第156回国会 文教科学委員会 第21号
平成十五年七月一日(火曜日)
午前十時開会
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委員の異動
六月二十六日
辞任 補欠選任
櫻井 充君 江本 孟紀君
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出席者は左のとおり。
委員長 大野つや子君
理 事
仲道 俊哉君
橋本 聖子君
佐藤 泰介君
山本 香苗君
林 紀子君
委 員
有馬 朗人君
有村 治子君
大仁田 厚君
北岡 秀二君
後藤 博子君
中曽根弘文君
岩本 司君
江本 孟紀君
神本美恵子君
山根 隆治君
草川 昭三君
畑野 君枝君
西岡 武夫君
山本 正和君
国務大臣
文部科学大臣 遠山 敦子君
副大臣
文部科学副大臣 河村 建夫君
事務局側
常任委員会専門
員 巻端 俊兒君
政府参考人
総務大臣官房審
議官 福井 良次君
総務省行政評価
局長 田村 政志君
財務省主計局次
長 杉本 和行君
文部科学大臣官
房総括審議官 玉井日出夫君
文部科学省初等
中等教育局長 矢野 重典君
文部科学省高等
教育局長 遠藤純一郎君
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本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○国立大学法人法案(内閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人国立高等専門学校機構法案(内閣
提出、衆議院送付)
○独立行政法人大学評価・学位授与機構法案(内
閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人国立大学財務・経営センター法案
(内閣提出、衆議院送付)
○独立行政法人メディア教育開発センター法案(
内閣提出、衆議院送付)
○国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備
等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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○委員長(大野つや子君) ただいまから文教科学委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
去る六月二十六日、櫻井充君が委員を辞任され、その補欠として江本孟紀君が選任されました。
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○委員長(大野つや子君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
国立大学法人法案、独立行政法人国立高等専門学校機構法案、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案、独立行政法人国立大学財務・経営センター法案、独立行政法人メディア教育開発センター法案及び国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に総務大臣官房審議官福井良次君、総務省行政評価局長田村政志君、財務省主計局次長杉本和行君、文部科学大臣官房総括審議官玉井日出夫君、文部科学省初等中等教育局長矢野重典君及び文部科学省高等教育局長遠藤純一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(大野つや子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
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○委員長(大野つや子君) 国立大学法人法案、独立行政法人国立高等専門学校機構法案、独立行政法人大学評価・学位授与機構法案、独立行政法人国立大学財務・経営センター法案、独立行政法人メディア教育開発センター法案及び国立大学法人法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の六案を一括して議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○佐藤泰介君 おはようございます。民主党の佐藤泰介でございます。
大臣、副大臣、御苦労さんでございます。幾つか、今日は九十分質問をさせていただきますので、よろしくお願いします。
これまで国立大学法人法案については多くの議論がされ、様々な問題点が指摘されてきたと思います。その都度、恐縮な言い方ですけれども、度重なる答弁の誤り、削除、そして遺憾の表明、おわび等々、審議の中でこれだけ大臣、副大臣、そして政府参考人の答弁が揺れ動いたのは私の経験からは初めてである。その原因は、法案は法案として、運用はこのようにやるから心配ない、真意を酌んでもらいたいという大臣答弁、また参考人からの運用次第だとの相次ぐ発言、正にこれらの発言に象徴されるように、この法案は制度設計そのものに無理があると言わざるを得ない。
また、初回の鈴木委員の質問に対する、委員会の議論というのは次々に積み重ねていって中身のある議論にしていくことが望ましいとの答弁。議員はそれぞれの考え方に基づいて質問している。先回の櫻井委員の質問に対して、差し替えてぽっと来て云々という、議員の最も尊重されなければならない質問権まで抑え込むとも思われる大臣発言。この点については、さきの西岡先生に対する、元文部大臣の発言とは思えないという発言とも併せ、削除だけで済む問題ではないと私は思っている。この点について何かコメントがあればいただきたいが、まずは、大臣に猛省を促し、国立大学法人法案について伺う。
政府の長い議論の中で民営化か独立行政法人化かという二者択一を迫られたとの同僚の鈴木委員への五月二十九日の委員会における答弁からは、現行の設置形態を大きく変えることを望まない文部科学省に対し厳しい圧力が掛かったためこうした制度設計になったのであり、こうなったのは文部科学省の本意ではないとの見方も成り立つ。では、だれが二者択一を迫ったのか。本法案の実質的な決定権者はだれなのか。独法化、民営化の圧力、国立大学を維持していく上の国の責任、その中で取り組んできた文部科学省の意欲、これらを十分に参酌した上で審議してくれとの答弁もなされている。大臣の心根は心根として理解するとしても、それを担保する法文になっていない現実を我々はどのように考えればよいのか。大臣の意欲を参酌した上で改めて伺う。
また、本法律案は、根幹部分において独立行政法人通則法が運用され、国立大学を独立行政法人化するものであるとの疑念が審議をすればするほど私は深まってきたと思っている。独立行政法人とは異なるとすれば、運用によってではなく、改めて法文に従って明確にしてほしい。
まず、以上四点について大臣に伺わせていただきます。
○国務大臣(遠山敦子君) 一連の私の答弁につきまして御注意をいただきました。委員会審議におきましては国会における審議の重要性を十分認識してまいりたいと存じますので、よろしくお願いをいたします。
御質問の点の民営化か独立行政法人化か二者択一を迫られたという点について、それから独立行政法人とは異なる点というものを明確にするようにということについてお答えをいたしたいと思います。
国立大学につきましては、平成八年に発足しました行政改革会議におきましてまず民営化について議論がなされましたが、平成九年五月の中間整理の段階におきましては、日本は既に極めて大きく私学にゆだねており、更に国立大学を民営化するのは不適切であるとされました。さらに、同会議におきまして独立行政法人化の可能性について検討がなされましたが、同年十二月の最終報告では、独立行政法人化は大学改革の一つの選択肢となり得る可能性を有しているが、大学の自主性を尊重しつつ、研究教育の質的向上を図るという長期的な視野に立った検討を行うべきとされたところでございます。
その後、独立行政法人制度の具体的な制度設計が明らかになりますとともに、平成十一年四月に政府において、これは閣議決定でございますが、国立大学の法人化はあくまで大学改革の一環として検討することが確認された。私は、これは大変重要な政府としての意思決定であろうと思います。
それで、この確認を機に大学改革の視点から法人化の実現を見据えた議論が更に進められたところでございます。その結果、国の財政措置を前提として、国の事務事業を国とは別の法人に実施されるという独立行政法人を活用しながらも、大学につきましては大学の自主性、自律性等に配慮をして大学の活性化、そして教育研究の高度化を図る、その目的のために新しい国立大学法人とすることとしたものでございます。
このために、具体の制度設計におきましても様々な工夫が施されて独立行政法人制度とは異なる仕組みを導入しているわけでございますが、一つは、国立大学の法人の主たる学長の任免といいますものは国立大学法人の申出に基づき行う。他の独立行政法人は大臣が自らの意思で決定するということでございますが、学長については国立大学法人の申出に基づいて行うこと。
それから二番目には、文部科学大臣が中期目標を定めるに際しまして、国立大学法人の意見を事前に聴取をし、それに配慮をするということでございます。これは他の独立行政法人には全く見られないわけでございまして、これはやはり大学というものの存在の重要性にかんがみまして、こうした注意深い配慮規定があるわけでございます。
三つ目には、評価についてでございますが、独立行政法人評価委員会とは別に、国立大学法人評価委員会を置くということになっておりまして、同時に、教育研究という大学の中核的な活動そのものについては、独立行政、失礼いたしました、国立大学法人評価委員会自らではなくて、大学評価・学位授与機構による評価結果を尊重するということになっております。
これらの点で御理解いただけますように、いわゆる独立行政法人制度とは異なる仕組みを導入いたしておりまして、その意味で、法案につきましても、いわゆる通則法の体系とは異なる独自の国立大学法人法とすることとしたものでございます。
運用によっていろんなことを考えるということではなくて、可能な限り法文で手当てすべきではないかという御指摘がございました。
国立大学法人制度は、国立大学を国の枠組みから外して法人化することによって、自律的な環境の下でより活性化して、優れた教育あるいは特色ある研究に積極的に取り組んでもらうということで、個性豊かな魅力ある国立大学を実現することを目的とするというものでございまして、この目的の下に、法案におきましては、法人の業務運営に必要な事項、それから法人に対する国の関与等について、基本的な事項は押さえながらも、機動的、弾力的な制度の運用といった面に配慮をして、必要な規定について整備を行っているわけでございます。
特に、法案第三条におきまして、法律の運用に当たっては、国立大学における教育研究の特性に常に配慮しなければならないと定められているところでございます。その趣旨を十分に踏まえた制度の運用に配慮をいたしますとともに、評価結果の公表など透明性の確保にも留意をして、国立大学における教育研究がその自主性、自律性を生かしつつ、一層活性化していくように十分意を尽くしてまいりたいというふうに考えております。
○佐藤泰介君 復唱はしませんが、独立行政法人とは異なる仕組みである、中期目標を一方的に定めるものではない、評価委員会のことも言われました。それから、三条規定を言われました。本法案の実質的な決定権者は文科省でいいんですよね、この法案の。ですよね。いろんな省庁にかかわってきて、ですけれども決定権者は文科省であるということでいいんですよね、そこのところの答弁がちょっと抜けましたけれども。だとすれば、私は、本法案の提案理由にある自主的な環境の下での国立大学の活性化や、優れた教育や特色のある研究に積極的に取り組む、個性豊かな魅力ある国立大学を育てるということを本当に実現するのだという立場で、責任ある答弁をお願いしたいと思います。
何度も恐縮ですけれども、これからも答弁の誤りなり削除が連発するようでは、私は法案審議に責任が持てない。したがって、重ねて責任ある答弁をお願いしながら、次の質問に移らせていただきますけれども。
これまでの質疑で、法案成立前に、更に言えば、国会への法案提出前に国立大学で準備作業が行われていることが大きな問題点として議論されてきました。そして、それに関連し、現在、国立大学で行われている準備作業について、その実態が様々な形でも明らかにされましたけれども、私の事務所にも多く届けられていますので、ここでごく一般的な一例を改めて紹介をさせていただきます。箇条書的に申し上げます。
大学の現状について、六月中旬には一体予算要求をどうするのか、従来どおりのやり方でいくのか、中期目標、中期計画でいくのか、何の話も文科省から来ないので、果たしてどうなっているのか、不安と不満が増している。
二、中期目標、中期計画を今年の一月から作成準備を進めてきて、やっと全学的な集約ができ、絞り込みに入ろうとしている段階だ。文科省からは六月中には中期目標を、これは法案成立前ですが、提出するように言われてきたが、八月との話になっている。
三、中期目標を文科省に出すときは、当然、精選されたものになるが、学内ではそうはいかない。細やかなものを作っていかないと調整などができない。よって、膨大な資料が集積されてきている。それこそ研究どころではないという状態が続いていることは事実だ。それも、来年四月からは新しい法人化の体制でいくのだとの目標があり、当然、そのための準備が急がれてきたからだ。
四、また、来年度からは企業会計システムを導入することもあり、そのためのソフトの導入なども行っている。監査法人との契約も進んでいる。これらが従来どおりの予算ではどうなるのか、大学の持ち出しなのか、混乱し始めている。図書館などでは蔵書などに関しこれまで膨大な財産目録作りを行ってきた、これもどのようにしていくのか見えない。
五、大学によっては、非公務員型ということで、既に外部から人材を迎えようと当たりを付けているところもある。
六、文科省は、現在、国会もあってばたばたの状況になっている。これまでは、課長補佐、係長などが厳密にやろうということで、教員一人を増やすにもがたがた言ったり、そのままの文章で言っていますので済みませんね、がたがた言ったり、新しいことは他に例がないと言ったり、前例主義で強硬なことがあったが、今は暇がないから大学の方で判断してくれという自由な状況になっている。国会審議が終われば、また厳密にやろうと口を入れてくるのではないか。局長クラスは大学の自由だといつも言っているが、課長補佐、係長クラスの体質が変わらない。
七、就業規則の制定もどうするのか、職員の過半数を代表するとはどのようにやればよいのか、だれも分かっていない。混乱が生じなければと危惧している。
延々と一時間も読んでおってもしようがないのでこの辺でこれはやめますが、私は、これはあくまで一大学の一例ではあるが、多かれ少なかれどの大学でも同じような状況ではないのかと思うし、大学側の率直なこれは声だと思います。大臣、副大臣もそんな意味で受け止めてほしいと思います。
こうした準備作業について、大臣は当初、閣議決定に基づいて行われていると答弁された。しかし、その答弁は削除された。では、法案成立前のみならず、法案の国会提出前から法人が作成すべき中期目標、中期計画が何を根拠に作成準備が進められているのか。
先日の委員会では、櫻井議員の質問に対して大臣は、文部科学省設置法第四条第十五号を根拠として挙げられた。第四条は文部科学省がつかさどる事務が列挙してあり、同号は、「大学及び高等専門学校における教育の振興に関する企画及び立案並びに援助及び助言に関すること。」となっている。もしもこれが準備行為の根拠になるのならば、設置形態を問わず、大学と高専について文部科学省があらゆる行為を強制することが可能となるのではないのか。もしそうならば、我が国の教育機関はすべて文部科学省設置法第四条を根拠にありとあらゆることを強制されても仕方がないということになってしまうのではないか。
前回の委員会においては、「事実行為を行うに当たって特段法律上の規定によらずできるということにつきましては先行する独立行政法人においても同様であるわけでございます。」と大臣は答弁してみえます。つまり前回の答弁は、一方で法律の、法律上の規定によるものではないと言いながら、一方で文部科学省設置法第四条を持ち出しており、意味が通らないまま放置された状態で終わっていると思います。ここをまず明確にすべきである。
