マンチェスター刑事裁判所最新報・2000年9月14日
この日の朝、ロージーは証言を続けたが、彼女がホーク事件の釈放理由に言及し始めたので、僅か5分も経たないうちに訴追側の異議によって中断され、陪審は退席した。判事は、ホーク事件を先例と考えてはならないということを陪審に説明した後でロージーを続行させることに同意した。トライデント・プラウシェアとどのようにして関わることになったかをつぶさに述べた後、ロージーは、トライデントに関する彼女の法知識がどんなものかを訊ねられ、それが訴追側の再度の異議、陪審の再度の退席を誘発した。判事は、自分が信念の問題は関連性がないと裁決するので,ロージーは続行し得ると裁決した。
そこでロージーは、トライデントがどうあっても国際的人道法の基準に合致し得ない理由を説明し、トライデントがイギリスの経済的利益を守るために使われる攻撃的な第一撃兵器であることを述べた。ロージーは、政府に働きかけ話し合いを持つというプラウシェアが取った各段階に触れ、事故、ニアミス及びイラクのような国に対して意図的に用いられる可能性という点でトライデントがもたらす切迫した脅威を概説した。
次に彼女は2月に実行された非武器化作業について陪審に語り、結局「作業を為し終えて満足しました」と述べた。反対尋問の中で訴追側は再び彼女に行動について触れさせたが、それは彼女に既に述べたことを確認させたに過ぎない。訴追官は明らかに、投票で問題を解決すべきであって、緑の党に投票すればうまく解決するということを示したいくつかの政党声明を念頭に置いていたのである。
昼食後、レイチェルが証言を始め、自分が小さいとき、核戦争に脅えていたことを話した。飛び去ってゆく飛行機がみんな、世界を抹殺するような爆撃を加え得るのだと考えながらベッドに入っていたという彼女の感動的な陳述は、多くの人の琴線に触れることであろう。政府その他に宛てて書かれた交渉の手紙が参照された。判事は、レイチェルが国際司法裁判所についての理解を簡潔に述べることを許されていたにもかかわらず、核弾頭の性質についての陳述、国際法のより詳しい参照を遮った。彼女は、人々が行動を通じて各々の良心の声を聴くことで力づけられるということを生きいきと語った。
ドイツの裁判官たちが効果的な直接行動に立ち上がったとレイチェルが話したとき、ちょっとした喜劇が起こった。判事が突然笑い出して、「ドックに飛びこんだわけではないでしょう? 私もウェットスーツが要りますね!」と言ったのである。レイチェルは笑声が静まるのを冷静に待ち、裁判官たちは実際にパーシング・ミサイル基地を封鎖する直接行動に出たのだと説明した。彼女たちの行動の効果はどうだったかと訊かれて、彼女は「効果がありました。私たちはヴェンジャンスの航行を止めたのです」と答えた。訴追側はそのことを争わなかった。
反対尋問の中で訴追官は、この行動の重要な要因が世間の注目を惹くことだったと印象付けようとした。レイチェルは、注目されたいのだったらもっと簡単な方法があると指摘しつつ、意図はトライデントを非武器化することであったと一貫して繰り返した。
レイチェルの証言が済んで、弁護側はウルフ・パンツェル(かのドイツの裁判官のうちの一人)を召喚したいと要求したが、彼は法律事項について語り得ず、彼の行動は関連性がないという理由で拒否された。
弁護側の証人は明日10時30分に審問される予定である。
(訳改訂9月26日)