TP2000ニュースレター第7号 2000年3月
訳 真鍋毅
印刷向けPDF形式 | オリジナル
5月16日.改訂: 5月27日,28日,30日
目次
ファスレーン・カーニヴァル 5月13日
2月14日の封鎖
北と南 影と実体 BBC第一テレビ1時のニュース 豪雨、そしてパンチとジュディ
オルダーマストン
ランカスター
生命の糧
オルダーマストン
ニューベリー下級裁、要点を見誤る
法廷で
レイチェルとロージーの法的手続、躓く
国際ニュース
合衆国プラウシェア公判 3月20日に
日本の集会
法廷で
ヘレン・ジョンは「有罪だが正当化」 提起された争点の付託 ローカル・ヒーローズ 平穏なデモ
法務長官の事件付託
【写真説明】2月のファスレーン:2月14日、400人の活動家が参加して、トライデント潜水艦基地の封鎖に大成功を収めたが,それは警察との間で相互に敬意を持って行われた。議員や牧師を含む185人の逮捕者が出た。
■スピード・ザ・プラウ7号にようこそ! トライデント・プラウシェア(TP)は、連邦王国のトライデント核兵器システムを、非暴力・公然・平和的かつ責任あるやり方で非武器化する運動です。13カ国160人の人々がこのようにトライデントを非武器化すると誓っており、支持者のデータベースには1000人もの名があり、その中には多くの知名人、議員が含まれています。私たちは国際人道法を支持し、トライデント・システムの不法性を明らかにするために行動します。(後略)
■5月18〜25日、オルダーマストンでトライ・デンティング・イット TPの非TPの非武器化キャンプにご参加ください。この原子力兵器施設敷地での犯罪的活動に立ち向かいましょう。そこではトライデント核弾頭、イギリスの不法な大量破壊兵器の部品が作られています。TPの行動は週を通じて行われますが、次の非暴力かつ責任ある行動には誰でも参加できます。
5月22日月曜午前6時オルダーマストン封鎖
非暴力・直接行動のトレーニングにはキャンプ中いつでも加われます。泊るかどうかは自由で、精進料理の食事はカンパによることになります。(後略)
楽しんで−そしてトライデントを止めさせよう
カーニヴァルにご参加ください。ご一緒に、そしてお望みのように−道に座り込むなり、もっぱら大騒ぎを楽しむなり、どうぞ。ドラム、ギター、旗などご持参ください。活動は午前10時、ファスレーンの入り口で始まります。ファスレーンはヘレンスバラ北6マイルのところ。グラスゴーからバスが用意されます。TPとスコットランド反核運動の共催です。(後略)
オクスフォードからの長距離バスが平和キャンプ外れの停留場に着いて、目が覚めた。午前6時頃、まだ真っ暗だった。左側の水の中にトライデントが潜んでいるかもしれないと思うと、寒気がした。私たちは列を作って南門に向けて出発したが、先頭には平和を詠唱する日本人僧侶のグループがいた。数十人が既に集まっていて、私たちは7時に封鎖を始めた。北門に集中するとはっきり決まっていたので警察はほとんどいなかった。
北門での逮捕について携帯電話で報告が入り出した頃、私たちのうちのあるグループは雨の中をがんばって歩き回った。空が明るくなり始め、私は初めて湖のきれいな眺めを見た−基地の鋭い鉄線や長方形の建物とは対照的に美しい。既に、長く数珠繋がりになった基地の車が並んでいた。
私たちが着いたとき、警察は道路をすっかり片付けていた。私は門への隙間を埋めるようにして座ったが、すぐ警官に押し除けられた。門の入り口に触れたかと思うと、警官隊が黄色い楔となって抗議者たちを押し戻し、門がガラガラと開き、悔しいことに車が入り始めた。絡まった錠などがいくつか残っていたが、警察はすぐにそれらを取り除いた。
