第156回国会 文教科学委員会 第22号
平成十五年七月八日(火曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 七月七日
    辞任         補欠選任
     江本 孟紀君     和田ひろ子君
 七月八日
    辞任         補欠選任
     扇  千景君     森元 恒雄君
     北岡 秀二君     椎名 一保君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         大野つや子君
    理 事
                仲道 俊哉君
                橋本 聖子君
                佐藤 泰介君
                山本 香苗君
                林  紀子君
    委 員
                有馬 朗人君
                有村 治子君
                大仁田 厚君
                後藤 博子君
                椎名 一保君
                中曽根弘文君
                森元 恒雄君
                岩本  司君
                神本美恵子君
                山根 隆治君
                和田ひろ子君
                草川 昭三君
                畑野 君枝君
                西岡 武夫君
                山本 正和君
   国務大臣
       文部科学大臣   遠山 敦子君
   副大臣
       文部科学副大臣  河村 建夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       総務省行政評価
       局長       田村 政志君
       文部科学大臣官
       房総括審議官   玉井日出夫君
       文部科学省初等
       中等教育局長   矢野 重典君
       文部科学省高等
       教育局長     遠藤純一郎君
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  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国立大学法人法案(内閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人国立高等専門学校機構法案(内閣
 提出、衆議院送付)
○独立行政法人大学評価・学位授与機構法案(内
 閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人国立大学財務・経営センター法案
 (内閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人メディア教育開発センター法案(
 内閣提出、衆議院送付)
○国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備
 等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)

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○委員長(大野つや子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨七日、江本孟紀君が委員を辞任され、その補欠として和田ひろ子君が選任されました。
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○委員長(大野つや子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国立大学法人法案、独立行政法人国立高等専門学校機構法案、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案、独立行政法人国立大学財務・経営センター法案、独立行政法人メディア教育開発センター法案及び国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に総務省行政評価局長田村政志君、文部科学大臣官房総括審議官玉井日出夫君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君及び文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大野つや子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(大野つや子君) 国立大学法人法案、独立行政法人国立高等専門学校機構法案、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案、独立行政法人国立大学財務・経営センター法案、独立行政法人メディア教育開発センター法案及び国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の六案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○佐藤泰介君 おはようございます。大臣、副大臣、大変御苦労さまでございます。目覚めはどうでございましたでしょうかね。
 まず、先回に申し上げたように、恐縮ですけれども、議員の質問権は最も尊重されなければならない。大臣の委員会の議論は次々に積み重ねていって中身のある議論にしたいとの発言は、他の委員がした質問は繰り返すなという意味では、個々の議員の考え方を抑圧する、問題がある発言として先回指摘させていただいた。しかし、委員と政府側の間では、委員の議論は次々に積み重ねていって中身のある議論にしたいと私も思っている。議論がかみ合わず時間だけが過ぎていくようなことでは、いつまでたっても審議を尽くせない。
 委員会審議の使命の一つは、一方で法案の持つ問題点、疑問点を明確にし、一方でこれを払拭していき、そしてこのような審議を通じて国民に対して争点を明示し説明責任を果たしていく、このことにある。委員会の場で議論するすべての者がこの使命を果たしていく責任がある。法案を国会に提出した政府、文部科学省にもこの責任を果たしてもらわなければならない。質問に立つ委員は、法案にかかわる疑問について文部科学省に質問し、その答えを聞いて理解しようと常に努力している。
 しかし、前回の私の質問に対する答弁、西岡先生に対する答弁もそうだったが、審議全体を通じて質問に対して的確な答弁がなされていない。周辺のことを延々と答弁されたり、弁明に時間を費やしたりでは、何度も何度も同じ質問を繰り返さなければならない。委員の質問には正面から答えようという姿勢、委員会審議を実りあるものにしようとする姿勢が十分ではないように感じられる。国会で法案を審議するには、提出した政府が、質問に対し、その考えや事実を明確にきちっと示さなければ、次々に積み重なった中身のある議論にならないということをまず大臣に申し上げておきたいと思います。
 そして、本日は、前回申し上げたように、国立大学法人法案について引き続き確認を問う質問をする。今申し上げたような立場で明確に答弁されたい、このことをお願いをしておきます。
 まず、民主党の修正案の大事なポイントであるので、先回の確認質問についての答弁について再度確認をしたい。中期目標、中期計画については、その実際上の作成主体は国立大学法人と解される、またその原案に何らかの変更を加える場合はその理由を公表するとの答弁について改めて確認をする。
○国務大臣(遠山敦子君) 中期目標につきましては、高等教育全体の在り方や財政上の観点等から、文部科学大臣もかかわって、両者が十分に意思疎通を図りつつ協力をして中期目標を形成していく仕組みといたしております。同時に、文部科学大臣に対して大学の意見、すなわち原案への配慮を法律上義務付けていることなどから、中期目標の実際上の作成主体は国立大学法人とも解されるものであります。
 中期目標に関する国立大学法人の原案への配慮義務を規定いたしました国立大学法人法案第三十条第三項は、教育研究の特性への配慮を定めた第三条と相まって、国立大学法人が作成する原案を最大限尊重するという趣旨であるというふうに考えております。
○佐藤泰介君 是非、今のお答えのように運用を図っていただきたいと思いますが。
 本委員会で未定稿の、何ですか、資料が相当この委員会で議論になりました。今の答弁で、原案を作る主体は国立大学法人である、協力して作っていくんだという内容の答弁だったと思いますが、原案が作られて、中期目標、中期計画に移行、そのプロセスはいいんですけれども、原案を作る前の段階で万が一有形無形の指示、圧力が作成段階において大学に掛けられるということがあれば、幾ら大学が原案を作る主体だといえども、その前の段階で、今回のあの準備作業の資料とは直接言いませんけれども、かなりあの資料で問題があり、いろんな質問があり、正直申し上げて文科省の方もかなり答弁が揺れ動いたというその経過があると思います。したがって、今、大臣の答弁は了といたしますけれども、その原案作成の前の段階でいろんな指示だとか有形無形の圧力が加わっては、私はちょっとその点が心配です。したがって、その点についても若干付け加えてのお答えがいただければと。
 原案はあくまで大学の自由な発想によって行われるべきであると、このように私は考えますので、是非、今、大臣が答弁されたところは、三条規定にしっかり配慮してそのようなプロセスで作られていくということは了としますが、その前の段階についても十分に配慮を願いたいというふうに思いますが、どうですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 大学からいろいろな相談があった場合に相談に応ずるということはございましても、御指摘のような圧力といったようなことはないようにいたします。
○佐藤泰介君 準備作業とかかわって、この点はかなり議論がされ、多くの疑念も表された部分でございますので、今後、法人成立以降あるいは成立の準備に向けての段階でも十分に大学の意向を尊重されて、窓口相談というんですか、行っていただきたいというふうに思います。
 次に、評価制度について、これも前回の再確認をさせていただきたい。
 国立大学法人評価と認証評価は、定量的な評価を過度に重視することなく定性的な評価で各大学の個性を十分に踏まえた評価が不可欠である。そして、評価漬けを回避するために自己点検・評価などの既存の資料を十分に活用する、この点についても再度確認させていただきたい。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 評価におきまして過度の負担とならないよう、資料等につきましても、原則的には大学の自己点検・評価の資料を用いるなど、そういった配慮をしてまいりたいと、こう考えております。
○佐藤泰介君 では、引き続いて評価制度について伺わさせていただきますが、国立大学評価委員会及び大学評価・学位授与機構の行う国立大学法人法に基づく評価に際しては、評価結果が確定する前に評価委員会及び大学評価・学位授与機構がその結果を大学側に示し、示したものに対して大学側が反論する機会を保障することなど、評価する側とされる側の間に健全な緊張関係が必要である。
 我が国の大学評価制度が未成熟であることは答弁の中でも繰り返されてきたことであり、未成熟な中で行われる評価の結果がその大学への資源配分に影響を及ぼすとなれば、一方的、一面的な評価とならないよう二重三重の工夫が必要である。
 既に行われている大学評価・学位授与機構による試行的な評価においても、評価制度の信頼性向上に向けて各大学からの意見、反論を聴き、それを評価制度の改善に結び付けようと努力が続けられている。こうしたやり取りは、公表されることで国立大学に対する社会的な意識、関心を高めることに少なからぬ効果があるものと考える。
 国立大学法人法に基づく評価においてもこのような姿勢で臨むべきと考えるが、評価の過程において大学の意見表明の機会を付与する仕組みを法令上明記することについて文部科学省に確認する。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 御指摘のように、公正性、透明性を確保しつつ適切な評価を行うためには、評価する側が一方的に行うのではなくて、大学の意見をよく聴きながら行うことが重要であると考えております。
 このため、国立大学法人評価委員会が国立大学法人の業績全体の評価を行う場合、あるいは大学評価・学位授与機構が評価委員会の要請を受けて教育研究面の評価を行う場合のそれぞれにおきまして、大学からの意見申立ての機会を付与する旨の規定を法令で整備することを予定しているところでございます。
○佐藤泰介君 今の御答弁からすると、民主党がこの法案に対して提出させていただきます修正案では、評価委員会は、国立大学法人等の各事業年度及び中期目標に係る業務の実績に関する評価を行うに当たっては、当該評価に係る国立大学法人等に対してあらかじめの意見の申立ての機会を付与しなければならないものとすると、このような項目を入れさせていただいております。
 この点について、今後、評価結果が確定する前に、今の答弁は、こうした趣旨を踏まえてとは言われないかもしれませんが、法令できちっとその意見の申立て機会を付与すると、評価結果が確定する前に意見の申立て機会を付与すると、このように理解させていただきますが、再度確認をさせていただきます。
○副大臣(河村建夫君) 大学評価におきましては、一方的な評価を行うものではなくて、評価する側とされる側、やっぱり双方向でやり取りをしながら評価の適正が期されていかなきゃいかぬ重要なことであろうと思っておりまして、正に御指摘のとおりでありますから、評価に関する大学からの事前の意見申立ての機会の付与についてはきちっと対応していきたいと、このように考えております。
○佐藤泰介君 大変重要な部分であると同時にまだまだ評価制度について未成熟だということは、皆さん方も含めて、委員の共有するこれからの課題だということはこの委員会でもおおむね確認ができているのではないかと私は思いますので、是非、一方的な評価が押し付けられる、そのことによって様々なことが決定されていくということのないように、今、河村副大臣の答弁のような形で、十分に評価する側とされる側が意見交換をして、そこに緊張感がある中で評価されていくことがその未成熟な評価という部分を乗り越えていくことになるんだろうと、そして両者が信頼関係の中で評価が行われていくんであろうと。大変これ大学側にとっては評価がいろんな形で大きなウエートを持つことになると思いますので、今の御答弁、しっかりと運用で担保をしていただきたいということを申し上げて、次に、国立大学評価委員会及び大学評価・学位授与機構の行う国立大学法人法に基づく評価に関しては、評価体制、評価委員の構成などが法律上に明記されていない。法律施行とともに国立大学評価委員会を発足させ評価制度などを検討していくと答弁しているが、国立大学評価委員会は、目標と評価に関する事項にとどまらず、法律上は財政面を始め国立大学に対する様々な認可事項などに関して意見を述べるとされている。評価委員会は国立大学の、先ほども申し上げましたが、生死を左右する大きな役割を担うことが予定されており、その構成などが法律に明記されていないことは大きな問題である。
 評価委員会は、どのような構成で、どれくらいの規模を考えているのか。また、評価委員会の人選の過程や評価委員会のあらゆる決定事項に関する会議の公開など、公正性、透明性の確保に向けた取組を求めるが、この点についてはどうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 評価委員会の組織等につきましては政令で定めることとしておりますが、法案成立後、関係省庁とも協議した上で決定することとなると思います。
 例えば、組織につきましては、国立大学法人と大学共同利用機関法人とをそれぞれ担当いたします分科会を設けるとともに、その下に必要に応じて各種の部会を設置する予定でございます。
 規模につきましては、例えば国際的水準の研究に従事している方、学長経験者、文明や社会の在り方に大局的な見識を有する方など、社会、経済、文化等の幅広い分野の有識者十数名程度の成員で構成することなどを検討をしているところでございます。
 また、評価委員会の委員の氏名や経歴、会議の議事録を公表するとともに、会議自体も原則公開とするなど、公正性、透明性の確保にしっかり取り組んでまいる予定でございます。
 また、評価委員会が行う評価の基準につきましては、より一層適切な評価としていくためにも不断の見直しを行うことといたしております。
 なお、我が国におきましては、大学の質の向上を図るための評価は諸外国と比べましてまだまだ未成熟な段階にございますので、多様な評価主体を育てるためにも国としても各般の支援を行うことを考えておるところでございます。
○佐藤泰介君 これまでよりはかなり踏み込んだ答弁をしていただいたような気がします。
 若干申し上げれば、地域性というところはどのように反映をされるのか、そこのところがやや明確でなかったような気がするわけです。その地域の特性、地域の特性といいますか、地域にあるそう大規模な大学ではない、そうした地域の大学の評価をする委員という方について、今ですともうこれ、多分著名な人ばっかりがなるのかなというような、そんな意識を持ちましたので、その点お付け加えをいただきたいと思うのと同時に、再度、会議の議事録を公表する、会議自体も原則公開すると、こうした答弁からすると、この点についても、民主党の修正案の部分で、評価委員会は、会議の議事録を作成し、これは公表しなければならないものとすると、このような修正項目を挙げているわけですけれども、今の答弁からすると全くこの修正案どおりでございますので、我々の修正案の趣旨を踏まえた運用がきちっとされるというふうに理解をさせていただきたい。それでよいか、二点、お答えをいただきたいと思います。
○副大臣(河村建夫君) 前段の評価委員会の委員の中に地域性といいますか、そうした研究評価ができる人たち、そういうことが評価できる人を評価委員ということでございます。これは、そういう方向で委員の選任については検討いたしておるところでございます。それを含めて委員を選ぶということが前提になっておるということをまずお答えしておきます。
 それから、評価委員会につきましては、今、委員御指摘をいただきました評価委員会の公正性、透明性、これを高めていく、これは非常に大事なことでございますから、会議の議事録の作成、公表を含めて、委員会の公正性、透明性の確保をきちっと図っていくということでございます。
 委員の御指摘のとおりの形、委員会規則等々ではっきりさせるという方向で検討いたしておるところでございます。
○佐藤泰介君 是非、そうした情報の公開ということをすることによって、私は、そうしたことがより公平性、透明性を高めると同時に、大学側と評価委員会との先ほども申し上げたような緊張感の中で、より質の高い評価へとつながっていく、発展していくと、このように思いますので、是非そうした評価委員会の会議の議事録、会議の公開等々、今の答弁の趣旨に従ってこれから進めていかれることを強く要請をし、次の質問に移ります。
 独立行政法人通則法の準用による、総務省に伺いますね、独立行政法人通則法上の準用による総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会からの意見については、その対象は国立大学法人評価委員会の行った評価の在り方の是非に限定されるとの答弁があった。評価の在り方の是非とは具体的にどのようなことを言うのか。
 また、総務省の関与は独立行政法人の評価に対するダブルチェックであり、お手盛り評価を糾すのが目的とのことであった。国立大学に対する評価結果がお手盛りになるとはどのような状態を想定しているのか、総務省に伺います。
○政府参考人(田村政志君) お答えいたします。
 総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会、以下総務省の評価委員会と略称させていただきますが、この評価委員会が行う独立行政法人通則法三十二条による年度評価及び独立行政法人通則法三十四条による中期目標期間終了時の評価、それぞれ準用されている規定でございますが、この評価につきましては、国立大学法人制度における評価機能を、国立大学法人法案第三条の規定の趣旨を踏まえつつ、客観的、中立的な立場から二次評価を行うものでございます。
 具体的には、一次評価の結果を対象に、例えば把握すべき実績が適切に把握されているか、評価基準の当てはめが適切か、適切なデータに基づいているか、評価結果の根拠、理由等は明確かつ妥当かといったようなことにつきまして、国立大学法人評価委員会の評価の手法、在り方などについて、必要があると認めるときは国立大学法人評価委員会に対して意見を述べることができることとされているものでございます。
 これによりまして、文部科学省に置かれます国立大学法人評価委員会が国立大学法人を評価することについて、客観性、厳格性、公正性等が更に確保されることになり、評価の社会的な信頼が確保、向上するものと考えております。
○佐藤泰介君 関連して、次に、大学に関する国の関与は私はないことが本来ふさわしいと思っておりますが、財政上の観点からのものにとどめるべきであると。
 総務省の評価委員会が各大学の設置や運営、教育研究活動に関して意見を言うことがあるのか、この点についても総務省に伺います。
○政府参考人(田村政志君) 総務省の評価委員会は、評価に当たりまして、文部科学省の国立大学法人評価委員会の評価の結果について同委員会に対して意見を述べるものでございまして、各大学の設置や運営、教育研究活動について直接意見を申し上げるものではございません。
○佐藤泰介君 更に総務省に伺います。
 先ほど少し触れられましたけれども、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会のもう一つの関与が、中期目標期間終了時の国立大学への主要な事務及び事業についての改廃勧告。独立行政法人通則法の準用規定であるこの改廃勧告について、国立大学の主要な事務事業とは何か、また具体的にどのような手続によってどのような勧告がなされるのか、また反論する機会が与えられるのか、勧告を受けた国立大学及び文部科学省はどのような対応が迫られるのか、この点について伺う。
○政府参考人(田村政志君) お答えいたします。
 勧告の対象となります国立大学法人の主要な事務及び事業とは、現段階では法人の中期目標、中期計画の内容が明らかでございませんので確たることは申し上げられないわけでございますけれども、一般的には、中期目標、中期計画に記載される主要な事務事業程度のものを想定しておりまして、これには大学本体や学部等の具体的な組織そのものは含まれないと考えております。
 次に、勧告の手続についてでございますが、詳細な手続は今後、法案第三条の規定の趣旨及び国立大学法人評価委員会の評価手法などを踏まえつつ検討していくこととなりますが、その概略につきましては、総務省の評価委員会が国立大学法人評価委員会から毎年度通知された評価結果を基に検討を行い、必要と認められる場合には中期目標期間終了時に文部科学大臣に対して勧告を行うことになるものであります。
 その勧告の内容としては、例えば国立大学法人評価委員会の意見が当該事務事業に係る国立大学法人の中期目標、中期計画の見直しに反映されていないときなどにおいて、国立大学法人評価委員会の意見に即した事務事業の見直しが行われるべきことなどについて文部科学大臣に勧告することなどが考えられます。
 なお、勧告を受ける対象は文部科学大臣のみでございまして、国立大学法人が直接勧告を受けることはございません。
 また、総務省の評価委員会が勧告を行うに当たっては、法案第三条の規定の趣旨を踏まえ、必要な資料等の提出等の依頼は直接大学に対して行うのではなく、文部科学大臣に対して行うこととすることを検討中でございます。
 勧告に対する反論の機会ということでございますが、勧告を受けた文部科学大臣は、その内容も踏まえて法人の業務全般について検討を行うこととなりますが、その勧告に沿った措置を講ずるかどうかは文部科学大臣の判断であることから、勧告に対する反論のための特段の制度を設けることは予定してございません。ただ、勧告の検討の過程では、国立大学法人、文部科学大臣及び国立大学法人評価委員会の見解を伺うような手続を検討してまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○佐藤泰介君 大分整理が、これまでの答弁にすれば大分整理をされてきたなという感じがいたしますが、一点だけ。
