訳語「自律」と「実業界」についてのコメントと,誤訳1ヶ所の指摘です.(転載者 豊島)

"autonomy" は大学自治の意味ですから「自治」と訳すべきだと思いますが,1箇所を除いてすべて「自律」と訳されています.しかもそのうちの2箇所(第13条b項)は,「自律権」という造語までなされています.

「実業界」と訳された元の言葉は1つが "buisiness and industry"(仏語版では"les entreprises"),のこり9箇所は "the world of work"(仏語版では"le monde du travail")です."buisiness and industry"はたしかに「産業界」あるいは「実業界」という訳語が当てはまるかと思いますが,後者はどんなものでしょうか.「人は生きるためには働かなければならない.その分野」という倫理的なニュアンスで使われているのではないでしょうか.日本語の「実業界」は経営者や資本家と強く結びついた言葉のように思えます.例えば「実業界の代表」と言ったとき労働者が出てくることはまずありません.英語あるいはフランス語に詳しい方,いかがでしょうか.もっといい訳語はないのでしょうか?

明らかな誤訳と思われるのは、第6条(a)項の中ほどの「不可欠な能力」です.これでは意味不明です.もとは"des capacite critiques/critical capacities"なので,「批判的能力、批判の能力、批判力」などと訳すべきでしょう.


"the world of work"について,新潟大学の方から次のようなコメントを頂きました.

------
国際機関で良く使われる用語で、world of productive workとして生産労働に関する世界と用いられる場合も有ります。

文字通り「労働世界」という意味です。
------