表が出てきて、各学部の、それぞれの学部の利害調整に非常に時間をとる、これが大学運営の上で非常に障害になっているという指摘もあったところでございまして、今度の新しい経営に関するあり方について、大学みずからの責任で機動的な意思決定がどうしても必要になってきているわけでございます。そういう観点から、今回、経営部門と教学部門、この責任の所在をはっきりするということが第一点と、それから、今回、大きく学外者の参画を得るということで、意見聴取をやるということも重視をされておりまして、このために両方の審議機関も必要になってきたわけでございます。
 そういうことを前提として、要するに、機動性を欠くのではないかという御指摘が今ありましたが、今御説明申し上げたように、その役割分担をはっきりしているということにおいて、そして最終的に学長が判断ができるということで、私は、今までの国立大学よりは機動性においては高まっておるというふうに考えるわけでございます。
 もちろん、それぞれの役割がありますから、ああいうカミオカンデのような大きな問題、これは学術の面から、教授会から意見が上がってくる、そういうものを取り入れるということは当然あり得るわけでございまして、そういう面では、今回審議機関を設けたことによってすっきりしてきたのではないか、このように考えております。
    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕
藤村委員 ということは、先般の元文部官僚の方のこの危惧は杞憂である、そんな心配は、むしろ機動性に富むという今お答えだったというふうに受けとめます。
 そこでもう一つ、人事システムの問題をちょっと飛ばしまして、最後、時間がありましたらやります。今度は、大学法人のそれぞれに附属の学校、小中高、それぞれ附属学校というものがございました。
 過去、国立大学の附属小中学校の先生というのは、今回聞いてみてわかったんですが、大半が、実は都道府県における公立の小中学校の先生が身分を国家公務員に変えて来ていらっしゃる、数でいうと八割ぐらいのようですね。つまり、現在の国立の先生、小中高まで入ります、この先生方の数は五千四百五十三人だけれども、そのうちの八〇・三%、四千三百七十七人という方々は、実は都道府県の小中高の教員が、まさに地方公務員から国家公務員に身分を変えて、ある期間出てこられて、それでまた帰られる。
 こういうまさに人事交流というのが非常に、八割国立に来るわけですから、交流というよりは直流みたいなものですね、頻繁にあったわけですが、今回、これが非公務員になりますと、どうなるんでしょうか。文科省としては、この人材交流、人事交流というのは、今後どう考えるんでしょうか。
遠藤政府参考人 御指摘のように、今、国立大学附属学校教員の八割が公立学校からの人事交流で来ておるわけでございまして、こういった人事交流によりまして、公立、国立、それぞれ学校組織の活性化が図られ、教員の能力啓発ということにとりまして大変有意義なものになっておるわけでございます。
 したがいまして、法人化後におきましても、これまでどおり、大学と教育委員会との間で人事交流協定を結ぶことによりまして、引き続き実施をしていくということになろうかと思います。
藤村委員 今後も引き続き、というのは、実態的に八割を公立の学校の先生でまさにお願いしているわけですから、全部来ないとなると、今後、学校ができませんものね、今後も同じような形でいく。それで、今おっしゃったのは、今度は各法人と都道府県とのまさに契約といいますか協定といいますか、そういうものを交わした上でやる、こういうことだと思いますので、それは必要なことであろうと思います。
 そこで、今度は公立の学校の教員の側になりますと、今回の法改正の中で、特に、国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案、これがたくさんの法律を変える。やはり国立大学が一般の法人になり、非公務員になるということがどれだけ大変なことかがこれを見てもわかるんですが。
 その中で、例えば、今まで都道府県の公立の義務教育の教員の給与、これは二分の一国庫負担という、国がまさに補助金を出す、国が責任を持つという部分であります。この給与の算定が、すなわち国立学校準拠の規定という教育公務員特例法二十五条の五というのがありました。つまり、小中、義務教育の先生は、国立学校の先生、そこに倣って、その先生方の俸給表をそのまま都道府県の教育委員会が採用した形で、それで何人雇ったということを、国がまさにそれに基づいて二分の一の文科省の国庫負担が決まっていた。
 ところが、今回これで、今の二十五条の五が廃止ですね。となると、どうなるのかというので、それは余りに漠としていますのでもう少し具体的に言いますと、だから、それがなくなるから、今度は各都道府県が決めないといけない。その際に、今回、教育公務員特例法に教員の職務と責任の特殊性に基づいた給与という原則を新たに規定されました。この趣旨をきちっと報告してください。
矢野政府参考人 公務員一般につきましては、給与はその職務と責任に応ずるものでなければならないものとされているところでございますが、教員の職務は一般の公務員の行政事務とは異なる特殊性を持つものでありますことから、その給与は、その職務と責任の特殊性に基づき、一般の公務員とは異なるものとされる必要があるというふうに考えているところでございます。
 これまで、公立学校教員の給与につきましては、委員先ほど御指摘がございましたが、教育公務員特例法第二十五条の五によりまして、国立学校準拠とされてきたところでございます。この規定に基づき、公立学校教員の給与につきましては、国家公務員に準拠することで、全国統一的に、教員の職務と責任の特殊性を反映した給与体系、これは例えば、行政職と異なる俸給表が定められているということとか、あるいは教員特有の諸手当が支給されているといったような、そういうふうな特別の給与体系が担保されてきたわけでございます。
 国立学校の法人化に伴いまして、その規定が削除されることとなるわけでございますが、引き続き、教員の職務と責任の特殊性に基づいて、一般の公務員とは別個の給与体系とする必要があるわけであります。そのために、公立学校の教員の給与につきましては、先ほど御紹介がございましたが、その「職務と責任の特殊性に基づき条例で定めるものとする。」そういう規定を新たに規定いたしまして、一般の公務員とは異なる教員特有の給与体系を担保することといたしたものでございます。
藤村委員 そこで、それはそれでよくわかりますが、もう一つ、義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特措法、いわゆる人確法というのが、また別途、法律としてはあります。これは今の教特法とはまた違う法律でありますから、違う書き方があるんですが、「一般の公務員の給与水準に比較して必要な優遇措置が講じられなければならない。」とある。今回また、今の、一般の公務員とは違う特殊性に基づくというのは、それは足してどういうふうに理解すればいいんでしょうか。その二つの理念に基づいて、こういうことになるんでしょうか。
矢野政府参考人 まず、人確法についてどうであるかということについて、御説明申し上げたいと思うわけでございます。
 法人化に伴いまして、国立学校の教員が非公務員ということに整理されますことから、人事院の勧告について定めた人材確保法の第四条を削除することにしているわけでございますけれども、人確法の第三条の規定、これは、義務教育の教員の給与について、一般の公務員に比較して優遇措置を講じなきゃならない、そういう規定でございますから、この三条の規定は存続するものであるわけでございます。したがいまして、都道府県は、公立学校の教員の給与を一般の公務員より引き続きより高い水準に保つことが義務づけられるわけでございます。
 また、あわせて、国立大学の法人化後も、教育公務員特例法におきまして、義務教育等教員特別手当の支給根拠規定を置くことといたしてございます。このようなことから、各都道府県は、公立学校の教員の給与につきまして、条例でそれを定める際には、人確法の優遇措置は基本的に維持されるわけでございます。
 したがって、先ほど御説明申し上げましたように、教員の職務と責任の特殊性に基づく給与、そういう基本の原則に、今申し上げた人確法の趣旨というのは当然維持される形で、各都道府県における教員の給与というのは決定されるものでございます。
藤村委員 そこで、今おっしゃった、人確法の四条は今回廃止する。それは結局、今の国立学校の教育職員の給与について、いわゆる人事院勧告のことが触れてあって、今回、国立学校の義務教育課程の先生方は非公務員になりますから、これは削除だと。
 しかし、この人確法というか、まさに準拠をしていた公立の義務教育の先生方は、そうすると、人事院勧告が今の人確法四条によって国立学校の義務教の先生に適用され、それに準拠していた公立の学校の先生方が人事院勧告を間接的に受けていたけれども、では今後、人事院勧告は関係なくなる、こういうことなんでしょうか。
矢野政府参考人 直接的には人事院勧告はなくなるわけでございますけれども、その場合、どういう形で今後公立学校の給与が決定されるかということにつきまして、御説明申し上げます。
 先ほど先生御紹介がございましたが、これまでは、公立学校の教員の給与につきましては、国立学校の教育公務員の給与等を基準として定めることとされておりましたために、人事院の勧告に基づいて定められた国立学校の教員の給与の額に準拠しながら、それぞれの各都道府県の人事委員会の勧告等に基づいて都道府県が決定されるという仕組みになっていたわけでございます。
 今後は、国立大学の法人化によりまして、国立学校教員の給与の額に関する規定がなくなりますために、人事院が国立学校の教員給与について勧告を行うことはなくなるものであります。人事院の勧告はなくなりますけれども、各都道府県におきましては、従来どおり、教員の職務と責任の特殊性、これは先ほど教特法の中の規定で申し上げたとおりでございます、また、これも申し上げましたが、人材確保法の趣旨、さらに現在の教員の給与水準等を踏まえながら、人事委員会の勧告に基づいて教員の給料及び諸手当の額が定められるということになるわけでございます。
藤村委員 今聞いたのは、では、人事院勧告は直接的には関係なくなる。しかし、今度は、教特法とか人確法に基づいて都道府県でやってちょうだいと。
 そうすると、人事院勧告は影響はなくなるということになるんですか。
矢野政府参考人 今申し上げましたように、人確法の趣旨とか現在の教員の給与水準を踏まえながら、それぞれの人事委員会が決めることになるわけでございます。そういう意味では、人事院の勧告は直接的なかかわりはなくなるわけでございますが、人事委員会が給与を決定する際には、例えば、国と地方の、国や他の公共団体との均衡の原則というのがございます。さらにはまた、人確法をベースにしなきゃなりません。
 そういう意味では、例えば、給与の決定に際しては、国家公務員の一般行政職の給与が人事院勧告によって決められますれば、それが一つのベースになって地方の公務員の給与に影響してまいりますし、さらには、それがベースになって人確法の形で教員の給与が決定されるというふうなことで、直接的には影響はないわけでございますが、今申し上げたような形で、間接的に人事院の勧告というものが影響してまいろうかと思います。
藤村委員 義務教の教員の給与は国庫負担が二分の一ですよね。この二分の一は、実態的にその先生一人に幾らということでなしに、国がきちっと今まではその俸給表に基づいてやっていたわけですね。
 そうすると、今度は二分の一の算定基準はどこに置くんですか。つまり、国として義務教の教員の給与の水準というか基準を持っていないと、二分の一補助はできないですよね。
矢野政府参考人 現在の国庫負担の負担の対象経費というのは、都道府県が負担した実額でございます。その実額の二分の一ということになるわけでございますが、今回の改正によりまして、各都道府県がその給与水準を自主的に決められるということになりますれば、状況が変わってまいるわけでございます。そういう意味で、私どもといたしましては、現在、この義務教育国庫負担金の扱いにつきまして、定額化ということの検討を進めているところでございます。
 この定額化というのは、いろいろ考え方があるわけでございますが、その際には、私どもといたしましては、義務教育の水準確保に支障が生じないように、国家公務員の給与水準でございますとか、あるいは一般の公務員に対する教員給与の優遇措置の状況が各県でどうなっているかといったようなこと、さらには各都道府県ごとの標準定数などがどうなっているかといったようなことを踏まえまして、現行の国庫負担水準を基本的には維持するという方向で、定額化のあり方を検討いたしたいと思っております。
藤村委員 そうすると、今まで人事院である程度数字が出ていたのを、今回はむしろ国庫負担の部分は文科省がきちっと数字を出す、こういう理解ですよね。そうだとうなずいていただきました。
 だから、都道府県における人事委員会が他の公務員など勧告をするんですが、それもおおむね人事院勧告に右に倣えでやっているわけで、実は、都道府県の人事委員会というのは、それほど人がいてそんなに専門的にできる機関でもないし、やはり人事院というのが非常に重要な役割を占めていた。ですから、今度は人事院にかわって文科省がそういう数字をきちっと決めるというふうな理解を私は今したものですから、それできちんとお願いをしたいと思います。
 もう一つ、ではそうすると、都道府県は今回、国立大学法人とそれぞれ、さっき話が出ていましたが、教員の八割方都道府県の先生を送るような関係でありまして、県と国立大学法人とで協定を結ぶなり契約をされる。そういうときなど、給与の問題をどうするか。
 結構複雑で、あるいは、法人ですからそれぞれ給与を決めるんですよという話になってくると、やはり、片や義務教の方は国庫負担で二分の一を補助する対象の教員ですから、これはきちんと通知してもらわないといけないんですが、昭和三十二年、何か古い通知なんですが、しかし、これがいまだに生きていると聞きました。「給与制度の基本である給料表」と書いてありますが、「国立学校の教育職員と異なった内容のものを採用することは、教育公務員特例法第二十五条の五の規定の趣旨に反するものと考えられるから、教育職員の給料表は法別表第五教育職俸給表と同様の内容のものとすべきものである」というふうな形で昭和三十二年に通知されて、それがずっときょうまで生きていたというふうに伺っております。
 しかし、今ここに書いてある二十五条の五はなくなるし、今のように各法人ごとに給与は違う。しかし、人材交流、人事交流が行われる。となると、やはり都道府県に対して、これは国として、特に義務教の給与を負担している国として、きちんと何か連絡、通知していただかないといけないんですが、その内容的なものを今どういうふうにお考えでしょうか。
矢野政府参考人 御指摘のように、昭和三十二年の通知は、例えば公立学校の教員等の給与について、給料表は教特法二十五条の五の趣旨に沿ったものとするといったようなことも含めた事柄について具体的に通知しているものでございますが、この準拠になる規定を削除することになりますから、この三十二年の通知は、当然のことながら、内容といたしましては効力を失うことになるわけでございます。
 そうなりますと、各県は人事委員会の勧告に従って、今私がるる申し上げましたような仕組み、すなわち国立学校に準拠した現行の公立学校の教員の水準、あるいはそういう給与体系というものをベースにしながら、適切な勧告をしていただけるものというふうに思っております。私どもとしては、またそのことにつきまして、法律改正後、この改正の趣旨につきましてはきちんと周知徹底を図ってまいりたいと思っておりますが、もし必要がありますれば、この改正の趣旨に基づいて適切な対応をしていただけるように、都道府県に対する指導助言というものも行ってまいりたいと思っております。
藤村委員 私は必要があると思いますので、検討に入っていただきたいと思います。これは要望しておきます。
 次に、今回は、たくさんの関連法の中で、施行に伴う関係法の整備、本当にたくさんの法律にかかわるわけですが、定時制教育及び通信教育振興法、それから産業教育手当法、今回の国立大学法人と何の関係もなさそうな法律ですが、これも改正に上がっている。これも結局は、今の話と同様、義務教育の教員の問題が今まで国立学校の先生の給与の関連であったわけですよね。これが改正になるわけで、中身的には今回の国立大学法人法とは何の関係もないんですね、内容的には。
 しかし、その改正する趣旨、それから、今までそれによる手当等出ていたもの、実態的なもの、何か変わることがあるのかないのか、どうなるのか、この辺を説明してください。
矢野政府参考人 定時制通信教育手当や産業教育手当、これは現在、定時制教育、通信教育、また産業教育に従事する教員の職務の困難性ということにかんがみまして、国立の高等学校の教員のうちこれらの教育に従事する者に対して支給をいたしますとともに、公立の高等学校の教員につきましても国の例に準拠して支給する、こういうことになっているわけでございます。
 国立大学の法人化後も、定時制教育、通信教育、さらには産業教育の重要性、またこれらに従事する教員の職務というものは変わらないわけでございますから、これまで定時制通信教育手当あるいは産業教育手当の支給を受けていた者に対しては、引き続きこれらの手当を支給することが必要であるというふうに私どもは考えております。このため、今回の法改正では、国立大学の法人化に伴い国立学校の教員が非公務員となりますことから、国立の高等学校の教員に対する両手当の支給についての規定は削除いたしますけれども、公立の高等学校の教員に対する両手当につきましては、現行と同様に支給するために必要な規定を設けるという改正を行ったものでございます。
 このような規定などに基づきまして、定時制通信教育手当あるいは産業教育手当はこれまで同様に支給されることになるというふうに私どもは考えております。
藤村委員 わかりました。
 残りわずかの時間で、さっき飛ばした中でどうしても一つだけは聞いておかねばならないんですが、今度の国立大学が、先ほど来の質問もございました、学長のリーダーシップというか権限が大変強い。さっきの経営協議会にしても教育研究評議会にしてもその議長は学長であるし、役員会の長も学長である。それから人事権、学長が人事権を持つ。監事以外は全部学長ですね。その際、一番重要な役員会の構成員である理事を任命するのも学長であります。
 学長は一体どんな基準、どんな観点をもって理事を任命するのか。特に、学外理事を必ず一人入れることになりますと、これは難しいですよ。学校の学長さん、きょうまでの学長さんが引き続きやる場合でも、学外から、地域のというか外から持ってくる理事を選ぶのは非常に難しい。どんな観点で理事を選ぶべきなのか、そういうお考えはお持ちなのか。法人が決めますと言われてしまうとそれまでですが、しかし、やはりこれはある程度、スタート地点のためにも今から考え方を示しておいていただきたいと思います。
遠藤政府参考人 学長を補佐する理事につきましては、法律の十三条で、人格が高潔で学識がすぐれ、かつ大学における教育研究活動を有効かつ効果的に運営することができる能力を有する者のうちから学長が任命する、こういう規定になっておるわけでございます。それ以外の任命手続あるいは基準等につきましては国立大学法人にゆだねられておりまして、学長がみずからの見識を踏まえて適任者を任命するということが求められているわけでございます。
 理事の任命はこういったように学長の判断というところでございますが、これは推測ではございますけれども、学内から選考される理事につきましては、例えば、現在でも、副学長あるいは学長補佐といったような方々が学長を支えて大学運営を担っているわけでございますので、イメージとしてはそういったような方々が理事になるのではないか、こう思われるわけでございます。
 それから、学外の理事でございますけれども、これは、学外の有識者の見識を大学経営に直接反映させまして、そして高い専門性を有する人材を登用する、こういうことを踏まえて導入されたものでございますから、これもちょっとざっとしてはおりますけれども、例えば経済界あるいは私学関係者、高度の専門職業人、こういったような方で、国立大学法人の経営につきまして広い、そして高い識見を有する方などを選ぶんじゃないか、こう思っております。
藤村委員 時間が参りましたので終わりますが、その学長を選ぶのが文科大臣でございます。文科大臣の責任は大変重いので、一つ選び方を間違うと大学がつぶれるかもしれない、そういうことでございますから、これは法律でそう書いて、文科大臣が任命するわけですから、八十何人の者を選ぶわけですから、これは文科大臣には本当に慎重に、真剣に、高い見識を持ってやっていただきたいことを希望して、終わります。
古屋委員長 鎌田さゆり君。
鎌田委員 民主党の鎌田さゆりでございます。
 大変、人によっては短いととられる方もあるかもしれませんが、結構なお時間をかけてきながら審議を尽くしてきているのではないかという感想も持ちながら、いろいろな方がいろいろな質問をなさって、私はまた私なりに質問させていただきたいと思います。
 まず、前回の委員会で質問した際にはガンジーの言葉から入らせていただきましたが、きょうは孔子の言葉から入らせていただきたいと思います。「子曰く、学びて時に之を習う、亦説ばしからずや。」これは論語巻頭の、皆様御存じの有名な言葉でありますけれども、世界の四人の聖人のうちの一人と言われております孔子、孔子は、貧しくても勉学によって、学ぶことによって身を立てられる、そのように信念を持ち、どのような人にも教育の門戸を開いてきた。そういう歴史を、二千数百年前の話でありますけれども、今なお私たちはこれを学ぶことができますし、そして、こういう歴史、あるいは孔子が唱えた偉大な言葉、教育にかかわるさまざまな教え、今改めて私たちもしっかり胸に刻んで、これからの日本の教育の改革、高等教育の改革に臨まなければならないと思いますので、ぜひそのような共通認識のもとで、これからの五十分、よろしくお願いをいたします。
