Date: Mon, 7 Jul 2003 13:32:25 +0900
From: toyo@cc.saga-u.ac.jp (TOYOSHIMA Kouichi)
Subject: [reform:04879] 「法人法」修正案についての民主党議員へのメール
To: reform@ed.niigata-u.ac.jp

佐賀大学の豊島です.先週木曜3日に,文教科学委員会の民主党メンバーに次のようなメールを送りました.「修正案」の扱いについては,理事会もこの趣旨を尊重していただきたいと思います.なお,国立高専については独立行政法人のままで,何の修正もなくていいのでしょうか?

また,衆参両院を通じて,「審議」と言いながら委員どうしのやりとりは皆無に近く,もっぱら政府委員や大臣への質問,つまり「調査」だけしか行われていません.「討論」として行われるのは,採決の直前の極めて短い「弁論大会」だけです.理事会には,実際に「審議」を,つまり委員会メンバーどうしでの意見の交換と論理の対決が実現するような議事の運営をして頂きたいと思います.

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文教科学委員会
民主党議員の皆様

                   豊島耕一

                 (独立行政法人阻止全国ネット事務局長)
                  840-8502 佐賀市本庄町1
                  佐賀大学理工学部
                  toyo@cc.saga-u.ac.jp
                  職場電話/ファクス 0952-28-8845

 国立大学法人法案をめぐっては,貴党と同一会派を組んでおられる山口壯議員の衆院本会議での質問以来,貴党のご奮闘にはたいへん尊敬申し上げ,感謝いたしております.今回の3日採決阻止も,並々ならぬご苦労があったことと拝察致します.

 さて,貴党では政府案への修正案を提出されるとの事ですが,これについてお願いがあります.それは,その内容について,原案同様十分に国民一般が吟味し検討出来るための時間を,ぜひとも作っていただきたいと思います.原案自体長大なもので,修正も複雑になるでしょうから,どうしても分かりやすい「対照表形式」も付けて公表していただきたいと思います.

 先の衆議院の文部科学委員会では,貴党の修正案は採決のほとんど直前に出されて,私たちだけでなく一般の国民にもその内容が周知され,十分吟味されるということにはならなかったと思います.今回はそのようなことがないよう,採決に十分先立って,少なくともその一週間前には全文を分かりやすく公表していただくようお願いします.どうか,「反対だけでなく,修正を提案した」という,形式を整えるだけには終わらないようにお願いします.

 なお,修正の内容について危惧を感じる点があります.

 国会でも貴党が主張されている「中期目標届け出制」が修正に含まれると予想していますが,これだけだと不十分であるどころか,むしろより悪い制度となるかもしれないと思います.つまり,政府による「評価」と,文部科学省が直接の予算権限を持つというこの二点が同時に解消されない限り,「届け出制」にしてもほとんど名目上の意味しか持たないと思われます.このことは,国立大学関係者ならだれでもすぐに理解することです.国会でも,六月三日の参考人質疑で小野善康氏は,文科省はああしろこうしろとは「絶対言わない」が,「怖くてしようがない」ので我々が「それを斟酌」する,と述べています.まさにこれこそが官僚支配の「定型」なのです.

 「怖くてしようがない」理由はもちろん政府による「評価」と,文部科学省が直接の予算権限を持つという二点(特に後者が決定的)です.これがある限り,大学側は「自主的」に文部科学省の「意向」を予測し,それに沿った「目標」を届け出る,すなわち暗黙の,不透明な命令制度となるだけです.逆説的なことに,むしろあからさまな命令制度の方が「透明性」があるとすら言えるでしょう.

 要約致しますと,中期目標・計画の文部科学省制定・認可を廃止するだけでなく,「評価委員会」を廃止し,評価は(厳密な意味での)第三者評価にゆだねること,交付金については行政から独立した委員会を設け,これに決定権をゆだねること,これらの事が最低限必要です.

 少なくとも2003年5月15日付けで発表された貴党の「国立大学法人法案修正案要綱」を見る限り,以上の懸念は拭えませんでしたので,メールを差し上げた次第です.

 以上,どうかご検討のほど,よろしくお願いします.敬具

2003年7月3日