佐賀大学 豊島耕一
各大学では「中期目標・計画」案の提出が急がされているが,これをめぐる問題は当面の攻防の焦点である.国会無視という不当な手続きによって各大学で作成された既存の文書は効力を持たない.法律30条に即して,文部科学大臣にどのように,どのような“意見”を述べるべきか,という観点からまず考えなければならない.
最も原則的な対応は,文部科学省の下請け作業のようなものには一切協力せず,「大学の行動や計画を縛るような具体的な目標は提示すべきではない」との“意見”だけを述べ,さらに念のため「触れるべきではないこと」のリストを付けるのが良いだろう.もし「原案」らしいものを作る場合でも,その文書にあれこれと盛りだくさんに書き込むことは避けるべきである.それは結局は文部科学大臣が「定める」文書に転化するのであるから,そのように幅広く“示して”欲しいという,大学から文部科学省へのメッセージにならざるを得ないからである.少なくとも文部科学省の項目立てに忠実に従うことだけはやめるべきである.
このような見解を「現実的でない」と決めつける前に考えていただきたいのは,教養部解体に始まってのこの十年来,文部科学省の敷いたレールに「現実的に」いちいち対応して来た結果が,今日の大学破壊を招いたという事実である.また「悪法も法なり」は,法を守るという観点から見ても常に正しいとは限らない.
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http://www.geocities.jp/chikushijiro2002/UniversityIssues/chukimokuhyo.html