NAZEN長崎集会向けレジュメ.2019年2月17日,長崎県教育文化会館
暴政に慣れる社会にしていいのか?
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原発,憲法,軍拡,税,国会・・―
元佐賀大学理工学部教授 豊島耕一
1 原発問題
玄海原発最近の話題:使用済み燃料保管量の拡大
九電発表の現在の余裕と拡張量によれば,40年寿命の2034年(3号機),2037年(4号機)に対して,満杯になるまで数年の余裕で(それぞれ6年,2年)保管できる.そのまま「永久貯蔵」になる恐れ.「リラッキング」=すし詰め化.安全余裕の切り詰め.3号機ではMOX燃料が使われているが今回の九電の文書ではこのことに触れず.
2011年佐賀の「熱い夏」,再稼働一番乗りは阻止.2018年3月,3号機再起動,4月に4号機も.環境へのトリチウム放出も再開.
福島原発事故
2005年の九電公開討論会で提起したリスク指標「国民放射能近隣度」の現実化
直後の横須賀基地の線量モニター/関東圏も含む大気・土壌汚染
福島市で大気汚染度を実測.2011年10月21日
セシウム134: 613 マイクロベクレル/m3,セシウム137: 829 マイクロベクレル/m3
福島第一原発の当時の所長,故・吉田昌郎氏「チェルノブイリの10倍の規模の災害になるところだった」(2013/7/9の報道ステーション)
20ミリシーベルト帰還問題 GMカウンタの音で20ミリシーベルトを体感
2 軍拡問題・9条改憲問題
「島嶼防衛」と佐世保,佐賀,「海のノモンハン」の準備(ブログ記事)
→南西諸島での「衝突」を演出し,世論沸騰の勢いで改憲,というシナリオ?
「世界」最新号(2019年3月号)が南西諸島の軍事化問題を特集
PAC-3配備反対運動 既存平和運動団体の沈黙,益川敏英氏が久留米市長,芦屋町長にメッセージ(2010年2月および4月)
繰り返される「攻められたらどうするのか」に対する答えを「常備」しておく必要
「9条原理主義」と防衛・侵略の対称性,「代替防衛」
自国の加害行為に対する無知,歴史改竄.ドイツのナチスの行為に対する恒常的な記憶・展示施設の例「テロのトポグラフィー」.
3 戦争の原動力:軍産学複合体.
アイゼンハワーの「軍産複合体演説」,実は「軍産学複合体演説」
フジテレビ「池上彰緊急スペシャル!! なぜ世界から戦争がなくならないのか」が過不足なく本質を突く.2016年2月12日放映.
アメリカのトップ大学での軍事研究の歴史「冷戦とアメリカの科学」翻訳.出版計画中
言葉による欺瞞を可視化する必要性:かつてオウムは殺人を「ポア」と称して良心との回路を遮断した.同様の「ラベル貼りかえ」によるごまかしは日常的に行われている.戦争←工業的殺人,基地←殺人工業地帯,軍事行動←殺人前提の集団行動,などなど.
たとえ基礎研究でも軍関係機関からの資金を受け取れば相手の「人間関係資本」となる.
戦争実行・兵器開発のための研究は「知的暴力」と呼ぶべきではないのか?(言葉の暴力,数の暴力,構造的暴力,文化的暴力,などと同様) また,兵器生産の労働は「労働暴力」
軍事研究禁止のグローバル化の必要性:軍事転用される技術を予測し,事前に禁止する国際機構(R.E.Spier ほか,Science and Technology
Ethics, 2002年, p.211-212.
「ゴジラ」第一作での芹沢博士の選択.
4 「民主主義」成立の条件
「民主主義」を名目だけにする要素:マイケル・ランドル,アインシュタインの指摘(付録参照).「自発的対称性の破れ」と「正のフィードバック」による強化.「労働」をエネルギー源として資本・権力・メディア・教育機関とが形成するポジティブ・フィードバック・ループ(図).
「対称性」の回復:物理の世界では温度を上げる.人間社会では,メディアに割り込むため,非暴力直接行動(NVDA)が必要.(ただし反動や「間接侵略」の手段になっていることも事実.例:リビアやシリア,ベネズエラなど)
NVDAを阻害するもの:日本では「逮捕=相当期間の禁固刑」 → ゴーン氏の長期勾留問題(籠池氏の場合も).「逮捕されることが可能な」社会にすること,弾圧に対する左翼・リベラル陣営の反応の格差.
NVDAの例:原発再稼働阻止,戦争法,INF配備反対運動,筆者のイギリスでの経験.
もう一つの提案:「マルチチュード・メディア」= ご近所ポスティング
インターネットは,相互に交流のない複数世界,リンゴの虫食い穴.
5 文化の問題
文化装置:「道徳ポルノ」としての水戸黄門ドラマと,「一揆」を素材にしたドラマの不在.
「アイヒマン」からの脱却,良心を発動させる制度と文化(組織上の不服従).
(アンダーライン部分はグーグル検索で上位で筆者ブログ「ペガサス・ブログ版」記事または引用記事へ)
付録などはこちら:http://ad9.org/pegasus/docs/nagasaki/ 筆者ツイッター: @yamamoto2007