学者が"Academics' Trident Seminar Blockade"をしなければならない12の理由

なぜ学者がこの封鎖行動をやらなければならないかについて,12もの理由を挙げています.“Invitation to the Academics' Trident Seminar Blockade”のその部分の概要を紹介します.(最後の項目のみほぼ全訳)

1 研究者の職務は様々の社会問題により筋の通った理解を発展させることであるが,われわれが体を張り議論を以てオープンに異議を表明することで,社会における対話を促進するであろう.

2 いくつかの無罪判決の例に見られるように,イギリスの核兵器に対する非暴力の直接行動は,国際法に照らして合法であると考えられる.

3 このような行動は,知識を社会一般に普及するというわれわれの職務の一部であると見なされる.

4 われわれは学者であるだけでなく,他の人々と同様,市民社会の構成員である.したがって自分たちの政府が行っていることに対して責任がある.(これは英国民のみ?)

5 行動することによって,われわれが,世界と社会に対する自分たちの分析を,深刻なものと考えているということを示すことができる.

6 大学教員は,他の専門職に比べて地位が保障されており,自由な意見表明を理由に解雇される可能性が小さいこと.

7 大学と科学的知識は軍と防衛産業の利益の影響を強く受けており,したがって大学関係者が「中立的」であるためには,核による「防衛」に対する明確な反対意見を持つ学者が存在することを示す必要があること.

8 行動においても学者は学生の模範となるべきこと.

9 この行動は,「実地研究」(action-research)の一種と見なすことができ,したがって伝統的な研究手法の一つと言える.

10 大学の人々が,学生だけでなく教師も含め,政治や抗議運動に関わるのは古くからの伝統である.その伝統を大事にしよう.

11 今でなければいつやるのか? 大量殺戮の準備に対する非暴力の阻止行動を,それが合法であるとされう得る今,実行するのでなければ,われわれ研究者はいつ声をあげるのか? 実際に大量殺戮が行われるまで待たなければならないのか?

12 もしわれわれでなければ,誰がやるのか? 相対的に特権的なグループであるわれわれ学者が封鎖に参加しないとすれば,では誰がそれをやるべきなのだろうか.だれが核兵器に対する責任を取らなければならないのか.われわれより不安定な身分で,まだ学者と見なされていないわれわれの学生が?「客観的で中立的と見られる立場にいる方がより大きな政治的な影響力を持つ」というという反論が一般的である.もしそうなら,影響力のより大きな学者にこと欠くことはないだろう.しかし,そうでなく,あべこべだと想像してみよう.学者らが論文などで政府を批判はするが,政策の実行に対しては服従しているとすれば,それは,政府の核政策は民主主義に基づいて熟慮と現実の十分な理解の上に立てられたものという,誤った危険な理解をもたらすことになるとしたらどうだろうか?そうであれば,服従を前提とした批判というのは,核による大量破壊の決定的な(間接的な)支援となるだろう.