国立大学独法化阻止全国ネットワーク事務局 豊島耕一様 

 3月1日付けの社説についてのメールでのご意見に、お答えします。

国立大学法人化法案には、中期目標、中期計画のいずれも各大学が原案を作ることが明示されています。また予算についても、経営努力によって生じた余剰金の算入や、一定の範囲内とは言え学生納付金の額を決めることが各大学に認められるなど、大学の裁量の幅が広がります。

 社説はこうしたことを分かりやすく説明したもので、間違っているとは考えません。ただ、誤解を与えたとすれば、今後はいっそう表現に気をつけたいと思います。

法人化により、文科省の規制が強化されることをご心配のようですが、法案の仕組みはそうではありません。現在、各国立大学が文部科学省の一組織として位置付けられ、同省の直接的な指示を受けていることと比べると、明らかに規制緩和の方向です。最終的な決定権が文科相にあることは、各国立大学の運営が税金によってなされる以上、当然のことであり、それを規制強化とは考えません。規制強化は、大学運営に競争原理を導入しようとする法人化の考え方とも相反するものです。

 メールには、これまでの国立大学のあり方を社説で批判したことについてのご意見もありました。しかし、大学が地域や社会の信頼を勝ち得ていなかったとの指摘や反省は、高等教育の研究者や、改革に着手した大学関係者の多くに共通してあるものです。だからこそ、今、改善に向けた試みが多くの大学でなされているのだと考えます。

以上、読売新聞東京本社論説委員会の見解に基づいて、広報部からお答えしました。