【スピード・ザ・プラウ8(2000.6)6-7頁】

法廷だより               

スコットランドの裁判所で

6月20日現在、〔核〕犯罪退治者2月封鎖の統計は次のようである。

裁判所に召喚された者     23
刑を確定された者       8
再度しないとする者      27

各人が秩序違反(何人かは公務執行妨害も)を問われており、マリアン以外はヘレンズバラ地方裁判所に出廷することになる。マリヤンはダムバートン執行裁判所に出廷し、保釈条件違背についても問われ、有罪になれば強制送還を命ぜられる恐れがある。

TPメンバーは全て上記地方裁判所で有罪とされ、約50乃至150ポンドの罰金を言い渡されている。ヘレン・ハリスとキャロル・カービーはそれに加えて、民間のフェンス修理業者による極めて曖昧な証拠に基き500ポンドという法外な賠償金を命じられた!

何人かは各々の所轄裁判所に移管された罰金刑を受け、そこで不払いの場合の義務を課せられる。ヘレン・ハリスは我々の知る限り、ウェールズの裁判所に出頭する最初のTPメンバーとなろうが、そこで彼女を投獄できるのは罰金についてだけで、賠償金についてではない(スコットランドでは罰金と賠償金を代替する投獄が可能である)−もっとも、ウェールズには女性刑務所がないので、彼女はイングランドで投獄されることになろう!

ロジャーとルパートはいま執行吏とやり合っている。

グリーノック判決についての法務長官の事件付託は、10月9日から始まる5日間、エディンバラの高等裁判所で審理される。支援の計画をすぐ始めよう!

         ジェイン・タレンツ

【「今こそ核犯罪を止めさせる時!」というプラカードを掲げた男性の写真のキャプション】スコットランドの議員トミー・シェリダン。ファスレーン2月封鎖に関連して秩序違反に問われ、無罪と訴答した後、ヘレンズバラ地方裁判所にてヘレンズバラ地方裁判所での。

イギリスの裁判所

「逮捕者がもっと増えるんだって?」これは5月22日のオルダーマストン封鎖の後でニューベリー拘置所の職員が発した疑問であるが、抗議運動が地方警察に及ぼした効果の確かな印である。5月、オルダーマストンでの逮捕者はついに55人となった:フェンスを破ったことで3人、封鎖で44人、バークフィールドでは4人、基地に何度も攀じ登り立ち入ったことで3人、おまけにフェンスの穴から覗いたことで1人!

彼らのうちごく少数は起訴されたが、ほとんどの者は後に警察署に帰されて保釈された−いわば法的「リンボ」に置かれたのだが、これらの者をどう処理するかは国防省が決める。しかし、少なくともいくつかは裁判沙汰になるであろう:ウラ、ロジャー、ジョアンはフェンスを破ったことで、ファンガスとマーカスは「不法侵入」(一種の−より正確には刑事裁判所法69条によって)で。

他の所では、様々な裁判が訴答、公判、判決言渡し、執行といった様々な段階にある…法律はけりがつくまでにたいそう長い時間を取るものである−核兵器の事件では55年、しかもまだ待たされている! 目立つのはニューベリーでのミッドランド・アフィニティーグループの事件であるが(スピード・ザ・プラウ前号参照)、それによると、ロジャー・フランクリンは執行吏に対抗しており、マーリーン・イェオは、裁判所が彼女の裁判所費用の支払を受理するよう、それを賠償金(彼女が支払を拒否している)として国防省に送らないよう説得しようとしている。ヘレン・ジョーン(メンウィズ・ヒル女性平和運動)は、ヨークシャーにある合衆国メンウィズ・ヒル・スパイ基地での核犯罪を告発し続けてきたが、にもかかわらず王座裁判所の判事は、昨秋ロンドンでの核犯罪告発(議事堂に落書)に関する有罪判決のために彼女を中央刑事裁判所に送ろうとしている。レイチェル・ウェンハムとロージー・ジェイムス(オルダーマストン・女性トライデント廃棄組織)は、最新のトライデント潜水艦のテスト装置を破壊したことにつき、マンチェスター王座裁判所で9月11日に始まる公判を迎える。シルヴィア・ボイエスとリヴァー(ミッドランド・グループ)も、昨冬のバロウ行動について来年1月8日にマンチェスター王座裁判所に出廷することになろう。

見落しがあればご容赦を…

        アンドリュー・グレイ


法的討論                

グリーノックをめぐって

ここに掲げた二つの見解は、昨年10月のグリーノックでのマーガレット・ギンブレットの裁決に関するものである。フランシス・ボイルの論考は裁決の直後に書かれたもので、その後我々のEメール・リストに置かれた。ピーターの見解はその反論である。また第三の(そして第四等々の)考え方もある。どうか、裁決を読み、自ら判断していただきたい。