 そこで、今回審議が進められております国立大学法人法案及び関連五法案ですけれども、国立大学法人法案、この国立大学を法人化するというテーマにつきましては、昭和四十年代の半ば、一九七〇年ころから、私の年齢と大分近いなと、私は昭和四十年生まれですから。そのくらい前からこのテーマについては議論がなされてきた。その時点でも、法人化のための法整備促進という文字がはっきりとうたわれておりますし、そのくらいの時間をかけてきたものですから、長いなという感想を持ちつつも、でも、それだけ実現に時間がかかるということは、それだけ重いし、それだけ大きな制度改革を伴うものだということを改めて教えられます。
 だからこそ、これからの五十年、百年先の我が国の大学、高等教育が今よりいい形になっていなければならない、これも共通に御認識を持っていただけると思います。それはつまり、学生にとって大学がよくなった、それから現場で教えている教育者、研究者にとってすばらしい制度に変わったんだ、そういう認識をしっかり自覚できるようなものになっていなければならないと私は思います。
 文部科学省にとってどうか、はっきり言えば、今まで持っていたこの権益を放しちゃうのが惜しいからここは持っておこう、この権益、権力を今まで持っていなかったから今度新たに持とう、決してそんなことだけは、絶対にあってはならない。その視点の向け方というところを間違わないでこの制度の変革というものをつくり上げていかなければならないんだと思います。
 それで、これまでの委員会で多くの議員の方々、委員の方々が質問をし、そして大臣、副大臣、皆様が御答弁をなされてきました。私、きょう五十分いただいていますので、いつもより若干時間があるので、その答弁の中で、私にしたらとても信じられない答弁があるな、そういうところについてもう一度、ちょっとその真意というか、意味を確認させていただきたいと思いますので、記憶を呼び戻していただきたいと思うのです。
 四月十六日、私どもと会派を同じにいたします山口委員が質問をした際に、これは遠山大臣が山口委員の質問に答えているものですけれども、議事録をそのまま読ませていただきますと、「行政組織の一部としての現在の国立大学という設置形態では十分ではない。今日の状況では、行政組織の一つであるがゆえに、人事上、予算上等々のさまざまな制約を受けざるを得ないわけでございますね。」そして三行ぐらい置いて、「さまざまな束縛から大学を解放して、むしろ自律的に、そしてより主体的に、積極的に大学の機能というものを発揮してもらいたいという趣旨で今回の法律案を」出したというふうに説明なさっているんですね。ここの「さまざまな制約」「さまざまな束縛」これはどこが大学に対してかけてきたものなんですか。
遠山国務大臣 束縛という表現でございますけれども、それは一般的な議論の中で出てくる用語でございますが、厳密に言いますと、国の行政組織の一環ということでございますので、例えば人事につきましては、これは国家公務員ということでございますから、通常の国家公務員が負っているいろいろな組織の中の、任命といいますかあるいは登用の仕方等々の規律があるわけでございますし、また給与につきましても、人事院の定める給与表に乗っかってやる。あるいは、人事の採用についても、国家公務員であるがゆえに、学長については、国家意思の形成者であるということで、外国人を登用することができないわけですね。
 あるいは会計につきましては、これは財政上のいろいろな制約があるわけでございます。国の組織でございますから、これは行政機関と同じように、例えば費目はその予算がついたときに決まっている費目の中で使わざるを得ない、費目間の流用はできない、あるいは予算単年度主義に縛られるわけでございますから、ある年についたものは必ずその年のうちに使ってしまわなければならない。
 そういったような国家行政組織の一部であるがゆえに伴うさまざまな束縛というものが、束縛というのは、私は大学人の立場に立って言っているわけでございまして、国家公務員としては当然受けるべきものではございますけれども、そういった桎梏というもので、大学の自主性なりあるいは大学の知的な創造活動というのができるか、あるいは学生に対する十分なサービスができるかということを考えますと、法人化の方がよりいいという趣旨で御説明しているわけでございます。
 どういう点で現在の仕組みが問題であるかということは、必要であればまた、より詳しく、厳密にお答えさせていただきます。
鎌田委員 義務教育費国庫負担法の、私は改悪と思っておりますけれども、あのときからもずっと同じようなことを考えさせられるんですけれども、今の御答弁をお聞きいたしましても、文科省が国立大学のことを真剣に考えて、先日、自由党の佐藤議員も発言していましたけれども、そういう国の組織、形態、機構というものと闘って、より国立大学がそういった束縛を受けないようにするのが、私は、文部大臣であり、また副大臣であり、その使命ではないかな、その文科省のトップの人がそれをやらないでだれがやるのというふうな感想を持ちます。
 それで、また同じように山口委員の質問に対する答弁で、ずっと後段の方に行きまして、人事上、予算上、そういった面で「これまで国の行政組織であるがゆえにかかわってきた文部科学省の役割というものも軽減されますし、」というふうに遠山大臣は御答弁をなさっております。
 私は、今まで果たしてどれだけの役割を担い切れてきたんだろうか、そしてまた、今度はここに来て国立大学を法人化することで投げてしまって、ああ、役割も軽減されるしというような御答弁をされるということが、とても、私は、この国の教育行政の所管をする、つかさどっているところの責任ある方の言葉なんだろうかと。そして、その役割が軽減されれば、結果として、中期目標、計画なりというものにのっとっていけば、人事、予算、組織、運営も大学のイニシアチブが強く発揮されていくと。何か人ごとのような感想を私は受けます。
 教育基本法の改正の論議も始まるようでございますけれども、その理由についても、文部科学省がしっかりと真正面から受けとめて、責任を持って考えていかなければいけない問題も、教育基本法を改正することによって解決されるかのような、原因、問題の本質をどこか違うところに持っていっているような、そのような感想をこの答弁からも受けましたし、私は、やはりそういう認識ではあっていただきたくないなというふうに思いますので、そのことを申し伝えさせていただきたいと思います。
 それで、具体に質問していきますけれども、大学における学術研究、これは研究者個人、その研究者個人のまず常識に疑問を抱くところ、それから独創的な発想、そして果敢なチャレンジャー精神、そういうところから始まっていくんだ、第一歩はそこから始まるんだという認識は持っていただけますでしょうか。
遠藤政府参考人 大学の研究の基本だと思います。
鎌田委員 それが基本だというふうに今文科省の方でお認めになりましたけれども、それが基本だとすると、先ほど来、中期目標、中期計画を大臣が策定するという文言に皆様どうしても気持ちが行きますけれども、そういうものが学術研究だということに対して、そもそも、中期目標を立てて、中期計画を立てて、そしてそれがそのとおりいっているか毎年評価をされていくというそのシステム自体が、私は、果たして大学における学術研究、教育というものになじむのかどうかということ、そこのところを非常に強く疑問を持っております。
 ぜひ大臣、いや、なじむんですよ、あるいはなじんでいくんですよでも結構ですけれども、その疑問を払拭するだけの御説明をいただけますでしょうか。
遠山国務大臣 この問題につきましては、これまでの御質問に対してもるるお答えをしてまいりました。
 今回の改正の大きな理念といいますものは、日本の大学、その骨格部分でもあります国立大学について、教育研究というものをより活性化していただく。そのためには、これは長い間の議論の末法人化というようなことを、委員御自身も、長い間、そういうものが大学にとってはむしろ適していて、そして国の行政組織の一つであるという存在から法人という独立性を持った組織形態にしていくことでより活性化されるという信念のもとにやっているわけでございます。
 同時に、国立大学として存続するということでございましたならば、これは、国がしっかりと財政措置をしなくてはならない。その財政措置をする際において、国として、各大学が原案をつくってくる、そうした目標というものを前提とし、これを十分尊重し、配慮をしながら、それを一緒に考え、そして定めていく。それについては、国としては責任を持って対応していく、そういう関係になるわけでございます。
 各大学が原案をつくる際に、そこにおいて、私は、濶達な議論が各大学においてなされ、原案が作成されてくるものだと思います。そして、一たんその目標というものが定められた後は、六年間という長い間、これは、各大学がその目標に向かって真剣に教育研究あるいは大学運営というものをされていくわけでございまして、そのことに目を注げば、これまで毎年毎年、予算要求の際に細々としたところまで要求をし、そして費目間の流用もできず、あるいは定員管理についてもさまざまな制約のあった事柄から比べれば、私は、これは、大学が本当に自主性を発揮して、そして国民の期待にこたえていく、それにふさわしい制度になると思います。
 それぞれの大学の取り組みというものがこれから問われてくるわけでございますけれども、私は、新しい制度をつくる際に、さまざまな角度からの御議論というものはもちろん重要だと思いますけれども、そこで何をねらっているのか、そのねらっていることが本当にそれで達成できるのかという角度から真剣な検討を経てつくるというのが新しい制度だと考えておりまして、その意味で、私どもとしましては、今回の提案いたしました法案というものは、十分な検討を私どもとしてはして、そして御提案を申し上げている考えでございます。
鎌田委員 今までいろいろな答弁をされてきたのと何も変わっていない、それを聞いた上での私の受ける気持ちも変わらないんですが、さらに言わせていただきますと、法律を出す側は法律に責任を持つのは当然だと思いますけれども、法律の中に、文部科学大臣が中期目標を策定するというふうに書いてあるわけですね。だから、多くの方は、そんなことでは大学の自治が危険になると危惧されるというふうな懸念を抱いているわけですけれども、では大臣が策定するのかというふうに聞けば、いや、大学の原案を尊重しながら配慮していくんだというふうに答える。では、策定するという言葉はどうなるんだろうと。策定するというふうに書くんだったら、策定するという内容を示したらいいんじゃないかというふうにも思います。
 つまり、私が申し上げたいのは、一体どうしたいのかなということがわからない。だから、文部科学大臣が策定すると言っているんなら策定するで、北海道大学はこうだ、東北大学はこう、東京大学はこうだというふうに、そのとおりに示して、そして議論を起こしたらいいんじゃないですか。でも、策定するんですかと言えば、いや、策定するというのはこういうことなんですというふうに、何かどっちつかずで、どっちだかわからないような状態になっている。いや、大臣、横に首をお振りになりますけれども、法律にそう書いてあるわけですよね。
 このように感じるのは私だけではありません。一体どうしたいのか、示すものを示して、そして議論をそこから起こしたらいいんじゃないかというふうに思うわけなんですが、何かおっしゃりたいことがあったら。いや、大臣じゃなければいいですけれども、首を横に振っておられたから。
遠藤政府参考人 ちょっと御説明をさせていただきますと、法律で、中期目標を策定すると。これは、最終的に大臣の責任で策定をする、こういうことでございまして、その途中におきまして原案を出していただき、それに配慮する、こういう経過が法律で決まっているという次第でございます。
鎌田委員 それなら、そのとおり書いたらいいんじゃないですか。だから、大学ごとの原案を尊重し、配慮をしながら、しかも国の予算を投じるものなんだから、最終的に、手続上責任あるものとして文部大臣が策定するとするというふうにしたらいいんじゃないですか。法律にそうなっていないからみんなが心配するし、でも、法律になっているとおりには全然なっていないし、非常に理解に苦しむわけです。
河村副大臣 私もその議論にちょっと参加をさせてもらいますが、これは、法律に細かく書いてあるから、書いていないからという問題よりも、基本的な認識をどこに持つかということで、義務教育国庫負担のときにも皆さんからいろいろ御指摘があって、国がどこまで責任を持つのかと。今まで、二分の一ですということで、これは頑張るんですということで来た。
 それで、国立大学ですから、これは民営化するんじゃありません、運営の仕組みを法人化するということです、わかりやすく言えば。だから、この国立大学法人についても、やはり国が責任を持つわけですね。大学教育については、やはり国立大学法人の部分については持つんです。したがって、その根拠をどこに持つかということは、最終責任が文部科学大臣にあるんです、その策定のところは、そこです。
 しかし、配慮義務とかそういうことがあるということは、そこを読めば、これは読み方だと思うんですが、そこに配慮義務とかあるということは、当然各大学が、だから文部科学大臣が一々小さいことまでずっと言うわけじゃないわけでありまして、法人化して、自主的に任せる。しかし、最終責任のところは大臣が持つんですということを、法律にしたらそうなるんです。こういうふうに読んでいただきたいわけなんです。
鎌田委員 おっしゃりたいことはわかります。だから、それならそれで、それにのっとってすべてちゃんと正しくやればいいのにと、それにのっとった形で。何かすごく言いわけのようなことばかり答弁の中で、いや、そんなことないんですとか聞こえてくるから……いやいや、いいです。
 何か、国の予算を、国の税金を投じていきながら、手続的なところからもあると思うんですけれども、そこに最終的に責任ある立場の大臣が策定するというふうに書くのは、私は全く理解しないわけじゃありません。ただ、皆さんが心配なさっているようなことだけは絶対にあってはならないと思いますので、それは、答弁が続いていますから、そのように理解させていただくとして、してなんですが、国立大学法人評価委員会の組織機構についてなんですけれども、事務局の体制はどうなるのか、それから委員の人選基準はどうなるのか、お示しください。
遠藤政府参考人 事務局体制でございますけれども、国立大学法人評価委員会は、国家行政組織法上のいわゆる八条機関、範疇でいえば審議会に該当するということでございます。したがいまして、その事務局につきましては、通常の独立法人評価委員会と同様、文部科学省が務めるということになるわけでございます。そういうことで、大変重要な評価委員会、そしてその事務局でございますから、その事務局体制の整備にも努めてまいりたい、こう考えております。
 それから、評価委員会の委員の人選の基準というお尋ねでございます。
 国立大学法人評価委員会の委員の任命に係る事項につきましては、通常の独立行政法人評価委員会と同様、政令で定めることとしておりますが、その役割の重要性にかんがみまして、その委員は、社会、経済、文化等、幅広い分野の有識者を初め、大学の教育研究や運営に関して高い識見を有する方々によって構成をするというように考えておる次第でございます。
 この評価委員会は国立大学法人制度におきまして重要な役割を担うものと認識しておりますから、委員の人選等に当たっては、公平な評価の実施が確保されるよう、十分意を用いてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
鎌田委員 答弁は、長いだけで、別に具体的に何にも示されていないと思うんですけれども。
 前の委員会で石井委員が質問したときに、評価委員会の評価のことについては、今後政令でということで、まだ何もと、これからのところという答弁がありました。
 しかし、私は、そのようなことではこの国会の責任も果たすことになりませんし、法律がこれから出ていくわけで、そこのところで、この評価委員会というのは非常に重要で、しかもその評価が、大学の生き死にというか存亡というか、そういうものに大きく影響をするわけですから、その評価委員のメンバーがどういう人になるのか、どういうふうに評価をするのかということは、あらかじめ国会において、この場に出され、そしてみんなにちゃんとその情報が出されて、また議論の対象になったり、さらに申し上げさせていただければ、その委員という人たちはこの文部科学委員会で所信を述べる、そのくらいのことをしたって私は当然ではないかと。ここで、政令で定めますから、あとは、だれがなったかは事後報告でと。そして、評価する内容も後で、知りたければどうぞ聞いてください、そんな話で済まされる問題じゃないと思うんですね。
 ですから、今の御答弁は、もう今まで何回も聞いた答弁と同じですから、私が今一つ提案を申し上げたこと、委員があらかじめ、ここで、文部科学委員会で、委員からの質問を受けたり、あるいは何か自分なりの所信を述べたり、そしてまた委員の人選基準等についても、今までと何も変わっていないわけですから、もっと具体的に示していただけませんか。
遠藤政府参考人 そういうことにつきましては、法律が通りまして、その後で政令を、関係各省とも相談しながら、そしてまたパブリックコメント等を通じて意見を聞きながら決めていくということでございますので、今、ここで申し上げられるのは、前々から言っておるような基本的な事柄だけということになろうかと思いますので、御了承をいただきたいと思います。
鎌田委員 その答弁で、評価委員会の公正性、透明性を担保しろとおっしゃるんですか。
遠藤政府参考人 評価委員会ができ上がりましたら、それにつきましては、透明性というのは大変重要な問題だと思いますし、しっかりと透明性が確保できるようにしていきたい、こう思っております。
鎌田委員 しっかり透明性を確保していくようにしてまいりますというのは、今までも、何回も聞いたんです。だから、どうやってその透明性、公正性の担保を我々に与えるんですかということです。今しゃべっていることが、それが担保ならそれが担保だと言っていただければいいし、でも、とてもじゃないけれども、そんなの担保と認められませんよ。
遠藤政府参考人 午前中から何度も、透明性につきましては、委員の氏名を公開する、会議も公開すると、いろいろなことにつきまして答弁をさせていただいておりますけれども、やはり国会でそういうふうに私どもが答弁させていただいたということは、自分で言うのもなんですけれども、大変重い意味があるのではなかろうか、こう思っております。
鎌田委員 何か、違う話題を出して議論になっていくのじゃなくて、同じことをただ言い合い続けることのこの不毛さを感じているのは、私だけじゃないと思うんです。
 ここは国会ですね。皆さんは、文部科学省、この国の教育行政に責任を持つところの役所の方々ですね、そして大臣がいる。それで、私たち、それぞれ地元がある。地元に行って、選挙民、有権者、市民の皆さんに対して、この法案がどういう形で出ていくのか、誕生していくのか、しっかり説明する責任があるんですよ。それを、今の、透明性は重要な問題ですから、しっかりとそれをしていきたいと思いますと言っているから、透明性出ますよと。私たちにそうやって説明しろと言うんですか。責任果たせないと思わないですかね。
 とてもじゃないけれども、私、きのう、文科省さんと打ち合わせしたときに、少し踏み込んだ答弁をしなくちゃいけないかなという雑談を聞きつつ、期待をしてこの場に立ったのに、何にも変わっていないし、期待してとんでもない間違いでした。
 次に行きます。
 この法案なんですけれども、三月二十日という日にち、イラクに対して、アメリカ、イギリスが武力攻撃を行った日にちですけれども、あの日に、私たちのこの国の教育にかかわる大きな出来事があったんですが、あの陰に隠れてほとんど話題にも報道にも上らずに、そして今この法案の審議に至っているわけで、ほとんど国民の皆様方はこの国立大学法人法及び関連五法案の内容、中身を知らないんですね、関係者の方々はまさに切実な思いで見守っているかもしれないけれども、そして準備に追われているかもしれないけれども。
 でも、国民生活にとって最も身近な、重要な、切実な問題は、私は授業料だと思うんです。学生にとって少なくとも今よりも授業料の負担というものが悪くなるような形になっては、これは決して、いけないと思うんですけれども、この授業料について、どうなるんでしょうか。法人ごとの自主的な決定が可能になるのか、また経営のための引き上げ、逆に学生集めのための引き下げ、こういったものがあると思われますが、いかがになるんでしょうか。
河村副大臣 鎌田委員、国民は全然知らぬとおっしゃるけれども、やはり授業料に大いに関心を持って、大学はどうなろうかと関心をお持ちになっておると私は思いますよ、大学は今度変わるんだと。もっと突き進むと、何か国立大学が全部私立大学になるんじゃないかと、そこまで心配しておられる方もありますが、そうじゃないんですということはしっかりおっしゃっていただきたいと思います。
 あわせて、今の授業料の問題も我々は大いに留意しなきゃいけない大事な部分でございます。これについては今、幾らにするということをまだ決めておるわけじゃございませんで、自主的に各大学が決められる方向で検討をされているということであります。
 このやり方でございますが、やはり一応の標準額というものを国が示しながら、そしてこの範囲もやはり示すべきであろう。その中で国立大学が大学法人としてのこれからの運営のあり方とかいろいろなことをしんしゃくしてお決めいただきたい、こう思うわけでございます。もちろん、思い切って少し高目にして、うちの教育はこれだけのことをできるんだというPRの仕方もありましょうし、あるいは自分のところの財政といいますか、自主財源等も活用して、標準額より少し低目に設定しようというようないろいろな大学も出てこよう、こう思っておるところでございまして、いずれにしても、各国立大学法人の自主的な決定にまちたい、こう思っております。
