要請書

 

 前自公政府と防衛省は、この10月にも、地上発射型迎撃ミサイルPAC3を福岡県内三カ所(芦屋、築城、高良台の各自衛隊基地)に搬入・配備する計画をたて、その準備を進めてきました。新たに成立した民主党政権は、「米軍再編」について「見直しの方向で臨む」と三党で合意したにもかかわらず、PAC3の配備計画について見直すと明言してはいません。

  このPAC3の福岡県および全国への配備は、戦争の惨禍を二度と繰り返さない、憲法九条を護りたいという私たちの切実な願いを踏みにじるものであり、決して容認できません。

 MDシステムによって相手国のミサイルよる反撃を無力化し、もって、相手国の反撃を恐れることなく先制攻撃をかけることを可能にする。これこそがPAC3・MDシステム配備にかけたアメリカの狙いです。まさにMDシステムは「先制攻撃のための盾」にほかなりません。

 ロシアの猛反発に直面したオバマ政権は、9月17日、東欧へのMDシステム配備を断念する声明を発表しました。そしてロシアとの核軍縮交渉をすすめることを表明しています。しかしその他方で、大陸間弾道弾を迎撃できる、より強力で新たなMDシステムを2020年を目途に段階的に配備することを宣言しています(ゲーツ国防長官)。このままでは、私たちはいつミサイル攻撃の「標的」にされるやも知れぬ不安と恐怖のもとで生活することを強られます。

  現に、今年の4月、北朝鮮のミサイル発射にたいして麻生政権がPAC3による大々的な迎撃態勢をとり、これに北朝鮮政府が「撃墜は戦争行為と見なす」と宣言して、一触即発の危機を招いたではありませんか。

  しかも自衛隊基地に配備されたMDシステム・PAC3を操作し指揮・命令する権限は米軍が握っています。これは「集団的自衛権の行使」であり、「集団的自衛権の行使」を禁じた憲法9条を踏みにじり、憲法改悪を先取りするものにほかなりません。

 PAC3の命中精度は極めて低いばかりでなく、射程距離が短いために、万が一命中したとしても、空中で爆発・飛散した猛毒の有害物質が私たちの頭上に降り注ぎ、甚大な被害を被る可能性すらあります。“百害あって一利なし”とはまさにこのことではありませんか。

 ところが、自民党政府・防衛省は、MDシステム・PAC3の開発・配備のために、国民の血税を湯水のように注ぎ込んできました。PAC3配備費の総計1兆円、MDシステム配備費の総計5兆9000億円といわれています。これほどの財源があれば、一体どれだけ多くの国民を貧困と生活苦から救えることでしょうか。

  MDシステム・PAC3の配備は、勤労者・庶民を犠牲にし、憲法を真っ向から踏みにじる一大暴挙であることは明らかです。私たちは、政府・防衛省に、福岡へのPAC3の配備・搬入計画の即時中止と白紙撤回を強く求めます。

 2009年9月30日

 内閣総理大臣   鳩山由紀夫殿

  防衛大臣       北沢  俊美殿

 

     福岡へのPAC3配備に反対する共同記者会見・参加者一同  代表・石村善