 六月二十六日の総務省答弁ですが、総務省が独自の評価調査を行うということを答弁されたと思いますが、今の総務省の答弁ですと、その部分が読み取れるところが、聞き取れるところがないように思いますけれども、総務省のあくまで独自の評価調査は文部科学大臣に対してのみ行うんだというふうに理解させていただいていいのか。そして、それを受けた文部科学大臣はあくまで文部科学大臣の判断で行うんであるから、勧告に対する反論権等は特段の制度は設けられていないということは、総務省の評価委員会の評価調査は独自に行うとしても、それはあくまで文部大臣に対して行う、あるいは文科省の評価委員会に対して行う、そして、それについて勧告に沿った措置を講ずるかどうかも文部科学大臣の判断でするんだと。ということは、あくまで総務省としては、各大学法人には直接な評価調査というものはかかわらないんだと、ここのところを明確にしていただきたいと思います。
○政府参考人(田村政志君) まず、勧告についてでございます。
 総務省の評価委員会が行います文部科学大臣に対して勧告ということでございますが、この勧告につきましては、一次評価の結果について評価を行い意見を述べるという毎年度の評価の仕組みとは異なり、自ら直接判断を行うという性格のものでございます。ただし、この勧告は直接国立大学法人に対して行うものではなく、文部科学大臣に対して行うものでございまして、この勧告を受けて文部科学大臣は自ら見直しの検討、判断を行う、こういうことでございまして、資料の提供については文部科学大臣に対して行うということを検討しておるということでございます。
 それからもう一つ、毎年度の評価あるいは中期目標期間に係る評価ということがございます。これは、先ほど来申しておりますように、二次評価で、国立大学評価委員会が行った評価に対する評価ということでございますので、基本的には資料の提供を国立大学法人等に対して直接要請することは考えておりません。
 現在、まだ一次評価の方式、国立大学法人等について、評価委員会におきまして一次評価の方針等も定まっておりませんので、基本的には考えていないということでございますが、法三条の趣旨も踏まえて、一次評価の方式が固まった段階でよく国立大学評価法人あるいは文部科学省と相談してまいりたいと思っております。
○佐藤泰介君 私の言ったことと今の答弁ではかなり違いがあるんですか。それで、あくまで最終的な結びは法案第三条の規定の趣旨を踏まえるということであるとするならば、総務省の評価は勧告の場合と年度評価、検討中だという話もありましたが、あくまでこれについては文部科学大臣に行うと、このように理解してよいかということについて今答えられたわけですけれども、それは違う部分があるんでしょうか。
○政府参考人(田村政志君) 今、ただいま申し上げましたように、国立大学法人の評価委員会における一次評価の方式等が決まっておりませんので、断定的にと申すと恐縮でございますが、同じというところを直ちに申し上げるところには至っておりませんが、基本的な考え方としては勧告と同じような取扱いをする方向で進んでまいりたいというふうに考えております。
○佐藤泰介君 ということは、検討中ではあるが、私が申し上げたような方向で進んでいると、こう理解していいんですか。
○政府参考人(田村政志君) ただいま申し上げましたように、勧告の場合と同様、直接大学に対して請求しないという考え方で進んでいくと、こういうことでございます。勧告と同じ取扱いをしたいということで考えているということでございます。
○佐藤泰介君 この部分についてはかなり議論を深めてきて、総務省としては文部科学大臣のみ行うんだということが明らかにされているように思うんですけれども、微妙に言い回しがぶれるんでございますけれども、その使い分けとして、年度評価と中期目標終了の改廃勧告とを使い分けて少しずつ違ってくるわけですけれども、もう一度聞きます。総務省の独自調査というのは、あくまで文科省の評価委員会に対して、それで改廃勧告も文科大臣に行うんだと、それを受けた文科大臣は、反論権云々ではなくて、自らが判断をして、勧告をどうするかは文科大臣が考えるんだと、こういうふうに理解すればいいんでしょう。
○政府参考人(田村政志君) 勧告についての今の取扱いは佐藤委員おっしゃるとおりでございます。
 あと二次評価の件につきましても、基本的に、基本的にと申しますか、勧告と同様に資料の提供を直接国立大学法人に要請するということがないようにしてまいりたいと、こういうふうに考えております。
○佐藤泰介君 その部分は、要するに文部科学省といいますか、その評価委員会に資料の請求をするということですよね。そうすると、総務省の独自調査というのはそこまでの範囲ですよと、これが法三条の規定の趣旨を踏まえることですよというふうに理解すればいいんでしょう。ね。先ほどちょっと違ったことを言われたから、再度確認をしておきます。それでいいんですね。
○政府参考人(田村政志君) 私がちょっと前段に付けておりますのは、一次評価の方法が定まっていないということで申し上げている部分がちょっとございますけれども、最終的に今の資料の要請、直接大学には要請しないということで、文部科学省、委員会にお願いする、国立大学評価委員会にお願いするということはそのとおりでございます。
○佐藤泰介君 今の総務省の答弁について、文科省、どうですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 私どもは、総務省の評価委員会から直接国立大学に対して資料の請求をするということはないというふうに理解しております。
○佐藤泰介君 総務省、いいですか、それで。
○政府参考人(田村政志君) それは、今、文部科学省の方でお答えになったとおり、私どもの方は評価委員会の方に資料の要請を行います。
○佐藤泰介君 この問題はもうこの委員会でかなり様々な議論がされて、今日はもうすんなり行けるように十分すり合わせて差が出ないようにと通告しておきました。大分整理がされてきたとは思いますけれども、ところどころでちょちょっと引っ掛かる部分が出てくるような気が今しておりました。
 やっぱり独法と違うこの法案三条の規定の趣旨、これを踏まえるということがいつも前提になるわけですから、他の独法とは違うはずでありますので、したがって、この辺は明確に他の独法と違う総務省の評価の仕方である、プロセスでなければならない、そうするんだと。河村副大臣、納得していただいているようですので、是非こうすると、副大臣の責任でこうすると、はっきり答弁をしていただきたいと思います。
○副大臣(河村建夫君) 私もかねてからこの評価について、いわゆるダブルチェック的なものというのは避けなきゃいかぬということでありまして、評価が適正に行われるということは当然でありますから、大学評価委員会がきちっと評価したものが適正であったかどうかを見ていただくということは、これは必要なことだと考えておりますが、委員の御指摘のように、それが第三条に立ち入るようなことがあってはならぬわけでございますので、その点だけはきちっと明確にしていかなきゃならぬと思います。
○佐藤泰介君 じゃ、今日は総務省、この三点でございますので、ありがとうございました、前回も来ていただきまして。
 次に、通則法の準用により、中期目標終了時には主務大臣である文部科学大臣は、当該国立大学法人等の業務を継続させる必要性、組織の在り方その他その組織及び業務の全般にわたる検討を行い、その結果に基づき、所要の措置を講ずるとされている。所要の措置とは、個別の大学・学部の改廃などが想定されているのか。また、そうであるならば、どのような手続を経てその措置が行われるのか。
 独立行政法人制度の性格上、業務の不断の見直し、効率化、民営化を視野に入れた取組がノルマとなり、見直しや廃止を迫られるといった事態が今後生じない保証はない。広い意味の独立行政法人である国立大学法人に対してもスリム化がノルマとして課せられるようでは大学の衰退につながる可能性が強い。文部科学大臣が個別の大学法人のスリム化を迫るようなことがあるのか、この点について伺う。
○国務大臣(遠山敦子君) 御指摘の国立大学法人法案で準用しております独立行政法人通則法第三十五条に言います所要の措置といたしましては、一般的には当該法人の廃止あるいは組織の見直し等が含まれるものとされているところでございます。
 しかしながら、国立大学法人につきましては、法案第三条に規定された教育研究の特性への配慮義務などを踏まえまして、中期目標期間の終了時における検討結果につきましては、まず各国立大学法人においてこれをしっかりと受け止めて、次期中期目標期間における大学運営に責任を持って反映させることが大前提となっているところであります。
 また、効率的な運営といいますものは国立大学法人にとっても重要であるわけですが、例えば学内の教育研究組織の編制などについて、業績評価と関係なく機械的にスリム化を図るというようなことはしない考えでございます。
○佐藤泰介君 その点、確認をさせていただいておきます。機械的にスリム化は図らない、あくまで中期目標その他達成度について考えていくんだということですよね。そこが独立行政法人と違って三条規定が置かれている根拠でもあるという御答弁と理解させていただきます。
 続いて、組織、人事について伺わせていただきます。
 法人化後の学校運営における権限が学長に集中することを受け、その人選の重要性は今日とは比較にならないほど高まったと言える。学長選考会議に現職の学長が参加できる規定の趣旨は、現職が再任されない場合に限る、こうしたことを明文化し、次期執行部に対する影響力を維持するための制度とならないよう、くれぐれも学長選考過程の公正性に疑念を抱かれることのないようにすべきであると考えるが、この点はどうか。
○副大臣(河村建夫君) 国立大学法人法案第十二条第三項におきまして、学長選考会議の定めるところによって、学長選考会議の委員に学長を加えることができるといたしておるところでありますが、制度上、現学長が学長候補になり得ないことがあるといったことを考慮したものであるわけでありまして、具体的には、学長選考会議に学長が加わることができるのは、例えば各国立大学法人の規定等で再任が認められておらず、現在の学長が学長候補において当事者にならない場合に限られるということが望ましいわけでございます。
 このような規定の趣旨について先ほど来御疑念をいただいておるわけでございますから、文部科学省としては、この点については責任を持って明らかにして、各大学において公正な学長選挙の確保、これに努めてまいらなきゃいかぬと、このように思っております。
○佐藤泰介君 この点についても、民主党の修正案は、学長は学長選考会議に参加できないものとすると、このようにしているわけですけれども、現在の学長が学長選考において当事者にならない場合などに限られることが望ましいとの答弁は、我々の修正案からすると不満ではありますけれども、再任されない場合に加わるんだと。それでも、うまい表現ではないかもしれませんが、院政という言葉もありますので、そういうことにつながる可能性もあるので、やはりここは、学長が学長選考会議に出るということは、当然、再任される者は当然ながら、できれば学長が学長選考会議のメンバーにならないという方が私は望ましいと思いますけれども、今の答弁でそうした趣旨は生かして学長の選考の公平性に疑念を抱かれないようにするということでございますので、今後このことについてはほぼ民主党の修正案のように運営を期待をしたいと思いますが、最後のところで、各大学にも周知徹底するということでございますので、多分望ましい方向で運用がされていくものだと、こう理解をして、次の質問に移ります。
 次に、経営協議会と教育研究評議会の役割の違いは何か。また、大学の本質は教育研究機関であり、すべての活動は教育研究の充実向上のためである。経営に関する事項と教学に関する事項を区別することが実際に可能か。この点について伺います。
○副大臣(河村建夫君) 国立大学法人におきましては、教育研究評議会が教育研究面を、それから経営協議会が経営面を審議すると、こうなっておるわけでございます。
 したがいまして、教育研究評議会は各学部や研究科の議論を踏まえて全学的な教育研究の方向性を審議するということであります。その中でそれに必要な予算、支出面についても議論をすることはあり得るわけでございますが、主として教育研究の方向性をこの教育研究評議会でしていただく。そして、経営協議会は大学全体の経営面について協議するわけでございますが、その中には当然、教育研究評議会の議論も踏まえてやらなきゃならぬということになるわけでございます。しかし、基本的には経営協議会は大学全体の経営について行うということで、かなりそういうことを峻別するとなりますと、当然教育面の部分も経営の全体の中に入ってまいりますから完全に切り離して考えられませんけれども、方向としてはいわゆる全体の経営をやる経営協議会とそれから特に教育面の研究評議会という形で役割分担をいたしておる、こういうことでございます。
○佐藤泰介君 ということは、はっきり区分けすることは大変難しいということですよね。そうすると、教育研究評議会が教育研究の方向性を審議すると、が中心だということは私も分かりますが、そこでそれにかかわる予算等について教育研究評議会はタッチができないんだということになると、これは私は問題だというふうに思うわけですよ。
 したがって、峻別ができない部分がたくさんあるのでいろいろこう重なり合ってきて、それは最終決定は学長が判断されるのかどうかになるんだろうと思いますけれども、最初からは、この部分だけをこの部分だけをということではないですよね。それぞれの機関がやっぱり広く全体的な議論をして、それは最終的に決定していくプロセスはまた作られるんでしょうけれども、この部分に口を出してはいかぬ、この機関はここだけというようなことはできにくい。お互いに連携を取って、教育研究評議会も予算面についても当然審議できるという御答弁と理解していいですか。
○副大臣(河村建夫君) 委員の御指摘のとおり、それぞれの協議会、評議会、それぞれの立場から十分な議論をしていただいて、その両機関が連携をきちっと取り合って、そして学長が最終的にその大学にとって良き方向というのを見いだしていただくという方向になるというふうに思っております。
○佐藤泰介君 じゃ次に、中期目標などに関して、経営と教育研究双方に密接にかかわる事項を学内で検討、調整をするために様々な取組が行われ、また内部組織の弾力的な設計などが行われることが考えられる。今の御答弁からしてもそうだと思います。このようなことについて文部科学省が関与することはあるのか、この点について伺う。また、学内の審議機関などにおける審議事項、審議内容について文部科学大臣が言及、干渉することがあるのか、こういった点について伺います。
○国務大臣(遠山敦子君) 国立大学法人におきましては、今答弁にもありましたように、教育研究評議会が教育研究面、それから経営協議会が経営面を審議することとなっているわけでございますが、教育研究評議会は、各学部あるいは研究科の議論を踏まえて全学的な教育研究の方向性を審議するものでございます。その中でそれに要する予算、支出についても議論することがあり得るわけでございます。その場合には、経営協議会は教育研究評議会の議論をも踏まえて予算、特に支出面について審議するわけでございまして、学内の意思形成に当たって弾力的に調整できる、そういうシステムになっているわけでございます。このような調整といいますものは正に各大学において行われるものでございまして、そうした大学の自主的な取組に文部科学省が関与することはないわけでございます。
○佐藤泰介君 大学と文科省の関係は法人化しても従来と変わらない、そういうことにいろいろ口出さないと。一層口出さない、法人化することによって一層口出さないと。それぞれの大学で決定されたり調整されたことについては文部科学省が関与しないと。それぞれ、文科省も、この法人化に当たって文科省自身も変わる必要があるというような声もこの委員会で出されたと思いますので、それぞれがそれぞれの立場でより良き大学を作り上げていくというふうに理解をさせていただきます。
 次に、教授会のことについてちょっと伺いますが、大学には重要な事項を審議するために教授会を置かなければならないとする学校教育法における教授会の位置付けを文部科学省はどのように考えているのか。これまでと変わらないとの理解でよいのか。また、教授会に求められる具体的な役割は何か。教授会が審議する重要事項には経営的な事項が含まれていると考えるが、どうか。これらの点について伺います。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 法人化後の国立大学におきましても、学校教育法第五十九条の規定に基づきまして教授会が置かれるということには変わりがないわけでございます。教授会におきましては、引き続き当該教授会が置かれている学部や研究科の教育研究に関する重要事項を審議するものでございまして、そうした事項を審議する中で予算や組織編制など経営的な事項について議論することもあるというふうに考えておるわけでございます。
○佐藤泰介君 教授会の役割はこれまでと変わりがない、役割や権限は変わりがないと。そして、きちっと五十九条の規定により置かれて、余りこの法案の中に教授会というのは触れられていないんですよね。ほぼこれまでと変わりがないというふうに今答弁されたと理解していいですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) そのとおりでございます。
○佐藤泰介君 じゃ次に、教授会の位置付けなどが、各種審議会の在り方について国立大学評価委員会による評価の対象とすることにより、当該大学に不利益を及ぼすことがあってはならないと考える。今、教授会は従来と変わりがない、そうした役割を果たしていく権限も変わりがない。そういうことが評価委員会で逆評価をされて不利益を及ぼすことがあってはならないと考えますが、そういうこともないということですね。確認をします。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 国立大学の法人評価でございますけれども、中期目標、中期計画に記載されました事項につきまして、その達成状況を評価するというものでございます。教授会を始め各種審議機関の在り方につきましては、中期目標、中期計画の必須記載事項ということではないと考えられますので、これらの事項が国立大学法人の中期目標、中期計画に記載されていない限り直接の評価対象となることはないと、こう考えております。
○佐藤泰介君 次に、理事及び監事の人選、任命に当たっては、教育研究機関である大学の特性に配慮し、大学における教育研究に深い理解を持ち、大学を育てる心を持った人物を充てる必要がある。監事については、法案には文部科学大臣が任命するとの規定しかないが、具体的にどのような人がふさわしいと考えているのか。大学の意見に配慮することを考えているのか。また、役員人事を通じた文部科学省による大学への干渉が危惧されている、こうした批判に対し文部科学省はどのようにこたえるのか、この点について伺う。
○副大臣(河村建夫君) 監事の具体的なイメージでありますけれども、これ二名ということになっておりますが、一名は会計監査に精通した者、もう一名は当該大学の行う業務に精通した者というふうに考えられるわけでございます。
 法人の適正な業務運営を確保するために運営状況の監査を行うというのが監事の職務の性格でございますが、また国立大学法人が国の財源措置を前提としているということから勘案をいたしましても、監事の任命は大臣が行うということは適当であると考えておるところでございます。そして、その任命に当たりましては、もちろん各方面の意見を聴く中で、その中で大学の意向も聴くということになろうと思いますが、これを反映するということもあると思いますが、ただ、これは監事の立場でありますから、中立的な立場を取れる人でなきゃいかぬわけでありまして、大学が推薦する人がそのまま望ましいかどうかということもございますので、意見は十分聴きながらも、そうした監事の性格を考えて、今のイメージに沿った形で任命をしていくという方向だと思います。
 また、理事につきましては、基本的には現在の副学長や学長補佐などのように全学的視点から学長を補佐する者を想定をしておるところでございまして、学外理事には、経済界や私学関係者あるいは高度専門職業人など、広く学外有識者の登用を期待をいたしておるところでございます。こうした理事の任命に当たって学長は、これは責任を持って自ら行うということになっておるわけでございまして、それに対して文部科学省が学長の意に反して理事を割り振るというようなことは全くあり得ないと、このように考えております。
○佐藤泰介君 理事の任命に当たっては大学の意向を伺い、それを反映することも考えられるという部分の答弁がありましたが、やっぱり一人は会計に精通した者、一つは業務に精通した方だというふうに答弁があったわけですから、中立といえどもやはり大学側の意向を私は十分に反映する必要があろうというふうに思います。大学側の意向を反映することが中立でなくなるということでは私はないというふうに思いますので。
 一人は全く会計の者でしょう。もう一人は業務に精通した者ということになれば、ある程度の大学の意向といいますか、そうした意向を監事の任命に当たってはやっぱり尊重されてしかるべきではないかと、このように思いますので、そこは中立ですからここからここといってこう、一名の方は全く別なんですから、もう一名の方はやっぱり大学の意向をある程度反映される、そういう配慮をすべきであるというふうに思います。どうですか。
○副大臣(河村建夫君) 大学の業務について十分精通した人と、こういうイメージでございますから、その中で適任者を選んでいくという中で当然大学側の御意見というものは十分拝聴する、また各方面からの意見も拝聴しながら決めていくということになると思いますので、委員の御指摘についてはそれは十分その選ぶ中に配慮されると、このように考えております。
○佐藤泰介君 次に、現役の官僚が本省と国立大学法人の役員ポストを行き来するようではどうしても文部科学省の方を見てしまう、またOBとして複数の法人を渡り歩くようでは天下り人事との批判は避けられないと考えるが、こういった問題についてどう考えるか、伺います。
○国務大臣(遠山敦子君) 法人化後の国立大学の理事につきましては、学長が自らの考え方に基づいて幅広い分野から任命することとされているわけでございます。学長は、私は、高い見識を持って、その点については十分配慮して任命をされると思うわけでございます。学長が適材適所の観点から自らの判断によって文部科学省職員又は職員であった者を理事に選任することもあり得るわけではございますけれども、それは大学の自主性、自律性を阻害すると批判されることがないように、法人化の趣旨を十分踏まえて私どもとしても配慮をしていきたいというふうに考えております。
 監事につきましては、既に副大臣からの答弁もありました。監事は法人の業務の適正な執行を担保するために運営状況の監査を行うという職務を持っているわけでございまして、その性格を踏まえて適材適所の考え方に基づいて選任するわけでございますが、その際に、官民を問わず幅広い分野から考えてまいりたいと考えております。
 いずれにしても、国立大学法人にかかわる人事の基本的な制度にのっとって我が省としては適正に対応してまいる考えでございます。
○佐藤泰介君 こうした人事については、人事が行われる前は大体そういう答弁なんですね。これはどこでも大体、適材適所、こう考えてこうやってやっていくと。どこの役所、あるいはそういう天下りの問題は大体そうですよ。しかし、結果としてふたを開くと天下り人事との批判を受けるんですよ。
 何としても今の大臣の答弁が過去のようにならないように、大学のとりわけこれは自律性、自主性が阻害されないようにということを言われたわけですから、相当なこれは節度ある人選をされて、結果としてふたを開いたら、まああくまで適材適所とは言われるでしょうけれども、そうでないというようなことにつながらないように、もう一度強い決意をお願いしたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) そもそも今回の法人化といいますものが大学の自主性、自律性を重んじる、それを更に可能にしていくために行うものでございまして、人事についてもその考え方といいますか理念というものを全うしていくというのがあるべき姿でございますし、また、そのような形で運用してまいりたいと考えます。
○佐藤泰介君 じゃ次に、予算、財政措置について伺います。