文部科学大臣のここのところの、一方では事実行為だと、それをかなり強く前段で答弁されて、後半で設置法を持ち出された。設置法ならば何でもできると、法案があろうがなかろうが設置法っていつもあるものであるわけですから、すべてのことができるということになってしまうと私は思うんですけれども、ここのところの一遍整理をきちっとしていただきたい。
私は、むしろ事実行為として準備を進めているのではないかというふうに思います。根拠を設置法に求めるということは、仮に防衛庁設置法で有事に対して備えるといったら何でもできることになっちゃう。あらゆる省庁が設置法を持っておるわけですから、その設置法に基づいて何でもできるということになるんならば法案審議なんか必要ない。じゃないですか。そう慌てんでください。
ここのところを、今、局長が手を挙げられたけれども、大臣が明確に両方言われたんですから、局長がまずフォローされて、大臣が後で答えていただいてもいいですけれども、河村副大臣でも結構でございますが、責任あるそこのところの整理と、準備作業が何に基づいてできるのか、設置法だとあくまで言われるんなら私は納得できません。よろしく。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 国立大学の準備作業を進めるその根拠ということ、それから文部省設置法四条十五号の規定につきまして御説明をさせていただきます。
国立大学の法人化につきましては、多くの国立大学関係者も参加して取りまとめられました平成十四年三月の調査検討会議の最終報告や、この最終報告に沿って法人化の準備に入るとした同年四月の国大協会長の談話を踏まえまして、法人化を大学改革の大きなステップとすべく、各大学が自主的に準備に取り組んできたものでございます。
なお、各大学におきまして中期目標、中期計画の検討などの事実行為としての準備を機関として行うに当たりましては法律上の特別な根拠規定を要しませんで、当該機関の権限と責任において行うということができるものと理解をしておるわけでございます。
文部省設置法の、そこでそれがどうして出てくるかということについて御説明を申し上げますと、文部科学省の所掌事務に関することにつきましては、法律案を作成をしまして国会に提出し、その法律案を前提に予算案を編成したり、法律案が成立した際に備えて準備を行ったりするということは特段の法律上の根拠がなくても可能であると、運用、慣行が確立しているというふうに理解をしておるわけでございます。
ここで、今説明の最初に言いました文部科学省の所掌事務に関することについてはそういうことでできますと申しましたけれども、この点、法人化の準備作業が文部省の所掌事務の範囲ですと、それがそういう意味での根拠規定でございますということで文部科学省設置法第四条第十五号の規定を前回、大臣の方から挙げさせていただいたということでございまして、この四条第十五号は、先ほど委員御指摘のように、大学及び高等専門学校における教育の振興に関する企画、立案、援助、助言に関することということでございますから、その範囲内での、所掌としての範囲で国立大学の法人化に関する準備が文部科学省の所掌事務であると、そういう意味での根拠規定という意味で申し上げたという整理でございます。
以上、そういうことで説明をさせていただきます。
○国務大臣(遠山敦子君) 今、局長から答弁いたしましたとおりでございまして、文部科学省の所掌事務に関することにつきまして法律案を提出をし、そして成立した際に備えての準備行為、事実行為としての準備を行うということは特段の法律上の根拠がなくても可能であるということを理解の前提としながら、国立大学の法人化に関する事務が文部科学省の所掌事務であるということの根拠規定についてあえて御説明したということでございます。
○佐藤泰介君 整理されたのか、私の頭では整理できませんが、設置法というのは大枠としてあって、いわゆる法案等を提出をするんでしょう。その法案について様々決めていくことはその法案に基づいて行われていくんじゃないんですか。あらゆるものは設置法があるから法案を出してもどんなことでもできていくんだと、その法案の法定手続に従わなくても設置法によってできるんだという答弁なんですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 大変分かりにくい説明を申し上げて恐縮でございますけれども、所掌事務の範囲内で、文部省、所掌事務の範囲内におきまして法律案を作成して、所掌事務についての法律案を作成して、そしてその法律案が成立した際に備えていろんな準備行為を行うということはできるということを申し上げたつもりでございます。
○佐藤泰介君 それは大臣が前半に言われた事実行為に当たって特段法律上の規定によらずともできるということなんじゃないんですか。設置法四条がないとできぬということなんですか。できるんでしょう、事実行為として。なのに、何で四条を持ち出してきたかということを僕聞いているんですよ。おかしいじゃないですか。当たり前でしょう、この法案を出すのは所掌事務ですから、それは設置法に基づいてこの法案が出てくることは当たり前でしょう。しかし、この法案についていろんな準備することは事実行為としてできるんでしょう。四条が根拠でできるんではないんじゃないですか。四条を根拠にしたらすべてのことができるようになっちゃうことになるんじゃないですか。ええ法案を作っても、何を強要しても、四条があるからできるんだと。もっと丁寧に本来なら法案がなってなきゃいかぬのじゃないですか。こういう法案を出した、この準備はこうする、こうするということが、余りにもこの法案は政令や何とか、いろんな規則に委任されておる部分が多過ぎるから分からぬようになっちゃっておるわけですよ。
あくまで四条はこの法案を提出できるという所掌事務の中の一環じゃないですか。それを、この法案について準備ができるということは、四条に基づいてできるんではなくて、事実行為としてできるんじゃないんですか。もう始めなきゃいかぬわけでしょう。そして、その準備が一月から始められておる。あるいは、法案成立前、後にやるのか、その辺は政策判断なのかどうするのか、審議の状況を見てやるのか、それはいろいろパターンはあるんだろうと私は思いますよ。だけれども、一つ、あくまで設置法というのは法案を出す根拠でしょう。その法案を出しておいて、それにまつわることのあらゆることはこの四条の根拠法でできるということは、何をやってもいいということじゃないですか、だったら。さっき言ったように、防衛庁はいろいろとあれはあるわけでしょう、ほかの省庁も。それはまあ国民の権利や義務を侵すことまでは設置法ではできぬにしても、設置法があれば法案なんかどうであったって何でもできると。全部、文教行政に関する所掌は文科省ですもの。そうしたら、文教行政に関することは設置法によって何でもできると。
私の理解がまずいのか。
○副大臣(河村建夫君) 佐藤委員御指摘のとおりだと私も思います。
ただ、この根拠法が出てきたことは、佐藤さんも御存じのとおり、櫻井委員の御質問の中で、あえてといいますか、根拠になる法律があるのかないのかと、こういう準備をするとかなんとかということについて何もなしでやっているのかと言われるから、それは事実行為でやるんだけれども、あえて根拠法を求めていけばここにあるんですという説明を申し上げて、これは最優先でこれだけどんどんやっているんだという意味じゃないけれども、守備範囲の中としてこれが一番の基になっているんですという、それはあくまで、佐藤委員が言われるように、それはあくまで法律を出す行為であるけれども、それを今度は法律をきちっとするためには準備も要りますということに基づいているんだということを説明を申し上げたと思いますので、佐藤委員の御指摘のとおりだと、私もそのように理解をしながら準備をしていると、こう思っております。
○佐藤泰介君 やっぱり、先ほど大学の準備の中で文科省は今ばたばたになっておるという箇所がありましたが、ちょっと整理してやっぱり答弁されないといかぬと思いますね。
この国立大学法人法の準備がこの四条でできるという法的根拠だと言われると、私は納得できない。これはやっぱりあくまでいろんな法案や助言やそういうことをしていくものを出す場合の根拠であって、出した後の法案の準備や作業やそういうものはまたこの四条で何でもできるということは私はちょっとおかしいと思います。まあ、河村副大臣が佐藤さんの理解が正しいというような答弁を今されましたのでそう理解をさせていただきますが、やっぱりその辺はもうちょっと慎重に、後ろお座りの官僚の皆さんも、突如としてあのときは、それはあえてと聞かれたから、後ろからあの分厚いやつをぱっと大臣に出されて、大臣が急にそれを読んだ、それが実態だったでしょう、あのときは、ね。もうちょっと後ろに座っておる人、もうちょっといい資料を大臣、副大臣に出さぬと、またまた止まりますよ。
じゃ、まあこれはこの程度にして、次移りますけれども。
私は、準備作業ができる根拠の一つとして、先行する独立行政法人においても同様であると。この答弁も私はちょっと理解しがたいんですよ。事実行為といって独立行政法人、先行する独立行政法人ができるからこの国立大学法人法案も準備作業ができるということは、この点についてむしろ私は理解できない。もっと理解できないのは、四条を引っ張ってきたからもっと理解できなくなったわけですけれども、これもできない。
なぜできないかというと、独立行政法人の中期目標は主務大臣が一方的に定めることになっているんですよ。したがって、あるんですよ、中期目標は、一方的に定めれば。したがって、それに基づいて準備ができるんですよ。そう理解するのが私は普通だと思いますよ。
しかし、国立大学法人の中期目標は、先ほど独立行政法人ではないと大臣は答えられましたよ、中期目標を一方的に定めるんじゃないと答えられましたよ。じゃ、一方的に定めることになっていないこの国立大学法人の準備作業を、先行する独立行政法人が準備できるからこっちもできるんだということは、要するにこれも独立行政法人だと、枠組みだからできると、そういう答弁なのかもしれませんが、明らかに独立行政法人とは違う。それは中期目標を一方的に定めるんではないんです。他の独立行政法人は中期目標を一方的に定めるんですよ、大臣が。したがって、それに従って準備ができていくんですよ。しかし、この国立大学法人は一方的に定めるものじゃないんですよ。
したがって、私は、事実行為として準備ができるその理由は、先行する独立行政法人が行っているから同様にできるということはこれはおかしい。幾度となく答弁されているように、大学の自律性を尊重するならば、法人の設立以前に国立大学が大臣に出す中期目標の私は原案となる、あえて素案と言いますが、原案となる素案を作る過程においても、本法律案に規定されているように、独立行政法人とは異なる法定手続が尊重されなければならないはずだと。それが独立行政法人と国立大学法人の違いなんですよ。
したがって、準備作業は可能であるとする根拠の一つとして、先行する独立行政法人においても同様であるからこの国立大学法人についても法案提出前から、先ほど大学の現状について申し上げた中で言えば、私のところへ送ってきたものだと今年の一月から準備作業に入っているようですが、私は独立行政法人ならできると思うんです。独立行政法人にできるから国立大学法人にもできるんだと。ということは、結局、国立大学も独立行政法人も同様なんだと。
何を根拠に事実行為として、もう文科省、設置法は要らぬですよ。何を根拠に法人が存在しないのに準備作業が事実行為としてできるのか。独立行政法人と国立大学法人には私は違いがあるのではないかと、こう思うんですが、どうですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 御指摘のように、中期目標、中期計画を策定し、さらにはその準備をするというに際しましては、最大限国立大学の自主性、自律性を尊重しなければならないということは当然のことであるというふうに私どもも思っておるわけでございます。
そこで、その準備行為でございますけれども、先ほど来委員が御指摘のように、事実行為としての準備行為、これは国立大学法人だから、独立行政法人だからという以前の問題として、法律を出して、その法律の成立後に備えて各種の準備行為を事実行為としてやるということは、これは先ほど来議論ありますように、そういうことでできるということに思っておるわけでございますけれども。
そこで、先行の独立行政法人という例を引きましたのは、そういう、ただ単に総論として言っているだけじゃなくて、そういう例としてほかにいろんな例があるわけでございますので、一番、国立大学法人と独立行政法人とはイコールではありませんけれども、それに近いものとして、独立行政法人の場合においても、その準備行為、法律成立前に準備行為としていろんなことができますということにつきまして国会でもそういう議論があったということで、例として、一つの例として、近い一つの例として言わば例示を、事実行為ができるという例示に持ち出させていただいたと、こういうことでございます。
○佐藤泰介君 全く理解できない。
一番の違いは中期目標の作り方でしょう、他の独立法人とこれと違うのは。そのために三条規定もあるんでしょう。そうじゃないですか。それで、答弁の中でもいろいろ今ありましたよ。大学が原案を作って大臣が一方的に押し付けるものではないとか、いろいろ答弁がありましたよ。そこが一番違うんじゃないですか。これが今まで答弁されてきた学問の自由や大学の自律性や自主性を守ることにつながるんだと言われたじゃないですか。そのことと、独立行政法人というのは主務大臣が一方的に中期目標を決めるんですよ。冒頭で大臣も違うと言われたです、それは。なのに、準備作業は独立行政法人と同じようにできるんだと。一番のところは、枠組みが云々ではなくて中期目標のところでしょう。その中期目標の作り方が全く異なっておるところがこの大学法人の独立行政法人とは違うところだと、そう言われたじゃないですか。準備作業にいく場合には、これは独立行政法人がやっておるから国立大学法人もできるんだと。それなら一緒じゃないですか。
○副大臣(河村建夫君) 佐藤委員言われるとおりで、いわゆる一般の独立行政法人と今回の大学法人の違いは正にそこのところにあることは間違いございません。ただ、こういう形で、先行の独立行政法人がああいう形で準備している、それに倣って今回の大学法人もやるんだというような形の答弁、表面上はそういうふうにはなっておりますが、私の理解は、やっぱり法案を出して事実行為として準備を、今の先行の独立行政法人もやっているんだから、やれる部分については事実行為としてやりたいというふうに私は理解をしておりますし、また、さはさりながら、その独立行政法人が持っているいろんな規則、通則法を準用する部分もあるわけですね。例えば、四十九条の会計規程とか、あるいは三十七条の企業会計原則等々は準用するとなっておりますから、あの会計システムの問題等にも入ってくるわけでありますが、こういうものも、やっぱり通則法があるわけでございまして、それに応じて準備をしなきゃいかぬと。
そういう意味で、先行もやっていることを、全部同じようにやるんだということでは決してないわけでありますが、そういう形の例もあるので、それも一つの、見習ってといいますか、先行はやっておるわけでありますから、そうした準備もその例の一つとして例示したと、こういうふうに、それを主眼の主たる理由で取り上げて説明したとは思っておりませんけれども、それもあるしという意味で例示をして御説明を申し上げたと、こういうことでありまして、基本的には、中期目標は十分大学側を尊重し配慮義務を持ってやっていく、この基本線は決して崩しておらないところでございます。
○佐藤泰介君 河村大臣、いつも中間を取って、佐藤さんの言われるとおりだとまず始まりますので、反論がしにくくなる非常にうまい答弁を、今日は局長と大臣と副大臣で連携を取って、河村副大臣が佐藤さんの言うとおりだというふうにまず言って、すすっとこう。まあ、お世話になっている河村さんですから。
じゃ、ちょっと違う観点から行きますよ。