封鎖が破られたことにがっかりしていたので,なんとか行動を起こせないかと、われわれがあずかっていたカメラを返しに、友達とともに急いで南門に戻った。午前10時頃北門に戻ると、警官の大きな部隊が去ったところで、彼らの列は頼りなく見えた.特に道の片側から向こう側へと横切る絶え間ない人の流れがあったからだ。テリー・ジョンソンと私はさりげなくゆっくり道を横切り、そして警官の列の間を突進し、腕を組んで門の入り口に向かって身を投げ入れた。
私たちは引き離され、逮捕された。テリーは車でグラスゴーに運ばれ、私はといえば、基地のど真ん中に連れ込まれてショックを受けた。トライデントのドックの傍を通って、潜水艦は見えなかったけれども、その近くにいるのは気分が悪かった。逮捕されたのはこれが初めてで、手続きのことなどについて確信がなく、いささか緊張した。警官は個人的には全く温厚で、私は一生懸命穏やかに丁寧に振舞った。彼らは、トライデントを守ることがいちばん酬われる仕事だとは考えていないような印象を受けた。
彼らは私の細かい事情を書きとめ、裸にして身体検査をし(どうして平和な抗議者が武装していると考えるのか、私には理解できないが)、白い紙製のボディ・スーツを着せられた(濡れた衣服よりはましだった)。警官はTP2000の法律対策チームに電話をしたが,チームは「よくやった」というメッセージを送ってくれた.私がどこにいるかが友人たちに分かったので、たいそう安心した。次の数時間はもっぱら退屈な白い独房で過ごした。それは、連絡や指紋採取、写真撮影の要求によって何度か中断された。結局、私は秩序違反の容疑を受け、反論があるならおよそ10語以内でと言われて、「私は、核兵器配備というもっと重大な犯罪を阻止するために行動していたのだ」と述べた。独房に戻り、釈放されるまで眠ろうとした。最悪だったのは、自分の冷たい濡れた服をまた着せられたことであった。
釈放後、ピースキャンプの暖かいトレーラーハウスの中で快適な数時間を過ごしたが、身体もすっかり乾き、友人達がどうなったかも徐々に分かってきた。近い将来またここに来ることになるかどうかは分からず、実際に25年間ファスレーンに来ている人たちとも話したのだが、風景の美しさの故にのみそこに行くような、そんな日を待ち望むばかりである。
ジャスティン・アレクサンダー,ウィグワム2000のメンバー(オックスフォード・アフィニティー・グループ)
私には逮捕された経験がなかったので、ファスレーンで逮捕されたときはほとんど放心状態だった。固まった活動家たちの群とともに烈しい霧雨の中のアスファルトに座り込むことは、このような場合に為すべき適切なことと思われた。だから、黄色いレインコートを着た二人の警官から、白いワゴン車の一つに連行すると言われたとき、これも儀式の一部であるように思われた。
車のドアのところで、容疑を告げられた―おそらく「秩序違反」ということで―ような気がする。寒い中を長く並ばされ、毛の帽子と二重のフードの中で世界から遮断されていて、私はどうなっているのかよく分からなかった。写真に対して反射的に微笑んだのは憶えているが、カメラの前ではいつも「自然に見えるように」という妻の忠告を憶えていたからである。
数時間が過ぎた。警察の独房では時間は奇妙な具合によじれ、輪になった。このいささか非現実的な感覚は,集会所の床で一晩を過ごした後の朝早い目覚ましのせいだったかもしれない。少なくともそのときは晴れていた−ファスレーンとは違って。しばらくして二人の仲間と一緒になり、話し、また眠った。私は妄想に耽ろうとし、また,どんなに友人たちが耐え、危険に曝され、もっとひどいことになっていないかと考えた。約10時間の監禁の後、サセックスに帰る飛行機に間に合う時間に釈放された。
150人もの逮捕者を扱うプレッシャーにもかかわらず,警官は確かに礼儀正しく親切だった。私は余分の毛布を与えられ、昼食用に提供されたげんなりするような何かカレーのようなものが気に入ったかと聞かれた。それは食べられなかった。代わりにトーストを出してくれ、私はそいつにジャムを載せてと頼んだ。