 まず、法人への関与は引き続き十分な財政措置を行っていくためには必要不可欠であるとの答弁が繰り返されてきたが、法人化を機に国立大学に対する財政措置が削減されることはないのか、この点について伺う。
○国務大臣(遠山敦子君) 国立大学は、日本の学術研究と研究者養成の中核を担いますとともに、全国的に均衡の取れた配置によって地域の教育、文化、産業の基盤を支えるなど重要な役割を果たしているわけでございまして、国立大学の法人化は、このような国立大学が現在果たしている重要な役割といいますものを一層しっかりと担うことができるようにするために、国立大学がより自主的、自律的な、より大きな自主性、自律性と自己責任の下で教育研究を高度化し、あるいは個性豊かな大学作りに取り組むということを目的とするわけでございます。
 したがいまして、このような重要な役割を引き続き担う国立大学に対する財政措置につきましては、移行前に必要とされた公費投入額を十分に踏まえて、従来以上に国立大学における教育研究が確実に実施されるように必要な所要額の確保に文部科学省としてしっかりと取り組んでまいりたいと思います。
○佐藤泰介君 財政措置は削減されることはないと、移行前に必要とされた公費投入額を十分に踏まえて教育研究に支障のない措置を講ずるという決意を述べられました。これは、この委員会でも多く取り上げられました、我が国の高等教育の、世界の割合からいくと低いんだということでございますので、これも有馬先生が相当話をされました。
 だから、移行前に必要とされる公費を踏まえて十分に措置した結果、移行前より下がっておったということでは意味がないわけで、全体を考えればもう移行の前よりは拡大をすると、そんなやっぱり最低限移行の前の公費投入は守りたいというように聞こえたのは私だけでしょうか。更にこれを機会に拡大への努力をする、そんな決意を重ねてお願いします。
○国務大臣(遠山敦子君) 日本の大学、知の拠点、国立大学のみならず、私立大学、公立大学も含めて、私は非常に大事な役割を果たしてもらう機関だと思っております。
 国立大学の法人化の目的が、決して予算をスリム化するとかそういうことを目的としたものではなくて、大学の自主性、自律性を高めることによって教育研究の優れた資質というものを更に向上さしていくということでございます。したがいまして、それを可能にするための必要な財源措置というものにつきましては文部科学省としてもしっかりと対応していく、そのことが個々の大学のためといいますよりは日本の未来のためであるというふうに私は考えるわけでございます。
 各大学も、そうした国民の期待にこたえる優れた教育研究あるいは社会貢献というものを通じて十分な説明責任を果たしてもらいたいと思いますし、同時に、そういった努力に対して我が省としてはしっかりと支えていく、そういう良き関係を更に進めていきたい、そのように考えるところでございます。
○佐藤泰介君 強い決意を伺いましたけれども、今心配なのは、法人化後の国立大学には独立行政法人としての性格上、不断の業務の見直し、効率化が求められるおそれがないのか。
 現在の独立行政法人には、運営費交付金の算定の際に、人件費を毎年一定の割合で減らしていくための仕組み、効率化係数等が導入されている。一定割合の効率化が求め続けられる一方、政策的には割増しが図られる部分もあろうと思いますけれども、毎年の一定割合のコスト削減が国立大学法人等に関して求められることになるのではないかと。
 そうしますと、今、大臣が強い決意を述べられましたけれども、この効率化係数によって一定割合のコスト削減が国立大学に求められるとするならば、移行前の措置すら削減されていくのではないかと、こんな心配をするわけですが、この点についてはいかがでしょうか。
○政府参考人(玉井日出夫君) 独立行政法人は、御指摘のとおり、各法人の中期目標において業務経費の一定割の削減が求められているわけでございますが、一方、実情に応じ所要の業務経費の増額が行われている法人もあるわけでございまして、運営費交付金の総額はこれら諸要因を全体として勘案し決められることとなっておりまして、結果として、設立後、総額が増加した法人もあり、減少した法人もあるところであります。
 国立大学法人についても効率的な業務運営は図られる必要がありますが、そもそも法人化は単純に人件費等の経費削減を目指したものではなく、学問の進展や社会の変化に応じ所要の経費は確保していく必要があると考えているわけでございます。
 なお、運営費交付金の具体的な算定方法等につきましては、今後、法律が成立いたしましたならば、今後様々な要素を勘案しつつ検討していくことになりますけれども、その際、各法人の実情に応じ教育研究に関する経費が適切に確保されるよう十分配慮してまいりたいと考えております。
○佐藤泰介君 そこまではっきり言われると、じゃ効率化係数は大学法人には掛からないとはっきり言ってください。
○政府参考人(玉井日出夫君) 係数の掛け方として効率化係数ということもあり得るというふうに考えておりますが、しかしそれは具体的にどういう形で算定するかは今後検討させていただくということになろうかと思っておりますが、いずれにせよ、この効率的な業務運営は国立大学法人にも必要でございますけれども、しかし同時に、教育研究の進展のための確保と、必要な経費の確保ということも大切でございますので十分配慮してまいりたいと、かように考えているわけであります。
○佐藤泰介君 最初に聞いた決意は、次に聞くとがたんとなっておるじゃないですか。最初は、増額しておるところもあるし減額しているところもあるけれども、国立大学法人については減額はありませんと言ったんでしょう。じゃ、効率化係数は掛からぬのですねと、だから。
 そうしたら、効率化係数も掛かりますとなったら、国立大学法人の中で減額されるやつもあれば増えるやつもあると、こうなるんじゃないの。こう理解すべきじゃないですか。
○政府参考人(玉井日出夫君) 運営費交付金の算定に当たっての幾つかの要素のうちの一つということでの効率的な業務運営ということもございますけれども、同時に、その業務の必要性に応じてその必要な経費を確保するという面もあるわけでございまして、総額で考えていかねばならないと、かように思っておりますけれども、いずれにせよ国立大学法人というものが自主性、自律性を持ってより教育研究を活性化していくと、その趣旨が十分にできるように必要な経費の確保に十分努力をしてまいりたい、かように考えているわけでございます。
○佐藤泰介君 ということは、効率化係数はどこへ、どうなるんですか。掛かるとすれば、いろいろとたくさんあって、掛かるところもあるけれども掛からぬところもあるから、トータルとすりゃ、掛けられても全体として前より減らないと言っているのか、必ず移行前よりは効率化係数によって一律に下げられていくということではないと言っているのか、そこのところをはっきりしてください。
○政府参考人(玉井日出夫君) 運営費交付金の基本的な仕組みは、法律が成立いたしました後、諸般の要因を入れながら具体的に検討させていただくことになっておりますし、具体の金額もこれまた十六年度概算要求の中でどのようにしていくかということでございますけれども、いずれにせよ移行前の公費投入額を十分踏まえていくということを基本にしておりますし、そしてまた、先ほど来、大臣がお答えいたしましたように、必要な経費の確保に十分努力をしていきたいと、かように考えているわけでございます。
○佐藤泰介君 決意は何遍でも聞いていいんですけれども、決意します、やります、決意しますと。結果として、それが具現化されないことのないように十分決意を固めてくださいよ。
 次に、国立大学法人法案に基づく評価結果を資源配分に反映させる際には慎重な運営に努めることを確認をしたい。また、反映させる具体的な手法、根拠及びデータを公表することを確認をしたい。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 評価結果の運営費交付金への反映の具体的な在り方につきましては、国立大学法人評価委員会における結論を待って検討をするということになってございますが、運営費交付金の算定に用いる評価項目につきましては適切なものとなるよう慎重に検討するとともに、各大学の自主性、自律性や特性、個性が結果として制約されることのないよう配慮してまいりたいと、こう考えております。
 また、評価結果を反映させるための具体的な方法等につきましては、これを公表いたしまして透明性の確保に努めてまいりたいと、こう考えております。
○佐藤泰介君 まあ、前段のところはほとんど決意だったと思いますので、後段のその方法その他、確実にこれを公表して透明性を図っていただきたい。
 先ほどの評価委員会の議事録も公表、原則公開、法人化以降、あらゆるこういうものは今の答弁のように公表をして、外へ出して、みんなの目に触れて、例えば我々もそれを目に触れて意見が言える、そういう状況にしていくことが、私はこれからこの大学法人の問題のみならず、あらゆる行政がやられることについて、今まではどちらかというとなかなか見えない部分が、どんなところでもやっぱり文科省がやられることはそのような基本の姿勢で、決意だけではなくて、公表して透明性を確保していくことがより信頼される法人、大学法人につながっていくというふうに思いますので、今言われた点についても、そしてそれについて意見を表明することもできるように公開をし、意見を言い、そしてその質を高めていけるように是非お願いをしたいと思います。
 あと三十分になりましたのでピックアップしてやらせていただきたいとは思いますけれども、まず授業料の問題について、これは先回質問通告させていただいた順にちょっと、多分三十分でできると思いますので、前回通告させていただいた順にちょっとやらせていただきます。
 まず、授業料の在り方について確認をします。国立大学の自主性、自律性を尊重しつつ、地域、経済状況等にかかわらず幅広い進学機会を確保するという国立大学の存在意義にかんがみ、国立大学の授業料の設定に際しては、現在の水準を大きく上回る事態が生じないような設定の仕組みとともに、運営費交付金の算定に際しては適切な配慮が不可欠である。こうした措置を講じられた上で授業料の決定は大学がその意思に基づいて行うべきである。授業料の水準が運営費交付金の算定に際しどのように反映されるのか確認する。
 また、学生側の負担が現状を大きく上回ることのないよう奨学金制度の充実に努めるとともに、現行の授業料の減免措置が今後とも継続されるよう所要の財政措置が講じられることを確認する。あわせて、各法人独自の奨学金の創設への支援などの対策が取られることを確認する。
○副大臣(河村建夫君) 我が国の国立大学は、全国的に均衡の取れた配置、今全県にあるわけでございますが、地域の教育、文化、産業の基盤を支えて、学生の経済状況に左右されない進学機会を提供する上で極めて重要な役割を果たしてきております。こうした国立大学の役割というものは法人化によっても変わるものでないということでございます。
 そして、法人化後の授業料でございますが、各国立大学法人が定めることになるわけでございますが、今申し上げましたような国立大学の役割にかんがみまして、今後とも必要な財源措置など国の事業としても責任を持って対応することとなるわけでございます。授業料につきましても、国として標準額を示すことによって適切なものになるように努めてまいりたいと、このように考えております。
 国が示す標準額は、各国立大学法人が具体の授業料設定の際の共通的な指標となるとともに、学生納付金収入額を積算するための基準額にもなるわけでございます。これによって算出をされます納付金収入にほかの自己収入を合わせた収入見込額と大学の支出見込額との差額が運営交付金として措置されると、こういう仕組みでございます。
 また、奨学金の事業につきましては、学ぶ意欲と能力のある学生が経済的な面で心配することなく安心して学べるように引き続き充実に努力していく所存でございます。さらに、各国立大学法人独自の奨学金創設への支援策につきましても、これまでと同様に、寄附金の優遇措置を講ずる等々、支援策を考えておるところでございます。
 また、御指摘のありました授業料免除制度でございますが、経済的理由によって授業料納付が困難である者などを対象にして、修学継続を容易にし教育を受ける機会を確保する、この意義を授業料免除制度は有しておるわけでございますから、国立大学法人化後もこのような観点から授業料免除の仕組みは維持する必要があると、このように考えておるわけでございまして、その方向で今検討をいたしておるところでございます。
○佐藤泰介君 まだ大分残っておりますので、簡潔に答弁をお願いします。
 国立大学が標準額の上限及び下限を外れて授業料を設定することはあるのか、その場合、文部科学省としてどのように対応するのか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 標準額及び一定の範囲につきましては、文部科学省令で明確に規定することと予定をしておりまして、その範囲内で各大学が自主的に授業料を設定する方向で検討をしていることでございます。
 省令の規定に違反した設定が行われることはないというふうに考えておるわけでございますが、仮に省令の規定に違反した設定が行われました場合には法令違反と、こうなりますので、文部科学大臣はその是正のために必要な措置を講ずることを当該の国立大学法人に求めるということになろうかと思います。
○佐藤泰介君 じゃ次に、その標準額は毎年度定めるのか、改定するとすると、どのような判断基準やプロセスを経てそれを見直すことになるのか、二点併せてお願いします。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 毎年度定めるかということでございますけれども、標準額は文部科学省令で規定することを予定してございまして、社会経済情勢等を総合的に勘案し、必要に応じて改定をするということになろうかと思います。
 見直しはどのように行うのかということでございますが、従来から国立大学の授業料は社会経済情勢等を総合的に勘案しまして、予算編成を経て決定されてきたところでございます。標準額につきましても、予算編成過程の中で、社会経済情勢等を総合的に勘案して検討がなされるということになろうかと考えております。
 なお、国立大学の役割は法人化によって変わるものではございませんで、今後とも必要な財源措置など国の事業として責任を持って対応をするということにしているところでございます。
○佐藤泰介君 最後に、大臣に伺いますけれども、法人化に伴って、今のように標準額が示され、上限が示されて決定をされていくわけですけれども、学ぶ側といいますか、国民にとって最大の心配事といいますか関心事は、標準額がどうなるのか、また一定の範囲で、その一定の範囲はどうなるのか、しかしこの点については、これまでの法案審議の中でも相当質問がありましたけれども、明確にされませんでした。標準額及び一定の範囲について、現時点で大臣の基本的な、じゃ額が示されないとするならば基本的な考え方を伺いたい。
○国務大臣(遠山敦子君) 委員御指摘のとおり、授業料の在り方といいますものは国民にとりまして大きな関心事でございます。そして、特に国立大学の担う、経済的な状況にかかわらず進学できるようにしていくための必須の大変大事な額であると思っております。
 標準額、それから一定の範囲、これを定めることになっておりますが、その具体的な在り方につきましては、今申しましたような経済状況に左右されない学生の進学機会を提供するという国立大学の役割と同時に、各国立大学の自主性、自律性を尊重するという観点にも留意しながら現在検討を進めているところでございます。
 じゃ、どのようなことになりそうかということでございますが、私どもとしては、最終的な決定というのはまだもちろんできないわけでございますね、予算にも絡むわけでございますが、我が省としましては、標準額については法人移行時の授業料をベースに設定する方向で検討をいたしております。
 それから、一定の範囲についてでございますけれども、これも先ほど申し上げましたような国立大学の役割というものを十分に尊重して考えていく必要があると思っております。したがいまして、その一定の範囲につきましても限定的なものと考えているところでございます。
○佐藤泰介君 大臣、冒頭、一番関心事だと言われたわけですので、今答弁された方向で、あっと驚くようなことにならぬように、定められたらみんながあっと驚いたというようなことにならないような決意であったと受け止めさせていただきます。
 次に、国立の法科大学院の授業料は、私学との関係上、現行の国立大学院の授業料の水準を大きく上回ることも予想される。これまでは専攻分野ごとの授業料体系としてこなかった理由を確認する。また、法科大学院はこの例外となるのか、その理由を確認する。今後、医学部等に対して学部別授業料とするような圧力が掛かることも予想される。今後とも学部別授業料は取らないことを確認したい。
○副大臣(河村建夫君) 学部別や研究科別授業料の導入については、経済的理由によって希望する専門分野への進学の機会に制約を生ずる、あるいは個人の能力に応じた教育の機会均等が損なわれるおそれがあると、こういうことも考えながら、現在、国立大学におきましては全学部、研究科、同額の授業料になっております。そのような考え方から学部別の標準額を導入していくということは全く考えていないところでございまして、その方向でこれからも進めていかなきゃならぬと思っておるところでございますが、御指摘の法科大学院でございます。これは、新たな法曹養成制度の中核的な機関として平成十六年四月以降、国公私立を通じて開設されるということになっておるわけでございまして、これをどのような取扱いにするかということは、正に今検討いたしておるところでございます。
 国立大学法人化後の国立の法科大学院の授業料についても、これまでのような取扱いの例外にしていくかどうかを含めて、平成十六年度の概算要求、これは八月末になりますが、に向けて、できるだけ速やかにそのお考え方を示すことができるように対応していきたいと、このように考えておるところでございます。
○佐藤泰介君 専攻別授業料は取らない、法科大学院は今後早急に検討するということですが、もう時期が差し迫っていますので、この部分については安心できるような形の早急に詰めをしていただきたいというふうに思います。
 次に、長期債務について償還計画の作成が求められているが、運営交付金と施設費補助金が収入の多くを占めるであろう国立大学法人が償還計画を作る際には、長期債務の返済が収支を圧迫し自己収入の増加が図られるような計画を作らされることのないよう適切な国費の投入が計画的に送り込まれるべきである。これまでの長期債務、今後発生するであろう長期債務の返済が各大学の授業料の上昇や教育研究の現場のコスト削減、圧縮となることがあってはならないと考えるが、償還計画の在り方について、文部科学省の考え方を伺いたい。
○政府参考人(玉井日出夫君) お答え申し上げます。
 長期借入金の償還についてでございますが、これまでも借入時の条件に従って償還計画を立て、附属病院収入等をもって確実に償還を行ってきたところでございまして、法人化後も基本的には同様であるというふうに考えているわけでございます。
 なお、国立大学法人は、そもそも独立採算制を前提とするものではなく、その業務の実施に当たっては文部科学省としても所要の予算措置を確実に行うこととしているわけでございます。したがいまして、御懸念のといいますか、御指摘のように、債務償還のために例えば授業料の値上げ等による増収だとか、あるいは経費削減を迫られるというような事態が生ずるとは考えていないわけでございます。
○佐藤泰介君 確認させていただきます。
 じゃ次に、債務同様、法人化後に引き継がれる問題として国立大学の抱える訴訟事件の扱いがある。訴訟問題への対応はだれが責任を持って引き継いでいくのか。また、法人化後に大学が訴えられた場合は、国家賠償訴訟や医療過誤訴訟への対応はどのようになされるのか。だれが責任を持って事に当たるのか。その際の国の責任はどうなるのか。法人化に伴い、訴訟事件の引継ぎと法人化後の訴訟の在り方について伺いたい。
○政府参考人(玉井日出夫君) 訴訟の引継ぎについてでございますが、現在、各国立大学が抱えております訴訟事件につきましては、国立大学法人法の附則第九条の規定がございまして、各国立大学法人が引き継ぐことになります。その場合には各法人が訴訟を実施するということとなりますけれども、訴訟への対応の継続性等の観点から、引き続き国であったときと同様に法務省と各法人が協力して訴訟を実施するということとしているところでございます。
 また、法人化後に訴訟が提起されたものにつきましては、各法人はそれぞれの法人格に基づき訴訟の当事者となり、自らの責任で訴訟を実施するということになりますけれども、必要に応じ法務省の協力の下に訴訟を実施することもあるわけでございます。
○佐藤泰介君 大体分かりましたけれども、法人化後、国立大学がじゃ多額の賠償責任を背負った場合どうするのか。保険に加入する、じゃその保険料は運営交付金で措置されていくのか、そういった点について。法人後は法人が責任を取るんでしょう。
○政府参考人(玉井日出夫君) 法人化後は、御指摘のとおり、基本的には各法人が訴訟を実施することとなります。したがって、仮に敗訴等となった場合の賠償費用の支払は、これは原則として各法人において対応するということになるわけでございます。
 そこで、法人化後における国立大学法人の業務でございますけれども、当該国立大学法人が主体的に運営を行うということでございますので、今申し上げましたようなことで、仮にその業務の実施に当たって損害賠償が生じた場合には、第一義的には当該国立大学法人が責任を負うということになるわけでございまして、したがって各法人においては不測の事態に備えて必要に応じ損害賠償保険等に加入することも考えられるというふうに思っておりますが、これはあくまでも各法人の判断によるものでございますので、その保険料につきましては、基本的には一般的な管理経費として算定される運営費交付金等により対応するということになると考えているわけでございます。
○佐藤泰介君 それは確かに大学によって違うんでしょうけれども、保険に加入するという場合には、一定程度の保障は運営交付金の中で措置されるという答弁でいいんですか、今のは。
○政府参考人(玉井日出夫君) 各種保険の保険料等でございますけれども、各大学の判断でその必要性や具体的金額が検討されるものでございます。したがって、基本的には全法人を通じて一律に積算というものにはなかなかならないだろうと、こう思っておりまして、一般的な管理運営経費として算定される運営費交付金等によって対応するというふうに考えているわけでございます。
○佐藤泰介君 あと十分になりました。あとまだ五つ、ちょっと取り急ぎやらせていただきます。
 次に、移行措置について伺います。
 大変この委員会でも議論となりました、平成十六年四月の法人化に向けて安全衛生関係法規への対応を進める際に、移行の際に法律違反の状態となることがないよう万全の措置を講ずることを確認をする。
 また、移行に伴う作業が現在の国立大学関係者に過度の負担となることのないよう十分配慮することを確認をする。
 また、四月一日時点での対応状況、移行後の法令への適用状況についても順次調査、公表することを確認する。
○国務大臣(遠山敦子君) 大学におきます安全衛生管理、これは教職員、学生等の安全と健康確保をいたしますとともに、快適な教育研究環境を形成する上で必要不可欠なものであるわけでございます。我が省といたしましては、五月二十八日に取りまとめて発表いたしました改善対策に基づいて各大学を指導しますとともに、必要な支援を行い、年度内に安全衛生管理の改善が図られるよう万全を期してまいりたい考えでございます。
 また、大学関係者に過度の負担が掛からないように、我が省、大学、教職員等がそれぞれ責任を持って円滑な安全衛生管理の改善が行われるよう取り組んでまいりたいわけでございます。
 さらに、改善状況につきましては、四半期ごとにフォローアップを行って、移行時点での対応状況について公表をし、法人化後も良好な教育研究環境を保てるよう努めてまいりたいと存じます。
○佐藤泰介君 是非そうなるように御努力をいただきたい。
 次に、法人への移行に関するコストは、移行時に完全に対応しておくべき労働安全関係法への適用にとどまらず、会計システムや各種の保険への加入、監査に要する経費など、ランニングコストを含め、本格的に議論されていないものが数多くある。現在においてもこうした費用をどの程度見積もっているのか、またこれからの必要経費は運営費交付金などにより確実に措置されるのか、この点について確認する。
○副大臣(河村建夫君) 現在、国立大学におきましては、法人化に備えて諸準備を進めてきておられるところでありますが、このうち、法人資産の確定や新会計システムの導入などの準備作業につきましては、平成十五年度予算におきまして国立学校運営改善経費として約百三十六億円を計上いたしたところでございます。
