内閣総理大臣 鳩山 由紀夫殿

防衛大臣   北沢 俊美 殿

要  請  書

米国の要請に従い日本政府が進めてきた弾道ミサイル防衛システム(BMD)は、「日本防衛」の名目とは裏腹に、米国が先制攻撃した相手国からの反撃を無力化することを目的とするものです。その一翼を担う地対空誘導弾パトリオット(PAC3)は、2009年度末において全国の航空自衛隊に16基配備され、その内4基が福岡県に集中しています。これは、九州がこの米国のミサイル軍拡の最前線に立たされていることを示すものです。

特に、昨年10月と今年4月に2度も搬入された芦屋基地周辺住民にとっては「敵国からの『攻撃の標的』にさらされ、大変危険なもとでの生活を強いられることになる」と芦屋町長に抗議したところです。

築城基地と高良台駐屯基地にも同様にPAC3が配備されたことは、この地域をミサイル戦争に巻き込むことで県民の生命と安全を脅かすものであり、平和な暮らしを願う私たちは言い知れぬ不安感に襲われるとともに憤りを禁じえません。そこで、下記の通り要請するものです。

なお、2010615日までに文書にて回答をいただきますようお願いします。

1.              PAC3撤去の要請

(1) PAC3は、敵国から発射された弾道ミサイルを地上から迎撃するということであるが、「それは当たらない」とする専門家の指摘がある。また、先般(53日付西日本新聞)「北朝鮮が米国本土やハワイに向けてミサイルを発射した場合、イージス艦から発射されるSM3は射程が足りず、迎撃が困難であることを複数の防衛省幹部が明らかにした」と報じられた。

それらが事実であれば、国は昨年度までにBMDシステム関連に約8000億円もの巨額を投じており、仮にこれを必要とする立場であっても税金の無駄遣いである。また、配備そのものが北東アジアの緊張を高めることとなり、「敵国の標的」になりかねず、大変危険である。直ちに撤去することを要請する。

(2) 仮にPAC3の命中度が高いとしても、ミサイルの破片等が住民にふりそそぎ危険である。その場合周辺住民に甚大な被害が及ぶのは必至だが、周辺住民に何ら説明していない。どのように対処するのか。

(3) 相手国から発射されたミサイルがどこに向かっているかを判断し、迎撃命令を下すのはアメリカ(米軍司令部)ではないのか。これは「集団的自衛権」の行使にあたり憲法違反と考えるが説明を求める。

2.              現在ニューヨークで、核拡散防止条約(NPT)の再検討会議が開催されている。日本のNGOなども「核兵器廃絶や軍縮」をめざした「ヒロシマ・ナガサキ議定書」の採択に向け、精力的に働きかけを行っている。また、国連に加盟している国の中で、軍事同盟を結んでいる国は少数である。21世紀は、世界中の人々の「紛争や戦争をなくし世界平和をめざそう」との希望と共にスタートしたはずである。

日本政府は戦争につながる緊張関係をなくすためにも軍事同盟をやめ、平和外交に徹することを要望する。

3.              現在日本には、二つの法体系があると言われている。「日本国憲法」と「日米安保条約」である。

沖縄の普天間基地問題に見られるように、世論は「米軍基地はいらない」という声が多数である。泥沼化するイラク・アフガン戦争のように、先制攻撃を繰り返してきた米国が勝手にやる戦争には加わりたくないのである。日本政府は安保条約第10条により安保廃棄の通告を米国に直ちに行うよう要請する。

 

2010520

                 はばもうPAC3 活かそう9条 九州ネットワーク

世話人 石 村 善 治

PAC3をはばみ 平和を願う 芦屋基地周辺住民の会

代表世話人 竹 井 淳 二

連絡先  岡 夏子(住所・電話番号は公開版では省略)