鎌田委員 では、授業料変動はあり得るという御答弁でしたが、変動の枠組みというものは、文科省、考えていないんでしょうか。
遠藤政府参考人 今副大臣が御答弁申し上げましたように、標準額というものを示して、そしてその一定の範囲内で大学が決めていただく、こういうことでございまして、いわばその枠組みというのは一定の範囲、これをどう決めるかというのはこれからの検討課題でございますけれども、その一定の範囲という枠組みを設けるということになろうかと思います。
鎌田委員 最後のところがぐじゅぐじゅっと何か聞こえなかったんですけれども、枠組みというのは一定の範囲内で、その一定の範囲内というのがぐじゅぐじゅっと聞こえなかったんです。一定の範囲内はどう考えていますか。
遠藤政府参考人 その一定の範囲の中でそれぞれの国立大学法人が使命、機能、その他の事情を考慮して自主的に定める、こういう方向で検討しておるわけでございますけれども、その範囲の幅というのはこれからの検討課題でございます。枠組みという意味でいえば、その範囲の中で決めるということですから、そういう意味では枠組みになるということを申し上げたつもりでございます。
鎌田委員 ぐじゅぐじゅっというのはこれからというのだったのかなと今思いました。
 授業料変動の枠組みというのは一定の範囲内という、これは私も共通理解します。しかし、その範囲、幅はこれから決めるというふうにおっしゃいましたが、では、今ここで何も示すものはないんですか。
遠藤政府参考人 一定範囲のあり方でございますけれども、国立大学がこれまで担ってきた役割というもの、それから、各大学法人の自主性、自律性を尊重しつつ、大学の自主的判断で、例えば大学が特別の教育サービスを提供したい、そのために普通よりも経費がかかる、こういったような場合等々、そういう観点にも留意をしながら検討を進めているというような状況でございます。
鎌田委員 そういう御答弁だったら別に初めに、まだ何も示すものがない、その一言で済むんじゃないでしょうか。
 標準額の数字を示していただきたいのと、私は今この場で、これからもうすぐ、もうすぐですよ、今の高校生、私の長男の息子は高校一年、まさか国立大学に行けるかどうかわかりませんけれども、もうすぐな話を抱えている人がたくさんいる中で、そしてこの法律を審議している中で、副大臣がさっき国民生活にとって最も関心のあるというふうにもおっしゃったけれども、そのことについて、その変動の枠組みを何も示せないなんて、そんな無責任な話はないじゃないですか。
 せめて上限枠、下限枠はこのくらい、そしてさらに、この過渡期の今後三年間から五年間、この間は絶対にこの枠をはみ出しません、責任を持って文科省がそれを明言するというふうにここで言えないんですか。
遠藤政府参考人 標準額を幾らにするかということにつきましても、これからの概算要求等の過程を通じてその検討をするということになろうかと思いますけれども、現に法人化移行時の授業料、これは平成十五年、五十二万八百円、こうなっておりますけれども、それをベースに検討するということになろうかと思います。
鎌田委員 高専の問題もやりたいので、最後にこの授業料のことで一つだけ聞きます。一つだけ私が最後にこの授業料で聞くということは、一回だけチャンスを差し上げますから、ぜひそのチャンスは大臣か副大臣にお答えをいただきたいんです。
 これは国民にとって、学生にとって、また保護者の皆さんにとって、少なからず一抹の不安を感じる素材でございます。その不安を絶対に感じさせないんだという気持ちを込めて、この五十数万円の標準額があるけれども、その上限、下限の数字、これを明らかにして、そして、今後数年間は大幅な、上限だとか、下限もあり得ると思いますけれども、絶対にその授業料がいきなり高くなったりすることはないんだ、そういうような決意を最後のチャンスでどうかお述べいただきたいと思います。
河村副大臣 鎌田委員の御心配、私もよくわかります。わかりますが、今の時点でその上限を幾らにするか。下限は決める必要があるかどうかですが、上限については、私はやはり決める必要があるのではないか、皆さんがそういうふうに心配をされるということであれば。
 しかし、これを見ますと、今まで国立大学の授業料は、ここ平成に入りましてから、一年置きといいますか、平成元年、一年置いて三年、三年から五年、五年から七年、七年から九年、九年から十一年、こういうふうに改定をお願いしてきている経緯もございます。
 そういうことも踏まえながら、今鎌田委員言われるように、この何年間は完全に据え置きますということまで、こういう形でありますから明言できるかどうか。しかし、どんどん授業料が上がっていくということはこれまでの経緯からいってもできるだけ抑えていかなきゃいかぬことだろう、こう思っておりますが、それも大学がやはり自分たちの運営を考えながらやっていただくということでしょうし、こういうことに対する評価もやはり起きてくるわけでございますから、大学の自主性にまたなきゃならぬと思いますが、まさに鎌田委員が御心配のような点を踏まえながら、適正な価格というもので決まっていかなければならない、このように考えております。
鎌田委員 数字を示すことが今の時点でそんなに難しいことなのかなと思いながら、例えば五十万だったら、その一〇%だったら幾らだから、その上限を一〇%以内に今後三年間、五年間はとどめるようにしますとか、なぜそのようなことが言えないのか。五%という数字でもいいかもしれません。
 時の政府として、時の数の力を有している側の与党三党、そして政府として、そういうものを明確に出して、そしてそこから議論を始めるということだっていいんじゃないか。それも今ここで出されないで、私はとてもそこに、責任ある法律を提示する、提案するという責任を感じられません。まだ十六日の議論があるのかどうかわかりませんけれども、これからでしょうが、突っ込んだ……大臣、何かもし、改めて決意。では、三十秒で。
遠山国務大臣 今ここで、幾らにする、五十万円を幾らまでというようなことは、私は、これは議論の中身としてできる状況ではないと思います。
 ただ、考え方だけははっきり述べさせていただきますけれども、授業料につきましては、これは、学生の経済状況に左右されない進学機会を提供するという国立大学の役割というものは、法人化によっても変わるものではないわけであります。法人化後の授業料といいますのは各国立大学法人が定めることにはなりますけれども、国が事業として必要な財源措置を講ずるわけですし、また標準額を示すということでありますので、授業料が適切なものとなるように努める、このことについてしっかりとお答えさせていただきます。
鎌田委員 ありがとうございました。
 高専の問題に移りたいと思います。
 国立大学法人法案の審議に当たっては、大学の自治ということがテーマにありました。高専の独立行政法人化の機構法案、これを審議する際にも、どうしても高専の自治ということに目を向けざるを得ないんです。
 ただ、私が気になるのは、もともと高専にいわゆる自治というものがあっただろうか、そういう認識が欠如しているんじゃないかなというふうに思うわけです。
 今、この高専の抱えている問題を解決するに当たっては、全国に五十五ある国立高専を一つの法人にまとめて、そしてこの機構の意見も何も聞くことがなく文部科学大臣が中期目標、計画を策定する。国立大学法人法よりもさらにクエスチョンマークな中身になっているわけですけれども、今やるべきことは、私は、今そもそも欠如している自治というものを高専の中へ確立するような、そういう高度な制度設計というか機構設計、特にユネスコが勧告しておりますように、高等教育教職員の地位に関して、自治が高等教育機関には不可欠の構成要素だというふうに位置づけられているわけですね。そこのところをしっかり今後保障していくという方が今やるべき課題じゃないんでしょうか。
遠藤政府参考人 高等専門学校の位置づけでございますけれども、高等専門学校は、中学校卒業後早い段階から五年一貫教育により実践的技術者を養成するということを目的としまして、既存の知識、技術を習得させるための教育機関、こういう位置づけになっておりまして、教育とともに研究を任務とします大学と役割を異にしている、こういうことでございます。
 自治ということもございましたけれども、そういう意味で、例えば教員の人事その他、大学において配慮しております自主性、自律性といったような点については、高専の位置づけ上、そういう取り扱いはこれまでもしてこなかった、こういうことでございます。
鎌田委員 だから、高専の位置づけ上そういう取り扱いをこれまでもしてこなかったというのであれば、そこを変えるべきじゃないでしょうか。これは、五十五の国立高専を一つの法人にすることによって、では、今みずからおっしゃったそこのところは変わるわけですか。
遠藤政府参考人 今回の独立行政法人化といいますか機構という問題につきましては、これは運営の問題でございまして、高等専門学校という学校種それ自体の役割、位置づけというものは、これまでと同様、学校教育法に規定されているとおりでございます。
鎌田委員 では、改めてお伺いしますが、なぜ今この五十五の高専が一つの法人にまとめられてしまうのか。昨年発足した今後の国立高等専門学校の在り方に関する検討会、これがことしの二月二十一日に報告をまとめられています。そして、同月、二月の末には、これに基づいて高専機構法案がこの国立大学法人法案とともに閣議決定されているわけですが、随分拙速だなと。さっきのは随分時間がかかって、今度は随分拙速だなと。
 そして、私は、今申し上げているように、問題があるとするならば、その問題をどこに見て、それを解決するならばどの解決策を講じていくのか、このやり方が果たしてそれに合っているのか、全く理解できないんですね。そこのところに対して、どうですか。
遠藤政府参考人 法人化の問題につきましては、国立高等専門学校協会におきまして、平成十二年十月から、ワーキンググループというものの設置を決定し、検討してきたということがございます。
 その後、平成十四年八月でございますけれども、文部科学省に今後の国立高等専門学校の在り方に関する検討会が設置されまして、高専関係者を初め有識者の方々に種々御検討をしていただいたわけでございます。このまとめに至るまで二十四回の会議を開きまして、いろいろな問題について幅広く議論していただきまして、そしていろいろな問題も含めまして報告を受けて、その報告に基づきましてこういった形での法案を出させていただいているということでございます。
鎌田委員 同じように、中期目標、中期計画の策定及び評価が当てはまるわけです。大臣が策定するというふうにこれにも書かれてありますが、そうはいったって、例えば、そのときも遠山大臣であれば、遠山大臣がペンをなめて全部の高専の中期目標をお一人で書くというわけではないと思いますから、高等教育局専門教育課、ここが中心につくっていくという認識でよろしいでしょうか。
遠藤政府参考人 高専につきましては、独立行政法人のスキームを使っておりますので、文部科学大臣が策定をする、示すということになるわけでございますけれども、当然、この目標をつくる際には、事実上、高専の機構の方でいろいろ御検討をいただいて、そして私どもと話し合いをしながら、最終的にこれでいこうということにつきまして大臣の方が示すという、そういう形になろうかと思います。
鎌田委員 事実上はと何か別事のようにおっしゃいますけれども、法律に、文部科学大臣が策定をして、機構の意見は聞くこととされないというふうになっているじゃないですか。でも、事実上は、機構の人たちと話し合いをしながらつくっていくんだというふうにおっしゃるけれども、そうしたら、法律とここの中でしゃべっていることと、全然違うじゃないですか。どっちが本当なのか。また同じですよ、さっきと。
 では、国立大学法人法案と同じように、今おっしゃったとおりに、機構の意見を十分に聞いて、そして話し合いをもとに策定するんだというふうにすればいいんじゃないですか。国立大学法人法案との大きな違いなんですよ、ここは。
遠藤政府参考人 御指摘のように、法律上は文部科学大臣の責任において機構に示す、こういうことでございまして、その際、大学法人につきましては、大学の特性にかんがみまして、法律で、意見を聴取する、必ず意見を聴取する、原案を出してもらう、これも法律で必ずそうするという規定にしておるわけでございます。
 ただ、こちらの方は独立行政法人のスキームでございますから、事実上、そういうことがあっても、事実上という意味は、そうしないで文部科学大臣が示すということも法律上できるわけでございますけれども、やはり高専の意見を聞いてこれを示すというのがいいということで、そういう形で作成をしていくということになろうかと思います。
鎌田委員 時間がなくなってきたので、もうほとんどあとこれ一つで終わりかなと思いますが、であれば、私たち国会議員に対してこの法律の内容を説明する冊子というか、機構法案の中身を説明したもの、ここと違うことになりますよ。皆様がつくられて私たちに配っているんでしょう。文部科学省がつくっているんでしょう。これは機構法案の説明をしているものですよ。分厚いものがありますでしょう。私、厚くて持って歩けないからあそこから破ったんですよ、きょう、高専のところを。だから薄いんですけれども。
 ここに……(発言する者あり)ああ、調査室。では、調査室が違う情報を出しているということになる。ここに、独立行政法人国立高等専門学校機構の意見を、中期目標策定に当たっては聞くこととされていないと書いているんですよ。
 ああ、聞かないんだ、では、どうやってつくるのと。機構からも意見を聞かない。そして機構は、五十五を一つにまとめたでっかい上に法人になる。いかにも高専の自主、自律、独創、創造性がうたわれているかのような法案になっているけれども、では全然そうじゃないじゃないかと。はっきり言わせていただければ、もともと自治がないのに、またまたなくなる。ますます、現場の先生たち、教授の皆さんたち、あるいは生徒さんたちにとって果たしていいものになるかどうかなんて、全くこれじゃ見通しが立てられない。
 では、これについての見解をちょっとお聞きをしたいと思います。時間はもう私は終わりですので、違うとしたら、今後の方にまたそれをただしていただきたいと思います。
遠藤政府参考人 法律の上ではそうなっていると端的に書いたものと理解します。
古屋委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時八分開議
古屋委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。佐藤公治君。
佐藤(公)委員 自由党の佐藤公治でございます。
 ちょっと委員の出席が余り思わしくないようでございまして、この大事な、本当に高等教育、国立大学を改革するという審議にしては人数が少ないかなと私はちょっとがっかりしております。これは与野党皆さん方、うちの自由党は一〇〇%出席でございます。それを思えば、特に与党さん、もしもこれを本当に推し進めていきたいということであれば、それなりの皆さん方の意識、これを、やはり傍聴の方々もいらっしゃいますので、ぜひともよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 本日質問をさせていただく大きな流れは二つあるかと思います。一つは、先般行いました衆議院本会議場での代表質疑、これに沿った質問をさせていただくこと、そして、これもまた先日行われました、参考人ということで大変ありがたいいろいろな意見をいただきました。これに関連した質問、そして大臣、副大臣の御見解をお聞かせ願えればありがたいと思います。
 しかし、その前に冒頭に大臣、副大臣に御意見をお聞きしたいんですけれども、今与党を含めた方々は、もうこの法案審議の問題点は出尽くした、議論はし尽くしたようなお話、または採決を急ぐことがお話として幾つか聞こえてくるところがあります。私はまだまだ足りないのではないか。そういう話をしていくと、役所の方からも、これに関しては長い時間をかけて今までやってきた、こういうお返事が多く返ってくることがございます。長い間時間をかけて皆さん方が議論したのであれば、なおさら、それだけ大変な難しい法案であるのであれば、この委員会においても、やはり時間をもう少し考えて議論していくべきだと私は考えます。
 先ほど山谷委員からもお話がございました中で、担保、私もよく使います、多くの方々が担保、担保という言葉を使う。担保、まるで銀行みたいですよね。そこにあるのは、信頼関係がないから担保という言葉を私たちは連発しているのかな、信頼関係をつくるためには、やはり時間が必要だと私は考えます。
 今、約十三時間プラスアルファの議論ということになっておりますけれども、副大臣、この議論に関して、もう少し時間を長くすべきだと私は考えますが、いかがでしょうか。副大臣は多分、私の立場から言うべきことじゃない、これは委員の皆さん方というふうにおっしゃられるかもしれませんが、副大臣の思いで答えていただけたらありがたく、お願いいたします。
河村副大臣 佐藤委員の言われること、この問題の改革、特に百年来の、こう言われている改革でありますから、さまざまな御意見を伺って最終結論に達したい、私もそう願っておるところでございますし、先ほどの、午前中の質疑で、民主党から修正案もお出しいただくというような話も伺っておるところでございます。
 しかし、私どもとしては、これまで国対側ともいろいろ積み上げをしてきた、いろいろな意見もあることも承知しておりますが、積み上げてきた経緯もございまして、十六年にはスタートさせなきゃいかぬという使命を持っておるわけでございます。それにあわせて、国会も今、終盤にも差しかかっておるわけでございますが、国会日程等もにらみながら、法案の成立の日程をにらみながら、今質疑をいただいておるところでございまして、そういう意味では、十分濃厚な議論はいただきながら、来年の出発ができるように、ひとつお取り計らいをいただきたい、このように思っておるところでございます。
佐藤(公)委員 もう一回、その件に関してだけお聞きいたします。
 もう少し時間はとって議論はしてもいいと副大臣は思っていただけますでしょうか。
河村副大臣 正直なところを申し上げますと、修正案に見られる点が一つの大きな争点だということは承知しておりますが、これは、この大学法案に限っていえば、もちろん、それぞれまだ詰めるところはあるとおっしゃいましょうが、きょう、五時間半議論をお伺いした時点で、大体出るべき意見は出てくるのではないか、このように私自身は理解をいたしております。
佐藤(公)委員 早く法律を通さなきゃいけないという責任もおありでしょうし、そういう言い方しかできないのかもしれませんが、副大臣のお気持ちを察すれば、もう少し議論してもいいのかなと私はとらせていただきました。
 それで、本会議場での質疑の方の話に入らせていただきます。
 私学と国立大学の垣根ということ、これについて聞かせていただきました。実際問題、国立大学とは何ぞや、私学とは何ぞや、こういうところからお答えをいただいたわけでございますけれども、私が思いますことは、私学というものと国立大学というもの、そのできた経緯、経過というものが違うことは事実でございます。しかし、今、何もかも同じような形での方向に進みつつあるのかなというとらえ方ができる部分もあると思います。
 その中で、今回の国立大学法人化法案を通し、国立大学を法人化していくことによって、競争原理という言葉を使っていますけれども、お互いがある意味でフェアな中でやっていくためには、私立大学というのに対して何か財政的な措置、もしくは法律的規制的措置、そういった一つのハンディといったものを考え、私立大学に対してのサポート、支援というもの、または整理というものをお考えになられているのか、お答え願えればありがたいと思います。
遠山国務大臣 私は、日本の大学の現状、四年制の大学だけで六百七十も大学がございまして、これは先進諸国の中でも進学率はかなり高いわけでございますが、日本の高等教育がここまで国民のニーズにこたえてきたのは、国立大学のみならず、私立大学の役割が大変大きいわけでございますし、私立大学が建学の精神にのっとってしっかりと歩みを続けていただくということは、日本の高等教育を支え、また、日本の将来のすぐれた人材を育成し、あるいはすぐれた研究をさらに進めていくという面でも大変重要だと私は思っております。
 その意味で、今回は、国立大学の法人化ということで、国立大学の活性化ということを通じて大学改革を推進しようということでございますが、これは、委員御存じのように、一九九〇年代から国公私を通じた大学改革というのをずっとやってまいりました。そして、それぞれ設置者の違いはあるにしても、本当に御努力が今なされていると思っております。
 私立大学もさらに、私としては質、量はかなりできてまいっておりますので、質の面でさらに機能を強化していただきたいと思っております。その意味では、私は、私立大学の振興の方策というものはしっかりと考えていかなくてはならないと思っております。この法案そのものと直接絡むということではなくて、対私立大学の振興策といいますか、日本の高等教育の発展のために一体どうしていくかということはさらに私は考察を続け、また努力を続けていくべき問題だというふうに考えております。
佐藤(公)委員 今、大臣の方から、私学に対しての振興の策というか、方策を考えていくべきだということの前向きな考え方だったと思います。
 では、これをもう少し具体的に今考えていらっしゃるものがあれば、お答え願えればありがたいかと思います。
