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全大教札幌教研A1分科会

[独立行政法人化問題と今後の大学・高等教育のありかた]での口頭発表(20分)

北海道教育大学札幌校,9月8日

その他の発言など:B2,B3合同分科会での発言

レジメは「基調報告・分科会レポート集」の34,35ページ.または次のアドレス.../UniversityIssues/sapporoA1.html

いわゆる「独立行政法人化」が何かということをまず述べたい.かつて教養部解体の前夜,学部は政令に根拠があるのに対し教養部は省令施設でしかない,ということが言われ,その「弱さ」が云々された.そしてこれが解体の一つの理由にもされたようだ.独立行政法人化とは,「国立学校設置法」に存立根拠を持つ国立大学を,文部大臣の慈悲次第でどうにでもなる存在にしてしまうこと,まさに国立大学をまるごと「省令施設」にしてしまうことなのだ.もちろん「独立行政法人」といえどもその設置法があるわけだから,文字どおりそうだと言うわけではないが,事実上はそうなってしまうのである.

このような大改悪にたいする態度は「阻止」でなければならない.全大教は「反対」の言葉しか使わないが,これは最悪の場合,言葉だけで終わっても責任はないということになる.しかし「阻止」という言葉を使うとそうはできない.強い責任の自覚を促すこの言葉こそ使うべきであろう.それによってそのための的確な,最適化された戦略・戦術を組み立てる真剣な努力がなされるだろう.全大教の方針は,ごく一般的な項目を並べているに過ぎず,分析だけで行動がないに等しい*.

戦術として例えば次のようなものが考えられる.
(1) 著名人・オピニオンリーダーへのオルグ,(2) 国会議員,特に民主党への工作,(3) 国大協との交渉,(4) 美術系の人の参入,(5) 教授会決議へのテコ入れ,そして何よりも (6) 対抗案の提示である.

項目(2)は山口大学の地方議会での運動の例にならい,活発に,系統的に努力すべきだ.項目(3)は,国大協が学長の会議にすぎず,一般教職員の意見を反映する仕組みを欠いた非民主的なものなので,それを補償する意味でも是非とも必要である.

何が効果的で具体的な戦術の獲得を妨げているのか?それには執行部のリーダーシップの不在とならんで,このテーマでの全組合員レベルでの議論の不在ということがある.公然とした執行部批判がまるでタブーでもあるかのようである.

執行部自身の姿勢の問題もある.文部省が独立行政法人化に反対している間は,全大教と文部省の関係は「協調」が主な側面であろうが,文部省が賛成派に回った以上,この問題では「対決」するという側面が主要にならざるを得ない.しかし今なお「協調」的態度を優先させているのではないかという感触を受けることが多い.

また,全大教は,国立大学の労働組合の唯一のナショナルセンターとして,組合員だけでなく多くの大学関係者の期待を担っている.この期待を裏切らないことが重大な責任としてかかっている.もしもこれに応えられるものでないのならば,はっきりとそう表明すべきである.当てにされていることを知りながら最善を尽くさないとしたならば,時間を空費させることであり,明らかに裏切りである.特に,くり返すがこの分野では全大教の地位が独占的であり,いわゆる「競争的環境」が存在しないことからも,その責任は重大なのである.

次に国大協の「調査検討会議」参加問題について述べる.詳しくはレジメを見て頂きたい.

そもそも一つの団体が,別の団体の一部分機関に「代表として」参加するということ自体が,団体の独立性を無視したもので,外交ルールのイロハをわきまえないものである.まして,この会議は,国大協が少なくとも名目上は反対している「独立行政法人化」を推進するためのものなのである.石井氏は「外野」でものを言っても始まらない,というレトリックを使ったが,では例えば,「日の丸掲揚を推進する委員会」が文部省に作られたとき,「外野」ではしかたがないというので参加するのだろうか?「テーブルに付く」という言い方もされたが,どういうテーブルかも考えずに座ると身ぐるみ剥がれることもある.

参加容認派は要するに,お上から呼ばれたら何でも出ていくという人達だろう.「権力は善である」という「水戸黄門イデオロギー」の保持者かも知れない.訳も分からず文部省に行く時間があるくらいなら,独自案作成のために使ったらどうか.

国大協の参加ということは,会議自体とその結論により権威を付け加えることで,文字どおりこのプロセスに協力することに他ならない.

くり返すが,何よりも重要なことは,大学と大学行政に関するシステマティックな対抗案を作り上げ,国民の前に本格的な選択肢を提示することである.


* 誇張・強調表現であり,この言葉での揚げ足取りはダメです.
なお,当日の話に少し言葉を付け加えた部分もあります.

対抗案」については,北大辻下氏「大学セクター自治法に向けて」というページをご覧下さい.