全ては全く一片のドラマだった−それも不条理劇の。舞台はうまくセットされ、稽古もされていた。私はいささかぎこちなく演じ、警官も役を心得て、完全に友好的にではないとしても、正しく演じていた。
しかもこれはトラブルである。損失。核の計画者、実行者たちにはそうでなければならない。彼らも、自分がすることについては個人的に責任を負うのだという事実を隠すのを助ける愛しいひとときを持つ。利口で順応性のある人々は、人間の弱さを何ら斟酌しないシステムによって機械的に動く。浮かれ騒ぎの時間が解き放った曖昧さと不条理によって、礼儀正しい人々、私たちと彼らによって演じられたこのドラマは、影である。実体は、湖にうずくまって世界の終焉をもたらそうと構えているトライデントである。ここ、私たちの眼前で今起こっているのが死のキャンプのようなものであるとしたら、馬鹿騒ぎのひとときと善良な警察とは全くちぐはぐなものであろう。核抑止という難解な神学は、あるがままのこと−究極の悪として立ち現れるであろう。
かくある間も私たちは役を演じ、その滑稽な局面の全てにいささか微笑まなければならず、そして時には、それに責任ある者として、私たちが養育している怪物のことを思い起こさなければならない。
ジョージ・フェアブラザー(世界法廷プロジェクト)
ファスレーンに着いてから…私は門の近くに並んでいる人々のところに歩いてゆき、ジョイが道に座って、一緒にと人に「呼びかけて」いるのに会った。そこで私も折畳式椅子を道に置いて座った。土砂降りだった。私たちの傍の舗道に若者が数人、立っていた。一緒にと誘うと、彼らは何の躊躇もなくそうした。道に座った二人のおばさんは、たちまち8人ばかりのグループに変った!
この時、7時45分頃、警察が私たちを逮捕しにやってきた。この雨の中から、すぐ警察の車に連れ込んでくれるのだろうと思った。当てが外れた! 私たちは行列になって、それぞれ2人の警官に付き添われていた(私には、とてもナイスな警官と婦警)。
彼らは私の折畳式椅子を持って、数歩毎に「さあ、座って、ペギー」と言った(人が私をそう呼んでいたのを聞いたらしい)。烈しい雨、4人の警官に運ばれている濡れそぼった人々、それに深く被ったアノラックのフードのせいで、名前を呼ばない限り、誰が誰だか分からなかった。
(警察署で)私は閉所恐怖症なのだと言うと、ガラス張りの独房に入れられたので、外のことを何でも見ることができた! のち2人のチャーミングな若者が入ってきた ― 眠ってばかりいた「バブズ」,ほんとに面白い会話をした「ハリー」。私たちは反対側の独房を見ていた−3,4人入っていた。上の小さな丸い窓で何か動いているのに気が付いた。するとすごく面白いことに、パンチとジュディ[訳註:有名な人形劇]のようなものが始まり、ちょうど中指ほどの一つは白、一つは緑が下げ幕の上の窓から現れて、白が緑をぶん殴った。それから指が現れ、急に下げ幕が落ちて頭が現れた! 彼らはそこで楽しんでいたのだが、警察も面白いと思ったのじゃないかしら。ペギー・プレストン
2000年2月14日
プレゼンター(アンナ・フォード)
「アーギルの核潜水艦基地を封鎖しようとして、150人あまりの抗議者が逮捕されました。クライドのファスレーン海軍基地で、イギリスのトライデント潜水艦が根拠地としている複合施設での作業を阻止しようと、数百人の人々がデモに参加しました」。
リポーター(エマ・シンプソン)
「人々は基地入り口を塞ぎ、座り込んで抗議しました。目的は、ここでの作業を停止させることです。1時間ほど通行できなくなるといった混乱した状況の中で、警察は彼らを一人づつ排除しました。デモ参加者の何人かは、持ち上げられないように我が身をドラム缶に括り付けてさえいました。抗議者の中にスコットランド及びユーロの議員が数人いました」。
