報道発表 2004年7月12日
反核のオラトリオ 議会ホールで初公演
今日エディンバラの議会ホールで、スコットランドの高裁判事、法廷弁護士および法律家のために、新しいオラトリオ「トライデント:英国の戦争犯罪」 の特別公演がおこなわれた。
トライデント・プラウシェアズからの17人の非暴力平和活動家によって公演されたこの新しいオラトリオは、英国の核兵器システムであるトライデントを巡る偽りの「正義」に焦点を当てている。 トライデントそのものが重要な他の公共サービスから資源を搾取しながら維持され続けている一方で、平和活動家たちは、これらの違法な大量破壊兵器に反対する行動をとっている犯罪者であると烙印を押されている。
このオラトリオは、ロンドンで活動している即興演奏家で作曲家のカミラ・カンカンタタによって特別に作曲された。 彼は「私は、芸術と政治は別だ、という考え方に挑戦したかった。幾度となく繰り返されたこの言葉に旋律をつけることで、できるならば、スコットランドの司法関係者が『トライデントは犯罪だ』というメッセージを持ち帰ってくれることを期待して、その本当の意味と意志を明らかにするのだ。」と語った。
議会下院の屋外での第二幕歌手たちは、議会ホールの中で準備しながら、19世紀の音楽の伝統をよみがえらせていた。この公演が始まった直後、議会ホールでの警備部門が動き始め、この公演を中止させることを強要しているように思われた。 しかし、数人の弁護士と法律家、そして一人の判事までもが、オラトリオを聞こうと足を止め、示唆されているメッセージに対する支持を約束するほど熱心な人はほとんどいなかったとはいえ、問題点を分かってもらうこのような革新的なやり方はとても面白いとのコメントがあった。
この公演は、米軍の核兵器が貯蔵されているサフォーク州(訳注:イングランド東部の北海に臨む州)のレイカンヒースにある米国空軍で、またロンドンにおける核戦争計画の合法性を考究する裁定委員会で、そしてことによると、来年ニューヨークで開かれるNPT再検討会議でという、このオラトリオの多くの公演計画の最初のものとなるだろう。 スコットランドでの次回公演は8月23日の予定で、クライド川(訳注:スコットランド中南部を北西に流れ、グラスゴーを経てクライド湾に注ぐ)におけるトライデント関連のあらゆる現場の業務を中断させる行動である「キャリー・オン・アップ・ザ・クライド」という行動の一部となる。
オラトリオの公演により、トライデント・プラウシェアズは議会下院の古い伝統を復活させる
トライデント - 英国の戦争犯罪
スコットランド議事堂は1630年代にチャールズ一世王の要請によって、スコットランド議会、スコットランド民事控訴院および枢密院を収容するために建てられた。 現在では、弁護士が顧客と会合する場所として使われており、そして、最高法院を含むスコットランド司法部によって使われている建造物複合体の一部でもある。 その建物は、議会および法廷とつながっているので、トライデント ・プラウシァアズは、スコットランド司法部の法律家と判事に対して、彼らに「ニュルンベルグ」を思い起こさせるために、トライデント ・プラウシァアズのメッセージを歌い上げる理想的な場所であると思った。
1815年,1819年および1824年には、議会ホールは人気のある合唱曲作品を演奏する一連の音楽祭の舞台であった。 だから、トライデント・プラウシァアズは、長い間失われていた音楽の伝統を回復させたもので、このイベントが好意的に受け取られることを望んでいる。 アンコールがかからなければ、公演時間は20分かかるだけだ。
出演者たちはすべて、スコットランドの法律システムの健全性について熱烈な関心を寄せている平和を愛好する理非をわきまえた市民だ。出演者たちの多くは、トライデント・プラウシァアズの誓約者であり、英国政府に、トライデント・システムの核兵器を使って大量破壊の脅迫をさせまいとする彼らの行為のために、スコットランドの法廷に立たされた経験を持っている。
彼らは、いかなる民主主義国においても、公正にして賢明な司法部の独立性が不可欠であり、行政府の権限に対する必要なチェックであると信じている。 これが、スコットランド法廷がトライデントについての抗議を扱っているやり方に対して、彼らが関心を寄せる理由だ。 彼らは、実際に全体として人類の利益に反する狭義の国益を追求している英国政府の非道な行為を、判事側が抑制していない、と信じている。彼らは、法の本質は無辜の民を犯罪から保護することだ、ということを最高法院に思い起こさせようとしている。 彼らは、潜在している未解決の紛争原因すべてを放置したままで、大量破壊の脅しをかけることは最悪の犯罪だ、と信じている。
トライデント・プラウシァアズは、特別に作曲されたこの合唱音楽の力が、スコットランド法廷の心に届くのを助け、法廷の中にいる者すべてが、英国が大量破壊兵器のすべてを廃棄させるために、法律の枠の中で彼らがなし得るあらゆることをやるように彼らを奮い立たせてくれることを望んでいる。 将来的な機会に、トライデントならびに戦争を煽る者たちに反対する市民の抵抗の権利と不正について判事に尋ねた時、法廷がこの音楽を思い出して、全体として人類の利益のために審判してくれるであろうことを私たちは望んでいる。
スコットランド最高法院が聞かなければならないメッセージ
議会ホールの中のスコットランド最高法院の心臓部におけるこのオラトリオ「トライデント - 英国の戦争犯罪」の今日の公演は非常に重大な意味を持っている。 この法廷の判事たちは、この国が、持っている大量破壊兵器によって無数の生存を脅かすという重大な犯罪を犯している、という事実を、真剣に受け止めることなく、幾度にもわたって無視して来た。
この無視の最も明白な例が、トライデントの調査研究用バージ・メイタイムを非武器化した後で、治安判事のギムブレットにより無罪放免された「トライデントの三人」の裁判に関する2000年の法務総裁の事件付託である。9日間の公聴会で高等法院のプロサーとペンローズおよびカークウッドの3人の判事による審査員団は、トライデントに関して、国際人道法の関連性のある原則の解説に加えて、トライデントの能力と影響、ならびに威嚇するように配備されている、という事実を記載した大量の証拠を渡された。
それにもかかわらず裁判官たちは、私たちの司法部は英国国家は法に従わなければならないと裁決する勇気と独立性を備えているであろうと期待していたすべての人びとを完全に叩きのめした意見書を提出した。 裁判官たちは、100キロトンの核弾頭でさえも、保護されている市民に対して不法な影響を与えることなく、軍事目標に対してどのように使用することができるのか? という基礎的な質問に応えることができなかった。
ところで下級裁判所は、毎週ベースで、核兵器に対して理にかなった立場をとっている普通の個人を起訴し続けており、最高法院は下級裁判所を支持している。
普通の人びとは、法を護るために行動する権限を持っているスコットランドの首席判事が狭義の国益を追求する英国政府の非道な行為を抑制し損なっている、と信じている。法の本質は無辜の民を犯罪から保護することだ、と言うことを思い起こそう。
このメッセージは、法曹界が耳を傾けなければならないメッセージだ。 これが、私たちが今日ここにいる理由だ。 私たちは、英国の核兵器に反対する非暴力直接行動に献身している。 私たちの焦点は英国に向けられているが、英国のように、非武器化を拒否している核兵器保有国に対する世界的なフラストレーションを反映している国際運動である。(K)