遠山国務大臣 私立大学に対する国の役割といいますものは、大学というものの持つべきいろいろな基準的なものについてそれを示したり、あるいは設置について認可をするという形でお手伝いをしたり、さまざまな役割があるわけでございますが、やはり、私立大学がしっかりと自立をして、そして教育研究をその建学の精神に基づいてやっていただくというベースとしては、国の財政的な援助というものは大変大事だと思うわけでございます。
 これにつきましては、いろいろな法制がございまして、私立大学に対する助成制度があるわけでございます。それは次第次第にいろいろな形で充実を見てきているわけでございますが、私立大学に対する支援といいますものを、現在のものをベースにしながら、今後どういうふうにそれを充実し、あるいは強化し、あるいは重点化していくかというふうなことが大事ではないかと思います。
 具体的に今の段階で、どこをどうするというふうなことは、もちろん申し上げるような段階でございませんが、私は、私学関係者も含めて、この問題については今後非常に重要なテーマだというふうに考えております。
佐藤(公)委員 今、国立大学と私立大学、これは全部が全部フェアであるべきかどうかというのは疑問だと私は思います。しかし、フェアな部分というのも必要になってくるというふうに私は思いますが、この縦軸、国立大学と私立大学の種別的な縦軸から、この次、横軸に移った場合に、これはまさに都市部と地方という切り口があり得ると思います。
 これは参考人の方の中にもございました。ちょっと順不同の質問になってきますけれども、参考人の方の意見の中でも、まさに地方の切り捨て的要素、こういったものが含まれているというようなお話もございました。
 前回の委員会で、河村副大臣から、国立大学法人法が進んでいくと民営化になるかならないか、当然、評価委員会の評価によっては統廃合もあり得る、地方から大学もなくなることもあり得る、こういうお話があったかと思います。
 そういうところで、前回の代表質疑の中で、大臣答弁の中で、「我が国の国立大学は、全国的に均衡のとれた配置により、地域の教育、文化、産業の基盤を支え、学生の経済状況に左右されない進学機会を提供する上で重要な役割を果たしております。」
 「全国的に均衡のとれた配置により、」つまり今の現段階の国立大学のあり方というのは、配置的には非常に理想的だということをおっしゃったと私は思います。もしもそれが、今の状況がいいというのであれば、統廃合になったのであれば、この県は国立大学がなくなる、もしくはここの県もここの県もここの県もなくなって、ここに一カ所に集中される、統廃合ということになってくる。
 つまり、今現状の全国的に均衡のとれた配置が、これが非常にいいというのであれば、やはり一つの、先ほどフェアということを話しました、フェアということから考えていくと、地方と都市部との国立大学の中には、これは参考人の方もおっしゃられていました、もともと一つの差がある、この差を埋めていく文部科学省の考え方、または措置というものがあって、ある程度均等な、平等なスタートを切らせてあげること、これがとても大事だという参考人の意見があったわけでございます。
 もう多分参考人のお話しされたことは、大臣、副大臣、十分聞かれて、読まれていると思いますので、そこにおける説明というのはある程度飛ばして話をさせていただいておりますけれども、つまるところ、私が言いたいことは、国立大学と私学との間でのフェアな環境、そしてやはり地方と都市部との、これは国立大学の中で結構です、その中でのフェアな状況でのスタートというものが私はとても大事な一つのポイントでもあると思います。
 大臣、副大臣は、もう今までいろいろな陳情、要望書をいただいておるかと思いますけれども、今私のところに来ているこの陳情、要望書だけで、これも本当に一部です、もう山のように来ております。その陳情書、要望書の中で感じられることが、いかにこの国立大学法人化を皆さんが不安に思い、そして先がどうなるのかわからない。本来ならば、前向きな考えを皆さんに与えていく、夢を持たせるような法律であり文部科学省の説明であるべきにもかかわらず、皆さんが不安を持ちながら日々暮らしている、そしてこういった要望書、陳情書になっている。
 ここは、私は非常に大事なところであり、ここを埋めていく、もしくはみんな頑張れば幾らだってできるんだよ、どんな大学だってこういうふうになれるんだよと、もっともっと夢を与えていただくような法律なり説明なりにしていく必要性が考えられる部分があると思います。
 一つ質問としてお聞きしたいのは、地方の国立大学と都市部の国立大学、これはもうスタート時点でアンフェアな状態だと僕は思いますけれども、これをどう思われるのか。また、これをある程度のフェアな状況のスタートラインにそろえるべきだと思いますけれども、大臣か副大臣、お答え願えたらありがたいと思います。
遠山国務大臣 これまでの国立大学といいますものは、国の行政組織の一部でございましたがゆえに、国民の皆様からの批判あるいは大学人の中でも、余りにも護送船団方式ではないかということが一つあったと思います。そういうことを前提にいたしまして、あるいはさまざまな課題を抱えている国立大学について、私は、それぞれの大学がむしろ個性を持ち、独自性を持ち、特色を持ってやっていくというのがこれからのあり方ではないかと思います。
 したがいまして、地方にある大学がアンフェアな状況に置かれているというお話でございますが、決してそうではないのではないか。地方の大学におきましても、非常に独自性を持って、すぐれた教育研究をやっている大学は幾つかございます。私としては、そういう個性輝く大学として、地方にある大学においてもしっかりとやっていただくというのが今回のねらいの一つでもあるわけでございます。
 国立大学の機能としては、午前中も答弁させていただきましたが、学術研究あるいは研究者の養成、それから学問分野のバランスのとれた人材育成、と同時に、その地域への貢献、地域のニーズにこたえる大学の機能というのは非常に大きいわけでございまして、そうした角度から、それぞれの国立大学が特色を持って、そして個性輝く大学になっていただく、そこがむしろねらいでございます。
 アンフェアな状況にあって、みんな同じように、そのアンフェアということ自体の意味も私はなかなかわからないのでございますけれども、私どもとしましては、国立大学の中でも、全く皆同じように、ミニ何とかというのではなくて、しっかりとやってもらいたいというのがございますし、そしてまた、私立大学におきましても、これはもう本当に、建学の精神にのっとって、真摯にその目的達成のためにやっていただきたい、そういう考え方でございます。
 委員が御心配いただきますアンフェアな状況といいますよりは、地方の大学においても、もっと個性ないし特色を発揮していけば、さらに輝く存在になっていくということで、希望を持ってやっていただきたい。まさにそれにこたえる制度であるというふうに考えております。
佐藤(公)委員 アンフェアという意味がおわかりにならないと大臣はおっしゃいました。これは、もしかしたら参考人の方々のお話を聞かれていないのかなとふと思ったんですけれども。
 参考人の方が、十分留意しておかなければならないという点で、もともと、東京大学を初めとするいわゆる旧帝大ないし戦前からある大学と戦後に設置された大学との間には、講座制と科目制という予算算定の根拠に違いがある、結局、配分されるお金の部分で格差が長年にわたって存続し続けてきているという部分、結局は財政的な面という、アンフェアというふうにとっていいかと思いますけれども、こういう部分がずっと続いてきている。「出発点といたしますと、競争に参加する大学法人間の初期条件に有意なる格差が存在することは否定するべくもありません。」こういう話がずっとあったわけでございます。
 そのアンフェア、いろいろな意味でのフェア、アンフェアというのがありますけれども、やはり財政的なものの大きな違いによって、それが今まで積み重なったものというものは大きく存在すると思います。その差というのはかなり出ていると思います。では、これをある程度、全部同列とは言いません、やはり国立大学の、特に地方において、私は、スタートラインに並ぶに際して、少しやはり何らかの形でのハンディというものを考えていくべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。
河村副大臣 佐藤委員御指摘のとおり、地方大学といいますか、地方にある県立それからそれぞれの国立大学と、御指摘のような旧帝大と言われる大学、例えばその持っている財産だけ比較しても随分違うわけで、今回の国立大学法人化に当たっては、その辺もやはり考慮に入れながらやらないと、地方は確かに心配されるだろうという意見がありましたし、最初から、そういうことも我々承知の上でやっておるわけでございまして、そういう点は考えなきゃならぬ課題だろうと思います。
 ただ、逆に、今度はそれぞれの、これから地方分権、地方主権の時代と言われておりますが、各県等々においても、地元の国立大学を一緒になってやっていこうという機運も一方では盛り上がっておるわけでございます。最近、法律改正等々の要求がありまして、あれは特区でやったんでしたか、せっかく各県がその大学に土地を用意して、ここへ研究所を欲しいといったって、勝手に地方自治体が国に寄附するのはだめだというような話でとめられちゃったんです。これはもう今解除する方向でありますが、そういう動きも出てきておりまして、やはり大学を中心にして、その地域のいろいろな意味の活性化を図っていきたいという地方の要請もございますから、そういうものにもやはり大学はこたえていかなきゃならぬわけでございます。
 一方では、私の方にも来ている要請書、教育学部の再編成等々については、それぞれ地元の特性があるものでありますから、要請も来ております。やはりそれぞれの教育は地域性に根差した教育をやっているんだという強い主張もあるわけでございますが、一方では、少子化時代にどう対応するかという課題も抱えながら、こういう問題に取り組んでいかなきゃならぬと思っております。
 トータルとして、やはり地方の国立大学はそれなりの特殊性を発揮して頑張っておるわけでございますから、それを国がやはりそういう観点で支えていくことも、私は、日本の教育全体を上げる意味にも大いに意義あることだ、こう思っておりますし、また、COEプログラム等々においても、大きい都市にある大学、人数も多いものでありますから研究課題もたくさん出てきておるわけでございますが、やはり各都道府県、地方で頑張っている大学からも出ておる。やはりそういう地域性もこれはフェアに審査するんだということですが、そういうことも踏まえながら、地方だって世界に発信できる研究をやっている大学はたくさんあるわけでありますから、そういうものもしっかりやはり取り上げるということが必要ではないかと考えておりますから、トータルとして、佐藤委員の御指摘というのは、我々十分踏まえて対応していかなきゃいけない課題である、このように考えております。
佐藤(公)委員 そこで、代表質疑のときでも、大臣答弁の中でまさに今お話ししたことを含めて、
  我が国の国立大学は、全国的に均衡のとれた配置により、地域の教育、文化、産業の基盤を支え、学生の経済状況に左右されない進学機会を提供する上で重要な役割を果たしております。
  こうした国立大学の役割は、法人化それ自体によって変わるものではなく、国としても、今後とも、必要な財源措置など国の事業としての責任を持って対応してまいります。
こういう答弁をされました。
 ここで、もう一回もとに戻りますけれども、今全国的に均衡のとれた配置になっているのであれば、本当につぶれるかつぶれないかというところの大学も、地方大学では出てくるかもしれません。この前の副大臣の答弁ですと、それはもうなくなっちゃうかもしれない、もしくは統廃合になってなくなってしまうということもあり得るということをお答えになりました。やはり、ここら辺もすごく地域の皆さん方、地元の皆さん方、大学関係者の方々も不安に思っておられる部分だと思いますけれども、ここに関して責任を持って今までと変わらずやっていくということはどういうことなんでしょうか。
河村副大臣 大学が十分な成果を上げていないという評価をされて、そういうことがこれは制度上、仕組み上はあり得るということを申し上げたわけでありまして、だからといって、今地方の要請においてすぐそういう状況があるかどうか。私は、それはむしろそれぞれの大学が個性を出すためにさらに努力をされる方向だろうと思いますが、御案内のように、一部、各大学は統合してやろうという動きもあるわけでございます。それは、やはりそれぞれの地域、特性がございますから、その方がうまくいくとそれぞれの地域の住民あるいは地方自治体の皆さんがお考えになって、例えば群馬大学と埼玉大学でしたですか、いろいろな動きがございます。
 そういう動きもありますから、これはなくなるというよりも、それによってもっと大学が活性化されて、その地域の住民にとっては、これは地域性もあると思うんですよ、距離の問題とか便利さとか、そういうようなものをいろいろ総合してお考えになってそういうことが起き得るであろうということであって、決して、どんどんそういうものはつぶしていけばいいんだという発想で申し上げたつもりはないのでありますが、むしろこの法人化によって、それぞれの地域がやはり特性を出して、また地域が、自分たちの地域にある大学をもっとしっかり支えていこうという動きは高まってくるであろうというふうに思っておるわけであります。
佐藤(公)委員 ということは、現段階、均衡のとれた配置には余りなっていないというのが本音なところなんじゃないかなと私は感じる部分があります。検討の余地があるということで、今ここの大学とここの大学があるけれども、これを合わせればもっと効率的になるというふうにお考えになる意味でも、均衡のとれた配置、そういう部分では検討の余地があるという思いがここには込められているのかなという気がいたします。
 これはこれで結構でございますけれども、ただ、やはりそこの部分が何かはっきりしないまま物事が進んでいるというのが非常に不安をかき立てている部分でもあり、やはり統廃合ということありきですべてとらえがちなところがあると思いますので、その辺は副大臣、十分気をつけていただけたらありがたいと思います。
 そして、先ほども話しましたが、僕はやはりフェアな部分をもう少し地方大学に考えていただきたい、もしもこの法案が通ってやっていくんであれば、それは十分考えるべきだと私は思います。
 そして、代表質疑の中で続いて聞いていることは、まさにきょう鎌田委員の質問にもございました、文部科学省令で定める予定だということで、授業料の共通的な指標となる標準額ということを聞かせていただきました。先ほどの答弁を聞いていると、検討中ということで、これは実際問題、文部科学省令ということになっていますけれども、私はやはり今回の法案において余りにも政令、省令が多い、まだ未定なところが余りにも多いと思います。
 今、実際問題、政令、省令の数、副大臣、幾つぐらいあると思われますでしょうか、今回の法案に関して。いいです、これは事前通告していませんから。これは石井委員が調べて私がいただいたものですけれども、政令だけでも三十二以上、省令だけでも十六以上で、合わせて四十八以上が政令、省令の部分がございます。これには、細かいことまたは大事なこと、小さいこと、いろいろとありますけれども、こういったことがこれから話し合われる、検討中だということでこの法案を成立させるというのは、私は非常に心配、また危惧するところがあると思います。
 先ほどの授業料のことにしたって、やはりある程度の一定の範囲内というもの、そういったものをきちんと明確にした上でこの法案を審議し、そして成立させる、ここがとても大事なところじゃないですか。財政面に関してでも、かなり政令、省令の部分がございます。こういったことを、検討中で後からつけ足して考えていく、これでは私はこの法案を通すわけにはいかないんじゃないかと思いますけれども、副大臣、いかがでしょうか。
河村副大臣 どの法案でもといいますか、大きい法案には必ずその後、政令、省令があるわけでございまして、今回のこの国立大学法人法案、大きな改革でございますから、今御指摘のような政令で後、決めなきゃいけないこと、省令でやらなきゃいけないことがあるだろうというふうに思います。
 しかし、今回のこの大学法人化の問題については、いわゆる法律で基本的なことをきちっとお決めいただく、そしてもちろん授業料のような、この幅をどうするかというような、今ここで数字を明確にできないようなことがございますから、それは検討しなきゃいけない問題でありますけれども、私は、大筋の問題についてはこの場において御議論を十分いただいてきているし、いただけるのではないか、こう考えておるわけであります。
 省令の細部についてないからこの法案は、こう言われることについては、私はその点は、それはもっと審議をしろとおっしゃる佐藤委員のお考えであろうとは思いますけれども、ここで議論をしていただくことによってこの法案のまさにやらなきゃいけない点、ねらおうとするところというのは明確になっていくであろう、このように思っておるわけであります。
佐藤(公)委員 でも、これはとても大事なことが幾つも入っていると思いますよね、四十八以上の政令、省令に関して。それなら、一つずつ聞いていきましょうか。一つずつ聞いていったら大変な時間数が多分かかるんじゃないかと思いますけれども。でも、これを全部嫌がらせのようにするわけじゃなくて、中心的な部分、特に、学費のこと、財務状況、財政状況、そういう部分に関しては、やはりきちんと示すことが大事、その上で次に移れるんだと思います。
 参考人の方、何とおっしゃられました、この法律に関して。どんなこと言っていたかというのを見られましたか。どうにでもなるみたいな言い方ですよ。この国立大学法人化法案というのはどうにでもなるような法律だみたいなことも言っているんですよ。そういうことを考えれば、やはりもう少し枠組み、基本は確かにこれである程度出ているかもしれませんけれども、もう少し全体像を議論していくべきだと思います。
 鎌田委員の質問に対しての答えはもう聞きましたけれども、それ以上の今具体的なもの、また計算方式、こういう形で考えているというもの、それぐらいはせめて参考人の方にお答えでも願えればありがたいと思いますが、いかがでしょうか。
遠藤政府参考人 確かに、政省令につきましては、これまで国の機関の一部であったものが法人化をするということで、いわば権利義務の主体になるわけでございますから、財産その他の面でいろいろ細かな規定をしていかなくちゃならないということで、いろいろな条文等で、これは政令で定めます、これは省令で定めますといったような事項が多くなっていることは事実でございます。
 また同時に、御指摘ありましたように、評価委員会あるいは授業料の問題等々について御指摘をいただいておるわけでございます。
 授業料の問題につきましては、先ほど鎌田委員に御説明したとおりでございまして、そういうことで、授業料については省令におきまして標準額を示し、そして一定の範囲というものを示しまして、その中でということで……(佐藤(公)委員「それはもうわかっていますよ。わかっていますから、具体的に」と呼ぶ)それにつきましては、具体的な数字をというお話だろうと思いますけれども、数字につきましては、そういうことで、いろいろなことで検討をしているという最中でございます。
佐藤(公)委員 議論し尽くしたと言うけれども、これ一つとってもこういう状況ですよ。せめて、大体の全体像が見える、そういう段階での採決なりなんなりをしていくのならわかりますけれども、これからこれからで、これは全部やっていったら、例えば、では、皆さん方が長い時間をかけてこれに関して議論して議論し尽くしたというので、もう政府参考人なしで政治家同士の話でこれを一つずつ聞いて、ある程度答えることができますか。僕は、でき切れないと思います。
 そんな嫌がらせを今やるつもりはございません。やりませんけれども、やはりここら辺のあたりも含めて、もうちょっと議論が必要だと僕は思いますので、時間の確保を改めて委員長にもお願い申し上げておきたいと思います。
 私の代表質疑に関しての引き続きの質問をさせていただければ、これは大臣のお言葉をそのままさせていただければ、「返済不可能な負債や巨額の賠償金についてのお尋ねであります。」と。そういう中で、「御指摘のようなケースを考えてみますと、長期借入金に関しては、その対象を附属病院の施設整備など確実な収入が見込まれるものに限定いたしますとともに、」「確実な収入」という言い方をして大臣は答弁をされています。この「確実な収入」というのは、どういう意味で「確実な収入」というようにお使いになられているんでしょうか。
玉井政府参考人 お答え申し上げます。
 現在の国立学校特別会計、これは財政投融資資金をお借りしながら施設整備も行っております。もちろん施設整備費も計上しながら、同時に、安定的な整備ということで、特に病院の建てかえ等の大変長期にわたり大型のものもございます。移転統合もございます。そういったものについて、財投資金をお借りしながらやってまいりました。
 これは、やはり確実な収入を前提として財投資金をお借りしているわけでございます。確実な収入というのは、今の病院で申し上げますと、まさに病院収入、これは確実に収入はあるわけであります。そういう意味での収入はきちんとあるということを申し上げているわけであります。
佐藤(公)委員 それは、一円でもあったら収入ということなんでしょうか。もしくは、赤字があろうが、収入が一円でもあれば、それは確実な収入というふうに言えるんでしょうか。または、前年度が、上下があると思いますけれども、そういうのは余り考えずに確実な収入ということなんでしょうか。
玉井政府参考人 お答え申し上げます。