[抗議者たちが逮捕されている映像]
ハリー・バンチ警視長(ストラートクライド警察)
「たいていは穏やかな抗議だった。デモ参加者は、ここ北門に集結した。彼らは柱にくっついて、道に座り込んだ。除去したが、ちなみに逮捕者の数は、今のところ全部で150人から160人ぐらい」。
リポーター
「本日のデモは、トライデント・システムが不法であるとする昨年の裁定によっています。3人の女性が、この基地に侵入して損害を与えたことにつき、裁判官はトライデントを非武器化する企ては正当とされると裁定して、無罪になったのです」。
ヘレン・スティーヴン(反核活動家)
「ここにこんな兵器を保有することで、イギリスは今や国際法に違反している。だからこそ私たちはここで、それを止めろと言わなければならないのだ」。
[画面に示されたプラカード:「数百万の殺人の威嚇は不法である。TP2000」]
リポーター
「しかし、ファスレーンの民間スタッフを代表する組合は、本日の封鎖を業務及び保安妨害として非難しました」。
すごく短い解説……
原子力兵器施設(AWE)オルダーマストンは、当初からイギリスの核兵器生産の中心に位置してきた。1950年代及び1960年代から今日に至るまで、この地は、反核運動家、環境活動家、反軍国主義者から強弱の波はあるが常に関心を集めてきた。
オルダーマストンのAWE公社は特に現在、イギリスのトライデント弾頭の生産、保守及び(場合によれば)解体に責任を負っている。それは、レーザー技術や材料検査を含む核科学の他の領域にも携わっている。AWEは、イギリス政府が将来ある時点でトライデントの改良・更新を決めなければならない場合には、新世代の核兵器を開発する能力をも保持している
オルダーマストンはイギリス政府、特に国防省に所有されているが、1990年代初頭以降は「GOCO」、即ち所有は政府で操業は契約者という地位を得ている。このことは、政府がこの地を所有する一方、民間会社が日々の操業を管理し、いくらかの利益を得ることを意味する。この地位は、ほぼ7マイル離れたところにあるオルダーマストンの姉妹地、AWEバークフィールドにも適用される。バークフィールドでは、高性能爆薬(起爆に必要)が弾頭に詰められる(また保守のためや解体においては除去される)。
過去7年間、AWEはHunting-BRAE連合(Hunting公社,Brown & Root,AEATech)によって管理されてきた。ところがHunting-BRAEとの契約は3月31日に満了し、政府は2000年4月1日からこの地を管理する新しい連合を選んだ。この連合はBNFL、ロッキード・マーティン及びセルコから成る。周知のように、健康・安全管理におけるBNFLの履歴は必ずしも芳しくない。ロッキードをよく調べれば、それは吐き気を催しかねないものであることに留意したい。
廃棄物に関してAWEオルダーマストンは、あらゆるグレードの放射性廃棄物を焼き、埋め、洗い流し、かつ貯えることに携わっている。他の廃棄物は、敷地から流れている小川に放出されるか、(知られていない)パンボーン・パイプラインを通じて、そこでテームズ川に放出される。1999年、AWE社の環境機関への申請−オルダーマストン及びバークフィールド双方からの放射性排出物の増加について−の後、長期にわたる一般への健康相談が実施され,その返答は約4000件に及んだ。AWEの申請の結果は、直ちに政府によって決着をつけられるべきである。
オルダーマストンには多くの不愉快な特徴があるが、それには「ホット・スポット」、敷地と周辺部分の化学的汚染、敷地内の膨大な放射性廃棄物の貯蔵がある。トライデント計画の中枢であることはもちろんだが,オルダーマストンはまさに汚い場所である!