これはやっぱり、事実行為として準備ができるということは、私は一定の準備行為は可能だと思っていますよ。そうでないとできないわけですから。それにいろんな理屈を付けてくるとおかしくなりますよ。独立行政法人でできるんだとか、法人化した大学も前の大学と同一性だとか、職員も大体一緒だとか、そんなことは当たり前のことですよ。全く違うものを作るんじゃないんですから。だからできるんだというような変なへ理屈を付けてくるとますます変なところへ落ち込んでいっておかしな答弁になっていくんですよ。事実行為としてできる範囲はどうかということは、これは議論の分かれるところだとは思いますけれども、それはそれとして議論をするべきことであって、独立行政法人がやっておるからできるとか、これこっちだからできるとか、そういうものを付け加えて答弁されると、じゃ違うんじゃないですかということになるんですよ。もっと自信を持って、事実行為としてできるんですと。それ言っているんでしょう、これ。いや、それはできる、できぬというのは、またこの委員の、委員間によっても違うと思いますし、この与党の皆さん方も違うのかもしれぬし、だけれども、そこへ、独立法人がやっておるからできるとか、今の大学と法人化したものは大体よう似ておる、同一性だと、職員も変わらぬと、そんなことは当たり前だ。国立大学を小学校に変えるわけじゃないんだもんで。
大体同じ、そういう答弁ばっかりして、ばっかりとは言いませんが、そういう答弁が多過ぎるんですよ。じゃないですか、局長。そうすると副大臣が中間を取って、はいはいそのとおりでございまして、しかし局長の言うのはこういうことも言っておるんですという答弁にいつもこれ終始しておるんですよ、これ。
まあ、ちょっと次へ移りますわ。
河村副大臣、いいですよね、私の言っておることで、間違っていないですよね。
じゃ、事実上の問題として、私も一定の準備作業は可能であると、こう思っていますよ、そんないろんな理屈付けぬでも。当然、四月一日に法人化するんだから。そうすると、法律制定前にやれることと法律施行した後にやれることと、そこのところの区分けは、これからいろいろ政策的な問題もあり、はっきりさせていかないかぬわけですよ。それが行き過ぎであるのか行き過ぎでないのかということは議論がありますよ。あえて私は今日はそれはやりませんけれども。一定の準備作業は必要であるんですよ。そうでなかったら回っていきませんよ。私がこれまでの議論を整理して助け船出しておるわけじゃないですよ、これは。余分なそこへ独立法人がひっ付いてきたり、大学も、法人化した大学も同一性を持っておるとか、職員も同じだとか、そういうことで答弁されると、じゃ同じじゃないのということを言いたくなるわけです。
しかし、ここでもう一つ私は問題にしたいのは、この法案で、平成十六年の三月三十一日までは、私は、今申し上げたように独立行政法人の手法で、枠組みの中で準備が進んでいくと思いますね。平成十六年四月一日以降に国立大学法人に衣替えする制度になっている点、なっているんですよ。この法案では、各国立大学法人の中期目標は、大学の意見を聴き、これは先ほど言われました、文部科学大臣が決定することになっているんです。そしてその前に、学内手続として、経営協議会と教育研究評議会の議を経る必要があるんです。また、学長と理事で構成する役員会の議も経なければならないことになっているんですよ。特に役員会には、我々の考え方とは異にしますけれども、学長とともに重大な責任を負う学外者の理事を含むということになっているんです。
しかし、平成十六年三月三十一日までに準備される中期目標の原案となる素案は、あるいは中期計画は今申し上げたような手続が取られないことになるんですよ。平成十六年四月一日以降そのような手続が取られるとしても、今年の一月から準備に掛かってきているこの原案が覆るとは私には思われにくい。とすると、学長が任命する理事は初めから学長色が付いている人が予定されるのではないか。また、学外者の理事は中期目標、中期計画の作成に当たって白紙から参加することにならないのではないか。このことは、平成十六年度から六年間は学外者を含めた合議制の執行機関である役員会の議を経ていない中期目標、中期計画が使われることにはならないのか。
教育研究評議会は、私は、主に学内者で構成されているため、現在の大学に置かれている評議会的な役割を果たすとも言えるとこれは思います。しかし、経営協議会は半数が学外者から構成されることになっている。現在、学外者からのみ構成されている運営諮問会議が置かれていますが、これは学外者の御意見番的な運営諮問会議で、この法案で言う経営協議会とは担うべき責任の度合いが大変大きく違う、異なる。そして、国立大学法人のポイントの一つとされる運営責任を伴った学外者の意見の反映は、現在行われている原案となる素案の作成過程では、今大学が一月から作っている作成過程ではどのように担保されるのか。
移行期といえども、国立大学法人の中期目標策定に当たっては、法案に則した手続を取る必要があるのではないか。だあっと準備してきて、四月一日になったらぱたぱたぱたぱたっと手続取るんですか。今まで準備してきたものがそこで覆ることもあるんですか。それなら、大学関係者の方多く来てみえるけれども、一月から、今年の一月から作ってきた、来年三月三十一日いよいよだと。法人化になった、いろんな学内の手続取ったらその中期目標は覆ったと。何のために今準備しておるんですか。余りにも不親切じゃないですか、この法案は。それはこうするという、何かなけりゃいかぬじゃないですか。三月三十一日までは、私は認めぬけれども、大体独立行政法人の形でいくんですよ、これ。そうでしょう。だから、準備も、準備はと聞いたら、先行する独立行政法人がやっておると、そういう答弁につながるんですよ。しかし、一日たつと法人に衣替えするんですよ。そして、その一日たったらいろんな手続を取らないかぬわけですよ、法人になるために。その手続は三月三十一日以前には何もやれないじゃないですか。
そこのところをどのように整理されてみえます。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 中期目標につきましては、委員御指摘のように、四月一日に法人が成立をしましたらその法人として、今御指摘のように内部の一連の手続を経まして大学、法人において中期目標の原案を作成をし、それを文部科学大臣に提出をするということになるわけでございます。
ただ、四月一日からこれを全部一連のことをやるということになりますと、法人が成立をし、いろんな法人の教育研究等をやっていかなくちゃならないわけでございますから、基本的に、議員御指摘のように四月一日に法人が成立をした後でそういう法律に基づく一連の手続をやるわけでございますけれども、その前に、大学の方では諸準備をしておるわけでございまして、それで諸準備をし、素案という形で大学の方でおまとめになるということになろうかと思います。
素案という、素案につきまして、法人化以前の事実上の行為としまして素案を提出をしていただきまして、この法律、法案で十六年四月一日以前の十五年十月一日に国立大学法人評価委員会、これが施行されることになっておりますので、その提出されました素案につきまして、事前の準備として国立大学法人評価委員会で事前に審議をしていただくということにしておるわけでございます。
御指摘のように、それではその素案が全くそのままの形で原案として四月一日以降出るのかということでございますけれども、これはやはり四月一日以降、正式の手続の過程におきまして素案と原案が若干違ってくるということも当然あるというふうに考えておるわけでございますが、しかしそれも、先ほど来申しておりますように、国立大学としての同一性というものもあるわけでございますので、そういう意味で、素案を事前にそういう形で慎重に準備をし、そして四月一日以降すぐに業務ができますように、それを早い形で原案、そして目標計画、正式の目標計画という形にさせていただくということを考えておるわけでございます。
○佐藤泰介君 河村副大臣、いいですか、それで。これ、一晩でぱたぱたっと判こを押して変わるんですか。
私は、今日は上品にやろうと思っておりましたので原案の素案と言いましたけれども、原案もどきですよ、これ。三月三十一日までのやつは原案もどきですよ。素案と言うと格好いいけれども、まあここまで言うつもりはなかったですけれども、原案もどきで来るんですよ、三月三十一日まで。四月一日になったらころっと変わるんですよ、目標に。できるだけ早いといったら、一日でやるのは、一日でぱっぱっぱっと判を押すんですか。一月から準備を始めてかなり掛かるものを、素案なんですよ、それを四月一日からもう一遍始めたらどうなるんですか、これ。何か月掛かるんですか、そこから。だから、移行のところに何かなけりゃいかぬのですよ、これ、法案の中に。初年度だけはどうするとか、そこが欠けておるんですよ、この法案には。三月三十一日まではもどきでいって四月一日になったら本物になるんですよ、急に。有馬先生、うんうんとうなずいていてくださるから間違っていないようですね。
それはおかしいじゃないですか。それなりのことを、やっぱり国会に提出するなら、この中に書いておいていただかぬと困りますよ。四月一日から正式な手続に入ります。また六か月掛かって準備するんですか、大学は。
だから、出てきた素案は、もうかなり文科省と詰めて、その手続はすっすっすっすっと通るようなものになっておるんでしょう。ということは、最初の六年はきちっとしたものじゃないじゃないですか。実質的には手続は取られるけれども、合議制の執行機関でしっかりもんだ中期目標じゃないじゃないですか。いいですよ、四月以降、六月ぐらいまで掛かって中期目標をもう一遍作るというなら。大学は怒っちゃいますよ、そんなことをやったら。今年の一月から作って、櫻井委員の質問だったら、自殺する人まで出たという忙しい中で、さっき私が読んだやつだと研究どころじゃないと言っておるわけだから。それで、一月になったら新たに始めますと。それで、素案には変更はありませんと、それほどの。変更がなかったら、全く四月一日以降にできる機関にはかからぬということですよ。かかっても、ぱっと通るんですよ。それは。
失礼な言い方だけれども、もどきが一日で本物になるんですよ。素案が急に本物になるんじゃないですか、一日で。そうですね。(「そうそう」と呼ぶ者あり)有馬先生、そうそうと言ってみえるから。おかしいですよ、これ。やっぱりこれ、四月一日、ぱかっと変わるの難しいんじゃないですかね。
さあ、これで河村副大臣が私の納得する答弁をされるんでしょう。
○副大臣(河村建夫君) 佐藤委員、また佐藤委員のおっしゃるとおりと、こう言うとまた言われるかもしれませんが、いや、実は私も同じような疑問を抱いたんですよ。それで、これは一日ですぐ変わるのかということは、当然それは問題に私もしたわけです。おっしゃるとおり、この法律を読む限りそうなる。
しかし、これは、もどきとおっしゃったけれども、これはもどきにしてはなかなか立派なやつを今一生懸命やってもらっておりますから、運営審議機関もあります、ここで一度もんでいただいて、これはもう立派なものを作っていただいておりますから、それは一応、確かにおっしゃるように四月一日から変わりますので、手続上、一度それを正式なものにするために、今の法律でいきますと、四月一日以降に一回評価委員会に一応かけまして、そこで特に問題があればあれでしょうけれども、まずそれがおっしゃるとおり中期計画になっていくという仕組みを今回取っておるけれども、これは過渡期のことでありますから、本来ならば、過渡期の場合ですから、何か月以内にこれは決めないかぬとかという法律をそれはこれに加えれば明確であるかもしれませんが、手続上は、四月一日以降に一度これを確定させるという作業は取らせていただく。それは一日でできるか、二日でできるか、これは各大学の段取りにもよりましょうけれども、そんなに時間を掛けてやるべきものではない。これは過渡期の例でありますから、そういう形で、委員の御指摘もありましたとおり、確定はさせていただくと、これは作業は取らなきゃいかぬと、こう思っております。
○佐藤泰介君 また私の言うとおりですか。
だから、過渡期だからもうちょっと丁寧な法案でないといかぬじゃないですかと。私もこれに気が付くのに大分、読んでから気が付いたわけですから、この法案を、おかしいじゃないかと、これ読んでいったら。極端なことを言えば、一晩で変わらへんかと。そうすると、やっぱり過渡期なんだから、過渡期はこうこうこういう手だてを講じてこうしますと、一気に六年間の目標はやりませんと、初年度は一年間だけにしておきますとか、それで二年目から六年間の目標を作りますとか、何らかのそれがないと、法定、この法案に基づいた手続を取られぬ中期目標や中期計画が動き始めるんですよ、六年間。有馬先生、正しいですね、これ。ということなんですよ。そこが余りにも不親切ではないかと。河村副大臣は私よりも早くに気が付かれたかしれませんが、私はこれじっくり読んで、どうもどこかおかしいと。
これ一晩で、さっき、もどきだと言ったのは訂正させていただきます。大学の皆さん、もどき作っておるわけじゃないんで、本当に一生懸命書いてみえるんですから、大変失礼な言い方をしたと思います。これは取り消させていただきますが、やっぱり元の素案に返らせていただきますが、今一生懸命素案を作ってみえるんですよ。しかし、それはこの法律に基づいた、提出されている法案に基づいた法定手続を取られないんですよ。最終的には取られても、それは形式的なものなんですよね。それで六年間いっちゃってもいいのかと。大臣、どうですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 確かに、新しい制度に移り変わるときというのは、本当に実際にそれに当たる人たちも大変でございますし、制度的にもその辺も勘案するというのも大事だという気もいたします。ただ、その移行期における準備、それから新しい制度の下で動き出すということについての、これは運用におきまして、そこのところは十分に円滑な移行が図られるようにということが大変大事だと思っております。
私は、佐藤委員も本当に念を入れてお話しになりましたように、素案というものをしっかりと各大学が今検討し始めてくれていると思っております。大学におけるそれぞれその英知を結集して、これから、これからといいますか、平成十六年度の四月から始まる中期目標、中期計画期間という中で、一体何をその大学の主たる目的とし、計画としていくかということについての本当に真剣な議論がなされていると思います。現在も評議会がございますし、それから運営諮問会議というようなことで、外の意見も入れながら、そういったものを各大学は慎重に検討してくれると思います。もちろん、四月になりますと新しい学内の組織も作られて、そこでもう一度俎上にのせて検討していただくことは十分やっていただけたらいいと思います。
ただ、新たな制度といいますものも、余りゆっくりとやっていますと最初の辺りが問題になりますので、そこのところはできるだけ速やかにやっていただき、我が方としてもそういうものを十分に尊重しながら決定作業を法律に乗っかってしっかりやっていくという関係になろうかと思っております。
○佐藤泰介君 したがって、私ども民主党が出させていただいている修正案は、中期目標や中期計画は届出制にしたらどうですかと。そうすると一番スムーズにいくんじゃないですか。ましてや、今、大臣も言われた素案を一生懸命大学は今死に物狂いで作っている。四月一日になって新たな審議、合議制になってその素案が大学に突き返されたら、また大学人は困りますよ、これ。できるだけすうっと、私は手続がおかしいとは言いましたけれども、素案をそのまま目標にしていただきたいですよ、もう、これだけ大学の人たちが苦労しておるんですから。素案で来たものを目標に、仮に一晩でもいいですよ、判こぽんぽんと押してくだされば。それがまた突き返されると、大学へ。これは違うみたいですね、有馬先生、首振ってみえるから。というふうにしてほしいです、私は。私どもの出した提出案はそうなんですよ。あくまで大学の作られるものを、フリーパスとはいかぬにしても、一生懸命やられておるわけですから。そうすると、届出制になると、届出制にすると私の考えはすっと落ちるんですけれども。また、修正案についてはまた伺いますので、じゃ、次へ移ります。
これも同じ観点で聞きますけれども、今年度中に財務省との間で中期目標の原案となる素案について協議を行うということが過日の未定稿の資料によって明らかになりました。十六年度予算と今作成している原案となる素案との関係はどうなるのか。原案となる素案によって各大学法人の予算が査定され、結果として国立大学法人法に定める手続によらない方法で作成された中期目標の、今私が問題としました原案となる素案が初年度の予算編成に反映されていくことになるのではないか。
