中教審中間報告のキーワード分析
豊島耕一 (98年5月)
中教審から4月と3月に相次いで二つの中間報告が出されました.「新しい時 代を拓く心を育てるためにー次世代を育てる心を失う危機ー」(「心の教育」 と略称)と「今後の地方教育行政の在り方について」(「地方教育行政」と略 称)です.
だいぶ前の投稿で中教審の第一次,二次答申をキーワード分析しましたが, それと同じキーワードについて,今回の「中間報告」についてそれらの使用頻
度を調べてみました.その結果をお知らせします.この分析の動機は,子ども の権利条約が発効して初めての答申なので,これにどのように言及しているの
か見てみようと思ったことです.また,子どもの権利という視点からの類似の キーワードについても調べました.結果は前の二つの答申同様,この条約には
ひとことも触れていません.また,「地方教育行政」のほうで「民主」の2文 字が一回も使われないのは意外です.この言葉を使う必要もないくらいすでに
行政は民主的なのか,それともこの言葉を使わずに中間報告は民主主義を語っ ているのか,興味あるところです.
これらの文書の全文は文部省のwebページから取れます.検索をかける場合
は,文章の途中に改行やスペース,htmlタグが入っていたりするので注意が必 要です.
第一次,二次答申の同様の分析は次をご覧ください.
Education/chukyosin.htm
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キーワード 「心の教育」 「地方教育行政」
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子どもの権利
or 児童の権利 0 0
権利 6(a) 1(b)
人権 4(c) 0
学習権 or 教育権
0 0
自治 4(d) 7(e)
生徒会 0 0
自主的
6(f) 0
自由 19 2(g)
民主的 4 0
民主主義 or 民主化
0 0
批判 1(h) 0
体罰 or 校則
0 0
内申書 0 0
労働条件 or 勤務条件 or 待遇
0 0
勤務時間 or 労働時間 2 0
ユネスコ or 国連
0 0
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(a)「権利だけでなく、義務や自己責任についても十分指導しよう」
「自由と権利、そしてそれらに伴う義務や自己責任といったものの大切さ」
「権利だけを声高に主張したり」
「自由や権利について、それを行使することの意義を教えるとともに」
「同時に、他者の自由や権利を大切にすること、」
「権利者側の団体」
(b)憲法の引用
(c)「人権を尊重」2回,「人権を重んじる」,「人権を軽んじるような内容の」
(d)地方自治体の意味でのみ使用
(e)地方自治や町内会の意味でのみ使われており,生徒の自治には言及なし
(f)子供の自主性の意味では1回
(g)「自由な発想」
(h)「的確な批判精神と相手を説得する力」
(初版 Date: Thu, 7 May 98, [reform:918] )