トライデントは今や不法

非常に尊敬している何人かの反核運動家から、グリーノック判決について何か参考になる見方を示して欲しいと乞われた。先週、緊迫した審理の後に一人のスコットランドの裁判官は、トライデント2が国際法、連合王国法、スコットランド法に照らして不法であると裁決した。これは我々ホッケー愛好者が「ハットトリック」と呼んでいるものに他ならない−1ゲーム中に3ゴール。言い換えれば、全体としてイギリスの核兵器体制は今や国際法、連合王国法、スコットランド法に照らして不法と非難されているのである。イギリスの核兵器体制が全体として国際法、連合王国法、スコットランド法の下で不法であるという重大性は、グリーノック判決が上訴で覆されるまで存続するであろう。このことは、他の全ての核兵器国における核兵器体制を追及するためにグリーノック判決を用いる機会という注目すべき窓口を与えてくれる。全体としてのイギリスの核兵器体制が不法と非難される以上、同様の理由で、他の全ての核兵器国における核兵器体制もまた、国際法、各々の憲法及び国内法に照らして不法である。特に、もっとも個別的に言えば、合衆国によって配備されたトライデント2、並びに他の安保理事会核保有常任メンバーによって配備された核兵器潜水艦そのものを追及するために、グリーノック判決を用い得るようにしなければならない。さらに、核兵器の発達を重視している日本その他の国の威嚇的核武装を阻止するために、グリーノック判決を用い得るようにしなければならない。中でもイスラエル、インド、パキスタンにおける核兵器体制の更なる発達を止めさせるために、グリーノック判決を用い得るようにしなければならない。モルデカイ・ヴァヌヌ〔旧約聖書・エステル記参照−訳者〕を解放するために、グリーノック判決を用い得るようにしなければならない。提案されている新たな核兵器システムをどんなタイプのものであれ―例えば、合衆国における備蓄管理計画や他の同等のもの―抹殺するために、グリーノック判決を用い得るようにしなければならない。もちろん、グリーノック判決が意味するものをこの小論でくまなく述べることはできない。しかし、要点はお分かりのことと思う。全世界から核兵器を追放するために、グリーノック判決をどのように用いるかを考え出すのは、あなた方自身の創造性にお任せしよう。

         フランシス・ボイル

硬直した異端の説

 TP2000のような急進主義者の仲間に加担すれば、その過激な議論にいくらか染まることは予想されるが、私は、ここに取り上げる異端の説を憂うものである。ボイル教授には全く賛成できない。私は、マーガレット・ギンブレットはトライデントが不法であるなどとは裁決しなかったし、おそらく裁決し得なかったであろうと考える。

 彼女ができなかったし、しなかったというのは、トライデントの合法性(或いは不法性)はグリーノックで論じられなかったという単純な理由からである。一方の側の議論だけが取り上げられた、というのは訴追側が論争に加わろうとしなかったからである。判事ギンブレットのお見事な公平さをもってすればともかく、おそらくどんな裁判官でも、こんなに難解な問題をその両側からの聴聞なしに裁決し得ないであろう。

 この判事が裁決したことは、女性たちの抗弁が適切に為され、かつ論理的に認められるものであること、トライデントは不法であると彼女たち自身が真面目に考えていたのは疑う余地がないこと、である。これらの事情においては、訴追側がこの抗弁に穴を開けない限り、判事は、抗弁が無傷であると認定して女性たちを無罪とする以外に選ぶべき道を持たなかった。そして訴追側は穴を開けようと試みさえしなかった。証明終り。

 だとすれば何故、高名な国際法の教授が、またこれほどたくさんのメディアが、それにTP2000の多くもだが、判事はトライデントを不法と裁決したと主張したのか? と問われよう。答は、真実があまりにも衝撃的で、恥ずべきかつ曲がりくねったものであるので、メディアがそれを単純化しなければならなかったからだと考える。メディアの見方に同調するのはずっと容易だ。何故そうしないのか? それは一つの立派な物語ではないか。

 真実は次のようである。即ち、政府はひょっとしてこの法廷でトライデントの合法性に関する論争に敗れたら、と非常に脅えていたので、その論争よりも事案そのものに敗れる不名誉のほうを選んだということである。そこで国防省は訴追側に議論しないよう説得した。そして敗れた。(そんなことが多少とも公正にやられたと考えられるか?)

 おそらく、こういうわけで法務長官は事件付託を請求したのである。彼は事態を非常に遺憾とし、再発を非常に恐れた−われわれはこれを儀礼的なものと取るかも知れない。彼がやろうとしていることは、当然に国防省と訴追側を支持するということではなくて、法律上のゴールポストを我々から遠ざけることだけである。

 次のことも注意しなければならない。即ち、長官が―付託の聴聞を通じて―グリーノックで実際に起こったことを明らかにすべきだとしたら、喜んでメディアはわれわれが物語を歪曲したことを責めるであろうということである。国防省もそうであろう。だから、私は曲がりくねったと言ったのだ。それでも真実―国防省が議論に敗れるのを避けるために八百長で負けたこと―は、そのことを率直に受け入れる限り大したことなのである。ピーター・レイニョン


おばあちゃんが 母さんと私に言ったわ

深い青い海の ずうっと底のほうに

しょっちゅう前後に泳いでる

頭も尻尾も分からない とっても大きなお魚がいるんだって

飼主の言うままに 魂なんてこれっぽっちもなしに

大きな街を破壊して すっかり焼き尽くしてしまうだろうって

いつか深い青い海の怒りに触れて 罰が当たるだろうって

おばあちゃんが 母さんと私に言ったわ

          ヘイゼル・レニー