まず、独立行政法人制度全体についてと、中期目標、中期計画がない段階で予算編成を進めることになる、きちっとした正式なものですよ、どのように整理してみえるのか、総務省と財務省にこれはお伺いしたい。
続いて、国立大学法人についても、国立大学法人の中期目標決定に際しては大臣が法人の意見を聴くという、その辺は省略しますが、国立大学法人は、いわゆるそういう素案ですね、素案の段階で予算編成に掛かるわけでしょう。ほかの独立行政法人は主務大臣が定めるんですから、予算編成のときにはもう中期目標があるんでしょう、恐らく。その関係、違い、これをどういうふうに総務省と財務省は考えられるか。
また、平成十六年度の各法人の運営交付金はどのように決定されるのか。交付金算定には中期目標、中期計画は反映できないと私は考えます、今言ったような意見で。平成十六年度予算は原案どおりでじゃいくのか、各法人の平成十六年度予算はどのようなプロセスで決定されていくのか、この点については文科省に伺います。
○政府参考人(福井良次君) まず、中期目標がない段階で独立行政法人の場合どのようにしたかという御質問でございますが、法人が達成すべき業務運営の目標であります中期目標におきましては、独立行政法人の場合でありますと、業務運営の効率化に関する事項、あるいは国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項、それから財務内容の改善に関する事項、その他業務運営に関する重要事項、これを主務大臣が定めることとなっております。
概算要求は、御案内のように、財政法の規定に基づきまして主務大臣が前年度の八月末までに提出するということになっておりまして、独立行政法人に行わせる事務事業の範囲につきましては、中期目標が存在する以前におきましても個別法の定めるところに従いまして合理的に判断が可能であるということでございますので、中期目標策定前に概算要求を行うことは可能であるというふうに考えております。
現に既に存在いたします独立行政法人でありますとか、この十月に数十の独立行政法人が発足いたしますが、それぞれの中期目標が策定される前に概算要求が行われ、それに基づく予算の編成も行っているという状況でございます。
○政府参考人(杉本和行君) まず、独立行政法人の場合の考え方をお答えさせていただきたいと思いますが、独立行政法人への移行時における運営費交付金等の予算措置につきましては、「中央省庁等改革の推進に関する方針」、これは十一年四月二十七日の中央省庁等改革推進本部の決定でございますが、こういうものにおきまして、移行時の予算措置に当たっては、移行前に必要とされた公費投入額を十分に踏まえ、当該事務及び事業が確実に実施されるように十分な配慮をするというような決定がなされております。
こうしたことも踏まえまして、十三年の四月に発足、設立されました独立行政法人の例でいきますと、予算の概算要求は十二年八月、閣議決定は十二月でございましたが、それぞれ中期目標の決定は十三年の三月、中期計画認可は十三年の四月という形になっておりまして、中期目標が定められる前に予算要求が行われております。これは、独立行政法人に行わされる事務事業の範囲は個別法の定めるところに従いまして合理的に決定されることの可能なものでございまして、移行以前に必要とされた公費投入額、こういうものの実績等も踏まえつつ、各省から概算要求段階において要求が行われたものと考えております。
それから、国立大学法人の場合のお尋ねでございますが、これにつきましても、概算要求は財政法の十七条二項に基づきまして八月三十一日までに各省からその時点において見込まれる経費等について要求を行われることになっておりますので、国立大学法人につきましても、この概算要求プロセスにつきましては文部科学省において、先ほどから御議論になっておりますような国立大学の設立の期日等を考えまして検討されるものと考えております。
財政当局といたしましては、文部科学省からこうした概算要求が行われた際には、これを踏まえて予算編成を行っていくということになると考えております。
○政府参考人(玉井日出夫君) 概算要求との関係についてお答えを申し上げます。
法律、法案をお認めいただいた場合でございますけれども、十六年度概算要求につきましては、国立大学法人ごとの予算という形で八月末までに財務大臣に概算要求を行うということになります。その後は、財政当局との折衝を経て政府案として閣議決定をし、国会でまた御審議をいただくということになるわけでございますが、そのときの十六年度概算要求と中期目標、中期計画の関係でございますけれども、この中期目標の策定、中期計画の認可は平成十六年四月に行われるわけでございますので、平成十六年度予算関係作業につきましてはこれらに基づいて今年度中の予算関係作業を行うというわけにはいかないわけでございます。したがって、十六年度概算要求自体は中期目標、中期計画の策定作業とは直接の関係はしないという形になるわけでございます。
そして、中期目標、中期計画は平成十六年四月以降に正式に策定されるものでございますが、その中には十六年度予算の内容を含むという形になるわけでございます。したがって、その間、素案についてのいろんな御議論をいただきながら予算編成について議論を更に続けていくと、こういう過程になろうかと思っているわけでございます。
○佐藤泰介君 総務省、財務省の方は大体分かりましたが、文科省はちょっと分からぬのですが、総務省、財務省の方は、中期目標なくても前のもので見て積算してやっていくという、大体そんな答弁でしたですよね。そうすると、文科省の方は四月一日にならぬと中期目標がないので、どうなんですか、概算要求はできないよね、目標がないからできない。財務省と総務省は、従来のあれで目標がなくてもできるという答えでしたよね。文科省の答えは違いましたよね、今。
○政府参考人(玉井日出夫君) 六年間の中期目標に基づいて要求できるのかといえば、それはまだできておりませんので、そういう直接の関連はないわけです。
しかしながら、この国立大学法人法に基づきまして、従来の予算というものがあるわけでございますから、そういうものを踏まえて各大学法人ごとにこれは今度は概算要求をさせていただくという形になるわけでございます。そして、正式のものは来年の四月一日以降、中期目標、中期計画がきちんとできたところで、そのときに十六年度予算というものはその中に含まれてくると、こういう仕組みになるわけでございまして、十六年度概算要求は、これは従来の、今までのいろんな経費の積み重ね、こういうものを念頭に置きながら、各大学法人ごとの、正にこれから向かうべき国立大学法人としてのことを念頭に置いたそれぞれの法人ごとの概算要求という形にさしていただくわけでございまして、それは今までの、既に投入されている公費というものを十分踏まえた形で運営交付金を積算していくと、こういう作業になろうかと考えております。
○佐藤泰介君 余り時間ないんで。よく分からぬですよ、今。
総務省と財務省はよう分かった、なくてもできると。ということは、文科省だけは、十六年度は中期目標がないから従来どおりで作るということなんですよね。しかし、従来どおりで作るけれども、それは一つの特別会計という袋ではなくて法人ごとの予算になるけれども、今までの積み重ねたもので、従来どおりで作って各法人の予算を持つと、こういうことと理解すればいいんですか。
○政府参考人(玉井日出夫君) 私がお答え申し上げていますのは、まだ正式の中期目標、中期計画はございませんので、それに直接基づいたものができるかといえば、それはまだないということを申し上げたまででございます。
したがって、十六年度概算要求に当たりましては、これは当然、法律がお認めいただいた場合でございますけれども、十六年四月以降の各国立大学法人ということを念頭に置いて、そして個別法に、それぞれの国立大学法人法でいかなることを行っていくかということが業務としてあるわけでございますし、それから、これまでの公費投入額というものがあるわけでございます。したがって、そういうものを踏まえて各国立大学法人ごとの概算要求をさしていただくということでございます。
○佐藤泰介君 聞けば聞くほど分からぬです。
いろんな問題点を今日は指摘をさしていただきましたけれども、やっぱりまだ、どうしても独立行政法人と同じような制度設計になっているという疑念はなかなか私は晴れないでいまだにおります。
したがって、まだ、民主党の修正案については提案理由を申し上げ、説明する機会がございませんけれども、大筋、衆議院で出した修正案と同様なものでございますので、議論をすればするほど民主党の修正案を是非賛成をいただければということを申し上げながら、大臣にもうちの修正案のことを聞こうと思いましたけれども、時間もなくなってまいりましたので、やっぱり私は、知の世紀と言われるこれからの教育の制度、何年に一回の改革だとも言われるものがやっぱりこれだけ問題点が指摘があって、こういう状況の中で成立をされていくということは非常に禍根を残すことになるんではないかと。やっぱり事文教行政、今も言いましたが、知の世紀、これからの高等教育の在り方を大きく改革する法案、やっぱり少しでも与野党が歩み寄って成立すべきではないかと、そのことをつくづく思います。決して、数で押し切って成立させることは、これは許されぬのではないかということを思いますが、多分、最終的には数で決定をされていくんでしょう。非常に残念だというふうに思いますが。
私はこの後、大臣も運用面でかなり配慮をするということを言われましたので、三十問余り、これから運用についてこういうことを気を付けてほしいということを、五分で三十問はやれませんので、十一時半ですか、七分ではやれませんのでその触りだけやりますので、委員長に申し上げておきますが、私が少なくとも三十問近くやれる時間を保証していただきたいと、まずお願いをいたします。
○委員長(大野つや子君) 大変ですね。何とかしっかりお願いいたします、それじゃ。三十問、大変ですね。
○佐藤泰介君 是非、私、質問に立っていますので、理事会で検討をしていただきたいと思います。
じゃ、まず中期目標と中期計画について確認を改めてさしていただきます。
中期目標の作成に際しては、各大学が原案を作成し、それを文部科学省が最大限尊重することが本法律案の提案理由の趣旨を全うするためには不可欠である。これまでの答弁でも、配慮とは尊重する意味であり、中期目標の実質的な作成主体は大学であるとされてきたが、いま一度確認をしたい。
○国務大臣(遠山敦子君) 中期目標につきましては、高等教育全体の在り方や財政上の観点などから、文部科学大臣もかかわって、両者が十分に意思疎通を図りつつ協力して中期目標を形成していく仕組みといたしておりますが、文部科学大臣に対して大学の意見、すなわち原案への配慮を法律上義務付けているわけでございまして、したがって、中期目標の実際上の作成主体は国立大学法人とも解されるものでございます。
中期目標に関する国立大学法人の原案への配慮義務を規定した国立大学法人法案第三十条第三項は、教育研究の特性への配慮を定めた第三条と相まって、国立大学法人が作成する原案を最大限尊重するという趣旨であると考えております。
○佐藤泰介君 続けて、中期目標、中期計画の原案に何らかの変更を加えた場合は、大学に対し十分に説明するとともに、その理由を公表し、国会を含め社会全体への説明責任を果たすことが必要であると考える。原案の公開と変更した場合の理由の公表について見解を伺う。また、原案の変更は財政上の理由に限られるべきと考えるが、どうか。
○副大臣(河村建夫君) 各国立大学法人が作成をいたしました中期目標、中期計画の原案、これは文部科学大臣に提出された後に国立大学法人評価委員会で審議されることになるわけでございますが、同委員会の会議は公開をされることにいたしておりまして、したがって、原案は公開されるとともに、原案を変更した場合の理由についても公開されると、こういうことになるわけでございます。
なお、原案の変更は、各法人の自主性、自律性を尊重するという国立大学法人制度の趣旨を踏まえて、財政上の理由など、真にやむを得ない場合に行うことを想定してあるわけでございます。
○佐藤泰介君 答弁は要りませんが、今、二つの確認でほぼ、中期目標は我々が提出した修正案のように届出制に近いものと理解をさしていただきます。答弁をいただくとまたやり合うことになるかもしれませんので、届出制に近いもので取り扱われると、今の二つの答弁を併せて理解をさしていただきます。
次に、評価制度について聞きます。
中期目標の期間は一律六年間とされており、大学全体に対する認証評価は七年に一度受けることが義務付けられる予定とされている。毎年の年度評価、自己点検・評価と併せて、専門職大学院に対する認証機関など、短期間に様々な評価へ対応することが各大学に求められるが、現在、八十九ある国立大学を評価することを迫られる国立大学評価委員会と大学評価・学位授与機構にもそれは大変な試練が待ち受けているのではないかと想像する次第である。特に、教育研究面を評価するピアレビュー機関とされる大学評価・学位授与機構には、大学共同利用機関や高等専門学校の評価を行うことも求められており、認証評価に関しては広く私立大学からの希望にもこたえていくことが必要となってくる。評価する側と評価される側、双方にとって多大な負担を強いることが予想される。
国立大学にかかわる評価について、どのような負担軽減措置が講じられるのか、どのようにして評価疲れ、評価漬けを回避するのか伺う。また、負担の軽減措置が定量的な評価の方向を招き、各大学の個性を殺すようでは意味がない。この点について、文科省の認識を確認する。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 国立大学法人評価と認証評価についてでございますが、各大学が従来から実施しております自己点検・評価の結果など、可能な限り既存の資料を活用をするということが一つございます。それから、双方の評価に共通する事項については同一の資料を用いるという方向で検討したいということ。それから、評価機関において実際に評価が行われるまでの間に評価を効率的に実施するための諸準備を行うということなど、可能な限り国立大学法人や評価機関の負担を軽減することを考えている次第でございます。
また、評価に当たりましては、大学における教育研究の特性に配慮をしまして、定量的評価を過度に重視することなく、各大学の個性を十分踏まえた定性的な評価が不可欠と、こう認識しておる次第でございます。
○佐藤泰介君 前段で言われた自己点検、自己評価の結果を可能な限りという、最大限それを基盤に置いて、それを中心にしていただきたい。もう大学がそれを行っているわけですから、それをより充実させていくような、そんな形での努力をお願いしたい。さらに、定量的な評価はしないというふうに答弁されましたので、その点も十分に留意をしていただきたい。
三十問のうち三問終わりました。あと二十七問、時間をいただけるように委員長にお願いして、今日の質問は終わります。
○委員長(大野つや子君) その取扱いについては、後刻理事会において協議いたします。
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
今日の毎日新聞、七月一日付けに意見広告が載りました。「「国立大学法人法案」の廃案を訴えます 第四次」という意見広告でございます。
この中で、茨城県の主婦の方は、「現在小学四年と一年の子供を育てています。進学塾も私立の中学もない田舎の子供たちにとって、これ以上教育を受ける権利を奪わないで下さい。」とおっしゃった後に、「自分の学びたい学問を教えてくれる大学に入ること。それは産業として国益にはつながらないかもしれませんが国立大学で自分の興味のある分野を突き詰めること。そんな子供たちの夢をつぶさないで下さい。」。さらに、「もし、学びたい学問によって、学ぶ為にかかる学費が高額になれば、学ぶこと自体をあきらめなければなりません。子供たちの未来にとって、こんな残酷なことはありません。日本の未来にとってもマイナスであると思われます。」というふうにおっしゃっておられます。
授業料の問題というのは、もうそろそろ大学も募集要項を決め学費をどうするかということも、そもそもは国立大学、今までであればもうはっきりしている中で、来年四月以降どういうふうにしていくのか、親御さんも含めて進学の問題、将来の夢の問題、大変な問題になっているわけでございます。
