BBC online Oct. 21 訳 豊島耕一(最終改訂 99.11.5)
(後半部分のみ)
法廷
メイヤー氏は1996年の国際司法裁判所の決定はトライデントとすべての核兵器を違法としていると述べた.
このことは,女性たちは普通なら罪となるようなことをしたが,しかしそれは他の犯罪が行われるのを防ぐためのものであったので,スコットランド法では彼女らは無罪であることを意味する.かれは法廷でこのように言った.
陪審が正式の評決を下したあと,判事は彼女らに,この評決は彼女らがこのような行為をむこうみずに繰り返してもよいと言うふうに受け取ってはならないと告げた.
「昨日私は,他の犯罪を防止するためにある種の犯罪が許される場合があると言っても,それは非常に特別な状況に於いてだけであるということをはっきりさせておいた」と彼女は言う.
「この特定の事例ではそのような状況がまさに存在したのであり,他の誰かが6月にメイタイムでなされたような行為をしたとしても同じことは当てはまらないだろう.」
「そのような行為はあなた自身のリスクにおいてなされる.十分な注意を払いなさい.」
「予期されなかったわけではない」
運動家エレン・モクスレイは,判事の決定は「予期されなかったわけではない」と述べた.
彼女はBBCスコットランド・ラジオに語った.「私たちは国際法がスコットランドで受け入れられるように大変な努力を積み重ねてきた.」
「考慮されたのは国際司法裁判所の決定の一部分で,これがトライデントにも適用されることが認められたスコットランドでの初めてのケースだ.」
モクスレイさんは,対象となったものが国際法上”違法な”ものであるので,彼女ら運動家の行為は正当化されると言う.
しかしながら彼女は,判事の決定を受けて,運動家が”非暴力直接行動”をエスカレートするかどうかは運動家自身が決めることだと言っている.しかし判決で堰を切ったように行動を拡大させようと考えている訳ではないということを強調した.
一方スコットランド議会の保守党議員フィル・ゲイリーは判事の決定を非難している.
「私は非常に怒っている.一個人が他人の領分に入り込み,破壊行為をして納税者にツケを回してもよいなどというのは信じ難いことだ.判事の決定は全く理解できない.」
国側は決定に対して控訴することを検討していると見られる.グラスゴー大学の国際法専門家イアイン・スコビー博士は,もし控訴されれば決定は覆される可能性が大きいと見る.
「決定はたしかに先例を作ったが,しかしそれは非常に低いレベルの先例なので,法律点(訳注)で考えられる上訴について,国家機関によって精査されることになると予想している.」
スコビー博士は,弁護側の議論が根拠としたのは国際司法裁判所が表明した”意見”にすぎないと言う.
「国際法廷は単に国連総会に法的な勧告をしただけである.国連総会を縛るものではなく,各国はその勧告を受け入れないという選択もできるのだ」
(訳注)「法律点」は法律用語.事実点と対比.
オリジナルはTP2000サイトをご覧下さい.