 また、国立大学が法人化された後、各大学共通に新たに必要となる経費が想定をされるわけでございます。具体的に申し上げれば、事業主として各大学に加入が義務付けられる労災保険や雇用保険に関する事業主負担分、あるいは法定監査人への監査に関する費用があります。このうち、例えば労災保険及び雇用保険の事業主負担につきましては、仮に平成十五年度の人件費予算額をベースに試算をいたしますと、約百六十七億円程度の所要額が見込まれます。
 これら移行後に必要となる経費につきましては、今後更に精査をいたしまして、運営費交付金の算定に当たり配慮してまいりたいと、このように考えております。
○佐藤泰介君 じゃ、そろそろまとめ的な質問をさせていただきますが、国立大学法人法案に賛成する参考人からも、私も前回の質問で、問題は運用だと、文部科学省の体質も変わるべきだとの意見も多くの参考人から披瀝されたと、この点については触れさせていただきましたが、また、当委員会の質疑では、政府答弁にたびたび、政府答弁によりたびたび混乱が生じた。国立大学関係者は今大変不安になっているんではないかと、このように思います。
 このような中で、まず文部科学省が行うことは、法案審議を通じて浮上した論点、質疑によって明確にされてきたことなどを大学関係者にあまねく周知することである、このように思いますが、この点はどうか。
○副大臣(河村建夫君) 委員御指摘のとおり、これを周知徹底させるということが本当にこれから大事になってくると思います。法案をお認めいただきました暁におきましては、直ちに国立大学学長会議を開催するなどして、国立大学の関係者に対しまして本法案の国会におけます審議の状況、またそれを踏まえて重要な論点、こういうものについて文部科学省としても責任を持って周知徹底を図ってまいりたいと、このように考えております。
○佐藤泰介君 大変連日多くの大学関係の方も傍聴に来てみえますので、是非ここで問題になったこと、ちょっと勇み足であったこと、訂正された答弁等々含めて、しっかり周知をしていただきたいというふうに思います。
 次に、民主党は修正案を提出しているが、その当否は委員の良識にゆだねるにしても、今後法人化が進んでいく事態を黙してゆだねることはできない。労働安全衛生法などとの関係、労働協約の締結にかかわる問題、そして、果たして文科省は大学の自治を尊重した運営を行っているのかどうか、答弁で明確になったことを実行しているのかどうか、本委員会としても十分な責任を負わなければならないと考える。
 そこで、適切な時期に、進捗状況に関して文部科学省に報告を求め、集中した審議を行うことを要請したいと思うが、大臣の考えを聞きたい。
○国務大臣(遠山敦子君) まず、法案をお認めいただきました際には、国会での審議を受けて、国立大学法人への円滑な移行、大学の自主性、自律性を十分に踏まえた適切な運用を図るようしっかりと対応してまいります。
 また、今後、国会において国立大学の法人化に関する状況について御審議があります場合には、文部科学省としても責任を持って対応してまいる考えでございます。
○佐藤泰介君 最後の質問になろうかと思いますけれども、高等教育のグランドデザインについて最後伺わせていただきますが、現在、高等教育のグランドデザインについて検討が行われている。大学についての議論では、競争力という観点から議論が優先されがちである。しかし、高等教育全体のグランドデザインには生涯学習の視点からの検討も不可欠であると考える。
 二十一世紀は生涯学習社会であると言われる。高等教育のグランドデザインの検討に当たっては、生涯学習社会の形成の観点から、専門学校を含む高等教育全体について関係府省、地方公共団体等とも連携しつつ、広範な国民的な議論を踏まえて行う必要があると考えるが、どうか。
○国務大臣(遠山敦子君) グランドデザインという考え方はいろいろな角度があると思いますけれども、高等教育の在り方につきましては、平成十年の大学審議会答申、「二十一世紀の大学像と今後の改革方策について」というところで改革の方向性が示されたわけでございまして、文部科学省としては、これを踏まえた上で様々な改革に今取り組んでまいっているところでございます。
 その中身としては、様々な規制を緩和をして、各大学が互いに切磋琢磨するという競争的な環境の中で、それぞれが多様かつ個性的な教育研究を展開していく個性輝く大学であってほしい、そういう方向性が示されたわけでございます。
 現在、中央教育審議会において、このような改革の進展あるいは社会経済の状況などを踏まえて、今後の高等教育に関する新たなグランドデザインについて御審議をいただいているところでございます。そこでは、正に委員の御指摘になりましたように、生涯学習社会形成の観点、あるいは人材養成に関する社会の多様な要請などというものを十分に勘案しながら御審議がなされなくてはいけないと思います。
 その中では、大学等の高等教育機関が質の高い教育を提供し、社会の発展を支える人材を養成するために、それぞれの機関の在り方はどうあったらいいのかという点、また、基礎研究、人材養成、教育機会の確保などにおける大学などの高等教育機関の役割はどうあるべきかという観点、さらには、国公私立を通じた高等教育への行財政措置の在り方はどうあるべきか、そういったような視点から御検討いただいておりまして、今後とも、各界の御意見も幅広くいただきながら御審議をいただきたいと考えているわけでございます。
 我が省としましては、そういう審議を踏まえた上で、引き続き国公私を通じた日本の高等教育の発展のために力を尽くしてまいりたいと考えます。
○佐藤泰介君 是非、世界に通ずる高等教育という観点でデザインを描いて、それが実現されるように、義務教育も義務教育国庫負担が危なくなっているわけで、義務教育はやっぱり私は世界に誇れる義務教育だったというふうに思います。これからは高等教育も世界に通ずる高等教育に変えていく必要があるということで、是非、このグランドデザイン全体の中で世界に通ずる高等教育へと改革できるような方向でお互いにこの委員会で議論を続けていきたいというふうに思います。
 また、この法人法案についてもですけれども、大変私、先回九十分、今日百二十分でしたけれども、大変駆け足での、最後の方は確認質問となりました。そして不満な答弁もありました。したがって、法案成立後も当委員会として責任を果たすべく、今後、法人化に伴い大学の自律性、自主性を踏まえた適切な運用がされているか等、様々な課題について本委員会における集中審議を求めたい。このことについては、先ほど大臣は、委員会で決定されれば責任を持って対応するとの答弁があった。この点について、委員長にも強く要請し、委員長の決意をお伺いして、私の質問を終える。
○委員長(大野つや子君) ただいまの件につきましては、その取扱いにつきまして後刻理事会において協議してまいりたいと思います。
    ─────────────
○委員長(大野つや子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、北岡秀二君が委員を辞任され、その補欠として椎名一保君が選任されました。
 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩といたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(大野つや子君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国立大学法人法案外五案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 まだまだこの法案につきましては山ほど質問をしたい、しなければならない問題があるわけですけれども、まず今日は最初に天下りの問題から質問をいたします。
 国立大学法人には理事、監事として最大五百八十四名が新たに任命されます。そして、この役員には学外者が必ず含まれるようにしなければならない、こういう仕組みになっているわけです。現在の国立大学でも学外者によって構成されている運営諮問会議があります。文部科学省の課長職以上だった人でこの運営諮問会議の委員をしている人はどれくらいいるのか、具体的に明らかにしていただきたいと思います。
 その前に、資料を配付していただきたいと思います。
 御答弁をお願いします。
   〔資料配付〕
○政府参考人(玉井日出夫君) 運営諮問会議のメンバーについてでございますが、平成十五年二月一日現在でございますが、運営諮問会議は九十九大学に置かれておりまして、九百九十四名が運営諮問会議の委員となっているわけでございます。このうち、御指摘の文部科学省の課長級以上の経験者でございますが、これは六十大学で実人員として三十二名、延べでいいますと七十名が就任をしている、そういう実態でございます。
○林紀子君 今、資料をお配りいただきましたけれども、私も一体どういう人がどういうふうな天下りをしているのかということをでき得る限り精査をしてみました。私の計算では、文部科学省OB二十七人で六十大学。そうすると、ちょっと私の方で漏れがあったかもしれないんですけれども、三十二人ということですね。
 そうしまして、今度、国立大学法人ということになりますと、これがそっくり学外者の役員や経営協議会の委員として大学の運営に加わる可能性、こういうものがあるんじゃないでしょうか。特に、理事は学長が適切に任命する、先ほども、また前回の委員会でも大臣はこのようにお答えになりましたけれども、監事というのは大臣任命ですね。大臣は監事に官僚出身者を任命するおつもりでしょうか。
○国務大臣(遠山敦子君) 法人化後の国立大学の監事につきましては、法人の業務の適正な執行を担保するために、その運営状況の監査を行うという職務を持っているわけでございまして、その職務の性格を十分に踏まえて、通常の独立行政法人と同様に各法人に二名ずつ置くことといたしております。
 具体的なイメージといたしましては、例えば、一名は会計監査に精通した人で企業監査の経験豊富な公認会計士のような方がよいのではないかと思われますが、もう一名は、大学の行います様々な業務があるわけでございますけれども、そういう業務に精通した人を任命するということが想定されるところでございます。
 そういった角度から考えますと、監事に求められる能力、適性というものがあるわけでございますので、適材適所の考え方に基づいて選ぶことになるわけでございますが、その選び方としては、官民を問わず幅広い角度から本当に優れた人材というものを選んでまいらねばならないと、そのように考えているところでございます。
○林紀子君 官民を問わずということは官がもちろん含まれるということですので、今の御答弁の中には天下りがあり得るという御答弁だと思います。
 そして、学校法人の場合、私立学校法第三十七条で、私立学校の場合は、監事の職務は学校法人の財産状況と理事の業務執行の状況を監査するというふうにされておりますけれども、実際には大学の教育研究を監査の直接の対象にはしていないと思います。
 国立大学法人の監事は教育研究の状況についても監査をするのでしょうか。一人は業務に精通をした人と言っておりましたので、この経理、こちらを見る人じゃなくて、業務精通のこちらの方ですね、この監事は教育研究の状況について監査するのかどうか、お伺いいたします。
○政府参考人(玉井日出夫君) 監事でございますが、これは、法人の適正な業務運営を確保するために、財務内容等を含む業務の監査を行うことをその職務としているわけでございます。そして、その業務の中で実際に大学の運営ということがあるわけでございますから、運営全般についてのことも当然入ってくるわけでございます。したがって、元々、監事につきましては、この法人法におきまして、それぞれ監査の結果において必要があると認めるときは、学長又は文部科学大臣に意見を提出できると、それから、そうされているほか、毎事業年度、文部科学大臣に提出されているものについて、財務の関係につきましては意見を付していくと、こういったことが職務として掲げられているわけでございます。
○林紀子君 そうしますと、今の御答弁ですと、経理の部分というのは分かったわけですけれども、運営全般、これにかかわるということですから、そうしますと教育研究の状況についても監査をするということになると思いますが、そうですね。
○政府参考人(玉井日出夫君) 監事の職務としては、業務の監査でございますので、大学の業務運営全般にわたってくるわけでございます。
 ただ、実際のその監査に当たりましては、調査検討会議でも指摘が受けておりますけれども、「実際の監査に当たっては、大学における教育研究の特殊性に鑑み、基本的には各教員による教育研究の個々の内容は直接の対象としないことが適当である。」というふうに言われております。
 要は、実際問題として、個々の教員の中身にまでなかなかその業務監査というわけにはいかない、やっぱり全体の運営がきちんといかれているかどうかということになろうかと思っております。
○林紀子君 個々の教育研究の内容には踏み込まないということだというふうに承りました。
 監事というのは言わばお目付役というふうに言われておりますけれども、監査結果に基づいて、今の御答弁にもありましたように、学長や大臣に意見を提出する大変重大な職務を持っているわけです。こういう職務を持つ監事に文部科学大臣が文部科学省出身官僚を任命するということになりますと、適材適所ということが言われましたけれども、文部科学省とのパイプを更に太くして大学への介入を強める、こういうことになってしまうのではないかというふうに思うわけですね。
 一昨年の十二月に閣議決定された公務員制度改革大綱、閣僚の一員として文部科学大臣も十分御承知のことだと思いますし、また公務員制度改革ということについては、また非常に今議論の的になっておりますけれども、この大綱では、「公務員の再就職については、いわゆる「天下り」問題として国民の強い批判があることを真摯に受け止め、再就職が、権限・予算等を背景とした押し付け的なものであったり、特殊法人等の公的部門を再就職の安易な受け皿とすることがないよう、国民の信頼を確保し得るルールを確立する」、こういうふうにあるわけですね。これは国立大学法人でも同様だと思うわけです。
 監事も含めていわゆる天下りは行わない、これは本当に国民が注目しているところです。ここではっきり明言していただきたいと思います。大臣、どうぞ。
○国務大臣(遠山敦子君) あくまでも、理事についても監事につきましても、理事は学長が自ら選ぶわけでございますが、監事につきましても、今おっしゃったような大きな行政改革の考え方には当然合致しなくてはいけないわけでございます。
 したがいまして、監事を選ぶという場合にもあくまでも適材適所といいますか、その人の知識、技術、経験、そしてその人の持つ幅広い知見といったようなものを重視した上で考えるわけでございます。そのことは当然に全体のあるべき人事の原則にのっとってしっかりと対応していくというのが私どもの考え方でございます。
○林紀子君 あくまで適材適所ということを盾にして、そして天下りをごっそり生み出す、そんなことはもう絶対に国民が許さない。今の運営諮問会議でも六十大学で延べ七十人もの天下りがいる、こういうことなわけですから、こんなことが繰り返されるようなことがあったらそれこそ国民は許さないということを申し上げたいと思います。
 それからもう一つ、今お配りした資料の三枚目というのを見ていただきたいのですが、国立高等専門学校の校長についても文部省の部長や課長の経験者がなっている例というのがかなりあるわけです。官僚のここも天下り先となっている。しかも、今度は高専というのは全国一つの独立行政法人にして、理事長、理事が六人、監事が二名新たなポストとして置かれるわけですね。高専も同じように官僚の天下り先を作るだけだ、こういうことになってしまうのではありませんか。
○政府参考人(玉井日出夫君) 先ほど運営諮問会議について天下りというお言葉をお使いでございましたが、ちょっと運営諮問会議について一言申し上げさせていただきますと、あくまでもこれは大学運営に関する重要事項を審議するとともに、学長に対して助言、勧告を行う機関として学外有識者で構成される運営諮問会議でございまして、そこは各大学がこれこそ官民を問わず幅広い分野から適任者を選び、それを受けて今の運営諮問会議の委員がいるということは御理解を賜りたいと思います。
 そこで、高等専門学校についてでございますけれども、高等専門学校につきましては、これは、法人化後はこれは独立行政法人国立高等専門学校機構という形になるわけでございまして、そこに理事長が置かれるわけでございますが、そこは我が国の技術者教育や高等専門学校の教育に関し高い識見を有し優れた経営手腕を有する者を任命するということを考えているわけでございます。
 また、理事長以外の理事は、これは理事長が自らの考え方に基づいて幅広い分野から任命するということでございまして、具体的には、現在も校長として高専運営を担っている者などのほか、校長以外の者で経営手腕や学識経験を有する者から適任者を登用することが、理事長の権限でございますが、想定されるわけでございます。
 それで、監事につきましては、これは文部科学大臣が任命するわけでございますが、これは監事というそういう業務の性格を踏まえまして、これこそ適材適所の考え方に基づいて官民を問わず幅広い分野から選任するということでございまして、いずれにせよ独立行政法人国立高等専門学校機構にかかわる人事の制度があるわけでございます。その基本的な制度にのっとって適正に対応してまいりたいと、かように考えているわけでございます。
○林紀子君 運営諮問会議についてお話がありましたが、これは非常勤ということですけれども、今度は役員というのは国立大学法人も高専も正に常勤になるわけですから、なおさら天下りは許せないということを申し上げておきたいと思います。
 そして、高専の問題についてここでお聞きしたいと思いますが、高専の場合は独立行政法人通則法の枠組みをそっくり適用すると、こういうことになっているわけですね。
 文部科学省は、高専というのは深く専門の学芸を教授し職業に必要な能力を育成することを目的としているから研究機関ではないというふうに今までも言ってきたと思います。高専はそもそも中期目標・計画を大臣が初めから決める高等教育機関というふうに位置付けながら、こんなことがまかり通っていいのでしょうか。
 国立高等専門学校協会の法人化の検討会で資料として配られたペーパーには、中期目標、中期計画についても大学と同じ制度設計とするということが明記されております。ですから、これは昨年の十月に資料として配られたペーパーですので、十月まではその方向で検討されていたのではないかと思いますけれども、一体全体どこでねじ曲げられてしまったのでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 委員御指摘のように、高等専門学校でございますけれども、位置付けとしまして、研究教育機関である大学とは異なりまして実践的技術者の養成を目的とする教育機関であると、こう位置付けられているわけでございまして、そういう大学とは異なる制度になっているということを踏まえまして、国立大学のような学問研究の自律性を担保するための特例ということを設けずに、原則どおり独立行政法人通則法による法人化を図るということとしているものでございます。
 こうした制度設計につきましては、法人化に関する検討ということで、国立高等専門学校協会におきまして平成十二年からワーキンググループの設置を決めまして種々検討を進めてきたということがございます。
 文部科学省といたしまして、平成十四年三月に大学の方につきましての「新しい「国立大学法人」像について」という調査検討会議の最終報告をいただきまして、そして、その中でも国立高等専門学校の法人化についても検討課題とされたということを踏まえまして、平成十四年の八月に今後の国立高等専門学校の在り方に関する検討会を設置をしまして、国立高等専門学校の法人化についての制度設計につきまして検討を行ってきたわけでございます。
 この検討会の中には、委員十二名の中、国立高等専門学校の校長先生が七名も参画をしまして、国立高等専門学校協会と緊密な連携の下に議論が行われたという経緯がございまして、そして本年の二月にこの「国立高等専門学校の法人化について」の中間報告、そして二月の二十一日に最終報告をいただいたということでございまして、そういう検討の中でそのような結論になっているということでございます。
○林紀子君 しかし、高専というのは文部科学省は高等教育機関と位置付けていらっしゃるわけですよね、今御答弁も高等教育局長がなさったわけですから。当然だと思うわけなんですね。
 ユネスコの高等教育職員の地位に関する勧告というのは、自治が高等教育機関に不可欠な構成要素であると、こういうふうに述べているわけですね。今までも高専では自治の拡大、これをどうしてもということが求められてきたんじゃないでしょうか。それを、研究機関ではないなどと言いながら、こんなふうに通則法そっくりそのまま適用するというのは許されないことだと思います。
 そして、具体的な問題についてもお聞きしたいと思います。
 今年の三月二十五日の国立高等専門学校協会ワーキンググループがまとめた資料によりますと、沖縄高専の創設関連定員については既存の計画どおりに実施されるというふうに書いてある。じゃ、その既存の計画というのはどういうことかというと、沖縄高専に各高専から一人ずつ定員を出す、こういうことのようなんですけれども、これは本当でしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 沖縄高専につきましては、創設準備が進められ、創設が行われることになっておるわけでございますけれども、これまでの厳しい定員事情、財政状況の中で、御指摘のような形で進めるということにしておったわけでございます。
○林紀子君 そうしますと、もう定員が一人減らされてしまう。
 さらに、この文書には、国家公務員第十次定員削減計画について、平成十五年度末をもってこの定員削減計画というのは適用外となるが、各高専の平成十六年度、十七年度の人事計画は、第十次定員削減計画を実施したと仮定した場合の定員を基に策定するものとするというふうにされているわけですね。
 定員削減というのは、そのまま行うんですか。法人化すれば非公務員になるわけだから定削の枠から外れるんだって今までさんざん答弁してきた。ところが、実際は定員削減計画の延長を事実上行う。こんなおかしな話、これまたありませんね。どうなんでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 今の御指摘の十六年度以降の話でございますけれども、高専協会の方で、十六年度以降、高専どうすべきかということで種々検討を進めておるわけでございまして、その中でそういう議論がなされているというふうに承知をしております。
○林紀子君 そうしますと、定員削減の網は掛かっちゃう、そういうことですね。第十次定員削減計画というのは十七年度まで前半があるわけですね。その網が掛かってしまうということですよね。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 十六年、十七年、もちろん定員削減というのは掛かってこないわけでございますけれども、規定でそういう、従前、形になっておったものですから、高専協会、そういうことを意識をして、準備という意味で検討を進めているということでございまして、そういうことで決めたということでもございませんし、文部科学省の方でそうするということで検討をお願いしたということでもございません。
 今、高専協会の方で、いろんな形で、十六年度以降についての組織あるいは人事あるいは会計等々の面におきましてワーキンググループで検討をしていると聞いておりますけれども、その中でそういう議論がなされているというふうに理解をしておるわけでございます。
○林紀子君 何かいろいろなことは文部科学省が押し付けているのに、都合が悪くなったらそっちが考えていることですよというのは、どうも納得できないんですよね。
 高専の教授の担当授業時間数というのは平均で十三・五時間だというふうに文部科学省のこれは資料で拝見をいたしました。大学の教授の平均が七・三時間。ですから、大学の二倍近い授業を受け持っているんですね。しかも、大学と違って入学者というのは十六歳、十七歳、中学校を出たばかりの子供たちというところだと思うわけなんですね。そういう学生を相手にしている。また、学生寮で生活をしている子供たちも多いわけですから、先生たちは授業以外にも学生を相手に親身に接することが必要な学校だと思います。こうした学校で定員削減を進める、沖縄高専にも一人出さなくちゃいけない、こんなふうに人を減らしていけば独立行政法人化というのは教育の面でもかえってマイナスになる、そうおっしゃっているんですけれども、これは当たり前だと思います。