六月二十九日の朝日新聞の一面トップでは、「国立大学法人化 学長アンケート」というのを、国立大学、公立大学、そして私立大学含めて全国で行われておりますけれども、その中で、国立大学の学費が全体として上がると思うと答えた国立大学の学長が九十六校中二十四校、二五%、上がるんじゃないかと思う、こういうふうに答えているわけでございます。また、学費が学部ごとに差が付くのではないかという学長も二二%国立大学でおられるということであります。
これはもう本当に各週刊誌でも、一体、学費はどうなるんだろうかと。もう今の不況の中で切実な大きな疑問、懸念、不安が示されているわけでございますが、かつて、昨年の十二月十日に「法人化後の学生納付金の標準額及び幅の設定方法(検討試案)」というのも出されまして、いろいろな案も出されてきたところであります。
この点については、もうこの期に及んで、国民的な大きな不安、関心事なわけですから、どういう基準でやるのか、これを明確に示していただきたいと思いますが、いかがですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 我が国の国立大学は学生に経済状況に左右されない進学機会を提供するなど重要な役割を果たしてきておりまして、こうした役割は法人化後におきましても維持される必要があると、こういう基本的な考え方でおります。
したがいまして、法人化後の授業料につきましては、具体的な授業料設定の際の共通的な指標となる標準額及び国が示す一定の範囲を文部科学省令で明確に定める予定でございまして、各国立大学法人はその範囲内で国立大学法人としての使命や機能その他の事情を考慮して自主的に授業料を設定する方向で検討しておるわけでございます。
授業料、標準額と一定の範囲の具体的な在り方についてでございますけれども、これまで国立大学が担ってきた役割とともに、各国立大学法人の自主性、自律性を尊重する、そして大学の自主的判断で特別の教育サービスの提供等を行い当該大学の大学教育の充実と教育目標の実現を図るということを可能とするという、いろいろな観点に留意しながら現在検討を進めているというところでございます。
○畑野君枝君 全く分かりません。上がるんですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 具体的な授業料の標準額についてでございますけれども、今後財政当局との調整が必要でございますけれども、現在、文部科学省といたしましては、標準額につきましては法人化移行時の授業料をベースに設定をする方向で検討をしているところでございます。
○畑野君枝君 私、学部間の格差についても伺いたいんですが、この点はどういうふうな基準を考えていらっしゃるんですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 学部別の授業料ということでございますけれども、現在でございますが、経済的理由によって希望する専門分野への進学の機会に制約を生じ、個人の能力に応じた教育機会の均等が損なわれるおそれがあるということなどの問題があるということを踏まえまして、現在、国立大学におきましては全学部同額の授業料を徴収をしているところでございます。
標準額について学部別の取扱いを導入するかどうかということについても検討中でありますけれども、このような国立大学の従来からの役割を踏まえながら慎重な取扱いが必要だと、こう考えております。
○畑野君枝君 この新聞のアンケートでも、学長は、学費が上がるというのが二五%、学部の差が付くというのは二二%となっているわけですね。だから、実際そういう方向に行くんじゃないかというのがこの法人化の方向ではないかというふうに現場では見ているわけですよ。こういうのをきちっとどういうふうにするのかというのを示していただかないと私は納得できません。
ちょっと加えて、伺っていなかったんですが、ロースクールの授業料、これは今日の読売新聞を始め各マスコミでも取り上げておりますけれども、これはどういうふうになるんですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 法科大学院についてでございますけれども、国家的なプロジェクトとして三権の一翼を担う法曹養成に関連をしまして、新たな法曹養成制度の中核的な機関として、平成十六年四月以降、新たに国公私立を通じて開設されるということでございます。したがいまして、どのような取扱いとするか、現在別途検討中でございます。
○畑野君枝君 これもはっきり分からない。
これはみんな連動していくわけですよね、今の法案審議と。ですから私は、その基準含めて省令でこれからやるんだというふうに言っておりますけれども、授業料、国立大学の法人化後の授業料の設定、学部間の問題、ロースクール、これはすべてきちっと資料を出していただきたいということを委員長にお願いをしておきたいと思います。
○委員長(大野つや子君) 分かりました、はい。
○畑野君枝君 こういう不安が全く払拭されていない状況があるわけですけれども、この今日の意見広告の茨城県のお母さんの声は、そうして授業料の問題と併せてこのように言っています。「私たちが納めている税金をなぜ、天下り文部官僚の理事・監事職の給与にあてなければならないのか。現在その職種がなくても国立大学の運営にはなんら支障がないのですから、その分の予算を研究費・開発費に回してあげたほうがよほど子供たちのためになると考えます。」というふうにおっしゃっております。
実は私、授業料の問題をなぜ取り上げたのかというと、これはもう大枠、全体、運営費交付金の問題、それから今言われた理事、監事、そういった問題、そして学生納付金どういうふうにしていくのか、総体的なもので決まってくるというふうに思うからなんです。
そこで伺いますけれども、この定数の問題でございます。職員定数の問題です。
伺う前にちょっと確認しておきたいんですけれども、国立大学法人化というふうになっていくと国家公務員の定数管理から外れるということになりますよね。定員削減計画の対象ではなくなるのではないかと思いますが、文部科学省が各大学法人に対して教職員数を増やせとか減らせとか、こういう指示もなくなるわけですね。ちょっと確認させてください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 御指摘のように、基本的には定員管理ということはしないということでございます。
○畑野君枝君 そうすると、増やせとか減らせとかいうことももちろん言わないということですね。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 大学の方からこういう学科を作りたいから定員を増やしてというようなことでの、そのための運営交付金を措置をしてということでのことはあろうと思いますけれども、いわゆる今までのようなことはないというように思います。
○畑野君枝君 それで、昨年の十月に文部科学省が示した運営費交付金算定基準案ございますね。これによると、各大学の教職員を標準教職員とそれから特定教職員の二つに分けて人件費を算定しているということなんですが、なぜ二つに分ける必要があるのですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 教職員試算基準案でございますけれども、これは法案が成立した場合に備えまして、各大学の協力を得ながら運営交付金所要額の試算を行うことに際して用いている資料でございます。
国立大学法人に措置する運営交付金につきましては、調査検討会議の最終報告におきまして、学生数等に基づき各大学に共通の算定方式により算出される標準運営費交付金、そして特定の教育研究施設の運営や事業実施に当たって必要となる特定運営費交付金としてそれぞれ算出をしまして両者の合計を交付すると、こういうことにされているわけでございまして、これらを踏まえまして運営費交付金所要額の試算を行っておるわけでございますけれども、それに当たりまして、教職員に係る経費に関しましても、教職員数試算基準案におきまして標準運営費交付金の算定の基礎となる標準教職員数と特定運営費交付金の算定の基礎となります特定教職員数とに分けて算定をするということにしておるわけでございます。
○畑野君枝君 そうしますと、各大学に共通して必要な教員の人件費というのは標準教員数に当たる人数分が運営費交付金として交付されると。
それで、文部省が四月に各大学に通知している平成十六年度国立大学法人教職員数試算基準によりますと、計算した場合、例えば旧帝大のある大学では標準教員数は現員数の五八%、うなずいていらっしゃいますけれども、標準職員数は現員数の六七%にしかならない。それから、ほかのある大学では教員で七〇%、職員で六七%にしかならない。こういう小さな数になる。私は、特定教員数の方を文部科学省の裁量で削減するために二つに分けたんじゃないかというふうに言わざるを得ないわけです。
文科省が各大学に通知した「平成十六年度概算要求参考資料(基礎額等調)」では、特定教職員数の算定を現員数から欠員見込み数を控除した数にしていると、つまり欠員見込み分の人件費を削減するというふうになっております。平成十七年以降はどのように算定するのか、その基準を明らかにしていただけますか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 必要な教職員数でございますけれども、標準教職員数と特定教職員数を合算したものが必要な教職員数というふうに考えておりまして、標準の教職員数につきましては、これは学生数に基づきまして各大学に共通の算定方式により算出される教職員数と。
ただ、これ、教職員数につきましては、これはいろんな大学の教育研究上の事情、それから歴史的ないろんな経緯がございますから、一律には、こういう一律の算定だけではないということでございまして、特定教職員数として大学の学部、大学における教育研究の特性等に応じた、実情を踏まえた教職員数を考えておりまして、これによりまして平成十五年度末における各大学における教職員数を基本的に確保したいと、こう考えておる次第でございます。
したがいまして、今、十七年度というお話でございましたけれども、基本的には、十六年度についてこういう考え方で今試算をしておりますので、試算の結果、十六年度のやつ、どういう形になるかというのはまだこれからのことでございますし、十七年度につきましてはその後また検討したいと、こう考えております。
○畑野君枝君 正に大学の生殺与奪が、大学がどうなっていくのかというのが、そこのさじ加減でというか、文部科学省の交付金の状況によって違ってくるじゃありませんか。これがどうして自主性、自律性と言えるんですか。そんないい加減なことじゃ私はこれもう本当に問題だと思いますよ。
私、次に併せて伺いたいんですけれども、天下りの問題についてでございます。
時間がありませんので簡単に申し上げますが、この間、東京新聞でも紹介されたというのが委員会の中でも紹介されました。それで、今日の意見広告の中では、「小泉さん、これが「改革」なのでしょうか?」ということで、「理事・監事があらたに五百八十人、」、「九十七億円」というふうに書かれているわけです。
私も計算をしてみました。この法案では、大学に新たに理事が四百六名、文部科学大臣の任命の監事が百七十八名の役員が置かれると。役員報酬は年間どれぐらい掛かるかという人件費試算単価表案というのがありますね。その中では、平均的に見積もると、学長、理事は年間一千七百二十五万七千円、監事は一千三百六十七万一千円と。これに一二%、都市部調整手当等々が付いてくると、一番高いので、学長、理事が一千九百二十万七千円、監事が一千五百二十一万三千円というのが試算単価ということで示されております。これで計算すると正に年間約九十六億円、大学部分のみですけれども。そして、設置形態が今後変わっていくというふうになると、役員報酬以外に労災保険が約五十四億円、雇用保険が約百十三億円というふうに新たな経費が掛かってくるわけです。
正に、授業料の問題もはっきりしない。それから定数の問題、教職員どうなるかということも、それは文部科学省が言う方向で決まっていくと。しかし、しっかりと監事や理事、役員はこれだけの算定基準という額まで示されて予算が付けられる、こういうことじゃありませんか。今までに必要なかったものが使われていく、その分が授業料だとか教職員の給与に影響を及ぼしていく、こういうくくりに私なっているというふうに指摘しなくてはなりません。
この点で特に言われているのが天下りの問題であります。こういうことは、これだけ国民の批判意見があるわけですから、文部科学省から天下りはしないとはっきりと言うべきだと思いますが、大臣、いかがですか。
○政府参考人(玉井日出夫君) まず一言、運営費交付金についてちょっと申し上げておきますけれども、運営費交付金は、これはその基準が決まりましたならば、これは十四年三月の関係者によります調査検討会議の報告においても示されておりますように、その基準を明らかにして、そして透明化を図ると言われておりますので、正にどういう形で、何か裁量でというような御指摘ございましたけれども、どういう形で運営費交付金を積算するか、当然明らかになるわけでございます。
それから、役員についての御指摘がございましたが、これも、理事につきましては、これはもちろん今度は各学長が、それぞれが自らの判断に基づいて選任をされていくわけでございますけれども、通常は現在副学長あるいは学長補佐という形で学長を支えている方々が選ばれることが想定されているわけでございます。その点はひとつ御理解を賜りたいと存じます。
その上ででございますけれども、理事につきましては、今申し上げましたように、これは各学長が自らの人事権に基づいて適任者を幅広く選任をしてまいると。そのときには、先ほどから申し上げましたとおり、副学長や学長補佐など、やはり現に今支えていらっしゃる方々を通常は考えていらっしゃるんだろうというふうに思うわけでございます。
ただ、その中で、例えば現在の事務局長等を学長が自らの判断で理事に選任したいということもそれはあり得るというふうには考えておりますけれども、当然、学長の人事権に基づいて自らの判断で行っていくことであろうと、かように思っているわけでございます。
○畑野君枝君 ある大学では、理事は全部外から採ろうというような仕組みも考えているところもあるとか、それから、今おっしゃったように、事務局長、正に文部科学省のルートじゃありませんか。
私は、天下りの問題、一般的な問題もちろんありますけれども、今一番問題なのは、あなたたちは大学の自主性、自律性と言ってきたわけですよ。そこにまた文部科学省の人が行ったら、正にそれを阻害するじゃないですか。だから、きっぱりと、こういう法案を出したのならば、そういうことは仕組み上も制度上も襟を正してやりませんと言うべきじゃないかということを文部科学大臣に伺っているんですけれども、いかがですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 法人化後の国立大学の理事につきましては、これは学長が自らの考え方に基づいて幅広い角度から任命するわけでございます。私は、それぞれの学長は、これからの法人化ということを背景に、真剣になって自らの大学の将来について考え、それについて学長とともにその運営について考えてくれる理事については私は真剣になって選ばれるものと思っております。それらの中には、恐らく経済界あるいは私学関係者、あるいは高度の専門職業人も含めて、正に……
○畑野君枝君 天下りやらないかと聞いているんです。それだけ言ってください。
○国務大臣(遠山敦子君) 正に学長が自らの大学の将来を懸けて選ばれるものだと思っております。その過程におきまして、それぞれの角度から見て十分にその知識、技術が生かされるということについて考えて、行政経験者を選任するということがあるにいたしましても、あくまでも学長といいますか、大学側のこれは人事権に基づくものでございまして、私は正にそこは学長の見識というものを信頼しているところでございます。
○畑野君枝君 でも、その学長をお決めになるのが文部科学大臣ですから、本当に自主性、自律性ということがそういう点では、学内からの推薦があるというふうにいっても、それはもうそういう関係じゃありませんか。
私は、伺ったことにきちっと答えていただけませんでした。そういうことは襟を正して文部科学省はやらないというふうに一言もおっしゃいませんでした。
私、その点でもう一つだけ伺いたいんですが、再編・統合にかかわっての問題です。もう時間がありませんので、天下り問題は実はもうちょっと詳しく伺おうと思っていたんですが、続きは林紀子理事がやりますから、また別の機会に資料も含めて質問したいと思うんです。