 財投資金ですから、償還をせねばならないわけでありますけれども、そのときに、やはり確実な収入があるということを前提にしているわけでございまして、そこで、現に今の病院収入を十五年度で見ますと、歳入、現在はまだ国立学校特別会計でございますので、個々の大学ではなくて特会全体での収入になるわけでございますけれども、十五年度予算でございますと、附属病院収入五千九百五十七億円。ですから、これは国立学校特別会計歳入全体の二一・二%を占めているわけでございます。そういう確実な収入ということを念頭に置いているということでございます。
佐藤(公)委員 ちょっとそこのあたりはもう少し深く聞きたいことがあるんですけれども、どんどん時間がなくなってしまいますので、その辺が非常にわかりづらい、言葉のすりかえにも思える部分があるんですけれども、私の代表質疑の方に関してはそういったことでとりあえず一回切らせていただき、先般行われました、大変貴重な参考人の方々の意見がございました。
 その中で、今回の国立大学法人化のこの法案に関して、皆さん幾つかの点を心配していることがございます。
 まず、これを一つ一つ順番に言っていきますと、何人かの方々は、「危惧していることといえば、大学が変わるのは確実でありますが、やはり役所も変わるという前提でこの議論はしているわけでありますから、役所は変わってもらわなきゃいけない。」という話がございました。これは、ちょっとこの参考人の方々の言っている趣旨というのもよくわかりづらい部分もあるかもしれませんが、こういうこともございました。
 つまり、役所も変わってもらいたい、私がとったのは、今の役所もいろいろと意識も含めて問題だらけだよ、もっときちんとせいやという思いがあって、こういうことをおっしゃられているんだと私は思います。これは、とりあえずそういう意見があったということを今この場でお話しするだけでございます。
 二点目ですけれども、「今回の法人化によって行政量が膨大にふえ、事務量が膨大にふえて、我々の本来の研究教育の妨げになる」、今回の法人化によって膨大に作業量、事務がふえて、本来の研究とか教育のところが非常に妨げられていくという心配をしているところがありますけれども、この膨大な作業量というか事務量というか、こういったものに対しての配慮または指導というものはどういうふうにお考えになられますでしょうか。
河村副大臣 委員御指摘のとおり、これだけの改革をやるわけでございますから、立ち上げについては事務的な問題はいろいろあると思います。おっしゃるとおりだと思います。
 ただ、その立ち上げのときがやはり大事でありますから、そのときに各大学がそれぞれ経営戦略をお立ていただくということも非常に必要なことでございまして、現段階では、国立大学には大体事務局長は文部科学省からも出向の形で今出ておるわけでございます。そういう方々との連携もとりながら、各大学がうまく立ち上げができるようにということで、文部科学省としても支援の意味を込めて連携をとっておるわけでございます。
 そういう意味で、もちろん、教育機関でございますから、最終的なところは教育研究の活性化が図られるような方向になっていかなきゃいかぬ、こう思っております。
 今回のこの枠組み、システムのつくり方を見ても、そういうことも想定をして、いわゆる評議会的な、全体が集まって各学部の利害調整というようなことではなくて、むしろ、いわゆる教学の部分と、それから経営の部分と、またその中間的にある経営協議会、外部の人も入れたようなもの、そういうものをうまく組み合わせながら、そして、学長がリーダーシップを発揮できるようにという形、仕組みをつくっておるわけでございまして、そういう役割分担をはっきりすることによって、いわゆる教育部門、研究部門にしわ寄せが行かないようにということの配慮がしてある、私はこのように思っております。
 ただ、大学によっては、やはり初めてのことでありますから、外部の方を任期制で入れて、そして研究していただく、あるいは大企業で組織を専門にやってこられたような方々を特別に採用して、それを専門にやっていただくとかいう大学も既に出ておりまして、各大学それぞれ工夫をされておる、このように理解をいたしておるところでございます。
佐藤(公)委員 しかし、やはり事務量が膨大にふえるという心配をしている方々は何人かいらっしゃったんですけれども、まさにこの国立大学法人化法案に賛成をしている方すら、こういうふうにお思いになられている。
 つまるところ、配慮はしてあるとはいうものの、賛成している方々もこういう部分を強く感じているという話もございましたので、やはりこれは二重三重の財政措置か何かを考えていかないと、また現場の方々が大混乱をする可能性があり得るのかなというふうに思います。要チェックだと思います。
 そしてまた、参考人の方から、これは今までも話もありましたけれども、「自由で競争的な環境をつくろう、研究環境をつくろうというねらいが、実はねじ曲げられているということですね。それが一つ。結局、大げさな言い方になりますけれども、ソビエト化」になっちゃっている、こんな極端なことが言われております。今のこの国立大学法人化法案というのがソビエト化だというふうなことをおっしゃられているんですよ。
 「それからもう一点は、研究個人主義の立場というのに私は立つわけです。つまり、研究というのは個人がやるんだというわけですね。もちろんグループをつくる場合でも、同じ学科の中でグループをつくるんじゃなくて、むしろ大学を横断的に研究グループをつくって研究を推進する、やるというのが従来のやり方といいますか、外国なんかでもやられていることなんですね。そういうのを、一つの組織を、個人じゃなくて組織を評価の対象にしているというのが問題です。」つまり、個人というのじゃなくて組織というものをこの法案自体は対象にした評価ということ、個人というものをやはりもっと考えてみるべきじゃないかというような話があります。
 大臣、副大臣、もしかしたら参考人の方々のお話を聞いていない、もしくは読まれていないのかなという気が今何となく不安げにするんですけれども、ぜひ、時間があったらよく読んでください。すごくいい話がありますから。そこの部分で、やはり大臣、副大臣がもう少し考えて議論を進めていくことが大事だと僕は思いますけれども、この個人じゃなくて組織を評価の対象にしているというのが問題ですということに関して、大臣か副大臣、いかが御答弁なられますでしょうか。
遠山国務大臣 私は、どうも参考人の御意見の中の、国立大学をソビエト化するという意味が、これはなかなか解しかねるものでございまして、我が民主主義国における日本の大学、これをさらに活性化するのがいかにしてソビエト化なのか、よくわからないわけでございます。
 今おっしゃいました、個人の研究というのをベースにしてやるべきで、組織の研究力というふうな角度で見るんじゃないというのは、それは確かにそうでございまして、日本の研究助成のあり方、その代表的な競争的資金でございます科学研究費補助金につきましても、これは一人一人の研究者の持てる力あるいはその発想力というものをきちんと評価をして、そして研究費を出していくわけでございます。まさに、研究者あるいは研究者の集合体であるグループの持てる、その研究に対する潜在力に注目して出しているわけでございますね。
 各大学におきましても、それぞれの教育及び研究に携わる人たちが発想をして、そして学内で優先順位をつけて、そういうものについてはいろいろと条件整備をしていくということになると思いますけれども、私は、将来、国立大学の個々のものについて評価が行われます際にも、組織である国立大学は個々の研究者なり教員の集合体でございますから、それぞれの集合体としての研究力でありますとか教育力というのは問われることがありましょうけれども、だからといって、すべてが大学という、固有名詞のつかない人たちの集合体による組織という形で、参考人のおっしゃるいわゆるソビエト化というんでしょうか、そういうこととは全く違うというふうに考えます。
佐藤(公)委員 私が今話していることというのは、参考人の方の、前後も踏まえて話をしている部分であるんですが、本当に一回よく読んでみてください。
 例えば今の組織のこと、個人のことにしても、言っていることは、「法人法案が個人の評価ではなく組織の評価に重きを置き過ぎているからであります。例えば、二つの組織、すなわち大学または同一分野の学科、専攻を比較するに当たって、一方の大学には、ノーベル賞受賞者が一人いるけれども、他の教員の業績は押しなべてぱっとしないといたします。他方の大学あるいは学科には、世界に名を知られる卓越した研究者は一人もいないけれども、教員一人当たりの平均論文数で比較すると前者を圧倒しているといたします。」こういうような比較の例も出しているわけでございます。
 結局、こういうことで評価していくことというのは、「国があるいは評価委員会なんかが個人の評価をするなんということはできっこないわけですから、」というふうに言っているんですよ。
 ここの部分、こういう話を聞いただけでも、私はその道の専門家じゃないです、やはりこういうお話を聞いたらきちっとした説明を、どうしてこういうことで個人の評価をすることができるのかなと単純に思いますね。それを納得できるだけの話し合い、もしくは根拠というものを出していただくことが大事だと僕は思うんですけれども、そういったことなくして、このままどんどん法案だけ通して、後はもう勝手に決めますじゃ、それはちょっと無責任じゃないかなと私は思います。その辺は十分考えてもらいたいことでございます。
 もうだんだん時間もなくなってきてしまったんですけれども、最後に一言言って、私は終わらせていただきたいかと思います。これは多分、きょう傍聴に来られている方々、たくさんこうやって要望書、陳情書を出されているかと思いますが、私はこれを片っ端から聞いていこうかと思ったんですけれども、それには時間が余りにもなさ過ぎます。
 言えることは、一点だけ最後に、きょうのお話の中で副大臣にお話ししておきたいことは、今小泉内閣がやろうとしていることは、まさに官から民へ、中央から地方へという分権を含めた構造改革ということをおっしゃられます。私は、これは上辺だけの話であって、基本的なところというのが見えない、もしくはないんじゃないかと思っていますけれども、まさにそういうことから考えたならば、中央から地方へという、それが一つの大きな根幹としてあり得るんであれば、僕は、中央大学に関してもう一度フェアな意味、プラスの部分をもう少し考えるべきだと思います。じゃなかったら、地方はやはりどんどん衰退していく。
 しかし、きれいな言葉で言えば、個性豊かなと言います。人がいなくなって自然ばかり、これも個性ですよ。果たしてそれをどう選択していくのか、これはやはり地元の方々、国民の皆さん方にもよりますけれども、やはり言いかえて、逃げているように私は思います。そして今のやり方はまさに、官から民へ、中央から地方へじゃなくて、官から官へ、中央から中央へのやり方ですよ。これをやはり根本的に考え直さなくては、いつまでたっても官から民へ、中央から地方へとはいかないと僕は思います。
 その根本論についてはもう一度、次回でもお話をさせていただければありがたく、本日は、これで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。
古屋委員長 石井郁子君。
石井(郁)委員 日本共産党の石井郁子でございます。
 まず、財政問題でお聞きをいたします。
 各大学法人の土地建物などの資産はそれぞれどれくらいになるのか、お示しをいただきたいと思います。
玉井政府参考人 お答えを申し上げます。
 平成十三年度末現在におきます各国立大学に所属する国有財産につきまして、国有財産台帳上でございますけれども、土地面積約十二万九千ヘクタール、金額に直しますと約五兆九千億円。それから、建物延べ面積約二千二百二十九万一千平米、これは金額に直すと約一兆五千億円などとなっているわけでございます。
 今の、金額だけでよろしゅうございますでしょうか。
石井(郁)委員 私は、トータル、総額というよりも、各大学法人の土地建物というふうにお聞きをしたわけでございまして、それはお出しいただけますか。
玉井政府参考人 各大学ごとのかなり詳細なものがございますけれども、これまた後ほど必要があれば、ちょっとまた概要みたいになる部分もございますけれども、それをお出しします。
石井(郁)委員 では、この委員会の審議の途中までに、ちゃんとペーパーで出してください。各大学ごとの資産ですね、それを出していただかなければなりません。いいですか。
玉井政府参考人 承知いたしました。
石井(郁)委員 それはぜひ、そのようにしていただきたいと思います。
 次に、各大学の来年度の予算規模がどのくらいになるのかということなんです。
 これまでは国立学校特別会計がありまして、一般会計からの繰り入れということがございました。十五年度は一兆五千二百五十六億円ということで、積算校費のいろいろ基準などがあって各大学の予算が決まっていたと思うんですが、今度、運営費交付金になるわけですね。運営費交付金がどのくらいの規模で出されるのかという問題なんですね。ことしのこの予算額を上回るのか、それとも下回るのか、これはいかがでございますか。
玉井政府参考人 運営費交付金と、それから施設関係は、施設整備につきましては施設費補助金という形で必要な予算措置をするわけでございますけれども、これを具体にどれぐらいの規模にいたすかにつきましては、基本的には、移行前に必要とされた校費投入額を十分に踏まえて、それぞれの事務事業が確実に実施されるように配慮したいと考えておりますけれども、具体的に幾らにどうなってくるか、これは、各国立大学法人の方のそれぞれの見積もり、それからまた当然財政事情、こういったものを勘案しながら、これからやっていくというふうに考えているわけでございます。
石井(郁)委員 予算折衝はこれからだということで、具体はまだ答えられないということなんですね。
 それでは、もう一点伺いますが、これは附則第十二条に言うところの、「国立大学法人は、」「センターが承継した借入金債務のうち、当該国立大学法人の施設及び設備の整備に要した部分として文部科学大臣が定める債務に相当する額の債務を負担する。」としてあります。この「債務に相当する額の債務を負担する。」としている額というのは幾らになりますか。
玉井政府参考人 御指摘のとおり、国立大学法人法案、この中では、法人化後におきます既存の長期借入金債務につきましては、独立行政法人国立大学財務・経営センターに一括して継承させますけれども、関係の国立大学法人が同センターに対して一定の債務を負担するわけでございます。
 それは、もともと、この債務を負担することになる国立大学法人というのは、附属病院の改築、移転とか、附属病院関係で申し上げますと、まさにそういう附属病院を有する国立大学法人を想定するわけでございまして、これは、そもそもが、既存の長期借入金が附属病院の施設設備整備の財源となったからでございまして、その具体に幾らになるかというのは、当該法人の附属病院に対する過去の投資額を勘案しながら具体的な額をさらに確定していきたい、こういうふうに考えているわけでございます。
 トータルでは、平成十四年度末現在におきます国立学校特別会計の長期借入金残高、それからこれにかかわる予定利息額の合計額は一兆二千六百三十七億円でございます。したがって、各大学ごとのところも、おおよその、今までの金額だったらこれぐらいになるというのはあるわけでございまして、それはお示しをしているわけでございます。
石井(郁)委員 それでは、私は、一兆二千六百七十六億円と、一兆円を超えるという相当大きな債務だと思いますが、これを各大学附属病院を持つ大学に負担させようというわけですよね。
 では、附属病院を持つ各大学はそれぞれ幾らずつの負担になるのかということは、今お出しいただけますか。
玉井政府参考人 お答え申し上げます。
 例えば北海道大学でございますと、これは十四年度末債務額でございますが、四百二十三億円程度になる。それは、利息の計算はいろいろありますけれども、とりあえずそういうことも一応計算してみますと、利子が百十九億ですか、合わせますと五百四十二億になります。そういうのが、各大学ごとに一応の見通しはあるわけでございます。
石井(郁)委員 きのう、私もレクでこれはきちんとお出しくださいということをお願いしましたから、かなりそういう姿勢でやっていただいている面もあると思いますが、しかし、まだ資産についての数字はこれから見ることになるわけで、各大学の資産、それから一体来年度の予算規模はどうなるのか、それから債務についても、今、附属病院を持つ大学の債務ということが、まだ委員会の中ではっきりしておりません。
 これは、私たちは、法人としてスタートすると、法人が成り立つかどうかということでの極めて基本的な判断の材料だと思いますので、それをきちんとお出しいただきたいということをまず求めたいと思います。
 私は、きょう改めて伺ってみまして、こうして私たちが要求して初めて一つ一つ明らかになっていくわけでして、本来、これだけの大きな、大学法人に移行するという法案を出すときに、この資産状況、債務状況については、基本的な資料として、やはりあなた方の方から委員会にお出しすべきだと思うんですよ。これがやはり、国会に対する審議をお願いするというか、審議をするときの姿勢だというふうに思いますので、そこは本当に、こういう状況では、審議の仕方として、大変また国会軽視だと言わなければならないと思っています。
 それで、今言われましたように、各国立大学の特別会計の借入金残高なんですね。これは、私、きょうはぜひ、文科省から十四年度分をいただきましたので、当委員会に資料としてお配りいただきたいということで、もう皆さんの手元に届いているかというふうに思いますけれども。
 これは、私どもの児玉議員が要求いたしまして、ようやくこの月曜日ですよ、何度も何度も要求して、この月曜日にこのペーパーを手にしたんですよ。だから、私、最初に申しましたように、本来、国会審議が始まるときに、この基本的な資料などは用意して出さなきゃいけないものですよ。本当に、強く要求してやっと出てくる、こういう状況なんですね。
 さて、それを見ますと、十四年度末債務残高、利子、合計すると、先ほど北海道大学の例が出されましたけれども、東京大学は九百四十一億円でしょう。大阪大学七百二十八億円、九州大学で六百二十億円です。京都大学は五百八十億円ですよ。相当な借入残高ですよね。
 これを各大学に債務として負担させるのかどうかという問題が一点ですけれども、それ以前に、まず、こういう債務額、各大学にお示しをしているんですか。お答えください。
玉井政府参考人 お答え申し上げます。
 今まで国立学校特別会計という大枠で金額がございましたけれども、やはりそれはそれぞれの施設にどういう形で行ったかということはあるわけでございますので、したがって、各国立大学におきましては、平成十四年度末現在の国立学校特別会計における債務のうちに、それぞれの大学がどれぐらいの額があるかということは、私どもは基本的には承知しているというふうに理解をしております。
石井(郁)委員 では、各大学にこれはちゃんと示している、各大学は自分の大学の借金額はこれだけだということを知っているということですね。まあ、いいですよ、そう言ったんでしょう。
 では、これは各法人が背負う債務になるわけですね。それもどうですか。
玉井政府参考人 法人への移行というのは十六年四月でございまして、まだ十五年度分もそれぞれございますので、若干数字は動いてくるだろうと思います。その上で、十六年の四月からは、おおよそ、そんなに大きくは動くと思いませんけれども、新しく整備すれば、その分がふえたり、あるいは維持費が動いたりする、そういう数値でございますが、とにかく十四年度末ではこれくらいの金額になっているということでございます。
石井(郁)委員 十四年度なんですね、きょうの資料は。だから、十五年度末はもっとふえるんですよ、これは間違いなく。
 そういうことはありますけれども、聞いているのは、こういう借金を各法人が背負うんですねと。
玉井政府参考人 先ほどお答えをしましたのは、十五年度も若干動きますといいますか、同時に、償還もございますので、単にふえるふえるということではございません。
 それで、今いろいろ申し上げてしまったのは、このまま負担するのかみたいなお聞き方だったものですから、そうではございません、十五年度も若干数字が動いて、ふえたり減ったりしながら、十五年度末で負担をすると。これは基本的には、全体の金額は国立大学財務・経営センターが一括承継いたしますけれども、それのうちとして各国立大学法人が、その病院に係る長期債務分は、先ほど申し上げたような数字、若干動きますけれども、それぞれの法人が債務を負担するということになるわけでございます。
石井(郁)委員 数字は少し動くけれども、基本的にこういう数字を負担するということですよね。
 それでは伺います。
 今、附属病院の決算はどうなっていますか。これは全部の大学を聞くわけにいかないと思いますけれども、一番新しいもので示してほしいんですね。これもレクでお願いしましたから、東京大学、大阪大学、それから京都大学、九州大学で、附属病院の決算を示してください。
玉井政府参考人 お答えを申し上げます。
 これはやはり十三年度の歳入歳出決算ということになりますけれども、お許しいただきたいわけですけれども。
 今、個別ですけれども、東京大学、ここを申し上げますと、歳入が――このときにちょっと前提を置きます。項でそれぞれ分かれているものですから、項附属病院収入の歳入と、それから項大学附属病院の歳出決算というのがございます。というのは、歳出には、例えば項でございますと、人件費の問題をどうするか、施設費の問題がございますので、項だけで比べさせていただきますと、東京大学は歳入二百二十五億に対して歳出が三百五億円、それから大阪大学は歳入が二百三十五億円に対して歳出が二百六十一億円、京都大学は歳入が二百十八億円に対して歳出二百四十四億円、それから九州大学は歳入が二百二十三億円に対して歳出二百六十七億円となっているわけでございます。それで、これは先ほど来申している、項の比較でございます。