5月のTPキャンプはオルダーマストンで行われるが、オルダーマストン女性平和運動、オルダーマストン女性トラッシュ・トライデントTPアフィニティー・グループからの女性が質問に答え、また当地や現場についての包括的な報告をするはずである。上記のことから、反核、環境保護及び反戦活動家の方々が、トライデントに対する私たちの一貫した抵抗の一部としてオルダーマストンに圧力をかけ続けることがいかに重要かを理解してもらえることを希望する。お会いするのを楽しみに!
追伸 スパフェンス/ウェルドメッシュを登ったり壊したりするテクニックを5月19日より前もって磨いておくことを強くお奨めする.それが必要になるでしょう!
追追伸 (後略)
ジャネット・キルバーン
(オルダーマストン女性トラッシュ・トライデント)
ランカスターの吹きまくる風と叩きつける雨をくぐって、オルダーマストン女性トラッシュ・トライデント公判中のある晩、背の高い黒い髪の若い男が、友好集会所の台所に踏み込んできたが、そこには何人かのTP2000の仲間が寝泊りしていた。男はお茶を断って言った、まず、やることがあるから、と。鞄から大きなボール、小麦粉、イーストを取り出してパン作りに取り掛かった。生パンが膨れ上がり、つい誘われるようないい匂いを放つようになってやっと、彼は座ってお茶を飲んだ。彼はその日の仕事を終えてはるばるリヴァプールからやってきたのだ。真夜中に彼と一緒に熱く香ばしい塊を平らげるのは、聖餐であり、祝典であった−支援の名の下の。こんな支援こそ、もっとも単純な非武器化行動、しかももっともセンセーショナルな行動に不可欠である。
ピーター・レイニョン
グリーノックで「トライデントの三人」が用いたのと同じ抗弁を出したのに、3月3日、ニューベリー下級裁で、ミッドランドのアフィニティーグループの4人が有罪とされた。4人は、昨年7月13日にAWEオルダーマストンに入った際に器物損壊(国による損害額の評価は1,000ポンド+付加価値税)を犯したということで起訴されていた。4人を弁護したのは法廷弁護士スティーヴン・コトル、事務弁護士ガレート・ピアースであった。
4人は起訴に関する基本的事実は争わなかったが、彼らの行動はトライデントの不法性及びそれがもたらす戦争犯罪に対して緊急の行動を起こす必要性に照らして正当化されると論じた。判事は弁護側が鑑定証人を呼ぶのを認めた。ブルンマウス大学のニック・グリーフ教授はトライデントの合法性の争点に国際法が適用できるかという点で鑑定証言を為した。グリーンピースの国際的軍縮運動家ウィリアム・ピーデンとフリーの核問題専門家フランク・バーナビー博士は、トライデント・ミサイルの攻撃目標及びイギリスの核兵器システムの働きについて証言した。
判事の長い理由説明の後、ロジャー・フランクリン、シルヴィア・ボイエス、マーリーン・イェオ、アリソン・クレインは起訴通り有罪と認定された。要するに裁判所は、慣習的国際法と条約との差異を認めず、また、たとえ国際法が関連していたとしても危険は充分に切迫していなかったと考えたのである。
各人は訴訟費用541ポンド(賠償額291ポンド、裁判所/法定費用250ポンド)の支払を命じられた。アリソンとマーリーンは前科がなかったので費用以上には罰せられず、ロジャーも前科はずっと昔のことであったので同様であった。シルヴィアは頑固な犯行者として同額の費用に加えて100ポンドの罰金に処せられた。
独創的な行動と力強い抗弁は、オルダーマストン(及びニューベリー!)での高まるTP活動にとってのすばらしい魁である。
アリソンに謝しつつリヴァーとピーター・イェオの公判報告
1999年2月1日、レイチェル・ウェナムとロージー・ジェイムスは、バロウ・イン・ファーネスのデヴォンシャー・ドックで英国軍艦ヴェンジャンス号、トライデント核潜水艦に乗り込んだ。彼らは潜水艦のテスト装置に25,000ポンド以上と見積もられる損害を与えた。そのために彼女らは今年の1月25日に公判に付せられたが、28日に裁判官は公判を進めることができないと言明した。その理由は、国側が損害の額に関する証拠をぎりぎりになって提出したので、弁護側が独自に査定するのに必要な時間が与えられなかったということである。
検察当局は、損害が110,000ポンドにのぼると主張する新しい証言内容を出すことによって事案を始めた。次に2日半もぐずぐずして彼らの新証言内容を実証する明確な証拠を出そうとしなかった。額の評価はゼロから百万ポンドにも亙るものとなっている。
木曜日の午後になって裁判官が必要な証拠の提出を説示したが、訴追側証拠の実証性のなさと曖昧さのため独自の査定を要することが明らかになって公判は停止された。このためかなりの遅れが予想され,新しい陪審が必要になると思われる.