 それでは、今の御答弁では定員削減というのは文部科学省から別に押し付けたものでも何でもないということだから、これは御自由にどうぞということでいいんですね。やらなくてもいいわけですよね。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 法人化ということになりますと運営費交付金という形で運営をされますので、定員ということはなくなりますので、定員削減といったようなことについては十六年度以降そういう形はないというふうに理解しております。
○林紀子君 それでは、定員削減の枠はもちろん掛けることはできないんだということを承っておきます。
 それから、中期目標、中期計画。これまでいろいろ問題になりましたけれども、今日もその問題に触れないわけにはいきません。
 文部科学省は、独立行政法人通則法をそのまま適用するこの高専にも、各高専に中期計画の作成というのを指示しているんじゃないですか。目標というのはもう文部科学省の方が作るわけですから、じゃ、毎年度の計画を作りなさいと言っているんじゃないですか。
 今後のスケジュールとして、六月末には各国立高等専門学校から中期計画案を文部科学省に提出する、様式、分量は、A4判縦長用紙に横書き、十ポイント、一ページ六十行、一行四十八文字で、おおむね十ページから十五ページ程度を一応の目安としてください、どこかで聞いた文句です。これは大学で同じようなことが大問題になったんですよね。さらには、各高専の作業として、文部科学省へ概算要求に併せ中期計画、年度計画の原案を提出するようにというふうにあるんですね。ここでは、大学の場合は、先日の大臣のおわびの中で、概算要求作業は新年度の過渡期のために中期目標、中期計画の策定作業とは直接関連しない、玉井審議官からもこういう御答弁があったと思いますが、それじゃ高専は違うんですか。計画早く出せ、こういうことになっているんですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 国立高専協会の方で自主的な準備を進めているというふうに理解しておりまして、高専協会から学校の方にそういう準備をするようにということで言っているというふうに私どもは承知しております。
○林紀子君 これまた御答弁は何だか聞いたことがあるような御答弁でございまして、大学に対して国立大学協会からそう言われているから、そういうふうにさんざん御答弁あったけれども、そうじゃなかったということが明らかになったわけですけれども、高専の場合はあくまで協会の申出だと言うんですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 協会の会長から二月二十八日付けで各高専の校長あてにそういうお願いをしているということでございます。
○林紀子君 そうしましたら、概算要求作業、これは中期目標、中期計画の策定作業とは直接関連しないと大学の場合お答えになったわけですから、高専の場合も同じように考えていいわけですね。
○政府参考人(遠藤純一郎君) そのとおりでございます。
○林紀子君 それでは、今度は高専ではなくて大学の問題に移りたいと思います。
 先日の委員会で大臣は、各大学が昨年十二月に示された未定稿資料について、速やかに資料の正確な趣旨を徹底する、大学に対して必要な情報や資料を提供する、そういうふうにおわびの中でお述べになりました。この資料の正確な趣旨というのはどういうことでしょうか。そして、どのような措置を取ったのかということもお聞かせいただきたいと思います。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 御指摘の資料でございますけれども、大学からの要望等を踏まえ、各大学における自主的な検討に資することを目的といたしまして、その時点で見込まれる中期目標、中期計画の記載事項やスケジュールをあくまで参考としてお示ししたものでございます。また、個別の学部等の単位での固有のより具体的な事項を記載した資料につきましては、中期目標、中期計画に記載されました内容の背景等を理解するための参考情報として提出を依頼したものでございます。
 六月二十六日の委員会の大臣の冒頭の御説明の中で資料の正確な趣旨と申し上げましたのは、当該資料のこのような性格のことを申し上げたわけでございます。
 この点に関する各大学への連絡についてでございますけれども、この十二月に示しました資料に関するもののほか、各内部組織の位置付け、あるいは円滑な移行に向けた諸準備など、国会で御議論をいただきましたもろもろの事項全体につきまして、その審議を十分に踏まえた説明をする必要があると考えておるわけでございます。このため、法案をお認めいただいた後に直ちに国立大学学長会議を開催をしまして、直接学長さん方に御説明をするなど速やかに周知を図るということにしたいと、こう考えておる次第でございます。
○林紀子君 この間に作られた各大学の中期目標、中期計画というのは、この十二月に示された未定稿資料に全くと言っていいほど横並びなわけなんですね。それにはこういう話があるそうです。
 十二月の未定稿資料というのは、それまでの作業が大学独自の判断での作業であったのとは異なり、今回、十二月に示されたあの資料というのは、文部科学省からラインを通じて指示されたものだ。だから、今までの御答弁とこれだけでも違っているわけですけれども、この全く横並び、こういう画一化。国立大学法人にしたら個性化するんだというのを盛んに言っていましたけれども、正に横並び、画一化。
 こういうことをなくすために、この資料というのは撤回をするんでしょうか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 先ほど御答弁申し上げましたように、この資料の性格につきまして正確に学長さん方に御説明をし、理解をいただくということと同時に、法案が成立をいたしました後には、スケジュールその他記載事項等につきまして国立大学協会と相談をし、検証を、整理を行った上で改めて必要な情報を各大学にお示ししたいと、こう考えている次第でございます。
○林紀子君 そうしますと、この未定稿資料にとらわれないで自由な発想で作成をしていいんだと、そういうことですよね。
○政府参考人(遠藤純一郎君) その資料につきましては、記載事項等、大学の方で参考となる情報が欲しいということで、これまで何回も御説明申し上げましたように、そういう参考資料としてお示しをしたということでございます。
 これから法案成立をお認めいただきました際には、先ほど申し上げましたように、国会の審議を踏まえながら、当該資料に記載されていた中期目標、中期計画の記載事項、記載様式、スケジュール等につきまして国大協と改めて十分に相談をいたしまして、検証、整理を行った上で必要な情報をお示ししたいと、こう考えている次第でございます。
○林紀子君 私のところにファクスが届いております。静岡大学の前学長の佐藤先生ですけれども、この方はこうおっしゃっているんですね。
 各大学が中期目標・計画で教育研究の充実強化のために所要の組織改編等を予定する場合、これらの事項は従来の概算要求と同じ扱いになるのは公知のことである、そうした事項を目標として掲げ、計画に盛り込むことの可否が、事実上、事前の折衝で決まるということであり、そこから計画事項の認可に向けた大学担当者の水面下での交渉は依然なくならないはずである、財政権を背景にした文部科学省の認可権の圧倒的威力は大学関係者ならだれでも知っている、こういうふうにおっしゃっているわけですね。
 そして、正にこの言葉を証明するように、ある大学の法人化移行準備にかかわる相談メモというのがこれまた手に入りました。これは、二月下旬に文部科学省で行われたヒアリングのメモです。
 これによりますと、大学側が中期目標の項目の追加として学内共同教育研究施設等を項目追加したいがと言っているけれども、文部科学省の方は、基本的には各大学で追加することはなく、どこかの項目に入れて書いてほしい、項目は大学横並びにそろえたい、こういうふうに言っているというんですね。
 事前審査協議することも問題ですけれども、結局は昨年の十二月に示した枠組みをそのままに項目の追加も許さない姿勢じゃないんですか。主体的にと言っているそういう言葉と、やっていることとは全く違う。このような指導は今後はやめますか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 各大学の方からいろいろ分からないことがあるので相談にということで相談に来るわけでございますけれども、そういう際に、必要な、各大学の求めに応じまして必要なアドバイスを行うということはあるわけでございまして、それにつきましては今後とも同じだと、こういうふうに考えております。
○林紀子君 だから、これが相談だなんていうふうに思うのが大違い、事実も大違い。相談じゃなくて、項目は横並びにそろえたい、文部科学省がそう言っているわけですから、相談じゃなくて押し付けじゃないですか。
 先日の畑野議員の質問に対して、文部科学省が大学の意に反して中期目標の原案に、これは再編・統合ですけれども、再編・統合についての記載を強制的に記載させることといったことはないと答えたわけですけれども、これは間違いないですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) この前答弁したとおりでございます。
○林紀子君 ところが、これまた全く逆なことがあるというのが分かったんです。
 同じく、ある大学のヒアリングでは、大学側が、教育学部は教員養成担当学部として再編する予定である、このことを中期計画に記載することについて了承をいただきたい、こう言ったそうですけれども、文部科学省の方は、中期計画が出た時点で判断する、もう少し時間を掛けて結論を出したい、こう答えたというんですね。じゃ、この主語というのは何かといったら、文部科学省がなんですよ。文部科学省が判断すると、そういうふうに大学側に答えたとこのヒアリングのメモにはきちんと記されているんです。
 そうすると、大学の意に反した結果になる場合もあるんじゃないですか。答えと違うんじゃないですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 再編・統合を行うかどうかということは、あくまでも大学の自主的な御検討にまつわけでございまして、そういう意味で、私どもの方でそういうことについて強制的にということはないというふうにお答え申し上げます。
○林紀子君 今、幾つか実例を示してお答えをいただきましたけれども、お答えはきちんと整合性があるように見えるんですけれども、実際やっていることというのが全く違うんですよね。
 これは国会の場です。審議の場です。国会無視ではないということを今まで大臣も含めましてさんざんおっしゃったわけですけれども、こういうふうに私たちが国会の場で質問をしたら、それに対して文部科学省がきちんと答えた、大臣がきちんと答えた。ところが、やっていることは違う。これじゃ、全く国会無視、軽視なんという言葉じゃ言えないような、とんでもない事態だと思うんですよ。
 これ本当にどうするんですか。こういうことが続く限りでは、この審議というのはやっても何の意味もないということになるんじゃないかと思いますが、大臣、どうお考えですか。(発言する者あり)
○委員長(大野つや子君) 傍聴の方は静粛に願います。
○国務大臣(遠山敦子君) 中期目標、中期計画というのは、この法案を成立させていただいてから作り上げるものでございます。その事前準備としまして並行的に各大学で御努力をいただいているわけでございますが、法律に基づいた目標、計画というのはこれからの作業であるわけでございます。しかも、その中期目標についてはあらかじめ大学の意見を聴いてその意見に配慮する仕組みでありますし、法律の運用に当たっては常に教育研究の特性に配慮しなければならないと、その姿勢を貫くというのが当然であるわけでございます。
 これから法案を成立させていただきますれば正式な作業が開始されるわけでございますけれども、今申し上げました基本的な考え方あるいはその運用について、十分に私どもとしても配慮をし、本来の目的である大学の自律性、自主性というものが十分に発揮できるようにしていく、その考え方に変わりはございません。
○林紀子君 何度聞いても、次に聞くとまた違ったことをやっているということが分かるので非常にむなしいわけですけれども、これを本当にやっていかなければ、きちんと今おっしゃったことを貫徹しなければ本当に文部科学省そのものがもう信頼されないという状況になるんじゃないかというふうに思うわけです。
 もっと申し上げたいことはありますけれども、時間が限られておりますので次に行きますけれども、公務員身分の問題、お聞きしたいと思います。
 国立大学協会がまとめた要望には、職員の引継ぎについては本人の同意を要件とすべきだとあるわけですが、本人の同意なしで法人への雇用というのは許されるのでしょうか。
○政府参考人(玉井日出夫君) お答え申し上げます。
 今回の法律の仕組みということになるわけでございますが、国立大学法人法案におきましては、法人成立の際、現に国立大学の職員である者は別に辞令を発せられない限り特別の発令行為なく成立した国立大学法人の職員となる旨の規定を置いているわけでございます。この規定は、職員の身分が不安定となることを回避し、円滑な移行と雇用の安定を図るためのものでございまして、本人の同意を得ることなく適用されるというものでございます。
 なお、このような法的仕組みは、国の機関から独立行政法人に移行した場合の他の独立行政法人と同様のものでございます。
○林紀子君 それでは、具体的に国立大学法人の職員となることを拒否する、あるいは国家公務員としての身分継承を希望した場合、他の行政機関への配置転換を含めてどのように身分保障をするのでしょうか。
○政府参考人(玉井日出夫君) 先ほど法の仕組みを申し上げました。若干繰り返しになることをお許しいただきたいと思いますが、この国立大学法人法案におきましては、法人成立の際、現に国立大学の職員である者は別に辞令を発せられない限り成立した国立大学法人の職員となるということでございまして、本人の同意は得る必要はなく適用されるという法的な仕組みにそもそもなっているわけでございます。したがって、国立大学の職員は国立大学法人の職員として承継されるということが基本でございます。個々の処分ということではなくて、法律をもってその身分が切り替えられ、雇用が承継されると、こういう法的な仕組みになっているわけでございます。
 なお、国立大学職員に対しましては、法人化後も国立大学法人における教育研究の公共性という職務に従事していただくわけでございますが、それが変わるものではありませんし、また医療保険や年金などにつきましては法人化後も引き続き国家公務員共済組合の適用対象となりますし、あるいは退職手当につきましては在職期間の通算等の措置を図っていっているわけでございまして、これらのことについて十分な説明は行ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○林紀子君 ちょっと質問を取り違えていらっしゃるんじゃないかと思うんですが、そういうことはもうよく分かっております。しかし、それが分かった上で、国立大学法人の職員にならないで国家公務員としての身分継承を望みたいと、そういう人だっているかもしれないでしょう。そういうときはどうするんですか。
○政府参考人(玉井日出夫君) 先ほど来御説明を申し上げておりますが、これは法人化の趣旨や仕組みが今申し上げたとおりでございまして、この趣旨やその仕組みについて十分国立大学職員に説明を行っていきたいと思っておりますけれども、基本的には、個々の処分ではなくて、それぞれ法律をもって、国の機関の職員であった者が法律をもって別の機関、法人格を持った別の機関、国立大学法人職員に法律をもって承継されると、こういう仕組みになっているということを御理解賜りたいと思います。
○林紀子君 今日の質問というのは、きちんと、問いに対してきちんと分かるように答えるという約束で始まったんですよ。(発言する者あり)ええ、今の答えというのは同じことを二度三度繰り返して、そうじゃないんだと言ってもそういう答えしか言わないんでしょう。それじゃ、やっぱり今までの約束と違いますよ。
○委員長(大野つや子君) この際、政府側に申し上げます。
 答弁は内容を整理して簡潔、明瞭に行われますように要請いたします。
○政府参考人(玉井日出夫君) この仕組みについてはもう繰り返し申し上げたところでございますので、要は、これが、この仕組みというものが国家公務員法に基づく個々の処分、あるいは個人のそれぞれの意見に基づく処分という形ではない、そういう法律をもって承継するわけでございますから、基本的にはその職員の方々はまず移っていただくという法律の仕組みになっているので、それを十分御説明を申し上げたいと思います。
 もちろん、個々具体いろんな御意見がございましょうけれども、それはまたいろいろ任命権者が聞くこともあり得るかと思いますが、法律の仕組みはこれは個々具体の処分ではないということはるる御説明を申し上げさせていただいているわけでございます。(発言する者あり)
○林紀子君 そうですね。ええ、本当、おかしいですよね。
 これじゃ、だって、だから、そういう法律の仕組みはもう分かった上で、だけれども、公務員試験というのを受けてちゃんと公務員になったわけでしょう。だから、そういう人が、いや、私はこれだけのちゃんと試験を受けてこういう資格があるんだから私はあくまで公務員でいたいといったときに、じゃほかの行政の方に公務員として移すのか、そういう場合だってあるでしょうと、それを聞いているんです。全体の話はこの法律でこういうことになった、認められませんけれども、そういう仕組みだというのは分かります。どうですか。
○政府参考人(玉井日出夫君) 林委員の御指摘、要は、同意があってという議論が最初にございましたので、それはなくして、同意なくして移れるということをずっと申し上げているわけでございまして、法律の仕組みは本人の同意なくして移せます。
 ただ、御本人がいろいろ御意見を望む、言われると、そういうことはあり得るだろうと思います。ただし、法律の仕組みとしては、法的効果としてはそれは移るという形になっているわけでございます。
○林紀子君 何だか全然問いに対した答えというのが出ないんですよ、今の話だと。だから、ちょっとこれは休憩しましょう、休憩。(発言する者あり)本当、本当。
○委員長(大野つや子君) お続けいただきたいと思います。
○政府参考人(玉井日出夫君) 個々人の、個々人の同意の有無によってこの仕組みが動くというものではないということは御理解賜っているところでございます。
 それに対して、個別の事情によっていろんな御意見がある場合には、それはいろいろお聞きすることもあり得ると思います。したがって、別の、この場合に、法律の中でこれは別の辞令を発するということも、別に辞令を発せられない限りというのは、それは他の職ということも法律上はあり得るというふうに考えていますが、しかし、先ほど来申し上げているのは、是非御理解を賜りたいのは、これは本人の同意の有無によってそして動かせるのかという趣旨であるならば、そういう仕組みではないということは是非御理解を賜りたいと思っているわけでございます。
○林紀子君 ようやく何だか分かりましたよ。個人個人に、個人個人、そういう人もいるだろうということでそういうときはどうするんですかというのを聞いたわけで、それは個別にきちんと対応しますということですね。初めからそう言っていただいたら、私の時間は五分損しちゃったんですよ、もう本当に。
 もっと、だから、今日は質問したいことを用意していましたけれども、どうしても最後に聞いておかなくちゃいけないことがあるのでそれに移らせていただきます。
 というのは、最初のときから私は、労働安全衛生法、それがどうなるのか、四月一日からそれがどうなるのかということをお聞きしてまいりました。もう今までさんざんその実態についてはここで申し上げましたから、それ以上ここで言うことはないんですけれども、私の質問を聞いていたある大学から、地元の広島大学ですけれども、こういうパネルを寄せていただいたんですね、パネルじゃなくて写真を。(資料を示す)
 大臣のところ、副大臣のところからちょっと遠いと思いますので、これと同じ小さな写真をお持ちいたしましたので是非見ていただきたいんですが、これは丸裸のガスボンベがここにあると。本当はこれ、コンクリートで囲った部屋に入れなければ、もう爆発したら一遍でもちろん先生も学生もどうしようもない状態になるんだと。ごらんになれますでしょうか。
 これは狭い実験室ということで、本当にこれ、ごらんいただいたら分かるんですけれども、どうやって人が通るのかなというような狭い実験室ですよね。両側にびっちりと机があって、実験器具があるという、こういうあれですね。これも同じく、ほかのところなんですけれども、同じような状況の部屋です。避難経路はどうなっているかということなんですね。そして、これもまたまたすごいあれで、器具が所狭しとこんなふうになっているということが写されているわけですね。
 私、この写真を寄せてくださった方が解説を付けてくださっているんですけれども、これはひどいなと本当に思ったんですけれども、例えば汚泥処理の研究をしている実験室というのがあるんだそうですけれども、そこでは猛烈な悪臭の中で学生がお弁当を食べなくちゃいけない。こりゃ大変だなというふうに思ったんですね。それから、四月にこの労働安全衛生法が間に合わなかったら困るというので一斉に作業を始めるとすると、学生は卒業論文も書けないと。全国の国立大学で卒業研究を中断させられる現役の学生が大量に出るんじゃないか。
 だから、今までずっと、本当はきちんとやってこなくちゃいけなかった、こういう設備の改正というのをずっとそのままにしてきたということでこういうことになっているわけです。同じように、もしこれを全部整備するなら、いったん実験をやめて、途方もない作業になると。分野によっては、微生物が死んでしまって研究が継続できなくなると、こういうような状況が生まれるんだというふうに言っているわけですね。
 私は、最初のときからこの質問をしてまいりました。そして、三百六億円という実例を挙げて、これが正に机上の数字ではないかということを申し上げたわけですけれども、そういうお金で何とか四月までにこれをやり切るというふうに文部科学省の方はおっしゃっているわけですけれども、私たちが計算したのでは到底この金額では間に合わないだろうというふうに思うわけですね。
 あの三百六億円からどうしてもはみ出てしまって、こんなひどい状況が改善できないまま四月を迎えなくちゃいけないというような状況になるというとき、お金の面ではどういうふうにするのか、お答えいただきたいと思います。
○政府参考人(玉井日出夫君) 大学における安全衛生管理の重要性は重々認識をしているわけでございまして、したがいまして文部科学省としては、昨年に調査を行い、さらに今年に入ってその状況をフォローアップをいたしまして、五月二十八日に発表をいたしました改善対策に基づいて現在、各大学について今それぞれの対応をお願いをしているわけでございます。おおむね私どもは三百六億円でできるというふうに思っております。これも、各大学からきちんとやはり報告を受けた上で精査したお金と思っております。
 ただ、この三百六億円の財源内訳として、既にお配りしている中で御活用いただくものだけではなかなか難しいものですから、その三百六億円の内訳として、既にお配りしたものプラス今後百六十億円を追加配分という形で大学の御要望に沿って行いたいということは、五月二十九日のこの文教科学委員会においてお答えをしたとおりでございます。
 私どもとしては、年度内に安全衛生管理の改善が図られるように万全を期してまいりたい、かように考えているわけでございます。
○林紀子君 時間がなくなりましたので、本当に山ほどまだ質問は残っておりますけれども、今日の私の質問はこれで終わります。
○西岡武夫君 私は、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)を代表して、前回に引き続いて大臣に御質問を申し上げます。
 前回、私は、予告的に、授業料の問題がどうなるかということについて御質問を申し上げるということを予告したわけでございますけれども、どうも本日のこの委員会、与党の皆様方は、委員長を始め皆様方が今日採決してしまうというような雰囲気をお持ちのような感じがいたしますので、視点を変えまして、基本的な問題について更に質問をさせていただきたいと思います。
 元々、前回も申し上げましたけれども、今回のこの大学の法人化という問題が、大学の改革という視点ではなくて、行政改革から出たというところに私はむしろ疑問というよりも憤りを実は感じているものでございます。
