G8とファスレーン

 2005年7月4日月曜日、この日は世界の「指導者たち」がG8サミットのためにスコットランドに集まる日であるが、この日に私たちは、地球規模の軍国主義の企みを打ち壊すために、ちょうど60マイル離れたスコットランド最大かつ最凶の(deadliest )軍事基地に集まるであろう。

 私たちはいま、軍国主義と圧制、あるいは他国が大量破壊兵器を手に入れるのを止めるという口実で戦われる戦争に対して、声高に「否」を言おうとしているのではない。自分たちは無視しながら、他者には国際法の遵守を要求する政治家たちにノーを言おうというのではない。世界の半分が飢えているというのに、莫大な金を兵器に使うという犯罪行為を指摘しようというのでさえない。戦争に言及することなしに貧困について語るという偽善を明るみに出そうとしているわけでもない。

 私たちはこのようなことを全てするつもりではあるが、いまはそれを語ろうとするのでなく、つまりそれについて何らかのことをなすために直接的、実際的、非暴力的行動に出ようというのである。

 私たちはスコットランド最大の軍事基地を一日中閉鎖しようというのである。

G8

 G8は、最も富んだ国々(アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、日本、カナダ及びロシア)の指導者たちの、公認されたわけでもない徒党である。彼らは年に一度集まって、他の国際的諸組織(世界銀行、国際通貨基金、世界通商機構など)が次の年に何に同意するかを決める。今年、彼らは7月6日から8日、スコットランドのグレニーグルズ・ホテルで会議をする。G8の弊害に関する大方の分析は、彼らの経済力、彼らがそれを如何に乱用しているかに焦点を当てるが、私たちは、戦争と軍国主義の論点を、地球規模の貧困と生存の論点から切り離すことは出来ないと考えている。

 つまり、戦争が貧困を生み、貧困が戦争を生むのである。さらに言うならば、軍事的勢力、軍事同盟のメンバーとしてG8諸国は、そのことを充分に知っているのである。

 世界の富める国々は、その圧倒的な軍事力に依拠して、彼らが貧者を搾取し抑圧するのを許すグローバリゼーション(地球規模化)を擁護し、拡大するのである。

 イギリス政府は、G8が貧困と気候変化についてのものだと述べている。それでも彼らは、イギリスだけでもその核兵器に費やす毎秒48ポンドもの金(アメリカがイラク戦争でこれまでに使った1800億ドルの金は言うに及ばず)が、今後の紛争を防いで世界中に飲料水、健康、教育を提供するのによりよく使い得るということを考えようともしない。

ファスレーン

 ファスレーンは、グラスゴーから30マイル(45キロ)、グレニーグルズから60マイル(90キロ)のクライドに置かれたイギリス海軍の潜水艦基地である。それはスコットランド最大の軍事基地であり、イギリスのトライデント型核搭載潜水艦全4隻の母港である。核兵器は軍国主義の究極の表現である。ファスレーンを封鎖することによって、私たちはイギリスの軍事施設の中枢部分に打撃を与え、きわめて上首尾で平和的な大衆的封鎖の物語を作り上げようとするのである。

 これは、これまでに比し最大の、かつもっとも効果的なものになるであろう。

 戦争を終わらせることなしに貧困を終わらせることは出来ない。

 「見えざる市場の手は、見えざる拳なしには決して働かないであろう。マクドナルドは、F15を設計したマクドネル・ダグラスなしには繁栄し得ないし、シリコン・ヴァレーの技術の安全を世界的に守っている見えざる拳は、アメリカの陸軍、空軍、海軍及び海兵隊と呼ばれる」(トマス・フリードマン、ニューヨークタイムズ、1999年)。

 「正しい条件において、我々は我々の核兵器の使用を敢えて辞さないであろうということを、イラクは絶対に信用してよいのである」(ジェフ・フーン、イギリス国防相、2002年3月20日)。

(真鍋訳)