6週間後、公判が何時どこで開かれるのかについて、まだ何の知らせもない。国がその態度を纏めるのにまる1年でも足りなかったことは明らかである。
(後略)
フィル・ベリガンは、他の3人(スーザン・クレイン、レフ・スティーヴ・ケリーSJ、エリザベス・ウォルツ)とともに、昨12月19日、地球及びその生物に対する最近のペンタゴンの環境破壊に対してアメリカの注意を促す呼びかけを企てた。彼らは、劣化ウラン弾を発射するA-10サンダーボルト攻撃機、「イボイノシシ」にハンマーをふるった。劣化ウラン弾の発射は、イラク、セルビア,あるいはそれが試されたどこに対しても(例えばヴィエケス、スコットランド、カンサス、メリーランド、少なくとも一つのアメリカ先住民居留地に隣接する試爆場),一種の低レヴェル核戦争となっている。
フィルたちはそれ以来、混雑して騒がしい郡刑務所に入っている。彼らの公判は3月20日に迫っており、国際級の弁論が予定されているが、彼らを代理するのは前合衆国検事総長ラムゼイ・クラーク氏で、さらに軍事同盟に関する国際的専門家であるロザリー・バーテル博士、国際法の専門家であるフランシス・ボイル氏を迎えようとしている。
フィルは76歳、多くの年月を監獄や刑務所で費やしてきた。この3月20日、彼のために暫く祈祷できるだろうか? 私たちが彼の生命を心配していること、私たちが抱いてはいるが彼の拘禁の全てによって戦い取るにはあまりにも案じられる理想への彼の犠牲と奉仕の長年月に敬意を表することを示せるだろうか? 4人の被告は26年の拘禁に直面しているが、それは、フィルにとっては終身刑に等しい。どうか、3月20日に彼の名において少なくとも暫くの祈祷に加わってほしい。
私たちは当日の夕方、アッシュランドの小さな北ウィスコンシンの町に集まり、午後5時から6時まで蝋燭や歌によって、地球規模の軍事的支配に対する闘いにこれほどの献身を捧げた者を称えるだろう。フィルの公判に留意して何かをしようと思われれば、親しく言葉を送ってほしい、私が彼に伝えるつもりである。彼は現代のホセア、アモス、ジェレミア、イザイアのごとく立ち、彼の試練は繁く厳しいものである。感謝。
トム・ハワード・ヘイスティングス
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毎年、日本の反核運動(日本原水協)はヒロシマとナガサキの日に亙って世界大会を開いている。昨年の集会に出た友人は、非常にパワフルで刺戟的な催しと思ったようだ。
今年の集会は8月2〜9日にあるが、連邦王国から行く若者たちのグループを準備したい。集会はおおむね日本の若者の平和運動によって準備されるが、彼らは非常によく組織され、彼らと連結するのは有益であろう。
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昨9月、ヘレンはセント・スティーヴン・ゲイト、つまりウェストミンスター宮殿の正面玄関に18インチの長さになるメッセージを書いた。「スター・ウォーズはごめんだ」、「トライデントを禁止せよ」、「劣化ウラン兵器を禁止せよ」と。
12月17日、ミドルセックス刑事裁判所の陪審は彼女を有罪と認定したが、裁判官に次のようなメモを手渡した。「私たちは、被告人にはその行動につき合理的な理由があったことを全員一致で認めます」。裁判官は陪審のこのコメントを考慮して、6ヶ月の執行猶予とした。裁判官はこの期間中に問題を起こさないという条件付でヘレンを釈放したのである。陪審は、彼らが評決を出す際に国際法を考慮に入れることが出来るかどうかを、裁判官に訊ねた。裁判官は否と言った。トニー・ベンは、イギリス政府が国際法を再三無視することによって、民主主義に対する脅威となっていると証言した。優れた鑑定証言は、アラン・シンプソン議員によっても為されたが、彼は法廷で、国防省から情報を得るのはほとんど不可能に近く、膨大な出費を要する計画が含まれているときでさえそうであると述べた。