それで、再編・統合にかかわっての質問でございます。
中期目標、中期計画が終了したときに、文部科学大臣は国立大学法人に対して「所要の措置を講ずる」となっております。この「所要の措置」というのは、衆議院での総務省の答弁では、法人としての存続の必要性、すなわち廃止、民営化を含めまして業務、組織の見直しを行うというふうになっております。
総務省に伺うんですが、廃止、民営化を含めて組織の見直しというのは大学の再編・統合を含むのかどうか、伺います。
○政府参考人(福井良次君) お答え申し上げます。
国立大学法人法が準用しております独法通則法三十五条でございますが、この「所要の措置」の中には、今、委員御指摘になりましたように、廃止、民営化を含む業務、組織の見直し等々の内容を想定しております。
今お尋ねの、その中に法人の統合・再編を含むかどうかというお尋ねでございますが、一般論としましては、組織に関するあらゆる形態の見直しが入り得るわけでございます。ただ、具体的な措置内容は、当然、個々の法人によりまして主務大臣、大学の場合は文部科学大臣でございますが、検討をされるということでございます。
○畑野君枝君 そこで、文部科学大臣にお伺いしますけれども、再編・統合についてはこれまで各大学が自主的に検討してもらうのが基本だというふうに言われてまいりました。今度の法案では、「所要の措置」ということで、今まで答弁したことが担保されるような法文はないわけですけれども、そういう点では各大学に再編・統合が押し付けられるんじゃないかという懸念があります。
そこで伺いますが、中期目標の原案、これに対して、大学同士の再編・統合という文言がない場合ですね、文部科学大臣として再編・統合と書かせるということはあるんですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 国立大学の再編・統合でございますけれども、各大学の枠にとらわれずに、限られた資源の有効活用によりまして教育研究基盤の強化を図るためのものでございまして、各大学におきましては、このような観点に立ちまして、それぞれの教育研究の発展という視点から、また更なる活性化の好機として幅広く自主的な検討がなされてきているわけでございます。文部科学省といたしましても、各大学における検討を踏まえまして、大学同士の合意が得られるなど諸条件の整ったものについて再編・統合を進めているところでございます。
中期目標につきましては、最終的には主務大臣の責任において定めるという独立行政法人制度の枠組みを活用しながらも、文部科学大臣に対しまして、大学の教育研究の特性への配慮義務、あるいは国立大学法人の意見の事前聴取義務、国立大学法人の意見への配慮義務を法律上の義務として課すことにしているところでございます。
このような法案の趣旨を踏まえまして、文部科学省といたしましては、中期目標の策定や中期計画の認可に当たりまして大学の自主性、自律性を最大限尊重するということが大前提でございまして、文部科学省が大学の意に反して中期目標の原案に再編・統合について記載を、強制的に記載をさせるといったようなことはないと考えております。
○畑野君枝君 確認ですが、文部科学大臣、そういうことでよろしいですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 今、局長の方からお答えしたとおりでございまして、文部科学省が大学の意に反して再編・統合等について記載を強制するというふうなことはございません。
○畑野君枝君 私は、残る時間で先日の、六月二十六日の委員会の冒頭に遠山文部科学大臣が御発言になったことについて伺いたいと思います。
これは、大学の中期目標、中期計画の項目等についての案という、文部科学省の昨年の十二月の未定稿についての大臣の訂正とおわびという発言でございました。
その中で、私、議事録、速記録を持ってまいりましたが、このように大臣はおっしゃっておられます。本資料は、ちょっと飛びまして、今日に至るまで各大学における自主的な準備作業の参考のための資料として活用されているものと承知しております、自主的な、あくまで自主的なものであるというふうにおっしゃっておられます。
しかし、本当にそうでしょうか。私は、これまでいろいろな方の御意見を伺う中で、そのような各大学に自主的な準備作業のための参考資料などという生易しいものではないという点について明らかにし、伺いたいのでございます。
この十二月の、この間大問題になりました、委員会、もう十数日間にわたって審議が中断しておりましたけれども、その前の段階というのは十一月に作られました「中期目標・中期計画の項目・記載事項について(検討素案・未定稿)」というものであります。これを見ますと、「「◎」は必要的記載事項(案)」、「「○」は各大学の状況等に応じて記載する記載事項例(案)」というふうになっており、非常に細かいものが書かれております。
これが各大学に配られますとどういうふうになったかというと、ある大学の委員会の議事録では、本資料は六月二十五日の閣議決定を踏まえて検討された項目や事項であり、検討素案として現時点において整理されたものであるとされているが、示された限り、我々は、調査検討会議の記載事項例ではなく、この資料に基づいた中期目標、中期計画を作成していかなければならない。文部科学省に言われた中身で書かなくちゃいけない、自主的なじゃなくて、この方向で作成しなくちゃいけない、こういう徹底が現場ではされている。
そして、これは十一月です。そして、この間問題になった未定稿、十二月、これが示されると、今度はまたこれに沿って大変な作業が強いられる。文部科学大臣はこの間の委員会で過度の負担というふうにおっしゃったわけです。正に十一月、十二月、そういう状況になっております。
私は、ここにお示ししたいのは、昨年の十一月の文部科学省、これも未定稿でありますけれども、「国立大学の法人化の作業スケジュール(案)」というのがあります。これも具体的なスケジュールが整理されております。
これ見ますと、もう本当に、今年の五月には「国立大学法人法(仮称)等関係法案が成立」となっているんです。もう七月ですけれども、まだ成立しておりません。文部科学省どおりのスケジュールにいっていないということでございますけれども。ここを見ますと、十一月に中期目標の記載事項の作成、十二月に中期目標等の記載事項等を各大学に提示するというふうになっております。そして、今の時期ですね。二枚目見ますと、「各大学が検討中の中期目標等の原案について、適宜事前の相談・調整」。
一体どんな内容でやっているんですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) そのスケジュール表でございますけれども、「国立大学の法人化の作業スケジュール(案)」という資料でございますが、国大協が法人化特別委員会等を設けて法人化に向けた検討を行うとともに、各大学におきましても既に自主的な検討が行われているという状況の下で、その時点で想定されるスケジュールの概要を示してほしいという国大協からの要請を受けまして、昨年の十一月に国立大学長懇談会で配付したものでございます。
これは、平成十六年四月に法人に移行することを念頭に平成十五年の通常国会に法案を提出することなど、文部科学省としてその時点で想定している準備のスケジュールのイメージを明らかにすることで各大学の自主的な検討にも資するという、そういう目的でお示しをしたわけでございます。
相談というお話でございますけれども、各大学から準備を進めるに当たりまして文部科学省に相談に乗ってほしいといった要望が多く寄せられたということで、文部科学省内に大学からの相談に応じる体制を、本年一月からそういう体制を整えまして、各大学からの希望に応じて法人化に備えての各種の相談に対応をすることにしたわけでございまして、それ以降、大学の希望に応じまして、事務局長などの事務局担当者を中心に相談に訪れておりまして、相談事項の内容といたしましては、中期目標、中期計画に関するもののほか、人事、財務会計、組織など多岐にわたっているわけでございます。
中期目標、中期計画につきましては、各大学の疑問点等についてお伺いし、その整理をしているという段階でございますけれども、大学からの求めがあれば適宜アドバイスなどを行う場合もあるというふうに承知をしておるわけでございます。
○畑野君枝君 おかしいですね。この作業スケジュール案というのは去年の十一月なんですよね。何で今年の四月、五月、法案が決まっていないのに五月成立なんて書いてあるわけですが、何でそんな見通し先までやれるんですか。
大学から相談があれば受ける。しかし、この中期目標というのは今度の法案の最大の環じゃないですか。なぜこれだけ問題になったのか。正に大学の自主性、自律性、学問の自由、大学の自治、これにかかわるものだから、文部科学大臣も私の質問に、教育研究の内容に介入するものではない、してはならないというのが学問の自由だ、こういうふうに御答弁されて、それが覆される資料が出たからこれ大問題になってきたと私思います。
その時々に出る問題について、これは先ほどからも議論があったように法案も出ていない、そういう点では文部科学省というのは、大学からの相談があっても、むしろ省庁としては自制して、それを改めるというか、そういう態度であってしかるべきじゃありませんか。それが十一月の段階で相談が来ることを見越して、何で四月、五月、そんなことをやる、書けるんですか。おかしいじゃないですか。
委員長、おかしいじゃないですか、今の。どうなんですか、これ。ちょっと私、これ、資料をちょっと理事会で確認してほしいと思うんです。
○政府参考人(遠藤純一郎君) この作業スケジュール案、今お示しになりましたスケジュール案でございますけれども、これにつきましても、先ほど御説明申し上げましたように、十四年十二月の「国立大学法人(仮称)の中期目標・中期計画の項目等について(案)」といういわゆるイメージ、参考資料、これ、この点についていろいろ議論がありましたけれども、それと同様に、同じように、このスケジュール表についても、大学が自主的に準備を進める上でどういうスケジュールで準備を進めていったらいいのかということについて示してほしいという国大協からの要請を受けまして、そういうことで資料を示したということでございます。
○畑野君枝君 納得できないですよ。
だって、大臣は自主的におやりになったんだと、こんなスケジュール示す必要ないじゃないですか。それは、まだこれから法案もできていない十一月ですよ、去年の。どうなっていくか、国会審議も分からない中で、スケジュール案出すこと自身が問題じゃないですか。こんなんじゃ審議できないですよ。委員長、これどうなっているんですか。
○委員長(大野つや子君) 先ほどの資料の件と併せまして、後刻理事会等で協議をいたします。
○畑野君枝君 実は、法案提出が二月二十八日です、今年の。その前に全国を四ブロックに分けて、二月十八日、二十日、二十一日、二十七日、会議をやっていますね。法案の提出前ですよ。そこで言われた、文部科学省から言われたメモがあるんです。
何と言われたか。中期目標、中期計画について、原案の準備について、数値目標について、中期目標、中期計画には具体の数値は書かず、抽象的な表現で方向性を示す。ただし、部局資料には可能な限り数値目標を加える。部局資料というのは正に学部、研究科など研究内容に掛かってくる、その中身については数値目標を加える、こういう指示、あなたたち出していらっしゃる。そして、冒頭言ったように、中期目標、中期計画には具体の数値は書かず、抽象的な表現で方向性を示すと言いながら、学内資料には具体的に記載しておく。何ですか、これは。二重帳簿じゃありませんか。
こういうことがやられて、現場でどうなっているか。ある大学では、昨年の春からずっと準備作業をしてきた。そして、夏にそれができた。秋に二つ目を作った。そこにさっきお示しした十一月、十二月、示されて書き直す。今度はヒアリング、あなたたちがやっているヒアリングで修正。正に文部科学省が自主性どころか音頭取ってやっているじゃありませんか。
そして、もっと重大なことが言われています。ある大学の議事録では、ヒアリングの整理内容を参照すると、これまでとかなり違った様相が中期目標・計画の準備の指示内容にある。数大学の目標、計画を入手しているが、大半の大学から数値目標は脱落し、年次目標もほとんど載せないような状況になっている。
さらにこう言っています。抽象度を高め、これまで言われた概算要求と直結するという形を避けながら、将来を縛ることがないよう、かつ今後の法人化制度の中での評価を想定した内容作りを文部科学省の方で指導してきているという様相がある。正に自律性、自主性を排除する画一化じゃありませんか。文部科学省による統制、国家による支配じゃありませんか。
委員長、私、こういう声が寄せられている限り、この問題で大臣が前の委員会で言われた、正に自主性だと言っているのと違う話があるわけですから、こういう事態では前提条件が崩れている。どうですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 各大学が自主的に事前の準備をしている際に、いろいろ疑問点もあるということで、相談体制を作ってくれないかということでそういう相談体制を作ったわけでございますけれども、相談の際に各大学の求めに応じて必要なアドバイスを行うことはあるわけでございまして、その際、十二月の資料でも触れているように、原則として全学的な視点からの記載とかあるいは各大学の特性を踏まえて一層の個性化を図る観点を考慮してといったことが望まれるといったようなコメントを述べるということはあり得ると、こう考えておりまして、ただ、いずれにせよ、大学からの求めに応じて、相談に応じての大学から聞かれたことについてのコメントでございまして、また現段階で可能な範囲のアドバイスにとどめておるということでございまして、指示をしているというようなことではございません。
○畑野君枝君 全く納得できません。
じゃ、もう一つ言いましょう。
ある大学の議事録ではこうも言っております。二月から三月にかけての各大学のヒアリングがあり、その中で三月から四月にかけ文部科学省がファイナルバージョンと言われるものを提示するという話があった。ファイナルバージョンですよ、ゲームじゃあるまいし。これを受け、本学でも少しこの作業の進展を見合わせようということであったが、四月後半、直接文科省に行き、ファイナルバージョンは用意されるのか、提示されるか問いただしたところ、当面出せない。出さないのではなく、出せない状況になっているとの回答であった。
四月といえば、三日から衆議院の本会議が始まり、五月二十二日に反対討論があり、五月の二十三日には参議院の本会議で私も質問しました。こういう国会の状況があったから出せないということじゃなかったですか。そういう力が働いたと考えるのが妥当じゃありませんか。逆に考えたら、国会審議で紛糾しなければ最終バージョン出す、それで縛る、はっきりするじゃありませんか。
私は、このような、文部科学大臣のこの間の発言が自主性どころか正に文部科学省自身がつかさどる、牛耳る、こういう国会を愚弄するような答弁、このような下では国民の代表する国会議員としては審議できない。こういう点で徹底的な委員長の理事会での対応をお願いします。
○委員長(大野つや子君) 後刻、その対応につきましては理事会で協議したいと思います。
お時間が参っております。
○畑野君枝君 私は、本当に深刻な事態だと思いますよ。文部科学大臣、この間おっしゃったことと時間が……
○委員長(大野つや子君) お時間が参っておりますので、おまとめいただきたいと思います。
○畑野君枝君 違うわけですから、大臣、一言おっしゃってください。終わり、それを聞いて終わります。大臣に聞いています。
○国務大臣(遠山敦子君) 中期目標にあるいは中期計画の記載内容につきまして、先般来、国会審議における答弁につきましては、これらの記載内容については原則として全学的な視点からのものに限る、あるいは各大学の特性を踏まえて一層の個性化を図るという観点から明確かつ簡潔に記載すると、この点についての答弁は全く私は矛盾がないと思っております。
参考資料につきましての事柄につきましては、先般、十分、前回の委員会の冒頭で御説明させていただいたとおりでございます。
○委員長(大野つや子君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時十五分まで休憩いたします。