 その中で、その中で、先般から申し上げ、また今、林委員からも御指摘がありました国家公務員の身分というものを、先ほど審議官からは法律の仕組み自体がそうなっているんだというお話がございましたけれども、元々、国家公務員法という法律は極めて重要な意味を持った法律であって、この法律の規定というのは法律の総則の第一章の中でも書いてございますように、「この法律の規定が、」、これは「従前の」となっておりますけれども、「従前の法律又はこれに基く法令と矛盾し又はてい触する場合には、この法律の規定が、優先する。」というふうに国家公務員法はなっているわけであります。
 そういう状況の中で、今回、十三万人になんなんとする国家公務員の皆さん方、一般職の皆さん方を公務員でなくするということが、どういう法律の規定によってこれが行われるのか、ここがさっぱり分からないんです。どこにその法律、書いてあるのか、これを大臣、お答えをください。
○国務大臣(遠山敦子君) 端的に何が法的根拠かという御質問ととらえさせていただきますと、それは国立大学法人法案附則第四条でございまして、ここにおいて、法人成立の際、現に国立大学の職員である者は引き続き国立大学の職員となるものとの規定を設けているところでございます。
 国立大学法人化は、法制的にも国の財政措置を前提といたしますとともに、現在の国立大学の権利義務を引き継ぎ、かつ、大学としては法人化前後で同質であると規定されているところでございます。したがいまして、現在の国立大学の教職員は、法人化後も引き続いて国立大学法人の職員として教育研究や組織運営に当たることが妥当であるわけでございます。そのために承継の規定が設けられているわけでございますが、この規定は、国家公務員としての身分がなくなるのと同時に、国立大学法人の職員としての身分を取得するという法的効果を持つものでございまして、これによって国立大学の職員は雇用が保障をされ、就業規則等によってその処遇は保障されることになっているわけでございまして、引き続き国立大学の業務に従事するということになるわけでございます。
 このように国立大学法人の職員が非公務員となる、非公務員というのは民間人ではございません、非公務員というそういう方であるわけでございますが、これは国家公務員法の個別の規定ではなくて国立大学法人法案の規定によるものでございます。このような法的仕組みは既に他の法律によっても用いられているところでございます。
○西岡武夫君 よく先行独立行政法人というお話がありますけれども、私が今問題にしているのは、国立大学の国家公務員たる一般職の皆様方の身分が何を根拠として剥奪され得るのか、それをお聞きしているんです。
○政府参考人(玉井日出夫君) 他の非公務員型の独立行政法人、例を少し申し上げさせていただきますと、これは……
○西岡武夫君 それは聞いてない。それは聞いてない。
○政府参考人(玉井日出夫君) そういう法的仕組みと同じであって、今回、国立大学法人法において同様の仕組みを取らせていただいたわけでございます。
 さらに、国家公務員法との関係をもう少し申し上げますと、確かに国家公務員法は職員の身分を保障しているわけでございます。国家公務員法六十一条また七十五条等があるわけでございますが、それらはいずれも任命権者が行使する職員を免職する権限について合理的な制限を設け、職員の身分を保障するという国家公務員法の体系の中での処分についての定めでございます。今回の国立大学の法人化に伴う職員の承継は、この任命権者がその権限の行使として行う、つまり処分として行うものではなくて、法律の規定によって直接職員の身分を切り替えるものであります。それは国の機関としての国立大学の職員の雇用を保障して国立大学法人の職員として承継するものでございます。
 また、先ほど来申し上げていますように、同様の観点から、承継職員については、年金、健康保険制度について引き続き国家公務員共済組合法の適用があるということは御理解賜りたいと思います。
○西岡武夫君 そういう同じ答弁を何回もなさるのは時間の無駄でございますからおやめをいただきたいと思いますが、大臣にお尋ねをいたします。
 私が質問しているのは、国家公務員という身分を喪失するわけですから、移行するからいいんだと、全部を国立大学法人に雇用するんだから問題ないじゃないか、そんな問題じゃないでしょう、大臣。国家公務員として十三万人の皆さん方が就職をされて、その国家公務員の身分を何の理由もなくてこの法律でぱっと奪われちゃうという根拠はどこにあるんですか。国家公務員法自体は全然変わってないじゃないですか。どうお考えですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 法律的な説明につきましては先ほど来お話をしているとおりでございます。これは、国家公務員法というものの適用を外すといいますか、身分を失うと同時に新しい法人の職員となるということでございまして、これは正にそのことを現在お願いしている法律案の中で規定をするわけでございます。その意味におきまして、特別といいますか、これからの成立させていただく法律においてその身分というものがしっかりと保たれるという形になるわけでございます。
○西岡武夫君 大臣、私がお尋ねしているのは、国家公務員の身分を失わしめるということがどの法律にどう書いてあるか、これをお尋ねしているんです。お答えください。大臣。
○政府参考人(玉井日出夫君) 御指名でございますので、恐縮でございますが。
 どの法律にということは、先ほど来お答え申し上げておりまして……
○西岡武夫君 書いてない。ここに書いてないんだから。
○政府参考人(玉井日出夫君) 国立大学法人法においてその仕組みとなっているわけでございまして、少し、法の仕組みをちょっと御説明を恐縮でございますがさせていただければ、これは、独立行政法人の場合に、少し申し上げますと、独立行政法人の場合には、通則法におきまして、ここはそもそも国の機関から法人格を持って離れますので、国の機関から法人格を持って離れるということは、もう国家公務員、あくまでも国の機関の職員というのが大前提でできている法の仕組みでございます。したがって、そこを離れるということは国家公務員ではなくなるわけでございます。
 では、なくなる職員を承継するかどうか、どういう身分を与えるかは、この職員が離れる法律をもって規定をするわけでございまして、したがって独立行政法人のうちの公務員型につきましては、その個別法におきましてこれは特定独立行政法人とする、すなわち国家公務員の職員、国家公務員とするという身分を改めて付与していると、こういう仕組みになっているわけでございまして、したがってそういう規定のないということは、国家公務員から離れるわけでございますから、非公務員型に当然なってくるわけであります。
 では、その身分をどうするかということで、これは承継職員として国立大学法人法においてその身分をちゃんと承継していると、こういう法的仕組みになっているわけでございますので、どうぞ御理解を賜りたいと存じます。
○西岡武夫君 今の御答弁は全然私の質問に答えていただいておりません。大臣にお答えをいただきたい。国家公務員でなくなってしまう、その根拠がどこにあるんですかとお尋ねしているんです、法的根拠が。国家公務員法にも何にも書いてないじゃないですか。
 私が前回、犬がしっぽを振るのは当たり前だけれども、しっぽで犬を振るということが法律でよくある、私もやったことがある、そういう法律を作ったことがあると申し上げました。大臣はよく意味が分からないとおっしゃいましたけれども。私が申し上げているのは、しっぽもなくて犬を振っているじゃないですか。それはどこに根拠があるんですか。大臣、お答えください。
○国務大臣(遠山敦子君) どれがしっぽでどれが犬かという議論は難しいので避けますけれども、国立大学の法人化、これは現在、国の施設など機関と位置付けられている国立大学、これは文部科学省の行政組織の一部であるわけですが、それを国とは独立をした国立大学法人とするということでございまして、国から独立した法人格を持つ組織の職員といいますものは、特に法律で規定しない限り国家公務員とならないわけでございます。国立大学法人の役職員についても国家公務員とはしないということを新たな法律において規定をさせていただこうとしているわけでございます。したがいまして、国立大学法人の役職員の身分というのは、法律上、当然ながら非公務員となるわけでございますが、しかしこのことについては、国立大学法人法案の附則第四条、ここにおいて承継する規定を設けているということでございます。
 したがいまして、これは法制上の考え方といいますか、国家公務員たる者が、行政の機関としての組織の一員であることから、新たに設立をされる、新たに作られる法人格を持った法人というものに引き継いで、組織が移行するときに身分も承継する、そういう法体系をもってこの身分が保障されると、そういう形になるわけでございまして、これは十分な法制上の議論、検討というものを経た上で法案を提出させていただいているところでございまして、その点については御理解をいただきたいと存じます。
○西岡武夫君 それでは、大臣、国家公務員法をなぜ改正、いじらなかったんですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今日、ずっと続いております法人化の議論といいますものは、国家の、国家行政組織の機関であるものから新たに法人格を与えるというものでございます。それは、国家公務員法上の職員というものではなくて新たな法人の職員となるというものでございまして、別の法律に基づいてその根拠を持つということでございますので、国家公務員法自体の改正というよりは、新たに法律を国会の意思においてお決めいただくということにおいてその身分がしっかりと継承されていく、そういう関係になるというふうに考えます。
○西岡武夫君 私は、昨年でございましたか、大臣に、やはりこの問題を法案ができる前に十分議論しようと、これは前委員長にもお願いをしまして、法案ができてしまって国会に出てしまって多数決でぽんぽんって通ってしまうような事柄ではこれはないということで、事前にそういうことを一年以上前から私はこの委員会でお話をしてきたところでございますけれども、今の大臣の御答弁というのは、私は、大臣も、途中でこういう問題が大きな流れとして起こってきて、その途中で大臣になられたから、大臣もお気の毒だと初め申し上げていたんです。しかし、今の御答弁ですと、もうお気の毒でも何でもなくなってくるんです。
 私は、国家公務員として十三万人の方が就職をされたわけですね、そして国家公務員というのは本当に全体の奉仕者としての大きな使命を持っておられる、それだけにいろいろな制約もある、しかし身分保障はきちっとしている、それは何によって奪われるのか、法的根拠は何なのかと。だから私は犬としっぽの話をしたんです。この法律はしっぽにもならないじゃないか、何の関係もないじゃないか、国家公務員法を何にもいじっていないじゃないかと。現に、ここに独立行政法人の中の特定独立行政法人の役員についてはちゃんと規定しているじゃないですか、国家公務員法に。どういうことですか。
○政府参考人(玉井日出夫君) 今、西岡先生御指摘でございますが、要は法人格を持たせる、国の機関から離れる。離れると、当然、国の機関の職員ということが国家公務員法のそもそも大前提でございますので、国家公務員でまずはなくなるわけですが、しかしながらどういう形に身分を与えるかというのは、次のその新しいそれぞれの法律が決めねばならない。そこで西岡先生御指摘の、独立行政法人通則法は、要はその第二条のところで、特別な国家公務員の身分を与えることが必要と認められるものとして個別法で定めるものをいう、つまり独立行政法人の個別法で国家公務員としてその身分を与えるかどうかをその法律で規定をすると、こういう仕組みにそもそもなっているわけでございます。
 したがって、既に独立行政法人になって公務員型になっているものにつきましては、その個別法の中で特定独立行政法人とするという規定がそれぞれの個別法に入っております。そして、そのそれぞれの個別法のこの特定独立行政法人とするという意味は、これは通則法の方にございますが、「特定独立行政法人の役員及び職員は、国家公務員とする。」、つまり個別法で国家公務員の身分を改めて与えていると、こういう仕組みになっているわけでございます。
 したがって、個別法で国家公務員の身分を与えない限り公務員以外の非公務員型の身分となるわけでございます。そして、その承継は、どの独立行政法人においても承継規定を設けることによって雇用の保障をするという仕組みになっているわけでございます。
○西岡武夫君 私はそんなことを質問しているんじゃないんです。国家公務員の身分をどういう根拠で剥奪するのかと。法律をこれ作ったから、これではい公務員でありませんよと、そんなことできるんですか。しかも、十三万人おられる大学の国家公務員の皆様方に、こういう状況になるよ、みんなはどうお考えなのか、非公務員型の国立大学法人の職員になることについて皆さんはどう考えるか、納得されるのかと、そういう説明はされましたか。
○国務大臣(遠山敦子君) 国立大学法人の職員を非公務員とした検討経緯といいますものは……
○西岡武夫君 いや、説明されたかと聞いているんですよ。
○国務大臣(遠山敦子君) これは大事な点でございますので御説明させていただきたいと思いますけれども、国立大学の法人化については、平成十一年四月の閣議決定などを受けまして……
○西岡武夫君 いや、職員の皆さんに説明されたかと聞いているんですよ。
○国務大臣(遠山敦子君) 文部科学省……
○西岡武夫君 ほかのことはいいんです。時間がないんです。
○国務大臣(遠山敦子君) それでは、その中で、検討を開始した、平成十一年四月の閣議決定などを受けて検討を開始したわけでございますが、その時点での主な論点と検討の方向性について整理した際、公務員型ということを一つの考えとしていたわけでございますが、これはあくまでその時点で言わば試案として整理したものでございます。
 その後、更なる検討が行われることを前提としたわけでございますが、平成十二年の七月にスタートしました国立大学の法人化に関する調査検討会議において、法人化を契機とした国立大学の改革と新生を目指して検討が行われました。その後、中間報告もあり、またその後に更に公務員型、非公務員型について極めて熱心な御議論が積み重ねられたわけでございます。その後に、調査検討会議におきます更なる検討の結果、平成十四年三月の最終報告において、法人化後の国立大学の教職員の身分については、国家公務員法等にとらわれないより柔軟で弾力的な人事制度を実現し得るという点で優れた面が多いということから非公務員型を採用することが適当とされたわけでございます。
 そうした経緯をもって今回の法案をお願いしているわけでございまして、大学関係者の十分な御議論を経た上で法案としてお願いをしているところでございます。
○西岡武夫君 大臣、前回の委員会でも申し上げましたけれども、この法案に賛成するということでこの委員会においでいただいた名古屋大学の総長は、この席上、非公務員型になると思わなかったとおっしゃったんですよ。どういうことですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 法人化後の教職員の身分の問題につきましては、今、大臣から御説明しましたように、調査検討会議で検討されたわけでございますけれども、ここでテーマ別の四つの委員会が置かれまして、そのうちの人事制度委員会の課題としてこの問題が取り上げられ、議論されたものでございます。同委員会における議論におきましては、公務員型、非公務員型など様々な意見に分かれたため、平成十三年九月に公表をいたしました中間報告では各論併記にとどめまして結論を得るに至らなかったということでございます。
 この中間報告の以降、四つの委員会の意見の調整を行うということで、連絡調整委員会におきまして引き続き教職員の身分の問題について重点的に論議をされまして、最終報告の取りまとめの最後の段階まで真剣な議論が重ねられたということでございます。その結果、最終的には諸規制の大幅な緩和と大学の採用の拡大という法人化のメリットを最大限に生かす観点から、事務職員も含めまして非公務員型とするとの結論に至ったということでございます。
 松尾総長でございますけれども、この連絡調整委員会のメンバーとして議論に参加をされておりまして、したがいまして、最終的に非公務員型の結論が出るまでしっかりと時間を掛けて慎重な議論が重ねられた経緯については熟知されておりまして、結論につきましても同意をされておるわけでございます。また、最終報告につきましては、国立大学協会としても了承をしておりまして、その最終報告の制度設計に沿って法人化の準備に入る旨、平成十四年四月に会長談話が公表されているというところでございます。
 こういう経緯でございますので、非公務員型の結論につきましては国立大学関係者等による合意が得られたというふうに認識をしておる次第でございます。(発言する者あり)
○西岡武夫君 これは異なことをお聞きするんですけれども、それじゃ松尾総長がおっしゃったことは、世間話でおっしゃったんじゃないんですよ。この委員会で正式に参考人としてこの法案に賛成するというお立場で意見を述べられた中で、非公務員型になるということは思わなかったとおっしゃったんですよ。
 委員長、はっきりするまで、これ、ちょっとストップしてください。
○副大臣(河村建夫君) さきの委員会で西岡先生の方からそういうお話がございました。あのとき私が御答弁申し上げたのは、あの議事録を見た限りでは、教官についてはいいと思うと、しかし事務職員についての人事交流なんか考えたらこれは大変だなというような説明であったというふうに思うんです。
 そこで、その後、私、直接ではございませんが、一応、先生の真意をお伺いするようにということでお話を、確認を取らせていただいたところ、こういうコメントをいただいております。
 先日の参考人質疑における発言は、具体的な議論が始まった平成十一年当時以来、言わば当然のこととして公務員型しか考えてこなかったために、調査検討会議で具体的なメリット、デメリットの検討を行い、その結果、最終的には非公務員型が選択されるという私には予想以上に大胆な結論となったことに対して、長年この問題に携わってきた者としての感慨を率直に申し上げたものである、このようにいただいておるところであります。
○西岡武夫君 それでは、国会で総長がおっしゃったことは、これは一体どういうことになるんですか。
 委員長、この問題は、これは参考人の名誉にもかかわる問題ですから、きちっとしてください。
○国務大臣(遠山敦子君) そのときの御発言といいますものは、私は直接伺ってはいなかったわけでございますけれども、率直な御感想としておっしゃったということでございますけれども、当然ながら、松尾総長は調査検討会議の重要メンバーでございます。また、最終的に公務員型かあるいは非公務員型にするかという議論をしていただいた連絡調整委員会のメンバーとして議論に参加されているわけでございます。そして、その結果、議論が重ねられてでき上がった合意というものについては当然お認めになっているわけでございますし、同意されているところでございます。その点についても御本人もお話をしておられるところでございます。
○西岡武夫君 大臣、そういうことをおっしゃってよろしいんですか。松尾総長がこの公式に国会の場でおっしゃったことについて、大臣が何の権限で否定できるんですか。おかしいじゃないですか。
 委員長、これ、きちんとしていただきたいと思います。
○国務大臣(遠山敦子君) 先ほど来、副大臣からも話しましたように、その感慨の経緯についてここで述べられたということでございまして、調査検討会議における結論については同意をしているということでございます。それにつきまして、慎重な議論が重ねられた経緯については熟知され、かつ同意されているところでございます。
○西岡武夫君 大臣、総長がここに来られてはっきりおっしゃったんですよ。はっきりおっしゃったのを大臣が何の権限で否定されるんですか。おかしいじゃないですか。
○副大臣(河村建夫君) 西岡先生、否定とおっしゃいましたが、今、大臣が答弁されたことの裏付けでございますけれども、私もさきの委員会でも御答弁申し上げたように、松尾総長は、頭の中に公務員型でずっと考えてきておった点があって、それは確かにショックを受けたんだということは率直におっしゃった。しかし、最後に、一言申し忘れましたということで、教官については非公務員型でいいんですと、これは問題ないと考えておりますと、しかし、現実に私が申し上げているのは、一般の職員の問題がありますと、こうおっしゃったわけであります。
○西岡武夫君 私、一般の職員のことを話しているんです。
○副大臣(河村建夫君) だから、そのことについては、大学は一体とやっていく中で、メリット、デメリット、いろいろ考えた結果、非公務員型でいこうというのが一つの結論でありますから、これについては大学協会等が中に入って、人事交流をおやりいただくとか、そういうノウハウを研究をされて、そういう形で取り組んでいこうということでこういう結論になっておるというふうに理解をしておるわけでございますから、そういうことで教官を非公務員化して、大学を一体の中で進めていく中で非公務員型を取ろうということで結論が出て、今回に至っておるわけでございます。
○西岡武夫君 今日御出席の委員の皆さん方も松尾総長のこの委員会での御発言をお聞き取りいただいていると思いますし、議事録も当然残っているわけでございますから、今の文部科学省の御答弁というのは極めて奇怪な御答弁だとしか申し上げようがございません。
 したがって、松尾総長をもう一回お呼びいただきたい。お願いいたします。
○委員長(大野つや子君) ただいまの件につきまして、その取扱いについて後刻理事会において協議したいと思います。
○西岡武夫君 委員長、今日採決なさろうとしているんでしょう。しないんですか。
○委員長(大野つや子君) まだそこまでは決まっていません。
○西岡武夫君 しないとおっしゃってください。しないとおっしゃってください、それじゃ。今日は採決しないから、後刻理事会で相談をすると、そうおっしゃってください。
○委員長(大野つや子君) それは申し上げられません。(発言する者あり)お静かに願います。
○西岡武夫君 それは申し上げられませんということは、後刻というのは、法案通っちゃってからと。後の祭りということですね。
○委員長(大野つや子君) これは、いや、祭りになるかどうか分かりません。
○西岡武夫君 どういうことですか。
○委員長(大野つや子君) いや、やはりこれは理事会で御協議をさせていただきたいと思います。
○西岡武夫君 それでは、直ちに理事会を開いていただきたい。
○委員長(大野つや子君) 遠山文部科学大臣。
○西岡武夫君 いや、大臣が言うことじゃないんです。
○委員長(大野つや子君) 今、ちょっと(発言する者あり)手を挙げていらした。ちょっと、挙手をしております。
○国務大臣(遠山敦子君) 今、松尾参考人の御発言についての、それを元にした御議論でございますので、この議事録によりますと、松尾委員が非公務員型になることについての御疑問を持たれたのは、一つが人事の交流、活性化の問題であるということでございます。つまり、それぞれの大学に配置されている職員の人事交流の点について御心配をされたということであるわけでございます。そのことにつきましては、これは国立大学協会ともよく相談をしながら、それぞれの職員の所属ないし全国的な人事交流の在り方について新たなシステムというものを考えていくということにおいて、これは大学関係者も同意を見ているところでございます。
○副大臣(河村建夫君) 松尾総長に確認をしたことを今概略申し上げましたが、もうちょっと詳しく電話で確認したことを申し上げます。
 国立大学の法人化の問題については、政府や国立大学協会で具体的な議論が始まった平成十一年当時から深くかかわってきたが、当時は国の試験研究機関を始めほとんどの独立行政法人が公務員型とする方向で検討されていたことや、改革のソフトランディングといったことも考え、率直に言って公務員型しか念頭になく、非公務員型の可能性を具体的に検討したことはなかった。その後、平成十二年七月に発足した調査検討会議に他の多くの国立大学関係者等とともに参加し、法人制度の具体像を検討したが、その中で、教職員の身分の問題については、教官はともかく、事務職員については最後の最後まで課題とされ、真剣な議論が交わされたと記憶している。当時、私は事務職員に対する非公務員型の採用については慎重な意見を述べたが、最終的には、法人化のメリットを最大限に生かすという観点から、事務職員も含めて、すべての教職員を非公務員型とするとの結論を調査検討会議自らが導き出したことは事実であり、当然、私もその結論に対して責任の一端を負っている。ただし、非公務員型を採用した場合でも、大学の枠を超えた人事間交流を可能とする仕組みの重要性については特に主張したところである。最終報告にもその旨の記述が反映されている。先日の参考人質疑における発言は、具体的な議論が始まった平成十一年当時以来、言わば当然のこととして公務員型しか考えてこなかったために、調査検討会議で具体的なメリット、デメリットの検討を行い、その結果、最終的には非公務員型が選択されるという、私には予想以上に大胆な結論になったことに対し、長年この問題に携わってきた者としての感慨を率直に申し上げたものであるということでありますから、否定をされているわけではないというふうに私は理解しております。