 それから、多分、赤字ということを前提に御指摘だろうと思いますけれども、そもそもが独立採算制ということを病院がとっているわけではございませんし、それから、今までは特別会計全体でございましたけれども、今度は各大学法人ごとになりますが、しかし、この国立大学法人そのものも、独立採算制をそもそも前提とするということではなくて、必要な予算については国の責任において措置をする、そういう仕組みのものだということは御理解を賜りたいと思います。
石井(郁)委員 今、その仕組みをあれこれ聞いているんじゃありませんで、十三年度の附属病院の決算を示してほしいということで、私もこの十三年度の分をいただいておりますから見ているんですけれども、東京大学で八十億八百万円赤字なんです。九州大学で四十四億四百万円、大阪大学で二十六億六百万円、京都大学で二十五億七千六百万円ですよ。つまり、附属病院は単年度で、これは十三年度で私は言いましたからね、単年度でこういう赤字を出しているんですね。だから、こういう債務を各大学にこれから押しつけていくということになるんですか。お答えください。
玉井政府参考人 お答えを申し上げます。
 先ほど、少し先走って答えてしまったかもしれません。失礼をおわびいたします。
 そもそも、これを赤字とおっしゃるのかどうかということだろうと思います。つまり、項というものの立て方と比べ方の問題でございますし、また、当然、今の国立大学の附属病院というのは、学部の教育研究とそれから病院とが一体となっているわけでございまして、したがって、病院収入というものとそれから学部における教育研究との関係をどう見るかということは当然あるわけでございます。
 したがって、そこの部分だけをとらえて、プラスかマイナスかといいますか、そういうことで比較するのは、恐縮でありますが、いかがであろうか、かように思いますし、それから、そもそもが、先ほどやや先走って答えてしまいましたけれども、この国立大学法人そのものの仕組みが、これが独立採算制を前提としているわけではないわけでございます。
 それからもう一つ、恐縮でございますけれども申し上げさせていただければ、やはり施設の整備、特に病院についてはかなり長期間、かなり多額の経費が必要になるわけでございまして、それをきちんと整備する、安定的に整備する、そのために財投資金を活用してきたわけでございまして、その財投資金は、これもまた貴重な財源でございますので、それはきちんと償還せねばならない。
 では、なぜ財投資金がこういうふうに投入できるかといえば、こういう公的なものであり、かつ確実な収入がある、そういうことを前提にやってきたわけでございますから、今度それぞれが法人化するときに、やはりその今までのことを前提にして、それぞれの大学がそれなりの負担はしていただくということになろうかと思うわけでございますが、今でも国立学校特別会計、先ほど五千数百億余りの歳入を申し上げましたけれども、同時に、今申し上げた施設の償還費約一千億ぐらいが、また逆に歳出の方でも組まれているわけでございます。
石井(郁)委員 今、日本全体で、病院収入というのは非常に厳しいというのが一般的でしょう。大学病院でも例外ではないわけですよ。大学病院ゆえに、かなりの支出が要求されるという面もあったりして。だから、病院収入で今後この債務をどうしていくのか、債務の償還などをやっていけるのかどうかというような問題が一つあるわけです。
 それで、債務の償還についても、これは附則の十二条四項でこう言っているわけですね。「負担する債務の償還、当該債務に係る利子の支払その他の同項の規定による債務の負担及び前項の規定により行う債務の保証に関し必要な事項は、政令で定める。」と。これも先ほど問題になりました、政令にゆだねられているわけですね。だから、この法案で本当にこの債務、その償還がどうなるのかという問題になると、委員会の審議にはまだ何にも示されていないわけですよ。
 伺いたいと思うんですが、だから、各大学法人ごとに、これは本当にどれだけの債務負担をするんですか。まずそれをはっきりしてください。そして、その債務をどのように償還していくんですか。これはどうですか。ここは明確にしていただかないといけません。
玉井政府参考人 お答えを申し上げます。
 先ほど来るるいろいろ申し上げましたけれども、要は十五年度末の、今申し上げましたような金額、若干動きますけれども、十五年度末の金額が、今度全体としては財務センターが一括承継いたしますけれども、個々の大学ごとにまた債務を負担するということになります。これについては、今まででも特会全体の中で五千億余りの歳入、一千億の歳出という形で組みながら適切に対応してきたわけでございまして、今後ともそういった面で各国立大学法人というものがきちんとした運営ができるように、そこは私どもとしてきちんとした対応をしていきたい、かように思っております。
 したがって、運営費交付金、こういう中で、そういう償還ということもまた考えていかねばならないわけでございますけれども、交付金の算定に用いる附属病院収入は、借入金償還経費控除後のものを用いるという方向で今検討しているわけでございます。ですから、いわば交付プラスマイナスでということよりも、まずは確実な収入がある、そこから一定のお金がやはり、それまで施設整備に使われたわけでございますから、それは償還していただく。それは、まずは収入の口からその分を控除した形にしておいて、その後で運営交付金の算定ということをまた考えるというふうに今は考えているわけでございます。
石井(郁)委員 今のお話は、これは政令の内容になる部分というふうに理解していいんですか。だから、政令にはどういう内容になっているのか、そこを出していただかないといけないと言っているわけですけれども。
 それから、十五年度末にならないと法人スタートの最終債務額がわからないと盛んに言われるんだけれども、それは細かな数字の話でありまして、基本的には、もう今現在債務があるわけですから、それを各大学が受け継ぐわけでしょう。そこをはっきりさせてください。
 そして、本当に、償還といった場合にはどういうことになっていくのか。それは、何か運営交付金にもそれがかかわっていくのかという問題もありますし、それから、利息、利子の問題もありますよね。一%から七%の枠で借りてきている額なんだけれども、それは一体、償還の場合、利息はどうなるのかということやいろいろなことがあるので、これは法人なんですから、本当に、企業会計原則が適用されるというか採用される法人として最も知っておかなければいけない。それによって本当に法人が成り立つのかどうかという問題なんですから、そこをしっかり御答弁いただかないと困るわけです。
玉井政府参考人 先ほど法人法案の第十二条をお引きになったわけでございますけれども、それぞれの額というものが幾らになるかは十二条一項の方で、「文部科学大臣が定める債務に相当する額」というのは、これは告示ということを今検討しているわけでございますし、それから、四項での政令というふうになりますと、これは債務の支払い期日等の償還方法について規定することを考えているわけでございます。したがって、金額も、十五年度末ではございますけれども、おおよその見込みは、今のところもう既に十四年度末である程度立っているわけでございます。
 それから、利息がどうというのは、これはもともと借りるときからもう、財投資金でございますから決まっているわけでございます。また新たにかけるときに、またそのときの金利が幾らになるかは決まってきますが、過去のものについてはもう決まって大体動いてきているわけでございまして、しかも、過去から既に、先ほど来、ちょっとトータルのお話ばかりして恐縮でございましたけれども、国立学校特会全体で約五千億の歳入、そして逆に歳出という形で、既に今まででも適切にやってきたと考えているわけでございます。
石井(郁)委員 私はその答弁では到底納得できないというか、これ以上審議できないと思うんですね。だから、トータルで歳入歳出でやってきた、それはあなた方からのこういう資料も、やってきたとおりですよ。だけれども、各大学法人それぞれが独立した法人になるんでしょう。法人としてまさに経営とか企業会計原則が厳密に適用されるという段階になって、こういう問題についてそんなことでスタートできるんだろうかと、私は素人だけれども思いますよ。大臣にぜひこの点で伺いたいと思います。
 この財務内容というのはやはり大変重大な問題ですよね。先ほど、中期目標で大臣が各大学の目標を決めることになると。その中身として第三十条二項、「財務内容の改善に関する事項」というのがあるじゃないですか。各大学の財務内容、これも目標、計画、そして評価の中できちんと見ることになるわけですね。つまり評価されることになる。だから、債務の償還がどうなのかというのは、これは財務内容としてのいわば評価の重要な内容になるんじゃないですか。各大学法人がそれに取り組まなきゃならない、そういうことになるんでしょう。
 そういう意味で、各大学にきちんと、どれだけの債務があるのか、それはどうやって償還するのか、その考え方を示さなければ、これはどうして法人などスタートできるでしょうか。これはぜひ大臣、お答えください。
 しかもこれは予算配分に結びつくんですよね。これはずっと法案の中にあるじゃないですか。この業務の内容によって予算配分が決まっていく。だから、借金が一方である、しかもこれによって予算配分も決まっていく、こうなるわけでしょう。
 私は、この法人法案問題で、一貫して本当に重大な内容を含んでいるというふうに申し上げてきましたけれども、会計で自由度が増すということを盛んに言われましたけれども、私は、この財務内容を見て本当に驚いているんです。自由度というのは借金の自由が増すだけだと。借金ですよ、本当に借金漬けですよ。各大学はこれを背負って法人をスタートするんですよ。こんなことで大学は本当に活性化すると言い切れますか。私は、大臣のぜひ御見解を伺いたい。これは大臣に御答弁いただきたい。
遠山国務大臣 答えましょう。
 もう既に玉井総務審議官から、ちょっと早口でございますので、なかなか理解が難しい面があったかと思いますが、私は、聞いておりまして、十分お答えしていると思います。
 これまでも大学病院というものは、歳入歳出という角度だけから見れば、歳入の方が多いとは到底言えないわけでございまして、これは大学が教育研究というものを同時にやっている、そういう組織としての病院でございますから、したがいまして、支出の方が多いわけですね。そのことについての債務というのはもちろんあるわけでございます。現在も、財政投融資資金により借り入れをして施設をつくった、その際における個々の大学が負うべき債務というのはあるわけですね。それに対しても、それぞれの大学の歳入、病院収入の中からきちんきちんと返しているわけです。
 そのことと、今回法人化して、それぞれの大学の債務の額というものが、前よりは大学ごとの額として出るのかもしれません、これまでも同じわけでございます。しかも、その赤字といいますか、委員は赤字とおっしゃいますけれども、差額については、そういうこともきちんと留意をした上で、あるいは配慮をした上で運営交付金が出されるということでございまして、これまでの行き方というものとその部分については、私は変わりはないというふうに思っております。
 幾らでも御説明すべきでございますし、説明責任を負っておりますが、きちんと答弁していると私は思っておりまして、ぜひとも御理解をいただきたいと思います。
石井(郁)委員 大学病院の関係者がこのように言っているんですね。大学病院は三重の意味で特別な病院だと。第一の意味は、医師の養成研修、医学生の教育を担っている教育施設だ。そのため、教員の数、特に医師の数というのは患者数に基づく必要数よりもはるかに多く配置される。それから第二の意味は、高度医療、先進医療を担う特定機能病院でもある。こうした医療はほとんど赤字と考えてよいと言っています。第三の意味は、新しい医療の開発を行っている研究施設である。研究開発のために、物的、人的資源が多量に投入されている。以上の三点の理由で、大学病院が初めから黒字になるわけがないのですと。私は、これは正直な大学病院関係者の声だと思うんですね。
 今聞いているのは、だから、その点では今までも、お答えのように、借入金の償還というのは国の責任で行ってきたんですよ。そのことを説明されたと私は理解しているんです。ただ、今度はそれが各大学法人になるんでしょう。それは財務センターから一括していろいろされたりする部分があるかもしれないけれども、これがどうなるのか、その責任を個々の大学病院に負わせるのか。では、負わせないなら負わせないで、はっきり言ってください、病院収入によって償還を、返還せよと言わないんだというのだったら、はっきり言ってください。そこなんですよ、聞いているのは。だから、債務を負わせ、償還も病院収入でなどということを考えているのかと聞いているんですよ。単純に聞いています。
 だから、そういうことをさせたら、大学病院というのは変わるでしょう。変わるというか、変質することになるんですよ。そのことを危惧しているから質問しているわけで、では、本当にこの責任を個々の大学病院に負わせないと答弁してください。
玉井政府参考人 お答えを申し上げます。
 先ほど来お答えを申し上げておりますのは、国立学校特別会計で今ございますけれども、それは、病院収入を前提としながら今の借入金があるわけでございまして、トータルで集めた病院収入を前提としながら、また歳出として償還の機能をしているわけでございます。
 そういう仕組みの中から、今度、各国立大学法人に分かれてまいりますので、各国立大学法人が過去に整備したものを負担していただくということでございます。したがって、今度は各国立大学法人が、病院収入といいますか、要は法人がその病院収入を前提とし、そこからその収入を前提として債務を負担し、そして償還計画を立てるということになる。
 ただ、そのときに、申し上げているとおり、そもそもが病院を私どもも独立採算性ととらえてきたわけでもありませんし、それから、今度、国立大学法人自体が、これがそもそもが独立採算性でいくということを申し上げたわけでもないわけでありまして、きちんとした必要な予算措置はすると申し上げていますし、そのための運営交付金の積算をするわけでございます。
石井(郁)委員 やはり全然答弁していませんよ。仕組みを説明しているだけじゃないですか。
 それで、今のお話のように、各病院、各大学に償還計画はさせると言いましたよね。どういうふうにさせるのかということを、私は先ほど、政令でやるんでしょう、だったらその政令を出しなさいと言っているんですよ。出さないじゃないですか。これはきちんとやはり審議中に出してください。審議できません。法人ですから、これは大変重要な問題です。
 時間があれですので次に移りますけれども、こうした債務を抱えて法人になるということからいきますと、その債務の押しつけがやはり授業料にはね返ってはきはしないか。先ほどから授業料の話が出ています。授業料の問題ともこれは関連があるんですよ。
 確認をしたいと思うんですけれども、三月十九日に関東甲信越の地区学長説明会がございまして、工藤審議官がこのような説明をされているんですね。やはりこの問題は各大学の心配事ですから。
 これからロースクールというのが立ち上げられる。国公私を含めて一斉にスタートになる。そのときに競争条件の上で国立大学が優位となりますと社会的にやりきれないかもしれない。専門職大学院、ロースクールとかビジネススクールとか、専門職大学ができてくる。若干、基準額を定めても、それを一割とか二割までという条件設定を場合によっては外さざるを得ない、自由設定にしてくださいとなるかもしれないということで、自由設定の方向だということを示唆されたんですが、これは確認してよろしいんですか。この説明どおりなんですか。ちょっと簡単に。
遠藤政府参考人 法科大学院につきましては、国家的プロジェクトとして、三権の一翼を担う法曹養成に関連して、新たな法曹養成制度の中核的な機関として、平成十六年四月以降、新たに国公私立を通じて開設されるものであります。したがいまして、従来の一般の大学院とは別途の取り扱いが必要ではないかという観点から、現在検討を進めておるわけでございます。
 そして、こういった法科大学院についての制度創設の経緯等を踏まえまして、いろいろ議論がございますけれども、国公私立を通じて、できる限り公正な競争的環境形成のための教育環境の整備が求められているわけでございまして、授業料につきましても、さまざまな考え方や意見があるということでございます。そういうことで、考えられるいろいろな取り扱いのうちの一例を、こういうこともあるということで紹介したというふうに承知をしているわけでございます。
石井(郁)委員 私は、やはり大変重大な内容だと思っています。ロースクールの授業料については、今、三百万円とか四百万円とかということが言われているわけです。これは定かではありません。しかし、国立大学法人でもこういうふうなことが認められていく、ビジネススクールについても認められていくということになりますと、じゃ次は医学部、歯学部という形で、私学と同様の額になっていくことになりはしないかという問題なんです。
 これも、ある大学が法人化検討専門委員会報告ということを出されておりまして、それによれば、学生一人当たり経費を部局ごとに概算で出しているんですね。医歯学系が百三十六万円、附属病院を含むと五百六十八万円だという数字が出ています。だから、この上に借金の償還の費用とかということになって、それが学費に転嫁されたら、巨額な学費にだんだんなっていくのではありませんか。私は、歯どめがなくなるんじゃないかというふうに思うんですね。
 ちょっと具体的に伺います。医学部の学費は引き上げないということは断言できますか。
遠藤政府参考人 授業料の標準額、一定の範囲をどうするかということはいろいろ検討しておるわけでございます。その検討の中で、現在の学部についてどうするかということについても種々検討をしておるわけでございますけれども、標準額ということにつきましては、今の検討の方向としては、医学部も文学部も一緒というような方向で検討しているということでございます。
石井(郁)委員 これも先ほど来、同僚議員からの質問がずっとございまして、やはり省令の内容、数字が出ていないんですよ。標準額は決めたい、枠は決めたい、その中身は大学が自主的にというけれども、どんな枠になるんだと、出ていないじゃないですか。これは前に伺ったんですけれども、例えば、現行授業料の三五%ぐらいはアップせざるを得ないという数字が、あるのかないのか、あるようにもなったりしているわけですけれども。だから、その数字をやはり出していただかないと、それはわかりませんよ。
 私は、この授業料の問題は大変重大だと思うのは、今度これは省令になる、そして各大学法人で決めていくということになりますと、もう国会審議にかからないんですね。今までは、国立大学ですから、全部授業料というのはこの国会審議にかかってきたじゃないですか。まさに国民がわからないところで、今度は、まさに国民の一番の関心の授業料が文科省の手一つで決まっていってしまう。こういうことになりませんか。こういう仕組みだって大変重大ですよ。
 それで、きょうはもう時間ですからあれですけれども、御紹介しておきたいと思うんですが、東京大学の佐々木総長は、四月十三日、「国立大法人法案の審議に望む」ということで、新聞に論考を発表していらっしゃるでしょう。
 授業料の問題は大変重大だということで、ちょっと御紹介しますと、「この法人の仕組みの存亡にかかわるこの重大問題の取り扱いを各国立大学法人の判断に委ねることの是非について、きっちりと議論してもらう必要がある。」「国会の審議がこの問題に正面から取り組み、」云々ということを切望すると。これは、四月十三日の東京新聞です。
 私は、やはり本当に、大学関係者はこの問題でも国会の審議を見守っていると思うんです。しかし、この程度の審議で済ますわけにいかないじゃないですか。省令の中身もはっきりしない、あやふやなままだということなんですね。この点でも、引き続いて、あなた方のきちんとした内容提示を要求しておきたいというふうに思います。
 次に、労働安全衛生法の問題で私もお聞きをいたします。
 きょうは、パネルを用意してきたんですね。こういうパネル。これは、ある大学の理学部の実験室なんです。液化炭酸ガスのボンベがあったり、この棚に重要な薬品が載っていたりする、こういうパネルなんです。
 これは、国立大学の理学部を訪ねた方は、もうよくわかる光景なんですけれども、本当に廊下に所狭しと、実験計器とかガスボンベ云々、いろいろある、薬品棚に計測機器があるということで、これは、労働安全を通り越して消防法上の問題となる、そういう光景だというふうに思います。
 それで、こういう現状については、昨年の九月二日に、ノーベル賞受賞者の野依良治会長の社団法人日本化学会から、「国立大学法人化に伴う、労働安全衛生法適用への対応に関するお願い」というのが出されているわけですね。ちょっと長くなりますけれども、その中にこういうふうにあります。
 「人事院規則によると、たとえ、労働安全衛生面で問題あっても、所管官庁の立ち入り調査はなく、学長や現場の教職員に対する罰則もありません。しかし、国立大学法人化した場合、事故等の発生時には、労働基準監督署の立ち入り調査が行なわれ、管理体制が不備であれば罰則適用がなされます。」
 「実態としては、前述のような罰則がないため、ほとんど全ての国立大学では安全管理が人事院規則に準じて実施されている状況にはなく、労働安全衛生法とかけ離れているのが現状です。この問題は、作業危険性のある化学、機械、土木・建築、医学、生物、薬学、農学、など理系のほぼ全ての分野に関連します。特に化学関係の分野はもとより、化学薬品を取り扱う生命・生物、医学、農学、電気などの分野で多くの問題に対処しなければならないことが想定されます」
 「このため国立大学法人化に向けてこの乖離を解消する必要があり、早急な対応が必要です」と述べていたわけです。これは、昨年九月でございます。
 文部科学省は、こういうことに対してどのように対処されてきたでしょうか。
萩原政府参考人 お答えいたします。