午後零時十九分休憩
─────・─────
午後一時十五分開会
○委員長(大野つや子君) ただいまから文教科学委員会を再開いたします。
休憩前に引き続き、国立大学法人法案外五案を議題とし、質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言願います。
○西岡武夫君 私は、国会改革連絡会(自由党・無所属の会)を代表いたしまして質問をいたします。
まず冒頭に、大臣にお尋ねをいたしますが、教育研究のための最重要経費とは何なのか、どうお考えですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 教育研究のために必要な経費、最重要。
教育にかかわる経費、研究にかかわる経費ございますけれども、今のが大学ということであろうかと思いますが、その場合には、私はやはり教育及び研究の機能を受け持つ教員、それからそれをサポートする職員の方々、言わば大学を構成する人たちにかかわる人的経費というのが第一ではないかと思います。
○西岡武夫君 ただいまの大臣の御答弁は私も全く賛成であります。教育研究の予算の中で一番大切に考えて、国としても重要視していかなければいけないのは人件費だと思います。他の省庁における事業費に相当するものが人件費であると、このように考えます。そして、国立大学が果たしてきました今日までの役割、その中で教職員、そしてこれをサポートしていく事務職員の皆さん方の御努力というものが高く評価されなければいけないと思います。
そこでお尋ねをいたしますけれども、今回、国立大学法人化に伴って、国家公務員である一般職の職員の大学の皆様方が国家公務員でなくなるということになるわけですけれども、これは何を根拠にしてこの国家公務員の身分というものを、前回も申し上げましたけれども、あえて申し上げると、剥奪するということができるのか、これを大臣にお答えいただきたいと思います。
○政府参考人(玉井日出夫君) 御説明を申し上げます。
今の御指摘でございますけれども、国立大学法人法案附則第四条によりまして、国立大学法人の成立の際、現に国立大学の教職員である者は、別に辞令が発せられない限り、引き続き国立大学法人の教職員となるものとされているわけでございます。
したがいまして、国立大学法人法案附則第四条によりまして、国立大学の教職員は国家公務員から国立大学法人の職員の身分に変わるということとされているわけでございます。これが法的な根拠でございます。
○西岡武夫君 これはおかしな話でして、私がお尋ねを申し上げたのは、国家公務員の身分というものは、国家公務員としてそれだけの大きな責任を持っている、しかしその身分というものはいろいろな、国家公務員としての民間におけるいろいろな雇用関係以外の制約も受けると、そういう意味から身分もきちんと保障されているという仕組みになっているわけですね。
今の玉井審議官の御説明では、私も今までいろいろ議員立法もしてまいりましたし、政府提出の法案等にもかかわってまいりましたけれども、よく犬がしっぽを振るのではなくてしっぽで犬を振るという、そういう例え話もあるくらいに、私もそういう法案も幾つか作ってきた経験がございます。しかし、今の御答弁ですと、しっぽでもない形で犬を振っちゃうというやり方だと思うんですけれども、今の御答弁では納得がいきません。
○政府参考人(玉井日出夫君) 御説明を申し上げます。
確かに、国家公務員は国家公務員法体系によってその身分が保障され、種々の規定があるわけでございますが、今回は、先行する独立行政法人、非公務員型あるいは公務員型ございますけれども、既に設立されました非公務員型の独立行政法人におきましては、その職員が国家公務員の身分は失っても、新組織への移行にかかわる法律において職員の引継ぎが規定される場合には、その法律によってその職員は国家公務員の身分を失うというふうな整理をされているわけでございます。
したがいまして、国立大学法人法附則第四条についても、本条に基づきまして、国家公務員法の規定によらずに承継職員は国家公務員の身分を失うという形になるわけであります。すなわち、国家公務員法体系以外の法律によってその承継を定めている、こういう仕組みになっているわけでございます。
○西岡武夫君 その御説明は納得がいきません。国家公務員法によって定められている身分を他の法律によって失わしめるということでありますから、国家公務員法の体系の中でどのようにお考えになるのか、これが明確でないと法体系としても私はおかしいと思います。
これは大臣に御答弁いただきたいんです。
○国務大臣(遠山敦子君) 今回の法案でお願いしております国立大学の法人化というものに当たりましては、これは職員の引継ぎに関する規定自体を国立大学法人法の附則四条に置いているわけでございます。ここにおきまして、法人設立の際、現に大学の職員である者については、別に辞令を発せられないという場合にはその国立大学法人の職員となるということで、法律上そこの引継ぎをしっかりとやっているわけで、やろうとしているわけでございます。
国の機関から非公務員型の独立行政法人に移行した機関の承継職員、これは幾つかあるわけでございますが、これは国家公務員としての身分を失っているわけでございますが、これは独立行政法人個別法に定める職員の引継ぎ規定によって非公務員型の機関に身分が承継されるということに伴うものでございまして、これは国家公務員法上に定める分限免職とは異なるわけでございます。
それと同時に、国立大学法人法案の附則の第四条の職員の引継ぎ規定につきましても、非公務員型の独立行政法人個別法の規定と同じ趣旨であるわけでございまして、このことにつきましては、既に法令、法制上のきちんとした解釈、そして立法手続によりましてそのことがこれまでもあるわけでございまして、国立大学の法人化に当たって職員が公務員の身分を失うことにつきましても、国家公務員法に定める分限免職とは異なると、こういうふうに考えているところでございます。
○西岡武夫君 これはおかしな御答弁でして、私がお尋ねしているのは、別に辞めさせることじゃないからいいんだというみたいな、俗っぽく言えばそういう御答弁なんですけれども、国家公務員として国立大学に就職をされた、その国家公務員の身分を職員の皆さん方が失うわけですね。それは何に基づいているんですかと申し上げているんです。その罷免、新しい法人の方に身分が移るからいいんだという問題ではなくて、国家公務員としての身分を何によって失わしめることができるのかという根拠をお尋ねしているんです。
○政府参考人(玉井日出夫君) 御説明を申し上げます。
国家公務員がその身分を失うという形になるわけでございますが、この根拠は、要するに、国家公務員とは別の法体系をもって身分を承継させる、こういう法的な仕組みを先行独立行政法人も取っているわけでございます。それぞれの独立行政法人個別法におきまして職員の引継ぎ規定を置き、したがって、国の職員からそれぞれの独立行政法人の職員へと身分を引き継いで承継職員となっているわけでございまして、それと同じ形で、国立大学法人法におきましても、附則四条をもって国立大学の職員から国立大学法人の職員へと承継するという法的仕組みを取っているわけでございます。
○西岡武夫君 これは、御答弁はちょっと私の質問にお答えになっていないんで、国家公務員である資格を剥奪する根拠をお尋ねしているんです。国家公務員法そのものは全然いじられていないんですから。
○政府参考人(玉井日出夫君) そこで、また御説明申し上げますが、要は国家公務員法のどこそこの規定ということではなくて、国家公務員法の体系とは別の法律をもって、そしてその職員を継承をしているわけでございます。すなわち、先行する独立行政法人におきましても、各独立行政法人の個別法をもってそれぞれ国家公務員の職員がそれぞれの独立行政法人の職員になる、そういう規定をそれぞれ置いているわけでございます。それが根拠になっているわけでございます。
○西岡武夫君 私がお尋ねしているのは、大臣、国家公務員として雇用された国立大学の職員の皆さん方が、別の法体系で国家公務員でなくするということは、私はさっき、いろいろな法律を作ってきた過程の中でしっぽで犬を振るというようなことを申し上げたんですけれども、しっぽも付いていない犬を振っているようなものじゃないんですか。
○国務大臣(遠山敦子君) しっぽが付いていない犬をという御趣旨はちょっとなかなかよく理解しにくい面もございますけれども、この法人化に伴います職員の身分といいますものをどのように扱うかということは本当に大事な問題だと思っております。
そのことにつきましては、これは本当に法律上の明確な理屈そして根拠がないとできないわけでございまして、正に西岡委員が御心配いただいておりますようなことを十分に勘案した上で、新しく法人化するということに伴ってどのように身分というのを承継させるかということを十分検討されてきたわけでございます。
先行の独法におきましても非公務員型になるという法人が幾つかあるわけでございますが、その場合におきましても、国家公務員法上の体系とは別途の、それぞれの個別法におきまして、その切り替わるときの時点で、職員である者についてはそのまま、別の辞令が発せられない限り新たな法人の職員になるということで担保されているわけでございます。
その意味におきまして、よく分かります、西岡委員が、元々国家公務員として就職したのではないかと、それについての身分の問題であるので、国家公務員法上の条文の適用というふうなことを仰せられる趣旨というものは大変よく分かるわけでございますが、この点につきましては、本当に先行する法人、これは国会においてきちんと成立を認められた法律であるわけでございますけれども、それらにおいても、やはり個別法の中で今申したような規定をしっかり設けてその身分を承継させるという形を取ってまいっているわけでございます。
その意味で、根拠は何かというふうに問われますと、先ほど来お答えいたしておりますように、国立大学法人法案の附則第四条に基づいて、法人成立の際に現に大学の職員である者については、これはスムーズに新たな法人、これは法人といいましても国立大学の法人でございますが、そこに移行する、承継する、身分を承継するという形で、私どもとしては、これについてはそのような理念と考え方、そして根拠の置き方において今回法案を提出させていただいているところでございます。
○西岡武夫君 それで私は、冒頭に、教育研究のために最大の経費、予算等は何が大事なのか、他の省庁、他の組織と違うのは、正に、どこでも人件費はもちろん大事ですけれども、人件費そのものが事業そのものだという意味で申し上げたわけで、今、私が、あえて国家公務員であるという、国立大学であるということの特性、そして大学の特性、しかも学問の自由、大学の自治ということを考えたときに、国立大学を、正に大臣、これは他の独立行政法人とは違うんだというような御説明をるる今までされてこられたけれども、結局、結局他の独立行政法人と一緒だということを大臣、今おっしゃったじゃありませんか。そこに問題があると。
私は、大学の問題点というのは、長いこと教育の行政についてもかかわってまいりましたし、与党の文教の責任者という立場からも長くかかわってまいりましたけれども、大学の改革というのは必要だと、しかしこういう行政改革ありきという動機不純な形で大学をこんなに変えていいんだろうかという疑問で私は申し上げているわけです。
その中で、大学人の、大学というのは教授だけでは仕事できないわけですから、大学の職員の皆さん方のやっぱりサポートが十分あって、それも私は、日本の場合にはアメリカ等に比べるとそういう予算とか人件費とか非常に少ないと、いろいろとお伺いをしています。そういう中で、職員の皆さん方のいろいろな御努力等、御苦労を考えると、いきなり国家公務員として採用されたはずなのにそうでなくなってしまったと、そんな無責任な話ないじゃないですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 大学の経費の面で一番大事なのは人件費というふうにあえて御質問があったから答えたわけでございまして、その点はそうだとは思います。しかし、大学にとって大事なことは様々にございます。経費という面はもちろんしっかり確保した上で、何が大学にとって大事かといえば、優れた教育が行われ、そして先端的な研究あるいは継承的な研究、そういったものが濶達に行われることでございます。
その角度で申し上げますと、今度の法人化ということに伴いまして、様々な自主性、自律性がかえって発揮できるわけでございます。
午前中もるる御説明いたしましたけれども、例えば大学において人事権といいますものはどうあるべきかと。今、国立大学につきましては、文部科学大臣が教員、職員のすべてについて任命権を持っているわけです、委任はいたしておりますけれどもね。しかし、それが今度は新たにすべて学長に権限として法律上明確になるわけでございます。これは完全にこれまでと違った大学の自主性、自律性が保たれるわけでございます。
それから、評価につきましても、これは国立大学評価委員会というものを置いてやるということでございまして、これは通常の独法とも違うわけでございますし、さらに、一番大事なのは教育研究の中身についてどう評価するかということでございますが、これについては第三者機関である大学評価・学位授与機構でやっていただくということになっているわけでございます。
その他挙げれば様々ございますけれども、そういった言わば大学の自主性、それから自律性というものを担保する、あるいはそれを更に前進させていく、あるいはこれまでなかったようなそういう大学の濶達な活動というものを助けるために法人化をする、これはもう正に日本の未来を担ってもらう国立大学、もちろん私立大学もあれでございますが、これまでいろいろ桎梏があってできなかったようなことをむしろ解き放っていくという、そういう理念に基づいているわけでございまして、正に西岡委員が御心配いただいております大学の自主性、自律性といったものをしっかり確保していく、そのための法案であるわけでございます。
それを行っていく人の重要性というのはもうおっしゃるとおりでございまして、その人々がこれまでの国家公務員という身分というものはいったん失うわけでございますけれども、それがスムーズに移行をして、本来、大学が目指すべき濶達なる教育研究をやってもらう、新たな法人の設立する国立大学として発展してもらう、そのようなことを考えた上で、その身分についても新たな承継職員としてスムーズに移行してもらうと、そういうふうな法案になっているわけでございます。
○西岡武夫君 大臣、それじゃ別の言い方で御質問しますが、今までの国立大学の職員の皆さん方の身分の安定と法人化された大学の職員の皆さん方の身分の安定、どちらが安定していますか。
○国務大臣(遠山敦子君) 法人化後の教職員は非公務員となるわけでございますが、これは非公務員でございまして、民間人ではないわけでございます。様々な形で公務員であることに準じたような扱いもあるわけでございますが、いずれにしましても非公務員ということでございまして、民間労働法制の適用を受けるわけでございまして、法人化後の教職員の給与あるいは勤務時間等の労働条件につきましては各大学法人が作成する就業規則等で定められるということとなるわけでありまして、賃金等の労働条件については労使が交渉を行うことも可能であります。
それから、教職員は非公務員の身分となりますけれども、使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当として是認することができない場合には権利の濫用として無効になると、これは最高裁判所の判例でございますが、とされておりまして、みだりに身分が不安定になるということはないのは当然でございます。
国立大学は、現行制度上、予算、組織、人事などの面でいろいろの制約を受けているわけでございますけれども、法人化後は、大学の大幅な裁量が認められますとともに、事後評価あるいは情報公開を行うなどのことから、職員の身分に不安や問題が起こることは考えにくいわけでございまして、今までの身分において担保されていたことと新たに法人化後の非公務員型になるということにおいて、不安定さが増すというようなことはないというふうに考えております。
○西岡武夫君 大臣、端的にお答えをいただきたいんです。
国家公務員である現在の、現行の大学の職員の皆様方と、法人化された場合の大学の職員の、法人の職員の皆さん方と、どちらが身分が安定しているかと申し上げているんですから、きちんとお答えください、それだけ、イエスかノーかで。