○西岡武夫君 河村副大臣と私も一緒に仕事をした間柄でございますから、こういう厳しい質問を申し上げるのは非常につらいんでございますけれども、参考人が発言されたことを、私は今まで、長い間本当に国会での経験がございますけれども、所管の役所が訂正の口出しをされたということは初めてですよ。私はそういう経験はございません。おかしいじゃないですか。
 委員長、これはきちっと理事会をお開きいただいて善処していただきたい。(発言する者あり)
○副大臣(河村建夫君) 議事録が、一部だけ私は申し上げませんでしたが、この議事録を私が読んでみる限りにおいて、松尾先生は今回のこのことを否定をされておられるわけじゃないわけでありまして、これは山本香苗先生の質問に対して、さっき申し上げました参考人のこれは議事録でありますから。私は、まさか非公務員型になるとは思いも寄りませんでした。そこで、この点だけは非常にショックを受けました。それは、一に人事の交流活性化の問題ですと。聞くところによりますと、今、文部科学省本省に全国的に動く人が千二百人おられると聞いておりますし、大学の現場に千二百人ぐらいいると聞いております。その人たちといつも話しながらやっていますが、しかし、今度は法人の長が当然人事権を持つわけですから、私がその人の立場になりますと、入ったときの約束と違うわけですね。入ったときは、全国を回って力を付けて偉くなっていこうと、こうお考えになっていたのが、ある日突然、これはこのとおり読みますが、変な総長、学長のところへ行ったら絶対辞められなくて動けなくなるということでは、これは約束が違いますね。ですから、やはり人事が活性化を持って動くような工夫をしていく必要があると。それで今、国大協ではどういうシステムが考えられるかということを今一生懸命議論している最中です。しかし、何とかしなければならない。同時に、文部科学省の方にもそれは真剣に考えてもらいたいということを申し上げておりますと。こういうふうにおっしゃっておるわけでありますから、この法人化を否定されているというふうに私は思えないわけであります。
○西岡武夫君 私はそういうことを申し上げているんじゃないんです。
 委員長、これ、理事会でよく御相談いただいて、善処してください。(発言する者あり)
○委員長(大野つや子君) 遠山文部科学大臣。(発言する者あり)お静かに願います。
○国務大臣(遠山敦子君) 先ほど来御説明しておりますのは、御本人のこの委員会における質疑そのものについての、何か私どもが勝手に解釈しているということでは全くございませんで、その事実を基に御本人にも確かめて、その結果を御報告しているわけでございます。(発言する者あり)
 したがいまして、西岡委員の方から、その質疑に、参考人の意見について私どもが勝手な解釈をしているとか、そういうことでは全くございません。(発言する者あり)
○政府参考人(遠藤純一郎君) 前回こういう問題になりましたので、私どもの担当官から松尾先生に直接聞いたことにつきまして、今内容を御報告をしたわけでございます。(発言する者あり)
○委員長(大野つや子君) 遠藤高等教育局長。(発言する者あり)お静かに願います。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 松尾参考人の発言を、先ほど副大臣が速記録を読ませていただきましたけれども、ここでもやはり事務職員の人事交流の活性化の問題というのを非常に松尾先生は心配しておったということで、その点について今後、国大協、そして文部科学省の方でしっかりとしたシステムを考える必要があると、こういうことを申されておるというふうに理解をしておるわけでございまして、非公務員型についてこの時点で反対であるということではないというふうに私ども理解しておるわけでございます。
○西岡武夫君 私はそういうことを質問しているんじゃないんです。
 今、私が今までるる質問申し上げているのは、一般職の皆さん方のことをお話ししているんです。そして、松尾総長がおっしゃったのも一般職のことで、別にこの法案に反対だと、賛成の立場で参考人で来られたんですから。その賛成をされている松尾総長が、一般職の皆さん方が非公務員型になるということは自分も予想外であったとおっしゃったと、それを申し上げているんですから。これをお取消しになったということなら別ですけれども、文部省は、文部科学省は何で参考人の先生の代弁をしなきゃいけないんですか。おかしいじゃないですか。
○副大臣(河村建夫君) 今、西岡委員御指摘の点について、さきの委員会でそういう御指摘がございましたので、私どもはその場におりませんでしたから、先生が、先生がこの法人化に、非公務員化に私は反対をされて、まさかそんなことはないと思うけれども、そうじゃないかという思いをあのとき持ったわけでありまして。そうじゃなくて、先生の御指摘は、要するに、特に一般の職員の皆さんの交流についてこれからどうすればいいのかということを非常に心配をされたわけであります。
 そのことについては、これは大学協会の中にあり、そして今までのノウハウもあるわけでありますから、文部科学省がこれまでやってきた人事交流もありますから、そういうのに倣って人事交流はできるということで、それがもう全然できないということになると、それはそういう指摘があってこれは大変だということでしょうけれども、これは不可能じゃない、可能性のあることですから、それを踏まえてデメリット、メリットを考えたときに、非公務員化にするという決定については、これは先生も言われているように、その立場におられておって理解をされておるわけでありますので、私は、そういうことで今回のこの法案をこういう形でお出しして、皆さんの意見を聴いて、この点に気を付ければいいんだなということが確認をされたわけでありますから、その点については大学協会側と十分協議をして、今、大学協会もいろいろ研究をされておると思いますが、その方向でやっていただきたいと、またいけるものだと、このように考えておるところであります。(発言する者あり)
○委員長(大野つや子君) 玉井総括審議官。(発言する者あり)静かにしてください。
○政府参考人(玉井日出夫君) 調査検討会議、平成十二年にスタートしたわけでございますが、その中で、松尾先生も中にお入りになって御議論が進められました。
 この調査検討会議における検討におきましては、この中間報告及び報告書にもございますように、教員のみならず事務職員等を含めて公務員型、非公務員型と比較するなどの検討が行われ、その結果、国家公務員法等にとらわれない、より柔軟で弾力的な採用方法や給与体系、勤務時間体系が可能になるなど、事務職員についてもより弾力的な人事制度を実現し得るという点で、非公務員型の方が公務員型よりも優れた面が多いことから非公務員型とするということが適当であるというふうに、教員のみならず事務職員を含めて調査検討会議において十分検討がなされたわけでございます。
○委員長(大野つや子君) それでは、速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(大野つや子君) 速記を起こしてください。
○副大臣(河村建夫君) 繰り返して申し上げるようで恐縮なんですけれども、西岡先生、前委員会から引き続いてこの問題を取り上げておられましたから、この間、やっぱり我々としては、あの当時あそこに、現場にいなかった者としては松尾先生の真意をやっぱりお聞かせをいただかなきゃならぬ、こう思ってお聞かせをいただいた結果を今お話ししたわけでございまして、その結果は、確かに非公務員化されるための一般の職員の皆さんの人事交流、この活性化のことについては懸念があるとおっしゃっておったわけでありますから、このことについては、これまでの文部科学省がやってきた人事交流、大学側が、協会側が受皿になって一体となってやっていただく方法というのはこれは可能でありますから、そういう形でこの問題を御理解をいただける、また大学協会側もこのことをそういうような形で、お認めをいただいたものでありますからそういう形で進めておるわけでございますし、いわんや教官については全く問題ないということでありますから、そうなると、大学は、一体化を進める上でメリット、デメリット、そういうことを考えたときに、この非公務員型でいこうということが決まったわけでございまして、そういうことで是非御理解を賜りたいと、このように思います。
○西岡武夫君 私が先ほど来申し上げているのは、松尾総長がこの委員会にお見えになって、この法案を賛成する立場で御意見を述べられたと。その述べられた中でさえ、非公務員型になるとは思わなかったと、その場でおっしゃったんですから。当時という言葉はありませんでした。それは自分としては意外だったというお言葉が、ちょっと言葉のあれは正確でありませんけれども、これはどういうことなのかということを私は申し上げているわけです。
 しかし、委員長の御采配で理事会も何も開けないようでございますから、何でこれだけ、百年に一遍、これから二十一世紀の日本の知の中心である大学をこれだけ大きな変革をするのにそんなに急ぐのかと。私は与党の皆さん方にも申し上げたいと思うんですけれども、これだけのことをやって、後世に対してどういう責任を持つのか。私は、このように深く、私自身も責任を強く感じて、こうしてあえて質問を申し上げているわけでございますけれども、元々独立行政法人ありきでこの問題が始まったところに大きな問題がある。
 ですから、自由民主党の皆さん方の間でも相当な論議がこれには尽くされたはずであります。私の同僚と、かつての同僚、今でも同僚でございますけれども、親しい、当時一緒に仕事をした面々の皆さん方からもそういう意見をたくさん聞いてまいりました。それだけ問題がある。それでも、行政改革という大波の中で大学をここまで持ってきてしまったという責任が私は小泉内閣にある、そしてそれを所管する文部科学大臣以下、文部省全体にその責任があると思うんです。
 その中で、あえて私は一般職の皆さん方、十三万人の皆さん方が、全体の奉仕者として自分は一生をささげようと思ってそれぞれ国立大学に就職をされたと。その方々の身分を、先ほどからお話を聞いておりますと、全然、法律的な根拠というのは、新しい法律を作ったというだけであって、国家公務員法も何にもいじらないで、ある日突然、国家公務員でなくなりましたと、こんな無責任なことをしていいのかということを私は先ほどからるる質問をしているわけです。しかし、お答えがないんです。誠におかしなことだなと。
 大臣もかつて国家公務員だったんですから、どうお考えなんですか、これ。先ほど私が質問をしまして、一般職の国立大学の職員の皆さん方に一体説明をしたんですかと。職員組合もあるんですよ。一回でもなさったんですか。それにお答えになっていないじゃないですか。
 松尾名古屋大学の総長の問題は、今日、何が何でも採決をなさろうという気構えの委員長のようでございますから、追って理事会でというのはどういうことになるのか分かりませんけれども、これは留保いたします。
 大臣、お答えください。
○国務大臣(遠山敦子君) まず、日本の未来の知を形作る大学、その大学の設置形態の変更ということでございまして、大変大事だという点は全く同感でございまして、それゆえにこそ私どもも大変心を用いて今回の法案を提出をさしていただいているわけでございます。それが一点。
 それから、経緯について、行政改革だというふうに断じられましたけれども、これは前回もお答えいたしましたが、そのようなものではないわけでございます。元々のこの議論、国立大学の法人化の話は昭和四十年代の半ばから議論をされて、今の文部科学省の行政組織の一部では十分な自主性、自律性が発揮できない、これを一体どういうふうにしていくかということにおいて様々な議論も重ねられ、また臨時教育審議会においても議論がありました。
 そういうことも前提にした上で、政府の中において行政改革ということももちろんあったわけでございますが、明快にそこは平成十一年の四月、閣議決定、これは有馬先生が文部大臣のころであられたと思いますが、そこにおいて、私は、極めて政府としては見識ある決断をしたというふうに考えているわけでございます。つまりそれは、国立大学の独立行政法人化の問題を単なる行革の観点ではなくて、大学の自主性、自律性を尊重しつつ大学改革の一環として検討するという方針が確認されたわけでございます。
 これを一つの新たな出発点として、それから様々な大学人あるいは有識者、国立、公立、私立の関係者も含めて真剣な議論が闘わされたわけでございます。その検討の結果が平成十四年三月に報告書として出たわけでございまして、今回の法律案といいますものは、公務員型、非公務員型のどちらがいいか、そのことの最終的な大変な議論があったということももちろん含まれた上で、そういう全体としての検討会議の報告というものにほとんど乗っかって法案を作らせていただいているわけでございます。
 私どもとしましては、大学人の真剣な検討が十分に行われて、その中にはそれぞれの大学においての学内の議論もあったでございましょうし、そういった大学人の真剣なる検討の上に立ってこそ今回の法案としてお願いをしているというふうに考えているところでございます。その意味におきまして、これからの日本、特に国立大学の使命というものは、日本の知の最先端を行ってほしい。また、人材養成におきましても世界に冠たる成果を上げてもらいたい。そうした思いを込めて今回の法案の準備をしてまいったところでございます。
 今後、そういう高い理想が実現されますように、是非とも西岡先生の高い御見識をもって、私どものそうした理念、恐らく理念においては共通するものが多々あるというふうに思うわけでございまして、そうしたことの実現に向けてしっかりと歩みを始めさせていただきたいと思うところでございます。
○西岡武夫君 私はそんなことをお尋ねしているんじゃないんですよ。一般職の皆さん方に説明をされたのかと、意見を聴かれたのかと。どうなんですか。一言、もう時間ないんですから。大臣にお聞きしているんです、委員長、大臣に。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 非公務員型にという方向が出ました調査検討会議の最終報告等につきましては、国立大学の学長会議等でその非公務員型の件も含め御説明をしたところでございまして、それぞれの大学におきましてまた学長が説明をしているというふうに私どもは理解しておるわけでございます。
○西岡武夫君 それでは、文部科学省としては、大学の一般職の皆さん方には、こんな大きな、国家公務員でなくなっちゃうという身分の大変な変更、私は法的根拠がなくてこんなことができると思わないんですけれども、それを全然お話しになっていないんですね、直接。学長にお話しになっただけなんですね。いや、もういろいろお話しにならないで、あと三分しか、二、三分しかありませんから。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 学長のみならず事務局長あるいはいろんな部長の会議、その他あらゆる国立大学の関係者の会議におきまして御説明をし、意見も聴いておるところでございます。
○西岡武夫君 職員組合に対して説明をされ、意見を聴取されましたか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 職員組合にも説明をしております。職員団体に、職員団体に対してでございます。
○西岡武夫君 私のところにたくさんのメール等々意見が来ておりますけれども、職員団体の皆さん方が全然聞いていないとおっしゃっているんです。どういうことですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 職員団体の代表者が文部科学省に来た際に御説明をしたということでございます。
○西岡武夫君 その代表者は賛意を表されたんですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 御説明をしたということでございます。
○西岡武夫君 少なくとも私の経験では、これだけのことをやる場合に、もっときめ細かく丁寧に関係の皆さん方に周知徹底をし、賛同を得ていくという努力が必要だと思います。
 これはもう時間もあと一分になりましたから、私の持ち時間あと一分でございますから、最後に一つだけ申し上げておきたいことがございます。
 これは、次の委員会開いていただければ更に続けますけれども、今回の独立行政法人化の問題と国立大学と違うところというのは、午前中の質疑でも何回も話が出ておりましたように、今回の法律の第三条で国立大学については他の独立行政法人とは違うんだということをしきりにおっしゃっておりますけれども、この三条だけがそのよりどころなんですか、大臣。
○国務大臣(遠山敦子君) 三条は最も基本的な、国立大学の特性というものを配慮すべしということでございますけれども、それは様々な点が他の独立行政法人と違うわけでございます。
 一番分かりやすいのが中期目標、中期計画の立て方でございますけれども、中期目標については、他の独立行政法人につきましてはそれぞれ所管大臣が決定をするというわけでございますけれども、国立大学法人につきましては大学の意見を事前に聴く、そして大学のその特性に十分配慮する等の義務が法律上明確に書かれているところでございますし、また学長の選任の在り方につきましても、他の独立行政法人とは全く違う手法を明確に法律の中に盛り込んでいるところでございます。会計上の問題もそうでございますし、様々な点で正に大学の自主性、自律性というものが現在よりより一層保たれるようにという配慮で、様々な点での、法律上もその制度の違いといいますものを明確にしているところでございます。
 特に評価の点につきましても、国立大学法人評価委員会というのを別途設けて、これは正に国立大学の特性というものに配慮して他の独立行政法人とは全く違う組織というものを作ります。しかも、そこにおける評価におきまして、教育研究活動という言わば大学の本命、その部分については外の機関でございます大学評価・学位授与機構が担当をするということが明確になっているわけでございます。
 その他、様々な点において他の独立行政法人とは違う、正に大学の特性というものを十分に配慮をして制度設計をした形で今回法案をお願いし、国立大学法人として力強くその自主性、自律性を発揮してもらうようにということで法案を提出させていただいているところでございます。
 私といたしましては、この法案、成立させていただきまして、日本の国立大学が本当に力強く本来あるべき使命というものを全うしてもらいたい、そのような気持ちで一杯でいるところでございます。
○西岡武夫君 時間が参りましたから終わりますが、委員長にお願いを申し上げます。
 これだけ先ほど来申し上げたように大変重要な、日本の将来にとって場合によっては大変悪い影響も与えかねない、そういう法案について、もっと私は逐条審議もお願いしたのでございますけれども、それは、意見は入れられませんでしたけれども、こういう形で法案が仮に今日採決されようとするのであれば、極めて大きな禍根を残すであろうということを申し上げて、私の質問を終わります。
    ─────────────
○委員長(大野つや子君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、扇千景君が委員を辞任され、その補欠として森元恒雄君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(大野つや子君) 他に御発言もないようですから、六案に対する質疑は終局したものと認めます。
 国立大学法人法案の修正について佐藤泰介君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。佐藤泰介君。
○佐藤泰介君 国立大学法人法案に対する修正案の提案理由説明。
 私は、民主党・新緑風会を代表して、国立大学法人法案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりであります。
 まず、修正案提出の理由について御説明申し上げます。
 本法律案は、国立大学について、教育研究の特性への配慮などを国に義務付けることにより、独立行政法人とは異なる国立大学法人として法人化するものであり、これにより「自律的な環境の下で国立大学をより活性化し、優れた教育や特色ある研究に積極的に取り組む、より個性豊かな魅力ある国立大学を実現することをねらいとする」といたしております。
 しかし、これまでの審議を通じ、文部科学省を始め、総務省や財務省による広範な関与を可能とする独立行政法人のスキームを根幹部分においてそのまま適用しているため、国立大学法人に対する国の関与はこれまで以上に強くなる可能性が大きいこと、法人内部において教育研究組織や教育研究に携わる職員の意見に対して十分に配慮する制度となっていないことなど、本法律案が教育研究を使命とする大学の本質を踏まえたものではないことが明らかになってまいりました。
 質疑におきましては、運用において十分な配慮を行う旨の答弁も繰り返されましたが、本案は帝国大学の誕生、新制大学の創設以来の大改革であり、制度の内容については法律に明記し、将来にわたって懸念を払拭するものでなければならないものと考えます。
 また、審議を通して、各国立大学においては、文部科学省から示された文書に従って中期目標、中期計画の作成が進められてきていることが明らかになりました。このことは、国立大学法人が自ら主体的に決めるべき中期目標、中期計画について既に文部科学省が強くかかわっていることを示すものであり、国立大学法人の在り方に大きな影を落とすものであります。
 大学は、学問の自由、大学の自治の上に自律的に運営されてこそ教育研究を発展向上させることができるのであり、知の世紀と言われる二十一世紀に、各国立大学法人が自らの主体的努力によって発展することができる制度とするため、本修正案を提出した次第であります。
 次に、修正案の主な内容について御説明申し上げます。
 まず第一に、法律の目的についてであります。
 「学術研究の水準の向上と均衡ある発展を図るため」を「学術研究の水準の向上と自立的な発展を図るため」に改めるものとしております。
 第二に、国立大学法人評価委員会についてであります。
 評価委員会は、評価を適確に実施できる法人又は学識経験者に必要な調査を委託することができることとするとともに、評価委員会の委員は学識経験者のうちから文部科学大臣が任命することといたしております。また、評価に際して国立大学法人に意見の申立ての機会を付与することを義務付けております。
 第三に、役員についてであります。
 個別に定められている理事数を廃止し、各国立大学法人は十名以内の範囲で理事数を定めることができることといたしております。
 また、学長選考会議について、経営協議会側委員と教育研究評議会側委員を同数とする要件を廃止するとともに、学長は学長選考会議に参加できないものとし、あわせて、学長の選考は教育研究に従事する者の推薦を受けた者の中から行うこととしております。
 また、文部科学大臣による監事の任命に当たっては、教育研究上の重要な組織の長の意見を聴かなければならないものといたしております。
 第四に、経営協議会及び教育研究評議会についてであります。
 経営協議会の委員の構成について、学外委員を二分の一以上とする要件を廃止するとともに、教育研究評議会の審議事項に、予算の作成及び執行並びに決算に関する事項、重要な組織の設置又は廃止に関する事項を追加することといたしております。
 第五に、業務の範囲等についてであります。
 国立大学法人は、その業務に関する事業を行う者に出資できることとするとともに、授業料等に関しては、文部科学省令で定めるところにより、国立大学法人が定めるものといたしております。
 第六に、中期目標及び中期計画等についてであります。
 中期目標、中期計画は国立大学法人が作成し文部科学大臣に届け出ることとし、これに伴い文部科学大臣と財務大臣との協議に関する規定は廃止いたします。
 第七に、総務省に置かれる政策評価・独立行政法人評価委員会の評価等に関する規定の適用除外についてであります。
 政策評価・独立行政法人評価委員会が行うこととされる国立大学法人評価委員会による国立大学法人の評価結果に対する評価及びこれに関する意見陳述並びに中期目標期間終了時における国立大学法人の事務事業の改廃に関する文部科学大臣への勧告に関する規定は、国立大学法人には適用しないことといたしております。