 委員御指摘のとおり、昨年、社団法人日本化学会、野依先生が会長でございますが、ここから国立大学長あてに要望書が出されまして、先生が御紹介のとおりでございます。
 文部省におきましては、これを受けまして、全国の国立大学に対しまして、昨年の十月でございますが、実験施設等における安全管理状況の確認を行いました。そしてさらに、昨年の十二月ですけれども、「実験施設等の安全管理の徹底について」という通知書を出しております。
 この通知書の中身でございますが、まず第一点目として、全学的な安全管理体制の整備についてお願いしております。二番目に、実験施設の改善計画を立案し、それに基づいて当面の対策を実施していくよう、三つ目に、有資格者の配置及び各種届け出状況の確認、こういったことをやってくださいということを依頼したわけでございます。
 また、昨年の十二月でございますが、文部科学省におきまして、学術経験者にお願いしまして調査研究協力者会議を設置いたしました。ここで実験施設の安全管理体制の具体的方策について検討していただきまして、その成果は報告書にまとめ、近々国立大学に発送することとしております。
    〔委員長退席、馳委員長代理着席〕
石井(郁)委員 文科省なりにそういうことで通知を出したりしたということなんですけれども、もう話は極めて具体的なんですね。いろいろ不備がある、それから危険がいろいろあるということなんですね。それは、安全衛生管理に不備があることが調査でもわかったということが言われているわけですから。
 そして、文部科学省が十月に国立大学など百六十九機関の実験設備の調査もしたということで、その結果、百五十六機関で要改善点が見つかったということはもう公表されていますね。では、これは九二%の機関で問題を抱えているということになるわけで、そのぐらいの大変深刻なものだというふうに私は思うんですね。
 そこでですけれども、こういう問題点、排ガスの処理装置、自家発電装置、避難経路の未確保とか、緊急用洗浄装置や消火器の不備などで、労働安全衛生法を適用するとすべて違法だと言われるような状況になるということなんですが、具体的に伺いますが、こういう改善が必要だと言われることに対して、ではどうするのか、その必要な予算はどのくらいかかるのか、その試算はされていますか。
萩原政府参考人 お答えいたします。
 昨年の十月の調査ですが、委員御指摘のように、百六十九機関において百五十六の機関で何らかの改善する項目があるということでございます。その改善の中身も種々多様でありまして、出入り口の確保から排気設備の改善、あるいは大幅な模様がえを要するもの、さまざまでありますし、また、施設の老朽だけではなくて、先生方の使用方法の改善によって解決するものもございます。そういったことについて、昨年の通知でもって、改善計画を立案してくださいというお願いをしているわけでございます。
 その経費につきましては、種々さまざまでございまして、ちょっと一律的には数字を出せないところでありますが、特に緊急に対応しなきゃいけないということにつきましては、現在、所要額を把握するべく努力しているところでございます。
石井(郁)委員 では、その数字はまだ出せないということですね。それで、いつごろ出ますか。もう時間がないので、簡単に。
萩原政府参考人 なるべく早く調査してつかみたいと思います。
石井(郁)委員 この問題は、来年四月にあなた方はスタートさせたい、させたいと言っておきながら、労働安全衛生法、労働基準法、この違法状態をどうするのかという問題でしょう。そして、それは各大学にこれはどういう形で責任を負わせるのかという問題もあるわけですから、私は、そんな答弁では到底この審議を了とするわけにいかないというふうに思うんですね。ちょっと時間がありませんので、それは引き続く問題にさせていただきます。だから、本当にこれは法人移行にとっての重大問題だということを強調したいんですね。
 だからこそ、国立大学協会は、これは先ほども同僚の平野議員が触れられましたけれども、「国立大学法人制度運用等に関する要請事項等について」のアンケートを取りまとめているということですね。五月十五日を締め切りに各大学に行っているということで、文科省は、先ほどの御答弁ではそれは知らないというふうに答えられました。これはちょっと驚きだったんですね。だけれども、内容はまさに設備の問題、そして労働安全衛生法がどうなるのかという問題なんですよ。
 こういうふうに言っていますけれども、「法人への移行過程に関する事項」ということで、「労働基準法に基づく関係行政庁への各種届出義務に関する運用上の配慮」「労働安全衛生法の適用に関する運用上の配慮」「法人化に伴う関係行政庁への附属病院の開設承認再申請に関する運用上の配慮」と。
 つまり、ここまで今事態が深刻だということを大学協会側は認識していらっしゃる。しかし、あなた方は知らない。何か随分とぼけた話じゃないですか。あるいはのんびりした話じゃないですか。これは私は大変ゆゆしい問題だというふうに思いますが、いかがですか。
玉井政府参考人 午前中の審議で、施設関係という目で担当部長の方からお答えいたしまして、私の方から、ちょっと補足という形で、人事関係もございますのでお答え申し上げましたけれども、要は、国立大学協会がさまざまな運用面についてもいろいろとアンケート調査を行いながらやっていることは承知しております。
 それで、結局、施設設備の整備もございますし、それから、安全管理体制の整備をどうやっていくかという問題もございまして、私どももさまざまな指導を行いますと同時に、先ほどの午前中の答弁でも申し上げましたけれども、運用上の配慮ができることも幾つかあるわけでございます。
 例えば、大変細かいことでございますけれども、ボイラーやエレベーターの設置の際の検査等についてどういう書類でやるとか、必要な明細書は今までのものと全く同じであるか、あるいは違うかとか結構細かいこともあるわけでございまして、そういったことも含めて厚生労働省ともお話し合いをさせていただきたい、またさせていただいておるということでございまして、この十六年四月の法人化へ向かって、私どもはさまざまな面での準備がきちんといくように努力をしてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
    〔馳委員長代理退席、委員長着席〕
石井(郁)委員 労働基準法というのは、人たるに値する労働条件とするために、労働条件の最低基準を決めているものです。労働安全衛生法は、労働者の生命、健康を守るための安全衛生の最低基準を定めているものです。国立大学の十二万五千人ですかの職員にかかわる問題です。だから、それが四月スタートで守れない状態になるということなんでしょう、今の状態は。これは、国立大学の法人化というのは、違法行為を認めてくれ、それなしには不可能ということになりませんか。国立大学の法人化のスタートに当たって、もう違法行為はやむなしなんです、そんなことがあっていいんでしょうかという問題なんです。
 だから私は、この点でも、来年四月にスタートを強行するということ、そういうための法案というのは、本当に廃案にすべきだということをきょうは強く申し上げまして、大変いろいろ問題を残しているんですけれども、きょうのところは質問を終わらせていただきます。
古屋委員長 山内惠子君。
山内(惠)委員 社民党の山内惠子です。
 きょうの午前中、午後を通して皆さんの質問をお聞きしていまして、本当につくづくとこの法案がこのまま通っていいのかという疑問を持ってお聞きしていました。少なくとも国家公務員が非公務員化されるとしたら、労働基準法はどうなっていくのか、それから労働安全衛生法は、ただいまの石井議員のおっしゃっているあたりがどのようになっていくのか。移行の期間の問題がしっかりしていない、それから財政についてもこんなに借入金の残高がある。こういうお一つお一つを知れば知るほど、このままではなくて、しっかりと報告してくださる数字的なものもいただいて、私たちが次に受験をしようと思っている子供たちにも説明できるような法案でなければ、私たちもこの法案に即オーケーを出すわけにはいかない法案じゃないかというふうに思います。
 私の質問に入る前に、この間の何回かの質問の中で、お聞きしていてつくづく思うんですが、大臣は、この法案は、国立大学の自主性、自律性を高めるためのものだということをもう何回もおっしゃっています。それから、中期目標、中期計画などをめぐりましても、教育研究への国家統制が強まり、学問の自由、大学の自治に対する侵害が起きるのではないかという問題を皆さんから投げかけられるけれども、予算措置をする文科省としては、中期目標の策定など国としては最小限の関与は必要であると、前回も何人かにお答えした同じような言葉、またきょうもそのようにお答えになっていらっしゃるんですけれども、でも心配は、まだ私たち、これは解決しないですね。
 例えば、もう既に、中期計画を書いて、でも何度も書き直しをしているという大学の声が出てきています。それから、中期目標のオーケーが出たとして、今度計画を立てていくんですけれども、つくっていく側の人たちの気持ちもちょっと予想しますと、企業からもお金をいただきたいということも行く行くはなっていくわけですから、この研究をすれば企業はお金を出してくれるだろうかということまで考えて、計画をするときに頭をよぎる自己規制というのが起きる懸念もあるのではないかと思いますが、私の質問に入る前の質問で恐縮ですけれども、そういう状況が起きる懸念について大臣はどうお考えになりますか。
遠山国務大臣 今回の法人化のねらいといいますものはたびたびお答えしているわけでございまして、それは、国立大学の活性化を図って大学改革をしっかりとやっていくというねらいのもとに、それぞれの国立大学がしっかりと自律性、自主性を発揮してやってもらいたい、そのための、国の行政組織であることに伴ういろいろな制約というものを外していくということでございます。当然ながら、そのことが私どものねらいでございまして、さまざまな御質問に対して同じような表現で答えざるを得ないというのは御理解をいただきたいと思います。
 私どもは、それぞれの大学が自由に発想し、自律的にその将来を考え、そしてその目標というものを国とともにつくりながらそれを実現していく、そういう舞台を今おつくりしているわけでございまして、そういう自由になり得る、あるいは自律的に作用を行い得るという機会を大いにとらえていただいてやっていただくというのが目標でございまして、自己規制をされたり、国が何々の関与をしそうであるからというような角度からその自律的な発想というものを制限されたりするようなことがないように、まさに大学人は個々においてしっかりと、将来の理想に向けて大いにこの問題に対応していただきたいというふうに思います。
 どうも委員の御質問をやや、焦点をもう少しお絞りいただきますれば、またお答えをしたいと思います。
山内(惠)委員 焦点を絞って私は質問をしたつもりです。皆さんが疑問に思っていることに、今御自分でもおっしゃったけれども、テープレコーダーのように同じことを言うことが誠意ではないです。
 私は、やはり具体的にイメージするときに、文科省は出されたものを書き直させることはいたしません、自主的に研究をしたいとおっしゃっていることを支援していきます、それからできたものに対して、六年間やったものに対して、この研究はだめだから予算を削減するなどということはいたしません、そういうものがあってこそ保障されるわけで、心配なのは、やはり出していく金額、予算も違ってくるから皆さん心配しているんじゃないですか。
 その意味で、次に、先ほど質問しなかった部分についてですけれども、公務員が非公務員化されてくるわけですから、労働基準法がどのように適用されるかということについてもしっかりお答えいただかなければ、違法状態が続くのではないかということを何人かおっしゃっているけれども、このことについても、全くそこのところはどういう法案でやっていくのかということが見えていないわけですから、もう一度それではお聞きします。労働安全衛生法、労働基準法の問題、これは新たに適用するものを用意されるんですか。
玉井政府参考人 お答え申し上げます。
 まず労基法の関係でございますけれども、これは当然労基法が適用になるわけでございます。したがって、各国立大学法人は、勤務時間や給与等、こういう面について、今までは、国の組織の一員であります国家公務員でございますから、すべて勤務条件法定主義といいますか、がっちりと細かく決めておったわけでございますけれども、これを今度は各国立大学法人が作成する就業規則の中で規定をするということになるわけでございます。
 ではその就業規則をどのように作成していくのかということでございますが、これは正式にはもちろん法人移行後になりますけれども、やはり準備というものは大変重要になってくるということで、午前中もお答えをしたわけでございますが、要するに各国立大学法人が各法人の理念、目標とする教育研究の質の向上とか、あるいは業務運営の改善、効率化などを図るためにどのような人員、組織あるいはシステム、処遇が最適であるかといった、いわば経営ということを十分お考えになって、そして給与等に充てることができる財源を考えながら自主的、自律的に決めていくわけでございます。
 その手続としては、この場合にはそれぞれ職員団体が、過半数を超える職員団体があればそこの意見を聞きますし、もしなくてもそこを代表する者の意見を聞いて定めていくということになります。
 それからさらに、給与や労働条件につきましては今度は労働組合法の適用も入ってくるわけでございますので、したがって、労働者側の求めにより労使交渉に及ぶということもあり得るわけでございまして、そういうときにはそういうこともやはり手続として必要になってくるということでございます。
 ただ、前々からまたこれもお答えしておりますけれども、調査検討会議、これは国立大学の法人化に当たって調査研究をずっとやってきた会議でございますが、三月に報告を出しております。ここでも、それぞれが自主的、自律的には決めるけれどもやはりきちんとした評価にたえ得るものでなくてはならないわけでございまして、特に今私ちょっと人件費のことを申し上げましたけれども、各大学の業績に対する評価に際しても、給与等の人件費総額が適切に管理されているかどうか、慎重かつ厳正な評価を行うことが必要であるという最終報告もあるということでございます。
 それからもう一つの労働安全衛生法でございますけれども、これは今までは人事院規則に基づいておりましたけれども、今回は法人化されますと労働安全衛生法が適用になるわけでございまして、その課題としては、先ほど来お答えをしておりますけれども、全学的な安全管理体制の整備をどうするか、それから実験施設の改善計画の立案並びに当面の対策の実施が必要であること、それから有資格者の配置及び各種届け出状況の確認等が挙げられているわけで、施設設備だけではなくて、そういう安全管理体制をどのように整えていくかということも大変重要でございますので、そういう面で各大学が今準備に向けてさまざまな努力をしていますし、私どもも支援をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
 先ほど違法というお言葉をお使いになりましたけれども、先ほど来の御議論では、要は施設がそこまで整備されているのかという面でお使いになったわけでございまして、全体についてそのようなお言葉を使ったとは私どもは受けとめていないわけでございます。
山内(惠)委員 調査検討会議のことにつきましても、改めてそこのところはお聞きしたいことがありますので、きょうはそこのところの質問はやめさせていただきます。それから、労働安全衛生法、雇用保険などについてもお聞きしたいと思っていますが、きょうはそこのところはちょっと改めてのところに変更したいと思います。それから、移行のための費用とか移行後の費用についてもお聞きしたいことがありますが、そのことも改めて別な時間でと思います。
 私は、一番最初に質問したときに、この法案がそもそもどういう経過でつくられてきたのか、なぜ法人化しなければならないのかということにつきまして、まだ納得ができていません。それで、本会議場でだったでしょうか、山口委員が「百年の計を誤りかねない悪法」だというふうにおっしゃられましたし、それから佐藤委員も、なぜ法人化するのか政府の意図がいまだに納得できないとおっしゃって、大臣は五つほど述べられましたが、それでもまだ私は納得できていませんので、きょうは一つ一つ、細分化して質問させていただきたいと思います。それで、ここのところは遠山大臣にお答えいただきたいと思います。
 国立大学の独立法人化についての論議が始まったのは一九九七年の行政改革会議ではなかったかと私は思っていますが、それでよかったかどうか、イエスかノー、どちらかで、このことだけちょっとお聞かせください。
遠山国務大臣 具体的な法人化の議論が俎上に上ったのは、おっしゃるとおりでございます。
 ただ、この問題につきましては、諸外国の制度におきましてもほとんど法人化を大学はしておる、あるいは、昭和四十六年の中央教育審議会の答申以来、国立大学の法人化についてさまざまな論議が指摘されてきたこともあるわけでございます。最近の話としては、今お話しになったようなことなど、さまざまな経緯を経て今日に至っているということでございます。
山内(惠)委員 一九九七年の行政改革会議の最終報告の部分なんですが、これについての説明は要らないんですけれども、最終報告の内容だけ、ちょっと大臣、御紹介いただけますでしょうか。
遠藤政府参考人 最終報告の内容でございますけれども、国立大学につきましては、「独立行政法人化は、大学改革方策の一つの選択肢となり得る可能性を有しているが、これについては、大学の自主性を尊重しつつ、研究・教育の質的向上を図るという長期的な視野に立った検討を行うべきである。」これが、平成九年十二月に出ました行政改革会議の最終報告の中で国立大学について述べられている部分でございます。
山内(惠)委員 今お読みになってくださったとおりだったと思います。その意味で、このときは、国立大学を独立法人化するという方針は出ていなかったと言えると思います。今の文言でいえば、「一つの選択肢となり得る可能性」があるというだけであって、独立行政法人以外の方策の可能性の方が高いと判断できる文章だったというふうに思うんですね。少なくとも、緊急に結論を出すべきものと考えられるような文章ではなかった、私はそう押さえています。
 この筋から申しますと、一九九八年六月に成立した中央省庁等改革基本法の四十三条では、国立大学は独立行政法人化の対象となっていないんです。なっていないですよね。この法律で、行政改革の中でも、国立大学を独立行政法人化することはしないというのが国会の意思だったと思いますが、いかがでしょうか。
遠藤政府参考人 中央省庁等改革基本法の中で、第四十三条の第二項でございますけれども、ちょっと長いんですけれども、読み上げさせていただきますと、
  政府は、国立大学が教育研究の質的向上、大学の個性の伸長、産業界及び地域社会との有機的連携の確保、教育研究の国際競争力の向上その他の改革に積極的かつ自主的に取り組むことが必要とされることにかんがみ、その教育研究についての適正な評価体制及び大学ごとの情報の公開の充実を推進するとともに、外部との交流の促進その他人事、会計及び財務の柔軟性の向上、大学の運営における権限及び責任の明確化並びに事務組織の簡素化、合理化及び専門化を図る等の観点から、その組織及び運営体制の整備等必要な改革を推進するものとする。
こういう規定になっております。
山内(惠)委員 今お読みになったとおりだと私も把握しています。必要な改革をしなければならないけれども、それが独立法人化だとはそこにも書いていないということが、今の文章でおわかりだと思います。
 このことに関して、石井議員が既に御指摘されているんですけれども、一九九七年、当時の町村文部大臣が、国立大学を独立行政法人化することについては反対すると明確に述べられています。このことも皆さん御存じだと思います。このとき、石井議員の御質問に対しての答弁では、大臣は、町村文部大臣の所信とこの法案は矛盾しないというふうに石井議員にお答えになっていらっしゃるんですけれども、これは大変苦しい御説明だというふうに思います。今、私が聞きたいのは、それを矛盾するとかしないとかではなくて、事実についてお聞きしたいんです。確認をしたいんです。
 町村文部大臣の所信、独立法人に反対をしているということと、中央省庁等改革基本法の二点、今読み上げられたことの中には、独立法人化というふうな方向は打ち出されていませんと私は読んでいますが、この二点について、ここはぜひ大臣、御確認いただきたいと思います。
遠山国務大臣 その時点における事実としてはそのとおりであります。
山内(惠)委員 今おっしゃられたとおりだと思いますので、確認をしていただきましたが、今申し上げましたように、一九九七年、九八年の時点では、国立大学を独立行政法人化しないというのが政府の意思であり、国会の意思でもあったということが言えると思います。私は、ここに町村大臣の発言されたことも書いておりますので、このとおりだと思います。
 問題は、遠山大臣がこれまで御説明されてきましたように、一九九九年一月の閣議決定の問題です。ここで国立大学の独立行政法人化の方向が決定されたというのですが、この閣議決定について少し詳しく説明していただきたいと思います。ここは大臣にお願いいたします。大臣自身がここのところを審議で語っていらっしゃることですので、ぜひお聞かせください。
遠山国務大臣 平成十一年の四月の閣議決定でございますが、この閣議におきまして、国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本的計画を決定いたしました。その中で、八十九の国の事務事業の独立行政法人化を決定したわけでございますが、「国立大学の独立行政法人化については、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成十五年までに結論を得る。」ということでございます。その他、大学共同利用機関についても、他の独立行政法人化機関との整合性の観点を踏まえて、早急に結論を得るということでございます。