○国務大臣(遠山敦子君) 先ほど申し上げた最後のところで申し上げましたように、身分の安定性について変化はないということでございます。
ちょっとその辺は技術的なことも加わりますので、もしあれば……
○西岡武夫君 いや、いいです。
私は、大臣始め文部省の皆さん方が、文部科学省の皆さん方が大変な苦労をされて、行政改革ということから始まったことを何とか法人化、これも一つの大きなテーマだったんですけれども、そういう形でこの際大学を改革しようということで、言わば、これは与党の私の昔の同僚の議員からも聞いたんですけれども、とにかくガラス細工でこの法案作っているんだと、ちょっと崩したらば全部壊れちゃうからなかなかそう簡単にいかないんだというお話も私的には聞いているわけですけれども、そういう意味では大臣始め役所の皆さん方が大変な御努力をされているのはよく分かるんですが、しかし行政改革ありきということで大学を論じていいのかと。国立大学の将来をどう考えるかということを中心にして考えて、その結果として行政改革にも資するというならば別ですけれども、話が逆じゃないかと。
私は、文部省、文部省時代ですね、文部省の皆さん方と与党の立場で、あるときには与党の幹部から関東軍と言われたりして頑張ってきたことあるんです。ですから、文部科学省も、行政改革でこれをやるんじゃないんだと、大学を改革するんだと、それではこういう独立行政法人という仕組みの中に当てはめるというのはおかしいと、なぜ抵抗されなかったんですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 私どもの苦労のほども御理解をいただきながらの厳しい御質問かと受け止めております。
これまでのこの問題に関する議論といいますものは本当に長い歴史を持っておりまして、今さら長々と御説明しておりますと時間を取りますのであれでございますけれども、私は、平成十一年の四月ですね、これが一つの転機であるというふうに考えております。そして、それの前には、もっとずっと以前に中教審を始めとするいろんな御論議の上で、国立大学が今のような行政組織の一部ではなくて法人化しなければならない、法人化するのが適切であるという御論議というのが底流にあった上で行革の話はあったわけでございますが、平成十一年の四月に閣議決定によりまして、政府として、国立大学の独立行政化の問題を、単なる行革の観点ではなく、大学の自主性、自律性を尊重しつつ、大学改革の一環として検討するという方針が確認されたわけでございます。これがなければ、それは、もし行革の立場だけでということであれば、私自身も恐らく今回の法案を提出するというようなことにはならなかったと思います。
むしろ底流にあった法人化を行い、そして大学をより活性化していくということと、そして法人化というものを行政改革の一環ではなくて大学改革としてとらえるという強い政府の意思決定というものを前提にした上で今回の法案というものを準備させていただいているわけでございますが、さらに大事なことは、これは行政としての私どもが準備したといいますよりは、大学人の間での非常に真剣な御議論があったわけでございます。これは、国立大学法人にかかわる調査検討会議、平成十二年から十四年にかけまして御議論をいただきましたその成果が既に報告書として出ているわけでございますが、今回、そうした御議論を前提とした上で、私どももほとんどの部分その検討会議の結論にのっとって法案化を進めたわけでございます。
それは、いろいろな政府内の御意見、様々あったわけでございますが、そこのところをしっかりと貫いた上で法案を作り御提案させていただいているということでございまして、是非ともその点については御理解を賜りたいと思います。
○西岡武夫君 話を元に戻しますけれども、先般、名古屋大学の総長が賛成の立場から御意見をこの委員会、当委員会でいただきました。その賛成のお立場の名古屋大学の総長が、非公務員型とは自分も思わなかったとおっしゃったんですね。大臣、御存じだと思いますけれども、その場にはおられませんでしたけれども、これ、どういうことですか。
○国務大臣(遠山敦子君) その部分、前後のことがないと、その部分だけについてどうかというお話ですと困るわけでございますが、私は、この調査検討会議におきます議論の中で非常にこの点は真剣な御議論があったというふうに考えております。
これは報告書の中でも明らかなように、公務員型にした場合、あるいは非公務員型にした場合、どういうメリット、デメリットがあるかということが真剣に検討されまして、そのプロセスも明確になっているわけでございますが、しかし、やはり大学改革の一環としてこの法人化というものを考えていく場合には、これはむしろ非公務員型である方がいいという御結論を得たというふうに思っております。
松尾先生がそういうふうにおっしゃったとしたら、それは事務職員ですか、事務職員にかかわることについてそんなふうにコメントされたのかもしれませんけれども、この全体、事務職員と教員と分けること自体も大学の中では、もしそういうことになりましたら大変な難しい面も出てまいるわけでございます。
そのある部分のそのところだけお引きになりましてそれについてどうかと、ちょっとよく私にも分からない部分ございますが、私どもとしてはこの調査検討会議の十分な御検討の上で法案を提出させていただいたというふうに考えております。
○西岡武夫君 これまた大臣、異なことをおっしゃるんですが、私が今問題にしているのは、一般の大学の職員の皆さん方の身分を申し上げているんです。そうでしょう、初めからその質問をしているんですから。十三万人の、この前、私は予告をわざわざしたじゃありませんか、委員会で、全部のことですよ。だけれども、今、私が申し上げているのは、教授の皆さん方と一般の大学の職員の皆さん方と違いますから、採用されるという、そういう経緯については。そういう基本的なことを初めからお話ししなければ審議できないというのであれば、これ幾ら時間があっても、委員長、足りませんから、してもいいのでございますけれども。
私が申し上げているのは、大学の教官、教職員と一般の職員、大学を構成している皆さん方全体の中で、特に職員の皆様方のことを、この前、だから委員会で私は予告申し上げたでしょう、十三万人の職員の皆さん方が国家公務員でなくなるということの根拠は何なのかということを申し上げたのはそこにあるわけです。
ですから、そのことを名古屋大学の総長が、職員のことは、教官のことはあれだけれども、職員のことは知らなかったというんじゃ、十分検討したことになってないじゃないですか。
○政府参考人(玉井日出夫君) これらも正に調査検討会議の中で様々な議論も行われてきたわけであります。また、関係者もいろいろと議論を重ねてきたわけでございます。
したがって、その中で、教員のみならず事務職員についても、例えば採用につきましては国家公務員法上の試験採用の原則によらず、各大学の人事戦略に基づきまして専門的知識、技能等を重視して行うことが可能になるとか、あるいは職種につきましても、今の国家公務員制度ではなかなかない多様な職種を設定することも可能になる、そういう意味で、国家公務員法等にとらわれない、より柔軟で弾力的な雇用形態等々が可能になるのではないか。そういう意味で、教員と事務職員と併せて国立大学法人として非公務員型を採用するという結論に至ったわけでございます。
もちろん、大学の組織としては正に教職員一体となっての活動になるわけでございますから、そういう意味においても、そういう全体として非公務員型ということが採用されたわけでございます。
それから、同時に、先ほど来のお答えの中にもございました、してまいりましたけれども、これは国家公務員そのものではございませんけれども、やはり国立大学法人の職員でございまして、確かに民間の労働法制が適用になりますけれども、しかし同時に、その中におきましては国家公務員共済組合の適用が引き続き行われますし、それから退職金につきましては、その期間、退職金はまた別途でございますけれども、その退職につきましては国家公務員時代の期間が、これがまた計算されると。さらには、逆に、やはり国の事業を担う職員でございますので、いわゆる刑法上の問題になりますと、みなし公務員というところも規定されているわけでございまして、そういう意味で今の国立大学法人というものを考えていったわけでございますので、是非御理解を賜りたいと存じます。
○西岡武夫君 そんなことは当然のことですからお尋ねしているわけじゃないので、私が、先ほど大臣が大学の皆さん方が十分な時間を掛けた議論の下にこの結果が出たと。それで、それを代表するような形で賛成の御意見を名古屋大学の総長がおっしゃっている中で、非公務員型になるということについては私もそれは意外だったというような感じのお話があったんです。だからお聞きしているんです。十分な議論じゃないじゃないですか。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 大変私から申し上げて恐縮でございますけれども、松尾名古屋大学の学長は、この法人化の問題について、国立大学の学長さんとして最初からこの議論に参加をし、ある意味ではおまとめになる立場にもあったわけでございますけれども、恐らく、私、今聞いた印象では、最初、この議論が始まったころには、先生の予想として、当時はもう非公務員型という議論は、最初余りそういう議論なかったものですから、そのころと、何年かたって今結果を見たら、その間いろんな、今、大臣が申し上げましたようないろんな議論があってこちらがいいということになって非公務員型ということになったわけでございますけれども、議論の出発の時点と今のこの時点とで、何か松尾先生としては感慨を持っておっしゃったんじゃないかなと、大変恐縮でございますけれども、そういう印象を持ったものですから、誠に失礼しました。
○西岡武夫君 局長、それはおかしいんじゃないんですか。名古屋大学の総長がここで御発言になった速記録をごらんになって、それから御答弁ください。
○政府参考人(遠藤純一郎君) 大変申し訳ございませんでした。余計なことを申しました。
○西岡武夫君 大臣、大臣も元々非公務員型でこの国立大学の法人化ということをお考えじゃなかったんでしょう。大臣の意にも反して非公務員型になったんでしょう。昔そうおっしゃったじゃないですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 昔がどのあれかでございますけれども、法人化の議論の冒頭のときに法人化というのはどうなのかなというふうに、随分昔の、平成八年、九年のころでございますけれども、そのことと公務員型にするか非公務員型にするかについて私は予断を持たなかったわけでございます。これは正に、正に大学人の真剣な議論の上で結論が出されるといいというふうに思っていたわけでございまして、その意味におきまして、先ほど引用いたしましたこの調査検討会議において十分なメリット、デメリットを勘案した上での御結論を得たというふうに考えております。
○西岡武夫君 先般、名古屋大学の総長がこの委員会でお話しになったというのは、あれは五月、先月だったと思いますけれども、まだそんなに時間たたないんですね。先々月ですね、五月だったと思います。ですから、プロセスをおっしゃったんじゃないんですね。十分な議論の結果、非公務員型になったと今、大臣おっしゃったけれども、名古屋大学の総長は中心的な役割を果たしてこられたんでしょう。その総長が非公務員型ということは予想外だったというような趣旨をおっしゃったんですよ。それをどうお考えですか。
○副大臣(河村建夫君) 私も議事録を拝見して、まさか非公務員型になると思わなかったと、冒頭、そういう思いがおありになったということは、私も承知しました。ただ、教官は非公務員型でいいだろうともおっしゃっております。
問題は、私はほかの大学の総長からも伺いましたが、いわゆる文部科学省の人事で異動している職員もいるし、それから一般の職員もいる、それが今度学長の任命になっていく。この辺が学長にとっても大変だというような思いもあって、これはやっぱり工夫が要ると。今までのように、文部科学省がすべて支配するのでなくて、新しい国立大学協会と文部科学省がオープンな形でして、職員の意欲がそがれることのないようにする必要があると、こう御指摘がございますから、当然そのことは十分配慮しなきゃいけませんし、これまでのように、文部科学省が人事異動で事務局長なんかも随分全国の大学を回しておって、これはある意味では切磋琢磨、いろんな形、いい面もあったし、しかし一方では文部科学省が全部支配をしていたという面もあります。これを、今度はその役割というのは文部科学省はなくなるわけでありますから、大学協会辺りがオープンな形で、もちろん今までのノウハウというのはありましょうから、人事交流や何かの、そういうものは文部科学省が提供するにしても、大学協会側はそれを受皿になっていただいてやるのはどうであろうかと、こういうことは大学協会側でもいろいろ御苦労いただいておることも承知をいたしておりますが、トータルとして非公務員型でいこうということになったと、こういうふうに承知をしているわけであります。
○西岡武夫君 大臣のお話を承っていると、この国立大学法人化、その構成メンバーは非公務員型だということは長い間の大学人自身のいろんな検討の結果こういう結果になったと、そうおっしゃいましたね。その中心におられた、初めからと先ほど、私、初めからかどうか知らなかったんですけれども、初めからおられた名古屋大学の総長が公務員型にならなかったというのはその職員の方々のことを言われたということですけれども、それじゃ全然十分な議論をしてそこから出てきた法案じゃないじゃないですか。
○国務大臣(遠山敦子君) 十分な御議論をいただいたということのその証左がこの調査検討会議での御議論、それから、もちろんその背景には恐らく国大協の関係者も御議論があって、その代表者も参画しているこの調査検討会議であったろうと思いますけれども、そこにおいて、そこのところは明確に書かれているわけでございます。国立大学が社会から期待される使命や機能の実現を目指し、その責務を全うしていくためには、諸規制の大幅な緩和と大学の裁量の拡大という法人化のメリットを最大限に活用して、大学及び職員の持てる能力を十分に発揮させることが重要であると、こうした観点に立って、職員の身分については非公務員型とすることが適当であると、その非公務員型にするについてはこういうことが大事だと、いろいろと書いてありますが、これはもうすべて担保されているわけでございますが、ここのところの職員の中には明確に今申し上げてきたようなことがあるわけでございまして、この議論の結果というものを私どもとしては法案に反映しているというところでございます。
○西岡武夫君 もう時間が一分ちょっとしかありませんから、名古屋大学の総長はどういうその検討会議の中での役割を果たされ、どういうポストだったんですか。──もう簡単に、もう時間ないですから。
○政府参考人(玉井日出夫君) この調査研究協力者会議は幾つかの委員会に分かれておりまして、松尾学長は目標評価委員会の委員であります。だから、人事制度委員会でございます。ただし、全体の連絡調整委員会のメンバーでもございます。そういう意味でございます。
○西岡武夫君 もう時間が参りましたから、これで今日の質問は終わりますけれども、松尾総長があの、ここでの御意見をおっしゃった後でそのまとめが出ているなら分かりますよ。これはまとめ出た後でおっしゃっているんですから。全然話が合わないじゃありませんか。
それと、これも予告を申し上げますけれども、先ほど、午前中の議論でも出ましたけれども、授業料の問題について、学部別の授業料になるということは、私は、私学振興助成法を立案する段階で、私立と国立との違い、授業料の問題、バランスの問題、かなりの議論をいたしました。そのときに、国立大学の良さというのは、どういう、文科系を学ぼうが理科系を学ぼうが医学系を学ぼうが同じ授業料だ、これが国立大学の果たしている役割だということで、私学振興助成法のときにその議論はそこで終わったわけですね。ところが、今度、こういうことになると、授業料に学部別の授業料ということも起こってくる可能性が、午前中の御答弁をお聞きしていても多分に出てきているんではないかなと私は思います。次の委員会はこの問題を中心に御質問をいたします。
終わります。
○委員長(大野つや子君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。
午後二時一分散会