人事院規則一四 - 七そのものが違憲

次の件についてです.

朝日新聞ニュース速報

 自民党の安倍晋三幹事長は19日の記者会見で、昨年11月の衆院選の際に自らの選挙運動用はがきの推薦人に中西輝政・京大教授の名前を記載した問題について、「法令に何ら違反するものではない」と述べ、問題はないとの考えを示した。大学側が「(掲載を)本人は承知していない」としていることには、「(中西氏の)夫人に電話で依頼したが、本人に伝えるのを失念したと聞いている」と説明した。

 これに対し、民主党は「中西氏が承知していない場合、安倍氏は公職選挙法の虚偽事実公表罪などに、承知していた場合は同法が禁じる公務員の地位利用の共同正犯などに、それぞれ当たる可能性がある」(幹部)と指摘。党として刑事告発する構えだ。また、今後、政治倫理審査会を含め、国会の場で安倍氏に説明を求める方針だ。
[2004-04-19-23:13]

中西輝政教授が認めた場合は,確かに氏の行為は人事院規則一四 - 七[政治的行為]の次の条項に違反しています.

5の一:規則一四 - 五に定める公選による公職の選挙において、特定の候補者を支持し又はこれに反対すること。
6の一:政治的目的のために職名、職権又はその他の公私の影響力を利用すること。

しかし,私はこの人事院規則自体のかなりの部分が違憲であり,憲法98条により無効と思われます.もし中西教授が認めたとすれば,この件もそれに当てはまり,逆に人事院規則自体を問題にする素材として,あるいは憲法21条(表現の自由)と98条(最高法規性)をupholdした例として利用,宣伝するのが妥当かと思います.

詳しくは拙稿「国家公務員の政治活動の制限・禁止について」をご覧いただければありがたく存じます.

http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/UniversityIssues/PoliticalActivities.html
http://pegasus.phys.saga-u.ac.jp/UniversityIssues/PoliticalActivities.html

もし中西教授が自分の名前の記載の正当性を認めない場合は, 安倍氏の公選法違反は当然でしょう.それを決めるのは,夫人が「失念した」云々ではなく,中西氏自身が,現時点で,自分の名前の記載を正当と認めるのかどうかでしょう.つまり私の理論では,中西氏が認めた場合だけ安倍氏は「お咎めなし」となります.