山内(惠)委員 今の発言された中にあるように、改革の一環としてということでおっしゃっているんですけれども、九八年の基本法までの時期には国立大学を独立行政法人化しないとされていたのが、なぜこの閣議決定では今までの方針と反対の独立行政法人化をしたのか、変更したのか。町村大臣は、これは大学の改革になじまないとおっしゃっているわけです。このような主張が国会の方向でもあった。しかし、それを覆した理由は何なんでしょうか。
遠山国務大臣 平成八年の行政改革会議では、行政改革の観点から、独立行政法人制度の創設が議論されて、その過程で国立大学についても議論がなされたところでありまして、この段階では、独立行政法人制度の具体的な枠組みが明らかでなかったこと、そして国立大学の法人化についてはあくまでも大学改革の一環として検討を行うべきという立場から、文部大臣として反対した経緯もあるのだと思います。
 その後、独立行政法人通則法が制定をされて、国による財政措置を前提とした独立行政法人制度が明らかになったということを機会に、大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として国立大学の独立行政法人化を決定する旨閣議決定がされたわけでございまして、文部科学省内に大学関係者あるいは経済界等の有識者で構成される調査検討会議を設置して、国立大学協会とも連携を図りながら、昨年三月に最終答申を得たところでございます。そういう経緯をたどっております。
山内(惠)委員 通則法ができて、財政措置の問題が起きてというふうに言われたんですね。大学がみずから主体的にこういう改革をしたいから独立法人化をしたいというふうな発言がおありだったということを、今のお言葉はおっしゃっているんでしょうか。九七年、九八年は、明確に法人化には反対という方向で来られた文部省。しかし、文部科学省になってから、町村大臣も文部科学省になった後もいられたんですね、突如、九九年の初めになって変更された理由というのが今のお言葉ではまだわからないんです。
 こういうことじゃなかったんでしょうか。九九年一月の閣議決定の前に、九八年の八月に小渕首相が公務員の二〇%削減という発言をされました。その意味での施政方針演説だったと思うんです。このことがきっかけだったんじゃないんでしょうか。いかがでしょうか。
遠藤政府参考人 独立行政法人の問題もそうですが、国立大学についてとにかく改革が求められていたということは事実でございまして、先ほどの私が読み上げました法案におきましても、そういうことで国立大学は改革を推進すべし、こういうことがあったわけでございます。
 そういう経緯の中で、先ほど大臣が、独立行政法人について、制度がはっきりしてきた、独立行政法人になると財政措置もきちんと行われるといったようなこともございまして、そういうことで、そのまま独立行政法人ということではなくて大学改革の一環として検討しましょう、こういうことでございますし、今小渕総理の問題がありましたけれども、もちろん、いろいろな時々の情勢、様子というものが、こういう検討の中で、当然検討の一つの要素として入っていたことはあるわけでございます。
山内(惠)委員 ただいまの御答弁も大変苦しくお聞きしたんですよ。小渕総理が二〇%削減と打ち出されて、それから通則法で財政問題のことを言われていて、でもそこで大学の自主性という発想では、今の遠藤局長のお答えじゃなかったですよね。上から改革が求められていてでしょう。大学の中からの改革が求められて、変えようという声が起こって独立法人化に持っていったわけじゃないですよね。ちょっとそこのところを、局長、お聞かせいただけませんか。
遠藤政府参考人 先ほど大臣も申し上げましたように、前から、もう少し大学にふさわしい設置形態があるんじゃないかという議論はあるわけでございまして、欧米諸国で大学に法人格が与えられていた、さらには昭和四十六年の中教審答申以来、国立大学の法人化についてたびたび議論がなされてきたということはあるわけでございます。
 そういう中で、いろいろな大学改革の議論の中で、大学の方からも、もうちょっといろいろな意味で教育研究を進めるのにふさわしい、そういう仕組みはないのかというような議論も当然あったわけでございまして、そういったいろいろな議論が複合してこういったような経緯になってきたというふうに思うわけでございます。
山内(惠)委員 大学にふさわしい設置形態がほかにはないだろうか、設置形態の問題で大学は自分の大学を改革したかったんですか、そういう発想で、どこの大学でそんなことをおっしゃったんですか。今、たくさんの傍聴者の方が来られていますけれども、みずからの大学のあり方に、設置形態を問うというふうに言われた声は私は聞いていません。法人化したらある種自由になるかという部分もあるかもしらないというのは、この間の参考人の方の発言の中にちょっとありましたけれども、そのことを、そうせいというふうに言ってきたのも、大学みずからが主体的に言われたとは、私は聞いていないんです。
 では、続けます。余りにもそこのところは無理のある答弁のように私は思います。
 小渕演説では、十年間に一〇%の定員削減という行政改革会議最終報告の方針をさらに上積みして二〇%としたのでした。先ほど閣議決定のことを申し上げたときの方針変更について、大変不明瞭だったように私は思っているんですが、この定員削減二〇%が国立大学の独立行政法人化の理由なのではなかったのかと私は思っているんです。もあるとおっしゃったけれども、そこが一番の理由だったんじゃないでしょうか。
遠藤政府参考人 当時記憶しておりますけれども、二〇%削減ということになりますと、国立大学の教職員の定数が十三万あるわけでございますから、仮にこれがそういう形で実施をされますと二万六千の定員削減になるという計算でございますけれども、大変、大学の中にそういう危機意識が走ったということは事実でございます。
山内(惠)委員 結局、公務員を削減するにはここのことしかないというふうに御判断されたというふうに、私は今の御答弁もそう思って聞きました。
 実は私の手元に、いただいた資料、大学関係者の方からいただいたという意味ですが、現在最高裁判事の藤田宙靖先生がジュリストに論文を寄稿なさっていらっしゃるんですけれども、国立大学の法人化問題に関しては非常に影響力のある論文であったというふうにお伺いしています。藤田先生は行政改革会議のメンバーで、中央省庁等改革推進本部の顧問でもいらっしゃった、この間の事情を熟知されていた方だと言ってよいというふうに私は御紹介を受けています。
 この論文ではこういうふうに書いてあります。「現行職員数の更なる一〇パーセント減を、一〇年以内に独立行政法人化によって達成しなければならないのであるとすると、」「現在の国家公務員の総数の中で国立大学職員が占める割合に鑑みるとき、国立大学の独立行政法人化の可否に触れずしてこの問題を解決することは、殆ど不可能であると言わざるを得ない」。そのようにおっしゃっているように、今の遠藤局長の言葉もそれを裏づけるようなお言葉だったというふうに私は理解いたします。
 結局、国立大学の独立行政法人は、一九九九年一月の閣議決定がなされたんですが、九八年八月の小渕演説による二〇%削減方針によるのだということが、このジュリストの中に書かれていることからも明らかだ、私はそのように受けとめていきたいと思いますが、いかがでしょうか。
遠藤政府参考人 当時、その二〇%の問題も含めてさまざまな議論がなされたわけでございますけれども、その中で、国立大学の将来を考えて大学改革を進めるためにはどういう形がいいのかという議論の中で、この国立大学法人の案が出てきたというふうに私は理解しております。
山内(惠)委員 藤田論文の観察が大変説得力のあるもの、私はそのように読みました。今、遠藤局長の言葉も相当苦しいものがあって、独立行政法人化しなければ削減が難しいという論議もあったということに私は今押さえさせていただいて、間違いでなければそのように進みます。
 大臣、この法案がつくられてきた理由も公務員の定員削減にあるのではないかと思いますが、いかがなんでしょうか。ここは大臣に。
遠山国務大臣 本当に国立大学の法人化をめぐる論議といいますものは長い歴史を持っておりまして、諸外国の例が先行しているわけでございますが、四十六年の中央教育審議会の中でもそのような提言がなされ、さまざまなその機会にあったという前提の上で、一九九〇年代の終わりから大学といいますか独立行政法人化の話がずっと起きて、その中で国立大学を法人化することによってより活性化していくための方策というものを、その独立行政法人化という国の大きな制度改正の中で生かしていくためにはどうしたらいいかという角度で議論されたということは事実だと思いますが、その際に、単に独立行政法人一般ということではなくて、大学の特性ということにかんがみて、大学改革の一環からこれに取り組むというところが、これは国立大学というものの持つ特性に十分配慮してこの問題に対応をすべしという閣議の決定、あるいは多くの英知を集めたいろいろな調査検討会議の議論もそういうところに収れんしていったわけでございまして、幾つかのいろいろな経緯をたどりながら今日の法案ということで御審議をお願いしているわけでございます。
山内(惠)委員 何度も何度も繰り返されていますのでそこのところは私もわかっていますが、大学改革を検討する、そういうことで何度もおっしゃるんですけれども、それでは、今回の閣議決定のところには独立行政法人化という言葉が閣議決定されているわけですけれども、もしもこの削減問題が先でないのだったら、国立大学の独立行政法人化をしなくても公務員の二〇%、二五%削減は可能だと大臣はお考えになりますか。
遠山国務大臣 国家公務員全体の削減のことについて、国立大学がかかわったからできた、国立大学がかかわらないからできないというようなことについて、私が今この時点でお答えするような立場にはございません。
山内(惠)委員 全体の問題でお答えできないというのはどういう意味ですか。公務員を削減するという方針は、一方に明らかにこの小渕総理の発言以降全体にあるわけですよね。だから、そのことと合わせて国立大学もそれは除外規定ではないんだという趣旨で進んできているんではないですか。
遠藤政府参考人 当時、そういうことでいろいろな議論がありまして、先ほど申し上げましたように十三万五千の二割ですと二万六、七千ということで大変みんな憂慮したわけでございますけれども、それが、全体二〇%の計画が今この時点でどうかということにつきましては、私どもは、全体、そういう計画を持っておりませんので、その二〇%削減計画の現状につきましては、ちょっと私どもの方では承知をしておりません。
山内(惠)委員 今のお答えは、そういう論議はあったけれども、削減をするということはもう計画の中にも何もない、法人化をするということだけだ、そういうお答えですか。
遠藤政府参考人 大変私の不勉強で申しわけないんですけれども、その二〇%の削減計画が現時点でどうなっているかということについて私は知らないと言った、ただそれだけのことでございます。
山内(惠)委員 それでは、もう一回改めて聞きたいと思います。
 大学改革の観点から独立行政法人化が望ましいという選択がなされたとおっしゃるのであれば、九七年、九八年の方針をどういう議論によって変更されたのか、その議論を証明するような会議があったのか、逆にそのことをお聞かせください。
遠藤政府参考人 独立行政法人というスキームを活用しながら国立大学、大学としての教育研究の特性というものに配慮した、そういう制度設計について議論していただいたわけでございます。調査研究会議を開きまして、有識者に集まっていただきまして、「新しい「国立大学法人」像について」ということでまとめていただいたわけでございますけれども、その中で、やはり中期目標については一方的に大臣が示すのではなくて、大学の意見を出していただいて、それに配慮してというようなこと、さらには、そのトップについて、これは普通の独立行政法人でございますと一方的に大臣が任命ということでございますが、それも大学から出てきた候補者について大臣が任命する、そういった、ここで何度か議論をしていただきましたような、独立行政法人制度を活用しつつ、教育研究の特性を踏まえた新しい国立大学の法人像というものを出していただきまして、それを法案化して審議をお願いしている、こういう経緯でございます。
山内(惠)委員 先ほどの遠藤局長のお話は、小渕総理の発言された二〇%削減という問題とこの法人化問題をあわせて考えることによってそのことを実現していくのがやりやすい方法だというふうにお話しされたように私は受け取ったんですけれども、大臣が違う発言をなされた後の発言が、ニュアンスが私はちょっと違って聞こえたんですが、大学改革の観点から独立行政法人化が望ましいと言ったのが調査研究会議のところでなされたというのであれば、九七年、九八年の方針を議論によって変更されたというのであれば、どんな議論があって変更されたのかということを私はぜひお答えいただきたいんです。
 文部大臣であった町村大臣は大学改革をするということになじまないと言っているんですよ。「これは長期的視点に立って多様性を持つことを本質とするものであり、大学の教育研究にはなじまない」とおっしゃっているんですね。だから、「東京大学、京都大学の両総長からそれぞれ独立行政法人化には反対である旨の申し入れがあった」と言っているんですね。
 独立行政法人のねらいは、効果的な業務の実施にあるが、文部大臣が三年から五年の目標を提示し、大学がこれに基づき教育研究計画を作成、実施する仕組み、及び計画終了後に業務継続の必要性、設置形態の在り方の見直しが制度化される仕組みは、大学の自主的な教育研究活動を阻害し、
「阻害し」とおっしゃっているんですよ。
 教育研究水準の大幅な低下を招き、大学の活性化とは結びつくものではない。
  また、効率性の観点から一律に大学を評価することは、各大学の特色を失わせ、現在進めている大学の個性化に逆行する
ここまで当時町村文部大臣はおっしゃっているんです。
 それを覆した論を私はお聞かせいただきたいと質問しているのです。
遠藤政府参考人 ポイントを整理して申し上げますと、今先生がお話になったのは、平成九年十月の文部大臣の話ということでございます。その後、独立行政法人のスキームが、例えばきちんと国で財政措置をするといったようなこと等々の全体像が見えてきたということもございまして、種々改革についての議論がなされてきたわけでございます。
 平成十一年四月、一月と四月と同じような閣議決定があるんですけれども、先ほどこれも申し上げたとおりでございますけれども、国立大学の独立行政法人化ということがテーマとなりまして、それが閣議決定で、「大学の自主性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討し、平成十五年までに結論を得る。」「大学共同利用機関等については、他の独立行政法人化機関との整合性の観点も踏まえて検討し、早急に結論を得る。」こういう閣議決定。
 ですから、九年の十月と十一年の一月までの間にそういう独立行政法人のスキームが見えてきたということで、いろいろな諸状況、大学改革が必要だという全体の中で、十五年までにとにかく大学改革の一環として検討しなさい、そういう閣議決定がなされた、こういう理解をしておるわけでございます。
山内(惠)委員 だから、その決定はわかっているんです。その意味で、文科省としては、それを覆す方向に行くに当たって、それなりの説得力のある理屈がない限り、いろいろなスキームが見えてきたかもしれないけれども、大学の自主的な改革を促すことにつながらないじゃないですか。
 全国の大学の方から、本当に毎日、私のメールをあけても、返事したい気持ちはやまやま、何一つお答えできない。私は、ここでそこの中からの御質問を代弁者として質問しようと思っても、次から次へと、先ほどここに座っていても、次のメールが来ました、授業料はどうなりますか、たくさんの質問が来るわけですから、私は、ここで町村大臣がおっしゃった発言を覆せるような論理がないと、大学の自主性がこの改革を求めていたとはつながらないと思います。
 やはり独立法人化ということの最初に、ここで私があえて読み取ったことを申し上げますと、国立大学の独立行政法人化の方針を決定した閣議決定は公務員削減の必要があるために決定されたということは、私は時間的に見ても明らかだと思います。
 それで、これもまた山口議員の質問に対する答弁だったかと思いますが、遠山大臣は「独立行政法人という組織形態でいくということを決めた以上、それに乗っかって法案の構想をしているわけでございます」と。まず独立行政法人化が始まり、その上で法案の構想を検討したということを大臣自身おっしゃっているんです。矛盾しませんか。これは四月十六日の答弁です。
 まず、独立行政法人化があって、それに合わせて検討したんだというんです。ということは、この法案は、公務員削減のための数合わせのための法人化が先に来て、だから、大学の皆さんの改革したいとか、私は一市民としても大学に変わっていただきたいとかいう願いの改革からきたことではないじゃないですか。私はそのようにこれを読み取りました。
 四月の三日の本会議での佐藤議員の質問への回答については、行政改革や財政削減の観点から行われたのではないと何度もおっしゃっているんですが、四月の十六日のときにも、またおっしゃっているんですね。「行財政改革の観点からというお話でございますが、そうではございません」と。でも、どう考えてもそこのところにつながるんじゃないですか。どう考えても、大学の主体的な改革に文科省が支援して法人化を打ち出したんだということにはつながらないじゃないですか。私は、その意味でこの問題は大変大きいと思っています。
 国立大学法人案は、実は本当の意味での大学改革についての議論を経ずに、独立行政法人化という形で出発したんだと私はこの論議で読み取りました。九七年の町村文部大臣の所信にありますような、重大な、法人化すればこうなるではないかという心配、疑念に対して、何ら真摯な検討もなしにこの法案の策定に至ったのだと私は読み取りました。
 遠山大臣がおっしゃるように大学改革のための法案であるというのなら、もう一度、大学の皆さんの改革したいという願い、私も一市民として大学にこう変わってもらいたいという願いを出し合った中での法案であっていただきたかったと思います。
 まだまだ本当は、実は私、これは一点目の質問でして、二点目に次の質問を用意しています、国立大学法人の管理運営組織について。第三番目に、財政の問題もありますが、運営諮問会議についても。本当にいろいろ質問したいんですけれども、私も今まで、早口で、私の用意した質問に答えていただかなくても、次の質問があるのでと気ぜわしく走ってまいりました。
 私の教えた子供たちが、もう大学に入っている子供たち、これから入学する子供たちがいます。特に、地方の子供たちにとっては、国立大学に入れる子供の数は大変少ない。その意味では、私学が七割の子供たちを吸収してくれている。では、私学との関連はどうなるのかという質問も含めて、この論議はしっかりとさせていただきたいと思います。
 特に、労基法問題、先ほどお答えいただいた問題も、本当のことを言って、無法状態にならないという保証はないというふうに思いますので、そこのところも、そのすき間をどうなさるのか、しっかり提案もしていただいて、私の方の質問もしたいというふうに思います。
 私は焦って、自分が四十分だと思っていたので、あと八分ぐらいあるんでしょうか。
古屋委員長 いや、あと二分です。
山内(惠)委員 ああ、そうですか。済みません。いつも時計とにらめっこで、きょうは最初の予定が、遅く始まったことが抜けていましたので、では、第二問の入り口だけ質問させていただきたいと思います。国立大学法人の管理運営組織についてです。
 まず、学長選考手続についてお聞かせいただきたいと思います。
 学長選考手続は、なぜ国立大学に任せないのですか。このたびは、法人化するという原案ですから、法人化するのであれば、なぜ国立大学法人に任せないのですか。遠山大臣は、この法案の目的が大学の自主性、自律性を高めるためのものだと何度もおっしゃっているのですが、法律で一定の手続を定めるのは大学の自主性、自律性に反すると私は思います。届け出だけで学長が決まるのではそうはならないですよね。
 学長の選考に当たっては、前に私は質問しましたけれども、教授会で選挙しているところもあれば、教職員を含めて選挙しているところもあります。また、この間参考人に来られた山岸先生は、大学の集団的な自治が必要だ、そういうことまで提案されていたと思います。
 今回の法案、学長が非常に強い権限を持つことになります。文部科学省もこれまでトップダウンというようなことを言っておりますし、学長の強いリーダーシップという御説明もありました。私自身は、トップダウンというのはやはり学問にとって行く行く問題が起きてくるという大変強い懸念をしています。たくさんの人たち、別な言葉で……(発言する者あり)
古屋委員長 山内委員に申し上げます。
 今三十八分で、質疑時間は終了しておりますので。
山内(惠)委員 では、二点目は、先ほどからやめようと思いましたので、ではきょうはこれでやめます。どうも失礼いたしました。私、四十八分までと思っていましたので、本当に失礼いたしました。
 終わります。
古屋委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後三時三十九分休憩
     ――――◇―――――
    〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕


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