 その他、国立大学法人評価委員会の議事録の公表など情報公開の充実、第三者評価の多元性確保のための資金の確保等について規定いたしているところです。
 また、大学共同利用機関法人に関しても、国立大学法人と同様の修正を行うことといたしております。
 以上が、修正案提出の理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(大野つや子君) ただいまの修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。
○林紀子君 日本共産党の林紀子です。
 修正案に対してたくさん質問したいところはありますが、二点だけ質問させていただきたいと思います。
 まず、中期目標、中期計画は、修正案では国立大学法人が作成し、届け出るとしております。我が党も、教育研究に文部科学省の介入を許さないためには届出が当然だと思い、この点は評価をいたします。
 ところが、本委員会の質疑の中で、文部科学省は、国民の税金をこの国立大学法人に投入するのだから文部省のかかわりが必要だということで、この中期目標、中期計画を文部科学大臣が定め、認可するのだと言い続けてまいりました。この点についてどのようにお考えになりますか。
○佐藤泰介君 そもそも税金の投入の多少は、予算査定、審議の過程で政策上の必要に基づき内閣、国会において判断されるべき事項であり、行政府が策定する目標、計画の存否とは法律上全く関係ないものであると考えております。
 修正案で中期目標、中期計画を届け出ることとしている理由は、大学が作成した目標、計画を広く世の中に周知せしめることを目的としたものであります。広く大学の作成した目標や計画が世の中に明らかにされることによって、大学に対する税金投入の意義、必要性についての世論の理解も深まり、結果として政府における予算査定、国会における予算審議上、予算獲得に大いにプラスの効果を有するものと判断しています。
 ちなみに、政府案では二段階にわたって予算が削減される結果になるのではないかと、このように思います。すなわち、まず目標策定、計画認可の段階で予算縮減のための事業抑制の意見が財務省から提出され、目標及び計画上の予算規模が削られます。さらに、毎年度の予算要求は、抑制された計画で定められた枠内でなされることが義務付けられる。さらに、その要求額がカットされた額が最終的な予算額となる。よって、政府案は税金投入が縮減される制度となっている、このように私どもは考えております。
 したがって、届出制と先ほど言われたような形と予算を作っていく過程は、大体今までの例で言えば予算査定、審議、内閣や国会で決められていくという、そういう過程の中ですので、もっともっと予算額を増やさなければいけないということには、大学がもっとこれだけの計画を立てて、こうしてこういう大学にしたいということで大学が自主的に届出をして、これだけの予算をと。そうすると、国民がどう判断して後押しができるかということで届出制といたしました。
○林紀子君 今、その税金投入ということがありまして、答弁者も今日の午前中は質疑の中で財政措置の削減ということになるのではないかと大変心配をして質問をなさっていたと思います。私もその答弁をお聞きしておりましたけれども、その答弁では、移行前の予算を上回るというふうには到底思えなかったわけです。
 そして、政府案は国立大学法人の設置者を国ではなくて国立大学法人としているわけですね。ここに国の財政責任を後退させる根本があるのではないかと我が党は考えております。修正案はここには手を触れていないわけですけれども、この点はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
○佐藤泰介君 設置者が国であることによって必ずしも実質的な財政責任が果たされるわけではないことは過去の歴史が証明している。例えば、国立大学の授業料が財政当局の一方的な意向により引き下げられ続けてきた、逆ですね、失礼しました、引き上げ続けられてきた、そうしてほしいものですぐ本音が出ますが、引き上げられ続けてきた歴史を見ても明らかであります。
 現行制度の下では、それぞれの国立大学が実際にどの程度の予算を真に必要としているかについて知ることは国会ですら不可能であり、文部科学省、財務省が何らの社会的監視なく密室に近い形で一方的に予算査定されているのが現状ではないでしょうか。
 民主党案が成立すれば、それぞれの国立大学法人がその目標を実現するためにどの程度の予算を真に必要とし、それがいかに社会のために活用されるかが国会始め広く社会全般に知るところとなり、国立大学法人が要求する予算の必要性についての国民的な理解が高まることが予想される。予算編成過程においてこうした世論の意向がより強く反映される結果として、国立大学の予算獲得が行いやすくなり、大学への税金投入は改善され、受益する教育サービスに対する実質的な負担も改善されていく。
 このようなことで、更に民主党案が成立すれば受益者に対するサービスが向上していく、そんなねらいで修正案を提出いたしました。
○林紀子君 大学関係者もそれから国大協も、一番最後まで設置者を是非国にということを言い続けていたということも聞いております。私たちも、やはり国が設置者というところで本当に国の財政、予算というのをきちんと配分される、きちんと付けられる。今まで言っておりましたように、高等教育予算、世界の先進国と比較しても半分に満たない、参考人も、それから与党の皆さんも質問の中でこういうことをおっしゃっておりましたけれども、これはやはり国が財政の責任を負う、国が設置者であるというところが私たちは重要だと考えている。そこがこの民主党案と私たちの違いだと思いますが、御説明が分かりました。
 ありがとうございました。終わります。
○委員長(大野つや子君) 他に御発言もないようですから、これより六案並びに修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○山根隆治君 私は、民主党・新緑風会を代表いたしまして、内閣提出の国立大学法人法案に反対し、民主党修正案に賛成する立場から討論を行うものであります。
 本法案は、自律的な環境の下で国立大学を活性化し、個性豊かな大学を育てるというその提案趣旨とは裏腹に、国立大学に対してこれまで以上に国の関与を深め、高等教育の将来を危うくする欠陥法案であると言わざるを得ません。
 我々民主党は、国立大学を国の組織から切り離して各々に法人格を与えるという改革の基本スキームそのものを否定するものではありません。むしろ、改革の必要性を大いに認める立場であるからこそ、政府案には多くの問題点が含まれていることを指摘し、改革を真に実のあるものとすべく修正案を提出したのであります。
 以下、政府案の問題点について改めて指摘をさせていただきます。
 まず、各国立大学法人が六年間において達成すべき中期目標について、政府案では文部科学大臣が定め、これを当該国立大学法人に示すとしております。国の組織から切り離して各大学の自主的、自立的な発展を期待することにこそ改革の主眼があったはずであり、大学運営の正に骨格となるこの中期目標について、文部科学大臣が、しかも財務大臣と事前協議の上でこれを定めるなどとしたことは言語道断であります。あわせて、中期目標において定める事項として教育研究の質の向上に関する事項が掲げられており、これは教育研究の中身に国が関与することを意味し、学問の自由、大学の自治の観点からも断固容認することはできません。
 各大学が中期目標に照らしてどれだけ成果を上げることができるかを測る評価の在り方にも重大な問題があります。政府案では、各国立大学は文部科学省に設置される国立大学法人評価委員会の評価を受けるものとされておりますが、この極めて困難な作業であるはずの評価について、その妥当性、透明性等には多くの疑問が残されております。さらに、その評価が運営交付金の多寡にどう影響するかが極めてあいまいなままであることが露呈するに至っては、多くの大学関係者に不安と懸念、失望をもたらしたものであります。
 政府案には総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の関与も示されておりますが、その関与の在り方について政府側の答弁が二転三転し、委員会を混乱せしめ、法案提出が政府の拙速だったことを明かしていたと指摘しなければなりません。
 また、法案が未成立であるにもかかわらず、本委員会審議を通じ、文科省が各大学に対して事細かな法人化への準備をさせていることも明らかになり、文科省の国会軽視ぶりが党派を超えて指摘されたところであります。権限の有無にかかわらず、大学に対して細大漏らさず関与しようとする文科省の姿勢の背景には一体何があるのでありましょうか。いわゆる文科省からの天下り問題についての懸念も何ら払拭されていないのであります。
 我々は、このように多くの問題を抱える本法案をこのまま成立させれば、新しい時代に対応した我が国の骨格作りの第一歩である教育の礎を築くという責任を果たすことはできません。万感の思いを込めて内閣提出の本法案に反対の意を表明して、私の討論を終わります。
○橋本聖子君 私は、自由民主党・保守新党及び公明党の三党を代表しまして、国立大学法人法律案につきまして、原案に賛成、民主党提出の修正案に反対の討論を行います。
 二十一世紀において、国際社会に貢献し、また競争に生き残っていくためには、豊かな人間性を持ち、創造性にあふれた優秀な人材を育て、知的資源とも言える科学技術の研究開発に取り組まなければなりません。
 これらの日本を支える人材を育成し、あらゆる分野の学術研究、そして最近では生涯学習の拠点として期待されているのが大学であります。特に、国立大学は日本の未来に対し極めて大きい役割と責任を担っています。その改革なくして二十一世紀の我が国の発展はあり得ないと言っても過言ではなく、大学改革に対する国民の期待は高まっていると確信しております。
 このように考えますと、政府提出案は、設置形態を改める法人化により、抜本的な改革を図り、国立大学本来の機能を充実しようとするものであります。
 一方、民主党の修正案につきましては、大学運営の基本的方針である中期目標等について国の関与を否定し、経営協議会の半数以上は学外有識者で組織する旨の規定削除などを主な内容とするものであります。
 まず、法人化で文部科学省の介入が強まるとの危惧があるようですが、六年間にわたる中期目標は、大学自治の観点から大学の意見を聴取し、その意思を尊重した上で文部科学大臣が定め、中期計画を認可する仕組みとなっております。こうした文部科学省の関与は、国立大学法人の運営が国民の税金に依存しているということから、必要最小限の関与と考えます。
 また、中期目標、中期計画の決定については、その過程の公表等を通じて透明性が確保されることとなっております。公費投入の適正性を担保するためには公正かつ客観的な第三者による評価システムを確立することが必要であり、諸外国でも同様の努力が行われているところであります。
 以上のことから、我が国は、人材大国、科学技術創造立国を目指すためには、大学改革を実現することが必要不可欠であり、政府提出案に賛成し、民主党の提出の修正案については反対を表明いたします。
○林紀子君 私は、日本共産党を代表して、国立大学法人法案等関連六法案に反対の討論を行います。
 以下、反対する理由を具体的に述べます。
 反対する第一の理由は、学問の自由、大学の自治を踏みにじるものだからです。本来、各大学が自主的に定めるべき大学の目標を文部科学大臣が定めるなど大学の自主性、自律性を損ない、学問研究の内容にまで詳細に国が関与する仕組みにより、学問の自由が侵害され、基礎研究が危機にさらされることは明らかです。しかも、文部省に置かれる評価委員会と総務省に置かれる評価委員会の評価によって中期目標・計画の達成度が毎年評価をされ、その結果が予算配分に直結するだけでなく、文部科学大臣が中期目標期間終了時には廃止を含めた所要の措置を講ずるなど大学の生殺与奪を文部科学省が握ることになり、我が国の学問と研究がゆがめられ、知の発展基盤を損なうことになります。
 第二の理由は、学校教育法上の設置者を国から法人に転嫁することで財政責任を後退させるからです。授業料は現在でも世界一と言われる高負担となっています。法人化で現在の額を標準にして法人ごとに決めるというものでは、学費の更なる値上げは避けられません。
 第三の理由は、学内構成員の大学運営への参加を極めて限定的なものにする一方で、大学運営の中心に学外者の登用を義務付け、学長のみが教学、経営両面を一手に主宰することで大学の自治を形骸化させるからです。学外者には文部科学省関係者も対象とされており、これでは高級官僚の天下り先を提供することにしかなりません。
 法案審議の中で政府・文部科学省の国会を無視したやり方は余りにも異常でした。来年四月一日の国立学校法人化移行を前提に法案の国会提出前から、大学の中期目標・計画の作成作業を始め、新たな会計システム導入、就業規則の作成など法人化への準備作業を始めていることが明らかになりました。政府・文部科学省のこれらの行為は、国会審議を法案を追認させる場としてしか考えていない姿勢の現れであり、国会を冒涜し、国会軽視も甚だしいことを厳しく指摘しておきます。
 また、法人化に伴って、国立大学は労働安全衛生法の適用となります。文部科学省がまとめた対策は大学の深刻な実態を反映していないもので、基準を満たすために一体どのくらいの経費と時間が掛かるのかは何ら明らかにされていません。このままでは教職員、学生、院生の安全と健康を守ることができず、大学に違法状態をもたらすことは明瞭です。
 また、大学評価の在り方、財務問題、国立学校特別会計の債務の問題、大学運営を支える定員外職員の雇用、公立学校教員の給与問題など、ほかの法案にも余りにも多くの問題があると言わなければなりません。
 民主党提案の修正案は、中期目標の作成主体を文部科学大臣から大学に変更するなど、大学の自主性、自律性を尊重したものもありますが、国による大学の設置責任、財政責任の法人への転嫁、教職員の非公務員化など政府案が抱えている問題点が抜本的に解決されておらず、残念ながら賛成することはできません。
 この法案には大学人の合意はありません。今、法案の徹底審議と廃案を求める声は大学関係者だけでなく、国民の間に日増しに強まっています。
 この法案は憲法が保障する学問の自由と大学の自治を真っ向から踏みにじる憲法違反の法律であることを強く主張し、反対討論といたします。
○委員長(大野つや子君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより国立大学法人法案の採決に入ります。
 まず、佐藤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大野つや子君) 少数と認めます。よって、佐藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に、原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大野つや子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、独立行政法人国立高等専門学校機構法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大野つや子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大野つや子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、独立行政法人国立大学財務・経営センター法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大野つや子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、独立行政法人メディア教育開発センター法案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大野つや子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大野つや子君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、佐藤泰介君から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤泰介君。
○佐藤泰介君 私は、ただいま可決されました国立大学法人法案等六法案に対し、自由民主党・保守新党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    国立大学法人法案、独立行政法人国立高等専門学校機構法案、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案、独立行政法人国立大学財務・経営センター法案、独立行政法人メディア教育開発センター法案及び国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、国立大学等の法人化が、我が国の高等教育の在り方に与える影響の大きさにかんがみ、本法の施行に当たっては、次の事項について特段の配慮をすべきである。
 一、国立大学の法人化に当たっては、憲法で保障されている学問の自由や大学の自治の理念を踏まえ、国立大学の教育研究の特性に十分配慮するとともに、その活性化が図られるよう、自主的・自律的な運営を確保すること。
 二、国立大学法人の運営に当たっては、学長、役員会、経営協議会、教育研究評議会等がそれぞれの役割・機能を十分に果たすとともに、全学的な検討事項については、各組織での議論を踏まえた合意形成に努めること。また、教授会の役割の重要性に十分配慮すること。
 三、役員等については、大学の教育研究や運営に高い識見を有し、当該大学の発展に貢献し得る者を選任するとともに、選任理由等を公表すること。また、政府や他法人からの役員の選任については、その必要性を十分に勘案し、大学の自主性・自律性を阻害すると批判されることのないよう、節度を持って対応すること。監事の任命に当たっては、大学の意向を反映するように配慮すること。
 四、学長選考会議の構成については、公正性・透明性を確保し、特に現学長が委員になることについては、制度の趣旨に照らし、厳格に運用すること。
 五、中期目標の実際上の作成主体が法人であることにかんがみ、文部科学大臣は、個々の教員の教育研究活動には言及しないこと。文部科学大臣が中期目標・中期計画の原案を変更した場合の理由及び国立大学法人評価委員会の意見の公表等を通じて、決定過程の透明性の確保を図るとともに、原案の変更は、財政上の理由など真にやむを得ない場合に限ること。
 六、法人に求める中期目標・中期計画に係る参考資料等については、極力、簡素化を図ること。また、評価に係る業務が教職員の過度の負担とならないよう、特段の措置を講ずること。
 七、国立大学の評価に当たっては、基礎的な学問分野の継承発展や国立大学が地域の教育、文化、産業等の基盤を支えている役割にも十分配慮すること。また、評価結果が確定する前の大学からの意見申立ての機会の付与について法令上明記し、評価の信頼性の向上に努めること。
 八、国立大学法人法による評価制度及び評価結果と資源配分の関係については、同法第三条の趣旨を踏まえ慎重な運用に努めるとともに、継続的に見直しを行うこと。
 九、国立大学法人評価委員会の委員は大学の教育研究や運営について高い識見を有する者から選任すること。評価委員会の委員の氏名や経歴の外、会議の議事録を公表するとともに、会議を公開するなどにより公正性・透明性を確保すること。
 十、独立行政法人通則法を準用するに当たっては、総務省、財務省、文部科学省及び国立大学法人の関係において、大学の教育研究機関としての本質が損なわれることのないよう、国立大学法人と独立行政法人の違いに十分留意すること。
 十一、独立行政法人通則法第三十五条の準用による政策評価・独立行政法人評価委員会からの国立大学法人等の主要な事務・事業の改廃勧告については、国立大学法人法第三条の趣旨を十分に踏まえ、各大学の大学本体や学部等の具体的な組織の改廃、個々の教育研究活動については言及しないこと。また、必要な資料の提出等の依頼は、直接大学に対して行わず、文部科学大臣に対して行うこと。
 十二、運営費交付金等の算定に当たっては、算定基準及び算定根拠を明確にした上で公表し、公正性・透明性を確保するとともに、各法人の規模等その特性を考慮した適切な算定方法となるよう工夫すること。また、法人化前の公費投入額を踏まえ、従来以上に各国立大学における教育研究が確実に実施されるに必要な所要額を確保するよう努めること。
 十三、学生納付金については、経済状況によって学生の進学機会を奪うこととならないよう、将来にわたって適正な金額、水準を維持するとともに、授業料等減免制度の充実、独自の奨学金の創設等、法人による学生支援の取組についても積極的に推奨、支援すること。
 十四、国立大学附置研究所については、大学の基本的組織の一つであり、学術研究の中核的拠点としての役割を果たしていることにかんがみ、短期的な評価を厳に戒めるとともに、財政支出の充実に努めること。全国共同利用の附置研究所についてもその特性を生かすこと。また、各研究組織の設置・改廃や全国共同利用化を検討するに当たっては、各分野の特性や研究手法の違いを十分尊重し、慎重に対応すること。
 十五、法人化に伴う労働関係法規等への対応については、法人の成立時に違法状態の生ずることのないよう、財政面その他必要な措置を講ずること。また、法人への移行後、新たに必要とされる雇用保険等の経費については、運営費交付金等により確実に措置すること。
 十六、国立大学法人への移行について、文部科学省は、進捗状況、課題などを明らかにし、当委員会に報告を行うこと。
 十七、学校教育法に規定する認証評価制度の発展を通じ、国立大学等が多様な評価機関の評価を受けられる環境を整備し、ひいては我が国における大学評価全体の信頼性の向上を図るため、認証評価が円滑に行われるよう必要な資金の確保、その他必要な援助に努めること。
 十八、国立高等専門学校については、各学校の自主性・自律性を尊重し、教育研究の個性化、活性化、高度化が一層進むよう配慮すること。
 十九、国は、高等教育の果たす役割の重要性にかんがみ、国公私立全体を通じた高等教育に対する財政支出の充実に努めること。また、高等教育及び学術研究の水準の向上と自立的な発展を図る立場から、地方の大学の整備・充実に努めること。
 二十、職員の身分が非公務員とされることによる勤務条件等の整備については、教育研究の特性に配意し、適切に行われるよう努めること。また、大学の教員等の任期に関する法律の運用に当たっては、選択的限定的任期制という法の趣旨を踏まえ、教育研究の進展に資するよう配慮するとともに、教員等の身分保障に十分留意すること。
 二十一、法人への移行に際しては、「良好な労働関係」という観点から、関係職員団体等と十分協議が行われるよう配慮すること。
 二十二、公立の義務教育諸学校の教職員の処遇については、学校教育の水準の維持向上のための義務教育諸学校の教育職員の人材確保に関する特別措置法を今後とも堅持し、国家公務員に準拠する規定が外されることにより同法の趣旨が損なわれることがないよう、十分配慮すること。
 二十三、高等教育のグランドデザインの検討に当たっては、生涯学習社会の形成の観点から、専門学校を含む高等教育全体について、関係府省、地方公共団体等とも連携しつつ、広範な国民的論議を踏まえ行うこと。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○委員長(大野つや子君) ただいま佐藤君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(大野つや子君) 多数と認めます。よって、佐藤君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、遠山文部科学大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。遠山文部科学大臣。
○国務大臣(遠山敦子君) ただいまの御決議につきましては、その御趣旨に十分留意をいたしまして対処してまいりたいと存じます。
○委員長(大野つや子君) なお、六案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大野つや子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十五分散会