Subject: [he-forum 3981] 文部科学大臣のCM出演

(02.5.24,03.6.24改訂)

 02年5月19日の朝日新聞の全面広告に,ドコモAOL社長との対談の形式で,遠山文部科学大臣が大きな写真入りで出ていました.このような高位の公務員が,特定企業に肩入れするというのは全く異常に感じます.国家公務員法96条(全体の奉仕者,公共の利益のための勤務)との関係で問題はないのでしょうか.

 これがもしテレビコマーシャルだったらどういう反応があるでしょうか.例えば,文部科学大臣が,学研か何かの教材のコマーシャルでテレビに出ることを考えてみて下さい.公務員の公正・公平性に背くものとして,大変な非難を浴びるのではないでしょうか.新聞のコマーシャルも何ら違いはありません.

 今や「教材」の多くがインターネットから供給される時代です.むしろインターネット自体を教材と言うべきかも知れません.その状況下で,ドコモAOLという,特定のインターネット接続会社を選びなさい,お墨付きですよ,という文部科学大臣の間接的・暗示的なメッセージがこの広告によって流布されることになるのです.そして本来コマーシャルとは暗示的であるほど効果的なのです.

蛇足
このように高位の公務員が一企業の利益にあからさまに加担しているのが,5日後の現在まで放置されています.これと極めて対照的に,「政治的」問題と決めつけられると,どのような末端の公務員でも自分の意見を公に表明するのが禁止されるかのような,国家公務員法102条が存在しています.(ただし人事院の「運用方針」によって実際は政治活動は容認されています.しかし,それはお役所の「方針」で,つまりまさしく官僚の有り難いご配慮でお許しを蒙っているというわけです.)