パメラ・スミスは、彼女を秩序違反で起訴する国の権限に対して争い、争点の付託を提起した。
1月25日の弁論期日に彼女は自らを代理して、秩序違反の起訴は今やヨーロッパ人権協定の要求に反する点で無効であると述べた.いやしくも犯罪の起訴は,当該犯罪の範囲を特定するべく明確に輪郭付けられたものでなければならないとするヨーロッパ人権協定の要求に反する点で無効であり、秩序違反は曖昧かつ不明確な起訴の明らかな例であることを論じた。彼女はこれまでの平和活動家訴追の例をあげて、適用された起訴がそれと矛盾することを示した。考慮はしたものの説明なしに、マクフェイル治安判事は彼女の申立を退けた。パメラは高等裁判所に上訴した。
ローカル・ヒーローズ事件で、法律扶助を受ける被告人の一人は、新しい法律扶助定額法の下で彼女の弁護士が準備及び代理するのに300ポンドしか使っていけないという理由で、扶助を受けられなかった。彼女には、グリーノック治安裁判所で行われたのと全く同じ性質の抗弁を主張する権利があるが、そこでは300ポンドでは不可能な、鑑定証人を呼ぶことが含まれていた。国側はグリーノックでやったのと同じく無制限に証拠資料を使っている。
これは「武器の不平等」であり、従って「公平な審理」を受ける権利を保障したヨーロッパ人権協定6条1項の違反であると考えられる。このことはトライデントの議論からいささか外れるように見えるかもしれないが、ある意味では、グリーノックで主張された国際法の議論を聞くことを拒否したヘレンズバラ地方裁判所に対する、真っ向からの挑戦である。ローカル・ヒーローズ事件も、地方裁判所レヴェルにはまだ登場していない弁護人ジョン・メイヤーを(鬘とガウンを着せて−つまり法廷に出ること:訳者)地裁の第一回審理に登場させて、いささか地裁を怖がらせるか!
アラン・ウィルキーも弁論期日を続けることを拒否されたという争点付託を提起した。アランは、彼のファスレーン北門での逮捕が、ヨーロッパ人権協定にある平穏にデモする権利の侵害であると論じている。
”トライデントの3人”がグリーノック治安裁判所で無罪とされたとき、国側に上訴の可能性は存在しなかった。ところが、法務長官はエディンバラの高等司法裁判所に事件を付託した。
これは、法務長官が5人の高裁判事に4つの問題に答えさせようとしていることを意味する。これらの問題は直接グリーノックに照会されないけれども、ギンブレット治安判事が処理を誤ったことを示そうとするために考えられているのは明らかである。問われていることは、慣習的国際法をこのような事件に持ち込むことがよいのかどうか、国際法上の抗弁が損害を正当化するかどうか、である。私たちは今、質問と認定内容を再検討し、それらを変更する方策を調べているところである。
よい知らせ、それは、法務長官の付託に際して、誰かがアンジーを代理する場合に彼女の出費を問題にする議論があるけれども、それについては高裁が全額負担するということである。第一回の手続き上の審理は4月4日だが、延期されるかもしれない。付託が完了するのは晩秋になると予想される。
(以下略) ジェイン・タレンツ
* TP2000等の事務連絡的な記事は省略
地名・人名の表記は暫定 訳者